各国の大手メディアに「協力」指示した中国―「世界メディアサミット」で見られたあの国のパワー
2009/10/13/Tue
■世界のメディアに影響力を波及させる独裁国家
ソ連を崩壊させた米国など西側のソフト・パワーの大きな一つが、「真実」を報道するメディアだったが、最後の共産主義独裁大国である中国はむしろ、逆に世界にソフト・パワーを及ぼそうとしている。
昨年九月にも胡錦濤主席は人民日報に対し、「中国の地位に見合ったメディアの世界化を強化せよ」と指示したのはそのためだ。CCTVを中国版CNNの役割を担わせようとするのも同様である。
自らの「官製宣伝」で西側が発信する「真実」に打ち勝とうと言う戦略だ。情報化が飛躍的に進む今日、多くの人はそのような「宣伝」がうまく行くとは考えないが、実は情報化時代だからこそ、それが着実に成果を上げていることを知らなければならない。
胡錦濤氏の直接の指揮の下、国営の新華社通信が十月八日から十日まで人民公会堂で開催された世界メディアサミットなどは、明らかに中国メディアが米国のそれにも負けない地位を占めていることを、世界に印象付けるためのイベントだった。

また「敵」を打倒するには、「敵」の一部を利益で釣って籠絡し、自陣営に組み込ませると言う統一戦線工作を駆使するのが中国だ。このサミットは、その工作の大きな一環でもある。
新華社通信のほか、ニューズ・コーポレーション、AP通信、ロイター通信、イタル・タス通信、BBC、タイム・ワーナー、グーグル、そして日本の共同通信など、世界の錚々たる大手メディアが共同で発起人となり、内外の約百七十社のメディアが参加したのだが、そのうち海外メディアのほとんどは、中共が直接的、間接的に投資するものだと言う。
■中国が世界の大手メディアに求めたのは「協力」
議長を務めたターナー・ブロードキャスティング・システムズ・アジア・パシフィックのスティーブ・マルコポート社長が「メディア業にとって中国は巨大であり、しかも日増しに存在感が大きくなっている市場だ」と述べたように、海外メディアのサミット傘下の主な狙いは、中国市場参入の資格を中国から得ることだから、まさに統一戦線工作に乗せられている。
人民大会堂で、国内御用メディアとともに世界のメディアの代表者たちが参集する光景に、中国の指導者たちの戦略的欲求は大いに満たされたことだろう。
開会式に現れた胡錦濤氏は次のように述べた。

親中で知られる「メディア王」のルパート・マードック氏を従えるように姿を見
せた胡錦濤主席
―――現在、メディアは世界の政治、経済、社会、文化など各分野に日増しに大きな影響を与えており、人々の考え方や仕事、暮らしに対する影響力もますます深まってきた。
―――世界各地のメディアはそれぞれの特徴と優位性を活かし、平和、発展、協力、包容という理念を幅広く伝え、世界の多極化と経済のグローバル化、文明の多様性をリアルに報道すると共に、各国の発展における主流と勢いを十分反映し、発展途上国の進歩を励まして行く必要がある。
世界の多極化(中国の擡頭)に対し、各国メディアは妨害をするのではなく「協力」を行う方向で影響力を行使してほしい、と訴えたわけだ。
■利益で釣られる西側メディアの使命放棄
中国にとっての報道とは「宣伝」である。それへの海外メディアの「協力」と言うのは、中国の対外宣伝、つまりソフト・パワーへの翼賛に他ならない。
「真実」を以って中国の「宣伝」を妨害することを自粛するだけで、海外メディアの「協力」は充分に成り立つ。
しかしそれは真実報道と言う使命の放棄を意味することになるのだ。そのことは日本国民も国内の媚中報道で周知のとおりである。
胡錦濤氏はこのように「協力」を求める一方で、「中国の法律に基づき情報公開を推進し、外国メディアの取材活動に便宜を図って行きたい」と、「餌」をちらつかせることも忘れなかった。
もちろん「中国の法律に基づき」が曲者であることは誰もが知っている。
実際にサミット開催を前に国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは中国政府に対し、報道の自由の尊重とともに、外国人記者に対する嫌がらせや拘束をやめるよう求める声明を発表しているのだが、利益に幻惑されるメディア各社には、それは必ずしも大きな問題ではないのだろうか。
■独裁国家が報道の自由を認めるはずなどない
