河野談話の否定に台湾人は耳傾けた
2008/09/19/Fri
河野談話の河野洋平氏が政界引退と聞いて、ふと思い出した。
台湾で元慰安婦が日本を訴え出たのは九〇年代末ごろからだったと思う。もちろん日本人左翼が元慰安婦募集を行った結果だが、なかなか元慰安婦が名乗り出なくて苦労したらしい。それはともかく心優しい台湾人は元慰安婦に心から同情し、政治家も国民も支援金を贈ったりしていた。
そうしたなかの二〇〇一年、小林よしのり氏の漫画『台湾論』が台湾で翻訳出版された。在台中国人の政治勢力にとり、戦前の日本統治時代のプラス面、戦後の中国人(国民党)統治時代のマイナス面、そしてさらには李登輝総統・陳水扁総統の台湾人時代への期待が強調されるこの本を、絶対に許すことができなかったが、批判するにも書かれていることはみな史実に見える。ところがよく見ると本の中で、陳総統を応援する、憎むべき実業家、許文龍氏が「慰安婦の強制連行はなかった」と証言しているではないか。

『台湾論』(翻訳版)で問題視された強制連行否定のくだり
かくして『台湾論』は慰安婦強制連行を批判する極悪の書となって政治問題化した。ところが当時、日本ではすでに強制連行説は破綻していた。そこで私はそのことを何も知らない台湾人に伝えようと、現地の新聞への投稿を試みた。
その内容は「吉田清治なる人物が慰安婦狩りを証言たことで強制連行が語られ始めたが、吉田はその後証言を否定。ところがその後、河野談話があり、韓国への外交配慮で何の証拠もなく強制連行を事実としてしまった。しかし今では左翼ですら、強制連行を事実とはしていない。慰安婦のことは感情的に政治問題化せず、冷静に分析しよう」と言うもの。「日本人の感情論」と誤解されてボツにされないよう、いろいろと配慮しながら書いたのを憶えている。
反『台湾論』でいきり立っている在日中国人系の新聞は絶対に採用しないだろう。そこで反対の立場に立っているはずの台湾人系の二紙のうち、部数の大きいA紙に送ったが、不採用だった。A紙はそれまで『台湾論』擁護の立場をとっていたのだが、「それももう止めた」と言う内部情報を聞かされた。
何しろ強制連行説に反論することは、慰安婦の人権否定と政敵に攻撃されかねない状況。民進党政権ですら、著者小林よしのりの入国を拒否したほどだ。それほど台湾人は歴史を知らなかった。かつての反日教育の影響もあっただろう。
そこで私はもう一つの台湾日報へ投稿したところ、すぐに掲載してくれた。こちらは『台湾論』擁護で言論戦を展開中だった。
台湾紙の読者投書欄は日本の新聞のそれと違い、投書にはみな大きな見出しが付けられて、大勢の人が読むようになっている。そこで私のものが載ったわけだから、これは周辺諸国の新聞で初めての強制連行否定論の掲載ではないかと、感慨深いものを味わった。だが今思えばどうと言うことはない。
「史実は史実。それを正直に書いて何が悪い」と言うのが台湾人。別に驚くに値しないことなのだ。
こうした論争を通じ、台湾日報などではさまざまな優れた歴史論(日本統治史論、慰安婦論)などが登場した。そこで『台湾論』を翻訳出版した前衛出版はそれらをまとめて『台湾論風暴』と言う本にした。そこには私の新聞投稿も収録された。編集長は私と会ったとき、私が言及していた河野談話に触れ、「これが否定されば強制連行説も否定されますね」と言ってきた。私は「はい、そのために書いたのです」と答えた。
政府は河野談話など何の遠慮もなく撤回すべし。「強制連行の証拠は未発見」を理由に撤回すれば、台湾人だけではなく、世界各国も納得できる。韓国、そして中国は納得しないだろうが、「証拠未発見」で押し通せばいい。論争も恐れる必要はない。むしろそれを恐れるのは中韓の方だ。
ところで台湾での『台湾論』の売れ行きだが、在台中国人が大騒ぎしたおかげで売れ売れ、記録的ベストセラーに。そしてやはり小林氏の『戦争論』が若い世代に戦前の歴史を教えたのとまったく同じように、『台湾論』も台湾の若い世代に戦前の台湾の歴史を教えたのだった。
これを見て思うが、やはり日本人自らが、正しい歴史を周辺諸国、世界各国に伝えて行く努力をしなければだめなのだろう。中国、韓国に気をつかっている場合ではないのである。
