日本メディアもこれでやられたか―おぞましき中国の台湾メディア「籠絡」工作
2009/10/29/Thu
■独裁国家とのメディア交流に一体何の意味があるのか
この台湾メディア界の動きは日本人も注目していいと思う。
台湾の対中交流窓口である海峡交流基金会は、馬英九政権発足後は中国の統一戦線工作(統戦。敵を打倒するため、その中に味方を作る工作)の受け入れ窓口と化してしまった感があるが、同会の江丙坤会長に引率された台湾のマスコミ代表団である「新聞交流団」(報道交流団)が十月二十八日、中国訪問を開始したのだ。
メンバーは中国時報、聯合報、経済日報、聯合晚報、TVBS、東森テレビ、年代テレビ、中華テレビ、中国テレビ、民視(フォルモサテレビ)、三立テレビなど十五のテレビ局や新聞社のトップクラスの幹部たち。
現地では中国広電総局、新聞出版総總などメディア管轄部門や、人民日報、新華社、中央テレビ(CCTV)などの公共メディアを訪れ、その後三十日に山西省を参観し、十一月一日に帰国する。
江丙坤氏は出発に先立ち、「今回の訪問で、メディア交流が促進されて報道が増加し、報道協力に役立つことを希望する」と述べた。一方中国側も、国務院台湾弁公室の范麗青報道官も「報道交流を強化するもの」と歓迎の意を表明した。
台湾の大陸委員会によれば、この訪問を機に、これまで一社当たり二名に制限されていた中国の台湾駐在の記者は五名まで許される、ホテルに限定されていた居住地制限も緩和され、さらに事前に許可を受けることなく、自由に台湾国内で取材することが可能になる。
交流団も中国側に、台湾メディアへの取材開放などの希望を表明すると言う。
しかしあの独裁国家との報道の交流、協力などに、いったいいかなる意味があるのだろうか。
■中国が目論むのは海外メディアのコントロール
今回の訪問団に関し、在台の中国人ジャーナリストである林保華は「中共の台湾メディアへの統戦」と題する一文を発表しているので、以下抄訳しよう。
―――共産党は天下を争奪し、天下を治める際に頼るのが「鉄砲」と「筆」だ。共産党の軍とメディアである。世界が文明に向かう今日では、やたらと武力を使っては印象が損なわれるので、中共はメディアを利用して人を騙すようになってきている。そのため国内メディアを厳密に制御するだけでなく、国外メディアへと制御を拡張している。
―――今年一月二十八日に行われた中共中央政治局の会議の主要課題に、二〇〇九年の対外宣伝工作があった。そこでは「過去十年間、中国の進歩と、宣伝、統戦、外交部門の共同の努力により、世界各地の華人メディアは中国政府の政策に大きなアイデンティティを抱くようになった。三つの反華勢力によるいくつかの小さな新聞以外は、西側主要国家の華文新聞と大陸の関係部門と非常に積極的で良性の相互作用が見られる」との認識が持たれた。
―――所謂「三つの反華勢力」とは、法輪功、台湾独立、そしてその他の華人社会における反響勢力のことに違いない。もちろん「いくつかの小さな新聞」などではない。法輪功の新聞は全世界で発行され、自由時報(台湾独立派)は台湾では発行部数第一位、リンゴ日報(反共)は香港と台湾で第二位だ。
―――これまでの中共のメディアへの統戦の手口とは「引っ張り出す」と「入り込む」だ。
―――「引っ張り出す」とは、相手陣営から買収などで味方を作って引っ張り出すこと。「入り込む」とは相手の味方のふりをした者を送り込み、敵陣に深く浸透して行くことだ。
―――中共は建国六十年の祝賀で、台湾から一部の有名人を北京に招いて統戦を仕掛けたが、今度は台湾メディアに黒い手を伸ばすこととなり、海峡交流基金会を通じてメディアの幹部を訪中に招いた。自由時報は「業務多忙、参加者を派遣できない」を理由に断った。リンゴ日報は参与を拒絶された。
―――なぜ自由時報を招き、リンゴ日報を拒否したのか。今回の招待の意図は「独立派を統一派に変えて行くこと」。これは馬英九の姿勢と一致しているが、おそらく馬英九は無能なので、中共自ら行うことにしたのではないだろうか。しかし自由時報が動かなかったのだからどうしようもない。
―――中共がリンゴ日報に統戦を掛けなかったのは、そこの経営者、黎智英が香港人で、台湾人ではないからだ。黎智英は中共との付き合いは多く、中共から見れば統戦が成功する見込みがない。もし彼らが参加したら、統戦の手段を暴露されてしまうかも知れない。
―――今回の統戦のための観光地は山西省の平遥などの史跡だ。明らかに古い中華文化で台湾メディアの文化的アイデンティティを激発させようとしている。
―――しかし山西省では炭鉱災害が頻発し、人命は虫けらの如く扱われている。省当局は安全を名目に定価を作り、小炭鉱主から石炭を政府に売らせている。これは一種の市場経済に反する公然たる略奪だ。台湾メディアは参観を要求しなければ失格だ。
■思い出される日本メディアの李長春への「謁見」
交流団一行を会見する海峡両岸関係協会の陳雲林会長(右2)

