岡田外相「三国共通の歴史教科書」発言を中国が評価ーしかし恐れるのは良識派日本人の「妨害」
2009/10/15/Thu
■中国が「アジアの平和に意義あり」と喜ぶ理由
中国の「属国」にでもならない限り実現不可能な日中共同の歴史教科書だが、岡田克也外相が十月七日、都内の日本外国特派員協会での講演で、「将来の理想は(日中韓)共通の教科書を作ることだ」と述べたため、中国が早速反応を示した。
国営新華社の週刊紙「国際先駆導報」が十二日、「日本当局のこの問題に関する従来にない積極的な態度表明だ」と評価する論評を掲げたのもそれだ。そこにはこうある。
―――中国社会科学院日本研究所の呉懐中研究員は「民主党の外交戦略におけるアジア回帰の歩調と一致するもの」とした上で、「岡田氏のこの動きは日本のアジア外交の重要な一環。日本は東アジア共同体構築と言う願望を実現するには経済利益の一致だけでは足りず、さらに文化観念上のコンセンサスも必要だと考えている」と指摘する。
―――中国社会研究院近代史研究所の歩平所長は「三国による歴史教科書の合同編集はアジアの平和を促進する積極的な行動で、将来における歴史観の共有に向け、積極的意義を有する」と語る。
―――岡田氏は講演で、一貫して開明的な歴史観を示した。商家出身の岡田氏は小泉純一郎元首相の靖国神社参拝を批判した。
このように、中国にとって共通の歴史教科書問題は、もはやたんなる歴史観問題(歴史解釈の問題)などではなく、「アジアの平和」、つまり「パックス・シニカ」(中国支配下の平和と言うアジアの新秩序)を構築すると言う国家戦略の初歩的段階の問題になっているのがうかがえる。

講演を行う岡田外相
■中国主導の東アジア共同体の前提条件が共通の歴史認識
中国にとり、その「中国支配下の平和」を達成するには、大国日本には「属国」の如くになってもらう以外にない。
そのためには日本が脱ナショナリズムの姿勢に転じ、中国ナショナリズムの源となる中国の歴史観に従ってもらわなければならないのだが、今回岡田氏が日本の外相として、それに従うと表明したわけだから、あの国としては当然「積極的意義を有する」と評価するわけだ。
民主党の東アジア共同体構想も、そうしたパックス・シニカ構想であることを、中国ははっきりと洞察している。岡田氏が共同体建設の前提として、中国の歴史観に従属しようとしていることを、日本の国民は必ずしも気が付いていないとしても、中国側はきちんと見抜いている。
■岡田氏の媚中への期待―中国で今も残る小泉ショック
論評では、いまだに小泉氏の靖国神社参拝に触れているのは、それほど中国があの参拝で受けたショックが大きかったからだろう。
当時中国はASEAN諸国との善隣外交を強化し、東アジア共同体の構築に着手し始めた時期だったが、同じく隣国である日本とは政治交流を絶たざるを得なかった。
周辺国の「従属」あっての中国主導の共同体形成である。ところが小泉氏の動きは中国にとり、日本の従属拒否のサインに他ならなかったわけだ。
だから論評は、「岡田氏は小泉氏を批判した」と強調し、「今後日本はそうあるべし」との思いを込めたのだろう。
だがかつて小泉氏を支持した日本の多くの国民が、やすやすと教育主権を放棄するなどとは、中国も思っていない。

中国が小泉氏の参拝を忘れられないのには理由がある
■歴史教科書は「日本右翼最後の陣地」とする中国の対日分析
論評はこう述べる。
―――岡田氏の建議は日本国内で争議も惹き起こした。まず反論したのは右翼軍事評論家の佐藤守氏だ。「外国の記者に誤解を与えなかったか。気は確かか」とのコメントを産経新聞が引用した。また大勢の日本右翼分子が東京と名古屋で集会を開き、岡田氏を売国奴と罵った。
―――呉懐中氏は「目下、靖国神社参拝問題が東アジアの政治的議題として薄れて行く中、歴史教科書問題は日本右翼勢力にとっては放棄できない最後の陣地となっている」との見方を示す。
―――右翼勢力の激烈な反撥により、三国共同編集の実現は楽観視が許されない。
―――呉懐中氏は「目下の状況で言えば、日本国内の侵略史に対する認識と反省のレベルはドイツに遠く及ばない。日本右翼団体は不断に騒いで邪魔をし、与党民主党内部でも様々な考えがあるなど、歴史認識には異なりが見られる。岡田氏が慎重に試験的な言論に止めた原因もここにある。また日本の教科書には厳格な検定制度があり、日本右翼勢力はこれを手段としてさらに妨害を加えてくるに違いない」と分析する。
「日本右翼勢力の最後の陣地」とはよく言ったものだ。要するに中国からすれば、歴史観の問題が日中関係の今後の鍵だと見ているのだろう。
■村山談話の行き着く先が中国主導の東アジア共同体
そして、おそらく岡田氏ら国内の「主権放棄派」もまた、この一点で、中国への歩み寄りの動きを強化して行くはずである。
岡田氏が講演の中で村山談話に触れ、「言葉より行動だ」と語ったのは、その決意表明以外の何物でもあるまい。
「村山談話の行き着く先は中国主導の東アジア共同体」と言うことだ。やはり中国との間の歴史問題は、歴史学術問題ではなく政治外交問題。しかも日本が中国の前で主権を保てるかどうかの国家存亡問題であると言うことがますます明らかになってきた。