在米の中国人ジャーナリストである何清漣氏は次のように指摘する(大紀元日本版、十月十三日)。
―――2005年、中国当局にメディア市場を開放してもらうために、世界の数多くの大手メディアが中共に媚を売った。ところが、2005年8月に中国当局が「文化商品の輸入管理条例」を発表したため、海外メディアの中国市場の夢は破れた。
―――のどもと過ぎれば熱さを忘れる。今年7月22日に中国が「文化産業振興企画」を発表した。……この企画によって、中国の文化産業へ外資を増やすチャンスがあると思われている。このため、数多くのメディアが中国メディア市場に参入する機会に恵まれたと思い、一部の外国メディアがメディア市場化は中国の報道自由を促進させると唱え始めた。
―――中国のメディア規制状況を知りながらも、海外のメディア大手は、利益目当てから新華社が開催した世界メディアサミットに参加した。中国市場への狙いが実現できるか否かは未知数である。
何清漣氏はこのように述べ、海外メディアの「夢」は再び破れると警告するのだが、もっともに思える。
中国政府が報道の自由を認めるなど、一党独裁の基盤を自ら損なうようなことは考えにくい。

そもそも籠絡した「敵」の一部が用済みとなれば粛清するのが中国の統一戦線工作なのだ。利用できる間は「飴と鞭」で利用するだけ利用し続けることだろう。
■中国への批判能力を奪われてはならない
繰り返すが、中国の「宣伝」への批判を際し控えること自体が、それへの加担である。かくして中国国内だけでなく、国外の人々もまた「宣伝」の嘘に騙され、中国への批判能力が奪われて行くこととなる。
今回のサミットに参加した各国のメディアは、世界の人々をも道連れに、中国の情報統制下に飛び込んで行こうとしているわけだが、これが世界を覆いつつある中国のソフト・パワーと言うものだ。軍事力などハード・パワーとは別の、もう一つの強大な脅威である。
胡錦濤氏が「メディアは世界の政治、経済、社会、文化など各分野に日増しに大きな影響を与え」るもの。そのパワーの影響は測り知れないものがあるはずだ。
日本国民は、国内メディアが中国報道で自己規制を行っていることを深く認識した上で、それが明確に伝えない中国の「真実」を探求し、正視する努力が必要だ。そうしない限り、いつまでも中国の「宣伝」に騙され続け、増大するその影響力から抜け出すことはできないのだ。
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台湾研究フォーラム(台湾研究論壇) 第127回定例会
■ 講 師 池田 維 前駐台湾代表(日本交流協会台北事務所代表)
■ 演 題 「日台関係の現状と展望」
昨年7月まで事実上の台湾大使を務められた池田氏に、3年余の大使経験で感じた日台関係
の実態を伝えていただくと同時に、馬英九政権になって約1年半、従来の日台関係の何が変化
したか、変化していないか、などを伺う。
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池田 維(いけだ・ただし)昭和14年生まれ、東京大学法学部卒業。昭和37年外務省に入省、外務省アジア局長、官房長を経てオランダ、ブラジル大使を歴任、平成16年6月退官。 平成17年5月から平成20年7月まで台湾大使。在任中は天皇誕生日祝賀会や叙勲を前任の内田大使に引き続き実施、台湾人観光客のノービサ化や運転免許証の相互承認などに尽力、離任直前に発生した尖閣諸島付近での日本巡視船と台湾遊漁船の衝突沈没事件でも事態収拾にあたった。
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【日 時】 平成21年10月17日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京シビックセンター3階1号会議室(TEL:03-5803-1100)
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
【申込み】 10月16日までに下記へお願いします(会場定員あるため)。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
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第127回定例会 申込書
