中国崩壊の序章ー退役軍人・叛乱の可能性
2008/10/12/Sun
目下、中国政府が最も警戒する国内の不穏分子は、法輪功やウイグル人、チベット人ではなく退役軍人だ、と分析するのは喜安幸夫氏だ。
喜安氏は時代小説家だが、「台湾週報」の編集長も務めた台湾・中国研究家でもある。年に一冊のペースで近未来の日中戦争シュミレーション小説も書いており、最近では『日中激戦2010―東シナ海艦隊決戦』を上梓したが、これは中国で高まる国内矛盾の中で上海万博が開催される二〇一〇年、日中が開戦するとの物語だが、そこには中国、そして日本、台湾が現実的に取り得る戦略的シナリオがとてもよく分析されており、とても参考になる。

喜安幸夫著『日中激戦2010―東シナ海艦隊決戦』(学研)。対中戦略を
提示する書として一読の価値があろう
そこで先日台湾研究フォーラムでは、定例講演会において喜安氏に「中国が崩壊する日はいつかー五輪と万博の後の中国」と題する講演をお願いしたのだが、その日喜安氏は「中国崩壊の日は近い」との予測を示した。
その兆候は北京五輪の聖火リレーあたりから見られたそうだ。そして戒厳体制下で何とか五輪は乗り切ったものの、二〇一〇年の上海万博、広東アジア大会あたりでさらに具体的なものが見えてくるはずだと言う。もはや民衆の不満爆発は抑えきれない段階に差し掛かりつつあると言うのだ。

講演を行う喜安幸夫氏。平成20年10月4日、都内で
次のような話だった。
たとえばすでに株が大暴落、六千万人の個人投資家がこの一年間で、一人平均十一万元(百七十万円〜百八十万円)をすった。これを日本の感覚で言えば、六百万人が千八百万円の損失を出したことになり、想像を絶する。
それから暴動。香港のマスコミによれば、昨年発生した暴動は一日平均で三百三十件にも上っている。殺された農民、警官の数は不明だが、暴動件数はもっと多いはず。なぜなら地方政府の幹部は昇進できなることを恐れて、暴動を上に報告したがらない。
暴動は断片的に起こっているが、清末の太平天国の乱のように小さな暴動が全国規模のものに発展して行く状況が起こりつつある。もし太平天国おける洪秀全のようなリーダーが出てくれば、暴動は燎原の火のごとく広がるだろう。
そうした中で一番危険な存在が退役軍人。五百万人とされた兵力が、八五年以降に二百五十万人の削減され、そのときクビになった者の内、武装警察に入らなかった百万人前後は、現在安い年金暮らしで、物価高に苦しんでいる。以前も彼らは北京の中南海付近を取り巻いたことがある。

2005年4月、2000人以上の退役軍人が中南海付近でデモ。これに驚いた当局は北京市内に戒厳令を
そこでもしその内の〇・〇一%、つまり五人〜十人の血の気の多いグループが出てきたとし、しかもその中に元砲兵や爆薬の専門家が一人でも混ざっていたら…。
当局が五輪で、北京郊外にミサイルを配備し、渤海には潜水艦を出動させ、そして会場をサクラの観客で埋めたほどの戒厳体制を敷いたのは、こうしたグループを恐れたからだった。彼らが迫撃砲を分解して半径五キロの射程距離内に持ち込めばどうなったか。

退役軍人の攻撃が警戒された北京五輪の会場
しかし攻撃はなかった。迫撃砲の欠点はピンポイント攻撃ができないこと。相当大きい会場でないと襲撃できない。
しかし上海万博ならどうか。五輪は三週間だったが、こちらは六ヶ月。当局は戒厳令を敷きっぱなしになる。会場は五輪会場の十倍の広さで、迫撃砲も有効。百二十ミリなら直径百五十メートルを全滅されることができる。五輪では外国人が多く、被害が出たら大変だったが、万博は観客の九割が中国人だ。
そして万博の後には広州アジア大会が二週間にわたって開催され、これも砲撃対象となり得るのでは。
洪秀全はプロテスタントだったが、今もプロテスタントは七千万人おり、あちこちにある地下教会が徹底弾圧を受けている。もしこの勢力が退役軍人と手を結べば…。兵士にも信者は多数いる。だから武器を持ち出すのは簡単なことだ。当局はそれを恐れている。
以上が喜安氏が予測する中国崩壊のシナリオの一つだが、実際に中国は、太平天国の乱当時の如き動乱時期に入り陥って行くのだろうか。とにかくそのような事態に立ち至らないよう、中国政府が必死になっているのは確かなようだ。
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喜安氏は時代小説家だが、「台湾週報」の編集長も務めた台湾・中国研究家でもある。年に一冊のペースで近未来の日中戦争シュミレーション小説も書いており、最近では『日中激戦2010―東シナ海艦隊決戦』を上梓したが、これは中国で高まる国内矛盾の中で上海万博が開催される二〇一〇年、日中が開戦するとの物語だが、そこには中国、そして日本、台湾が現実的に取り得る戦略的シナリオがとてもよく分析されており、とても参考になる。