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台湾で元慰安婦が日本を訴え出たのは九〇年代末ごろからだったと思う。もちろん日本人左翼が元慰安婦募集を行った結果だが、なかなか元慰安婦が名乗り出なくて苦労したらしい。それはともかく心優しい台湾人は元慰安婦に心から同情し、政治家も国民も支援金を贈ったりしていた。
そうしたなかの二〇〇一年、小林よしのり氏の漫画『台湾論』が台湾で翻訳出版された。在台中国人の政治勢力にとり、戦前の日本統治時代のプラス面、戦後の中国人(国民党)統治時代のマイナス面、そしてさらには李登輝総統・陳水扁総統の台湾人時代への期待が強調されるこの本を、絶対に許すことができなかったが、批判するにも書かれていることはみな史実に見える。ところがよく見ると本の中で、陳総統を応援する、憎むべき実業家、許文龍氏が「慰安婦の強制連行はなかった」と証言しているではないか。

『台湾論』(翻訳版)で問題視された強制連行否定のくだり
かくして『台湾論』は慰安婦強制連行を批判する極悪の書となって政治問題化した。ところが当時、日本ではすでに強制連行説は破綻していた。そこで私はそのことを何も知らない台湾人に伝えようと、現地の新聞への投稿を試みた。
その内容は「吉田清治なる人物が慰安婦狩りを証言たことで強制連行が語られ始めたが、吉田はその後証言を否定。ところがその後、河野談話があり、韓国への外交配慮で何の証拠もなく強制連行を事実としてしまった。しかし今では左翼ですら、強制連行を事実とはしていない。慰安婦のことは感情的に政治問題化せず、冷静に分析しよう」と言うもの。「日本人の感情論」と誤解されてボツにされないよう、いろいろと配慮しながら書いたのを憶えている。
反『台湾論』でいきり立っている在日中国人系の新聞は絶対に採用しないだろう。そこで反対の立場に立っているはずの台湾人系の二紙のうち、部数の大きいA紙に送ったが、不採用だった。A紙はそれまで『台湾論』擁護の立場をとっていたのだが、「それももう止めた」と言う内部情報を聞かされた。
何しろ強制連行説に反論することは、慰安婦の人権否定と政敵に攻撃されかねない状況。民進党政権ですら、著者小林よしのりの入国を拒否したほどだ。それほど台湾人は歴史を知らなかった。かつての反日教育の影響もあっただろう。
そこで私はもう一つの台湾日報へ投稿したところ、すぐに掲載してくれた。こちらは『台湾論』擁護で言論戦を展開中だった。
台湾紙の読者投書欄は日本の新聞のそれと違い、投書にはみな大きな見出しが付けられて、大勢の人が読むようになっている。そこで私のものが載ったわけだから、これは周辺諸国の新聞で初めての強制連行否定論の掲載ではないかと、感慨深いものを味わった。だが今思えばどうと言うことはない。
「史実は史実。それを正直に書いて何が悪い」と言うのが台湾人。別に驚くに値しないことなのだ。
こうした論争を通じ、台湾日報などではさまざまな優れた歴史論(日本統治史論、慰安婦論)などが登場した。そこで『台湾論』を翻訳出版した前衛出版はそれらをまとめて『台湾論風暴』と言う本にした。そこには私の新聞投稿も収録された。編集長は私と会ったとき、私が言及していた河野談話に触れ、「これが否定されば強制連行説も否定されますね」と言ってきた。私は「はい、そのために書いたのです」と答えた。
政府は河野談話など何の遠慮もなく撤回すべし。「強制連行の証拠は未発見」を理由に撤回すれば、台湾人だけではなく、世界各国も納得できる。韓国、そして中国は納得しないだろうが、「証拠未発見」で押し通せばいい。論争も恐れる必要はない。むしろそれを恐れるのは中韓の方だ。
ところで台湾での『台湾論』の売れ行きだが、在台中国人が大騒ぎしたおかげで売れ売れ、記録的ベストセラーに。そしてやはり小林氏の『戦争論』が若い世代に戦前の歴史を教えたのとまったく同じように、『台湾論』も台湾の若い世代に戦前の台湾の歴史を教えたのだった。
これを見て思うが、やはり日本人自らが、正しい歴史を周辺諸国、世界各国に伝えて行く努力をしなければだめなのだろう。中国、韓国に気をつかっている場合ではないのである。
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