中国全国政治協商会議の賈慶林主席(右1)も恭しく居並ぶ交流団の前で
おぞましき工作だと言える。
北京に到着した交流団一行と人民大会堂で会見した中国全国政治協商会議の賈慶林主席は早速、「両岸関係を平和的に発展させるには、世論の導き方が重要となる。メディアが主流の民意に対する貢献を果たすよう希望する」と語ったが、これは「中国の平和的統一に向けて台湾世論を動かせ」との、中国の政治宣伝工作への加担を要求するものに他ならなかった。
今回の台湾の「新聞交流団」を見て思い起こすのが、中共の思想・報道(宣伝)部門の最高責任者として、国内メディアをコントロールする李長春政治局常務委員が三月に来日し、日本のマスコミ各社の代表者を夕食会に招き集めたことだ。
そこで参集したのがテレビ朝日、フジテレビ、日本テレビ、NHK、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、読売新聞、中日新聞、産経新聞、共同通信、テレビ東京、時事通信、朝日新聞などのトップたち。この独裁国家の宣伝責任者の「両国関係の主流を正しく把握し、中日戦略互恵関係の発展を加速させるため、良好な世論環境を醸成しよう」と呼びかけるかける講話を「拝聴」させられている。

日本のマスコミ幹部と会見した李長春氏(左2)は報道の自由の弾圧者
そもそも中国の統戦は、台湾メディアよりもはるか昔から、日本メディアに対して仕掛けられているのである。真実を伝えない媚中報道の氾濫もまた、中国の利益誘導で飼い慣らされ、制御を受けている証左だろう。
【参考】「報道の自由」蹂躙の李長春に招かれた日本メディアの代表者たち
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-712.html
■もはや国家の安保問題―マスコミ各社の内部告発が必要だ
このまま台湾のメディアが中国に籠絡され、中国の真実を伝えず、その宣伝媒体と化してしまったなら、台湾国民の「敵」に対する正確な判断力、警戒心は大きく奪われることになるだろう。
これは東アジアの安全保障に深く関わる危機問題であるが、中国の台湾打倒の工作には、もちろん日本メディアも早くから加担させられている。
台湾を中国の一部と敢えて仄めかすような不実の報道は、中国の顔色を伺ってのものに違いあるまい。そのおかげで日本国民の多くは、台湾を中国領土と誤解するに至っているのである。台湾が中国に併合されることを、「当然のこと」と思い込んでいる者も少なくなく、日本国民もまた「敵」に対する判断力、警戒心が奪われているわけだ。
国難を招くこうしたメディアの背信を食い止める方法の一つとして、マスコミ各社の内部告発が考えられる。いかに中国に釣られ、いかに中国のために働き、事実の歪曲、隠蔽等を行っているかを公表することだ。
そのようにして初めて、中国のメディア工作の浸透は監視、阻止を受けることが可能になるのである。
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【直言極言】NHK、崩壊した嘘と隠蔽工作[桜H21/10/24]
今回は、台湾研究フォーラム会長・永山英樹氏をお招きし、NHK 「JAPANデビュー」問題について、彼らの行った隠蔽工作を中 心にお話ししたいと思います。