中国の言う「日本右翼勢力」とは中国への従属にノーを突きつける良識派日本人のこと。その存在はやはり大きいらしい。
今後も確固たる意志をあの国とあの国の傀儡勢力にぶつけ、東アジアに影響力を広げようとする野望を挫いてやらなければならない。
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台湾研究フォーラム(台湾研究論壇) 第127回定例会
■ 講 師 池田 維 前駐台湾代表(日本交流協会台北事務所代表)
■ 演 題 「日台関係の現状と展望」
昨年7月まで事実上の台湾大使を務められた池田氏に、3年余の大使経験で感じた日台関係
の実態を伝えていただくと同時に、馬英九政権になって約1年半、従来の日台関係の何が変化
したか、変化していないか、などを伺う。
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池田 維(いけだ・ただし)昭和14年生まれ、東京大学法学部卒業。昭和37年外務省に入省、外務省アジア局長、官房長を経てオランダ、ブラジル大使を歴任、平成16年6月退官。 平成17年5月から平成20年7月まで台湾大使。在任中は天皇誕生日祝賀会や叙勲を前任の内田大使に引き続き実施、台湾人観光客のノービサ化や運転免許証の相互承認などに尽力、離任直前に発生した尖閣諸島付近での日本巡視船と台湾遊漁船の衝突沈没事件でも事態収拾にあたった。
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【日 時】 平成21年10月17日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京シビックセンター3階1号会議室(TEL:03-5803-1100)
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
【申込み】 10月16日までに下記へお願いします(会場定員あるため)。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
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第127回定例会 申込書
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中国の「属国」にでもならない限り実現不可能な日中共同の歴史教科書だが、岡田克也外相が十月七日、都内の日本外国特派員協会での講演で、「将来の理想は(日中韓)共通の教科書を作ることだ」と述べたため、中国が早速反応を示した。
国営新華社の週刊紙「国際先駆導報」が十二日、「日本当局のこの問題に関する従来にない積極的な態度表明だ」と評価する論評を掲げたのもそれだ。そこにはこうある。
―――中国社会科学院日本研究所の呉懐中研究員は「民主党の外交戦略におけるアジア回帰の歩調と一致するもの」とした上で、「岡田氏のこの動きは日本のアジア外交の重要な一環。日本は東アジア共同体構築と言う願望を実現するには経済利益の一致だけでは足りず、さらに文化観念上のコンセンサスも必要だと考えている」と指摘する。
―――中国社会研究院近代史研究所の歩平所長は「三国による歴史教科書の合同編集はアジアの平和を促進する積極的な行動で、将来における歴史観の共有に向け、積極的意義を有する」と語る。
―――岡田氏は講演で、一貫して開明的な歴史観を示した。商家出身の岡田氏は小泉純一郎元首相の靖国神社参拝を批判した。
このように、中国にとって共通の歴史教科書問題は、もはやたんなる歴史観問題(歴史解釈の問題)などではなく、「アジアの平和」、つまり「パックス・シニカ」(中国支配下の平和と言うアジアの新秩序)を構築すると言う国家戦略の初歩的段階の問題になっているのがうかがえる。

講演を行う岡田外相
■中国主導の東アジア共同体の前提条件が共通の歴史認識
中国にとり、その「中国支配下の平和」を達成するには、大国日本には「属国」の如くになってもらう以外にない。
そのためには日本が脱ナショナリズムの姿勢に転じ、中国ナショナリズムの源となる中国の歴史観に従ってもらわなければならないのだが、今回岡田氏が日本の外相として、それに従うと表明したわけだから、あの国としては当然「積極的意義を有する」と評価するわけだ。
民主党の東アジア共同体構想も、そうしたパックス・シニカ構想であることを、中国ははっきりと洞察している。岡田氏が共同体建設の前提として、中国の歴史観に従属しようとしていることを、日本の国民は必ずしも気が付いていないとしても、中国側はきちんと見抜いている。
■岡田氏の媚中への期待―中国で今も残る小泉ショック
論評では、いまだに小泉氏の靖国神社参拝に触れているのは、それほど中国があの参拝で受けたショックが大きかったからだろう。