喜安幸夫著『日中激戦2010―東シナ海艦隊決戦』(学研)。対中戦略を
提示する書として一読の価値があろう
そこで先日台湾研究フォーラムでは、定例講演会において喜安氏に「中国が崩壊する日はいつかー五輪と万博の後の中国」と題する講演をお願いしたのだが、その日喜安氏は「中国崩壊の日は近い」との予測を示した。
その兆候は北京五輪の聖火リレーあたりから見られたそうだ。そして戒厳体制下で何とか五輪は乗り切ったものの、二〇一〇年の上海万博、広東アジア大会あたりでさらに具体的なものが見えてくるはずだと言う。もはや民衆の不満爆発は抑えきれない段階に差し掛かりつつあると言うのだ。

講演を行う喜安幸夫氏。平成20年10月4日、都内で
次のような話だった。
たとえばすでに株が大暴落、六千万人の個人投資家がこの一年間で、一人平均十一万元(百七十万円〜百八十万円)をすった。これを日本の感覚で言えば、六百万人が千八百万円の損失を出したことになり、想像を絶する。
それから暴動。香港のマスコミによれば、昨年発生した暴動は一日平均で三百三十件にも上っている。殺された農民、警官の数は不明だが、暴動件数はもっと多いはず。なぜなら地方政府の幹部は昇進できなることを恐れて、暴動を上に報告したがらない。
暴動は断片的に起こっているが、清末の太平天国の乱のように小さな暴動が全国規模のものに発展して行く状況が起こりつつある。もし太平天国おける洪秀全のようなリーダーが出てくれば、暴動は燎原の火のごとく広がるだろう。
そうした中で一番危険な存在が退役軍人。五百万人とされた兵力が、八五年以降に二百五十万人の削減され、そのときクビになった者の内、武装警察に入らなかった百万人前後は、現在安い年金暮らしで、物価高に苦しんでいる。以前も彼らは北京の中南海付近を取り巻いたことがある。

2005年4月、2000人以上の退役軍人が中南海付近でデモ。これに驚いた当局は北京市内に戒厳令を
そこでもしその内の〇・〇一%、つまり五人〜十人の血の気の多いグループが出てきたとし、しかもその中に元砲兵や爆薬の専門家が一人でも混ざっていたら…。
当局が五輪で、北京郊外にミサイルを配備し、渤海には潜水艦を出動させ、そして会場をサクラの観客で埋めたほどの戒厳体制を敷いたのは、こうしたグループを恐れたからだった。彼らが迫撃砲を分解して半径五キロの射程距離内に持ち込めばどうなったか。

退役軍人の攻撃が警戒された北京五輪の会場
しかし攻撃はなかった。迫撃砲の欠点はピンポイント攻撃ができないこと。相当大きい会場でないと襲撃できない。
しかし上海万博ならどうか。五輪は三週間だったが、こちらは六ヶ月。当局は戒厳令を敷きっぱなしになる。会場は五輪会場の十倍の広さで、迫撃砲も有効。百二十ミリなら直径百五十メートルを全滅されることができる。五輪では外国人が多く、被害が出たら大変だったが、万博は観客の九割が中国人だ。
そして万博の後には広州アジア大会が二週間にわたって開催され、これも砲撃対象となり得るのでは。
洪秀全はプロテスタントだったが、今もプロテスタントは七千万人おり、あちこちにある地下教会が徹底弾圧を受けている。もしこの勢力が退役軍人と手を結べば…。兵士にも信者は多数いる。だから武器を持ち出すのは簡単なことだ。当局はそれを恐れている。
以上が喜安氏が予測する中国崩壊のシナリオの一つだが、実際に中国は、太平天国の乱当時の如き動乱時期に入り陥って行くのだろうか。とにかくそのような事態に立ち至らないよう、中国政府が必死になっているのは確かなようだ。
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