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この台湾メディア界の動きは日本人も注目していいと思う。
台湾の対中交流窓口である海峡交流基金会は、馬英九政権発足後は中国の統一戦線工作(統戦。敵を打倒するため、その中に味方を作る工作)の受け入れ窓口と化してしまった感があるが、同会の江丙坤会長に引率された台湾のマスコミ代表団である「新聞交流団」(報道交流団)が十月二十八日、中国訪問を開始したのだ。
メンバーは中国時報、聯合報、経済日報、聯合晚報、TVBS、東森テレビ、年代テレビ、中華テレビ、中国テレビ、民視(フォルモサテレビ)、三立テレビなど十五のテレビ局や新聞社のトップクラスの幹部たち。
現地では中国広電総局、新聞出版総總などメディア管轄部門や、人民日報、新華社、中央テレビ(CCTV)などの公共メディアを訪れ、その後三十日に山西省を参観し、十一月一日に帰国する。
江丙坤氏は出発に先立ち、「今回の訪問で、メディア交流が促進されて報道が増加し、報道協力に役立つことを希望する」と述べた。一方中国側も、国務院台湾弁公室の范麗青報道官も「報道交流を強化するもの」と歓迎の意を表明した。
台湾の大陸委員会によれば、この訪問を機に、これまで一社当たり二名に制限されていた中国の台湾駐在の記者は五名まで許される、ホテルに限定されていた居住地制限も緩和され、さらに事前に許可を受けることなく、自由に台湾国内で取材することが可能になる。
交流団も中国側に、台湾メディアへの取材開放などの希望を表明すると言う。
しかしあの独裁国家との報道の交流、協力などに、いったいいかなる意味があるのだろうか。
■中国が目論むのは海外メディアのコントロール
今回の訪問団に関し、在台の中国人ジャーナリストである林保華は「中共の台湾メディアへの統戦」と題する一文を発表しているので、以下抄訳しよう。
―――共産党は天下を争奪し、天下を治める際に頼るのが「鉄砲」と「筆」だ。共産党の軍とメディアである。世界が文明に向かう今日では、やたらと武力を使っては印象が損なわれるので、中共はメディアを利用して人を騙すようになってきている。そのため国内メディアを厳密に制御するだけでなく、国外メディアへと制御を拡張している。
―――今年一月二十八日に行われた中共中央政治局の会議の主要課題に、二〇〇九年の対外宣伝工作があった。そこでは「過去十年間、中国の進歩と、宣伝、統戦、外交部門の共同の努力により、世界各地の華人メディアは中国政府の政策に大きなアイデンティティを抱くようになった。三つの反華勢力によるいくつかの小さな新聞以外は、西側主要国家の華文新聞と大陸の関係部門と非常に積極的で良性の相互作用が見られる」との認識が持たれた。
―――所謂「三つの反華勢力」とは、法輪功、台湾独立、そしてその他の華人社会における反響勢力のことに違いない。もちろん「いくつかの小さな新聞」などではない。法輪功の新聞は全世界で発行され、自由時報(台湾独立派)は台湾では発行部数第一位、リンゴ日報(反共)は香港と台湾で第二位だ。
―――これまでの中共のメディアへの統戦の手口とは「引っ張り出す」と「入り込む」だ。
―――「引っ張り出す」とは、相手陣営から買収などで味方を作って引っ張り出すこと。「入り込む」とは相手の味方のふりをした者を送り込み、敵陣に深く浸透して行くことだ。
―――中共は建国六十年の祝賀で、台湾から一部の有名人を北京に招いて統戦を仕掛けたが、今度は台湾メディアに黒い手を伸ばすこととなり、海峡交流基金会を通じてメディアの幹部を訪中に招いた。自由時報は「業務多忙、参加者を派遣できない」を理由に断った。リンゴ日報は参与を拒絶された。
―――なぜ自由時報を招き、リンゴ日報を拒否したのか。今回の招待の意図は「独立派を統一派に変えて行くこと」。これは馬英九の姿勢と一致しているが、おそらく馬英九は無能なので、中共自ら行うことにしたのではないだろうか。しかし自由時報が動かなかったのだからどうしようもない。
―――中共がリンゴ日報に統戦を掛けなかったのは、そこの経営者、黎智英が香港人で、台湾人ではないからだ。黎智英は中共との付き合いは多く、中共から見れば統戦が成功する見込みがない。もし彼らが参加したら、統戦の手段を暴露されてしまうかも知れない。
―――今回の統戦のための観光地は山西省の平遥などの史跡だ。明らかに古い中華文化で台湾メディアの文化的アイデンティティを激発させようとしている。
―――しかし山西省では炭鉱災害が頻発し、人命は虫けらの如く扱われている。省当局は安全を名目に定価を作り、小炭鉱主から石炭を政府に売らせている。これは一種の市場経済に反する公然たる略奪だ。台湾メディアは参観を要求しなければ失格だ。
■思い出される日本メディアの李長春への「謁見」