当時中国はASEAN諸国との善隣外交を強化し、東アジア共同体の構築に着手し始めた時期だったが、同じく隣国である日本とは政治交流を絶たざるを得なかった。
周辺国の「従属」あっての中国主導の共同体形成である。ところが小泉氏の動きは中国にとり、日本の従属拒否のサインに他ならなかったわけだ。
だから論評は、「岡田氏は小泉氏を批判した」と強調し、「今後日本はそうあるべし」との思いを込めたのだろう。
だがかつて小泉氏を支持した日本の多くの国民が、やすやすと教育主権を放棄するなどとは、中国も思っていない。

中国が小泉氏の参拝を忘れられないのには理由がある
■歴史教科書は「日本右翼最後の陣地」とする中国の対日分析
論評はこう述べる。
―――岡田氏の建議は日本国内で争議も惹き起こした。まず反論したのは右翼軍事評論家の佐藤守氏だ。「外国の記者に誤解を与えなかったか。気は確かか」とのコメントを産経新聞が引用した。また大勢の日本右翼分子が東京と名古屋で集会を開き、岡田氏を売国奴と罵った。
―――呉懐中氏は「目下、靖国神社参拝問題が東アジアの政治的議題として薄れて行く中、歴史教科書問題は日本右翼勢力にとっては放棄できない最後の陣地となっている」との見方を示す。
―――右翼勢力の激烈な反撥により、三国共同編集の実現は楽観視が許されない。
―――呉懐中氏は「目下の状況で言えば、日本国内の侵略史に対する認識と反省のレベルはドイツに遠く及ばない。日本右翼団体は不断に騒いで邪魔をし、与党民主党内部でも様々な考えがあるなど、歴史認識には異なりが見られる。岡田氏が慎重に試験的な言論に止めた原因もここにある。また日本の教科書には厳格な検定制度があり、日本右翼勢力はこれを手段としてさらに妨害を加えてくるに違いない」と分析する。
「日本右翼勢力の最後の陣地」とはよく言ったものだ。要するに中国からすれば、歴史観の問題が日中関係の今後の鍵だと見ているのだろう。
■村山談話の行き着く先が中国主導の東アジア共同体
そして、おそらく岡田氏ら国内の「主権放棄派」もまた、この一点で、中国への歩み寄りの動きを強化して行くはずである。
岡田氏が講演の中で村山談話に触れ、「言葉より行動だ」と語ったのは、その決意表明以外の何物でもあるまい。
「村山談話の行き着く先は中国主導の東アジア共同体」と言うことだ。やはり中国との間の歴史問題は、歴史学術問題ではなく政治外交問題。しかも日本が中国の前で主権を保てるかどうかの国家存亡問題であると言うことがますます明らかになってきた。
中国の言う「日本右翼勢力」とは中国への従属にノーを突きつける良識派日本人のこと。その存在はやはり大きいらしい。
今後も確固たる意志をあの国とあの国の傀儡勢力にぶつけ、東アジアに影響力を広げようとする野望を挫いてやらなければならない。
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【草莽崛起】10.17 守るぞ!日本 国民総決起集会&デモ[桜H21/10/12]
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台湾研究フォーラム(台湾研究論壇) 第127回定例会
■ 講 師 池田 維 前駐台湾代表(日本交流協会台北事務所代表)
■ 演 題 「日台関係の現状と展望」
昨年7月まで事実上の台湾大使を務められた池田氏に、3年余の大使経験で感じた日台関係
の実態を伝えていただくと同時に、馬英九政権になって約1年半、従来の日台関係の何が変化
したか、変化していないか、などを伺う。
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池田 維(いけだ・ただし)昭和14年生まれ、東京大学法学部卒業。昭和37年外務省に入省、外務省アジア局長、官房長を経てオランダ、ブラジル大使を歴任、平成16年6月退官。 平成17年5月から平成20年7月まで台湾大使。在任中は天皇誕生日祝賀会や叙勲を前任の内田大使に引き続き実施、台湾人観光客のノービサ化や運転免許証の相互承認などに尽力、離任直前に発生した尖閣諸島付近での日本巡視船と台湾遊漁船の衝突沈没事件でも事態収拾にあたった。
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【日 時】 平成21年10月17日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京シビックセンター3階1号会議室(TEL:03-5803-1100)
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
【申込み】 10月16日までに下記へお願いします(会場定員あるため)。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
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