氏名 懇親会: 参加 不参加 (○をお付けください)
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ソ連を崩壊させた米国など西側のソフト・パワーの大きな一つが、「真実」を報道するメディアだったが、最後の共産主義独裁大国である中国はむしろ、逆に世界にソフト・パワーを及ぼそうとしている。
昨年九月にも胡錦濤主席は人民日報に対し、「中国の地位に見合ったメディアの世界化を強化せよ」と指示したのはそのためだ。CCTVを中国版CNNの役割を担わせようとするのも同様である。
自らの「官製宣伝」で西側が発信する「真実」に打ち勝とうと言う戦略だ。情報化が飛躍的に進む今日、多くの人はそのような「宣伝」がうまく行くとは考えないが、実は情報化時代だからこそ、それが着実に成果を上げていることを知らなければならない。
胡錦濤氏の直接の指揮の下、国営の新華社通信が十月八日から十日まで人民公会堂で開催された世界メディアサミットなどは、明らかに中国メディアが米国のそれにも負けない地位を占めていることを、世界に印象付けるためのイベントだった。

また「敵」を打倒するには、「敵」の一部を利益で釣って籠絡し、自陣営に組み込ませると言う統一戦線工作を駆使するのが中国だ。このサミットは、その工作の大きな一環でもある。
新華社通信のほか、ニューズ・コーポレーション、AP通信、ロイター通信、イタル・タス通信、BBC、タイム・ワーナー、グーグル、そして日本の共同通信など、世界の錚々たる大手メディアが共同で発起人となり、内外の約百七十社のメディアが参加したのだが、そのうち海外メディアのほとんどは、中共が直接的、間接的に投資するものだと言う。
■中国が世界の大手メディアに求めたのは「協力」
議長を務めたターナー・ブロードキャスティング・システムズ・アジア・パシフィックのスティーブ・マルコポート社長が「メディア業にとって中国は巨大であり、しかも日増しに存在感が大きくなっている市場だ」と述べたように、海外メディアのサミット傘下の主な狙いは、中国市場参入の資格を中国から得ることだから、まさに統一戦線工作に乗せられている。
人民大会堂で、国内御用メディアとともに世界のメディアの代表者たちが参集する光景に、中国の指導者たちの戦略的欲求は大いに満たされたことだろう。
開会式に現れた胡錦濤氏は次のように述べた。

親中で知られる「メディア王」のルパート・マードック氏を従えるように姿を見
せた胡錦濤主席
―――現在、メディアは世界の政治、経済、社会、文化など各分野に日増しに大きな影響を与えており、人々の考え方や仕事、暮らしに対する影響力もますます深まってきた。
―――世界各地のメディアはそれぞれの特徴と優位性を活かし、平和、発展、協力、包容という理念を幅広く伝え、世界の多極化と経済のグローバル化、文明の多様性をリアルに報道すると共に、各国の発展における主流と勢いを十分反映し、発展途上国の進歩を励まして行く必要がある。
世界の多極化(中国の擡頭)に対し、各国メディアは妨害をするのではなく「協力」を行う方向で影響力を行使してほしい、と訴えたわけだ。
■利益で釣られる西側メディアの使命放棄
中国にとっての報道とは「宣伝」である。それへの海外メディアの「協力」と言うのは、中国の対外宣伝、つまりソフト・パワーへの翼賛に他ならない。
「真実」を以って中国の「宣伝」を妨害することを自粛するだけで、海外メディアの「協力」は充分に成り立つ。
しかしそれは真実報道と言う使命の放棄を意味することになるのだ。そのことは日本国民も国内の媚中報道で周知のとおりである。
胡錦濤氏はこのように「協力」を求める一方で、「中国の法律に基づき情報公開を推進し、外国メディアの取材活動に便宜を図って行きたい」と、「餌」をちらつかせることも忘れなかった。
もちろん「中国の法律に基づき」が曲者であることは誰もが知っている。
実際にサミット開催を前に国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは中国政府に対し、報道の自由の尊重とともに、外国人記者に対する嫌がらせや拘束をやめるよう求める声明を発表しているのだが、利益に幻惑されるメディア各社には、それは必ずしも大きな問題ではないのだろうか。
■独裁国家が報道の自由を認めるはずなどない