交流団一行を会見する海峡両岸関係協会の陳雲林会長(右2)

中国全国政治協商会議の賈慶林主席(右1)も恭しく居並ぶ交流団の前で
おぞましき工作だと言える。
北京に到着した交流団一行と人民大会堂で会見した中国全国政治協商会議の賈慶林主席は早速、「両岸関係を平和的に発展させるには、世論の導き方が重要となる。メディアが主流の民意に対する貢献を果たすよう希望する」と語ったが、これは「中国の平和的統一に向けて台湾世論を動かせ」との、中国の政治宣伝工作への加担を要求するものに他ならなかった。
今回の台湾の「新聞交流団」を見て思い起こすのが、中共の思想・報道(宣伝)部門の最高責任者として、国内メディアをコントロールする李長春政治局常務委員が三月に来日し、日本のマスコミ各社の代表者を夕食会に招き集めたことだ。
そこで参集したのがテレビ朝日、フジテレビ、日本テレビ、NHK、日本経済新聞、毎日新聞、TBS、読売新聞、中日新聞、産経新聞、共同通信、テレビ東京、時事通信、朝日新聞などのトップたち。この独裁国家の宣伝責任者の「両国関係の主流を正しく把握し、中日戦略互恵関係の発展を加速させるため、良好な世論環境を醸成しよう」と呼びかけるかける講話を「拝聴」させられている。

日本のマスコミ幹部と会見した李長春氏(左2)は報道の自由の弾圧者
そもそも中国の統戦は、台湾メディアよりもはるか昔から、日本メディアに対して仕掛けられているのである。真実を伝えない媚中報道の氾濫もまた、中国の利益誘導で飼い慣らされ、制御を受けている証左だろう。
【参考】「報道の自由」蹂躙の李長春に招かれた日本メディアの代表者たち
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-712.html
■もはや国家の安保問題―マスコミ各社の内部告発が必要だ
このまま台湾のメディアが中国に籠絡され、中国の真実を伝えず、その宣伝媒体と化してしまったなら、台湾国民の「敵」に対する正確な判断力、警戒心は大きく奪われることになるだろう。
これは東アジアの安全保障に深く関わる危機問題であるが、中国の台湾打倒の工作には、もちろん日本メディアも早くから加担させられている。
台湾を中国の一部と敢えて仄めかすような不実の報道は、中国の顔色を伺ってのものに違いあるまい。そのおかげで日本国民の多くは、台湾を中国領土と誤解するに至っているのである。台湾が中国に併合されることを、「当然のこと」と思い込んでいる者も少なくなく、日本国民もまた「敵」に対する判断力、警戒心が奪われているわけだ。
国難を招くこうしたメディアの背信を食い止める方法の一つとして、マスコミ各社の内部告発が考えられる。いかに中国に釣られ、いかに中国のために働き、事実の歪曲、隠蔽等を行っているかを公表することだ。
そのようにして初めて、中国のメディア工作の浸透は監視、阻止を受けることが可能になるのである。
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【直言極言】NHK、崩壊した嘘と隠蔽工作[桜H21/10/24]
今回は、台湾研究フォーラム会長・永山英樹氏をお招きし、NHK 「JAPANデビュー」問題について、彼らの行った隠蔽工作を中 心にお話ししたいと思います。

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