在米の中国人ジャーナリストである何清漣氏は次のように指摘する(大紀元日本版、十月十三日)。
―――2005年、中国当局にメディア市場を開放してもらうために、世界の数多くの大手メディアが中共に媚を売った。ところが、2005年8月に中国当局が「文化商品の輸入管理条例」を発表したため、海外メディアの中国市場の夢は破れた。
―――のどもと過ぎれば熱さを忘れる。今年7月22日に中国が「文化産業振興企画」を発表した。……この企画によって、中国の文化産業へ外資を増やすチャンスがあると思われている。このため、数多くのメディアが中国メディア市場に参入する機会に恵まれたと思い、一部の外国メディアがメディア市場化は中国の報道自由を促進させると唱え始めた。
―――中国のメディア規制状況を知りながらも、海外のメディア大手は、利益目当てから新華社が開催した世界メディアサミットに参加した。中国市場への狙いが実現できるか否かは未知数である。
何清漣氏はこのように述べ、海外メディアの「夢」は再び破れると警告するのだが、もっともに思える。
中国政府が報道の自由を認めるなど、一党独裁の基盤を自ら損なうようなことは考えにくい。

そもそも籠絡した「敵」の一部が用済みとなれば粛清するのが中国の統一戦線工作なのだ。利用できる間は「飴と鞭」で利用するだけ利用し続けることだろう。
■中国への批判能力を奪われてはならない
繰り返すが、中国の「宣伝」への批判を際し控えること自体が、それへの加担である。かくして中国国内だけでなく、国外の人々もまた「宣伝」の嘘に騙され、中国への批判能力が奪われて行くこととなる。
今回のサミットに参加した各国のメディアは、世界の人々をも道連れに、中国の情報統制下に飛び込んで行こうとしているわけだが、これが世界を覆いつつある中国のソフト・パワーと言うものだ。軍事力などハード・パワーとは別の、もう一つの強大な脅威である。
胡錦濤氏が「メディアは世界の政治、経済、社会、文化など各分野に日増しに大きな影響を与え」るもの。そのパワーの影響は測り知れないものがあるはずだ。
日本国民は、国内メディアが中国報道で自己規制を行っていることを深く認識した上で、それが明確に伝えない中国の「真実」を探求し、正視する努力が必要だ。そうしない限り、いつまでも中国の「宣伝」に騙され続け、増大するその影響力から抜け出すことはできないのだ。
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■ 講 師 池田 維 前駐台湾代表(日本交流協会台北事務所代表)
■ 演 題 「日台関係の現状と展望」
昨年7月まで事実上の台湾大使を務められた池田氏に、3年余の大使経験で感じた日台関係
の実態を伝えていただくと同時に、馬英九政権になって約1年半、従来の日台関係の何が変化
したか、変化していないか、などを伺う。
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池田 維(いけだ・ただし)昭和14年生まれ、東京大学法学部卒業。昭和37年外務省に入省、外務省アジア局長、官房長を経てオランダ、ブラジル大使を歴任、平成16年6月退官。 平成17年5月から平成20年7月まで台湾大使。在任中は天皇誕生日祝賀会や叙勲を前任の内田大使に引き続き実施、台湾人観光客のノービサ化や運転免許証の相互承認などに尽力、離任直前に発生した尖閣諸島付近での日本巡視船と台湾遊漁船の衝突沈没事件でも事態収拾にあたった。
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【日 時】 平成21年10月17日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京シビックセンター3階1号会議室(TEL:03-5803-1100)
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
【申込み】 10月16日までに下記へお願いします(会場定員あるため)。
E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
FAX: 03-3868-2101
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