日本が警戒すべき米中の台湾海峡共同管理体制
2008/07/17/Thu
台湾近海を通う日本のシーレーンが中国の脅威からこれまで守られてきたのは、米軍とそれの軍事支援を受けてきた台湾軍のおかげである。中国の膨張から守られてきたのはシーレーンだけではない。日本を含む東アジア・太平洋地域の平和と安全自体もそうである。だが中国の軍備拡張が進む中、今後はそう簡単にはいかないかも知れない。
台湾で国民党政権が発足した直後の六月、米政府が台湾への武器売却を実質的に凍結したとの報道が流れた。ブッシュ政権が二〇〇一年に売却を承認したディーゼル潜水艦八隻、〇二年に認めた戦闘ヘリ「アパッチ」三十機や、台湾が購入を希望する戦闘機F16C/D数十機など、台湾及びその周辺の安全確保には不可欠の武器売却を見送ると言うわけだ。

台湾の国防上不可欠とされるF16C/D
そして七月十六日、キーティング米太平洋軍司令官は講演会場で質問を受け、凍結が事実であることを認めた。「それがブッシュ政権の政策なのだ」と。
キーティング氏は「(対中宥和政策をとる国民党政権の発足で)目下台湾海峡の緊張は緩和されており、米国も緊張緩和に一切の力を尽くすことになった」「台湾海峡での衝突発生の可能性は極めてない」と説明している。

キーティング米太平洋軍司令官
武器の更新を急速に推し進める中国と、更新が遅れる台湾。やがては台湾海峡の軍事バランスが逆転しかねない趨勢に中で、これまで台湾への武器売却を決め、台湾国内で国民党による購入阻止の動きに苛立ちさえ見せてきた米国政府だが、キーティング氏は現在の情勢について「米国政府は憂慮していない」とし、さらに中国の台湾への攻撃に対しては「米国は責任を負っている。対応する能力もあるし、準備も万端だ」と楽観的な見方を示すのである。
こうした米国の楽観的な姿勢表明の背景にあるのは、もちろん「台湾への武器売却を停止せよ」とつねに迫ってくる中国への配慮である。中国が軍備拡張を停止しないことを知りながらも、ただ緊張の高まりと、自らが紛争に引きずり込まれることだけを恐れているのだ。
一方、ブレア前太平洋軍司令官は「中国は威嚇的手段より、協力関係を結ぶことの方が効果的であることをよく理解している」「台湾に対する軍事的協力をありとあらゆる手段を講じて妨害している」と指摘していたが、実際に現実はその通りである。ところが米国政府はそのことを知った上でなお、中国との台湾問題を巡っての関係悪化だけを避けようとしていわけだ。
これがブッシュ政権の東アジア政策である。つまり所謂、米中による「台湾海峡共同管理」の政策である。それは実質的には「台湾の運命」の共同管理と言っても過言ではなく、このため台湾人は強大な敵を前に自らの意思での国防体制構築に制限を加えられ、国の進路も外国次第、つまり敵の中国に配慮する米国の方針次第と言うわけでなのだ。だから将来、米国によって中国に明け渡されると言う局面が現出しないなどとは、決して誰も言えないのである。このような「殖民地」状態が先進的な民主主義国家台湾の現実なのだ。
実のところ、米国の武器売却の凍結は、国民党政権の要請によるものだと言われている。蘇起・国家安全会議秘書長が、中国との関係改善を進める関係上、北京五輪が閉幕する九月以前は武器売却を発表しないで欲しいと求めたため、ライス国務長官とアジア事務担当のヒル国務次官補は売却延期を決めたのだそうだ。
すでに中国の影響下にあって「売台」勢力とも呼ばれる国民党政権が、米中共同管理体制に協力したと言う格好である。
では武器売却の凍結は北京五輪終了後に直ちに解除されるのか。これについては少なくとも、凍結はブッシュ政権が終わるまでは続くとの見方が強いのだが、おそらく新政権発足後も、中国との対決も辞さないとの局面にでもならないかぎり、共同管理体制は強化されて行くのではないだろうか。
そしてそのまま推移すれば、強大化した中国の脅威が東アジア全体を覆う可能性が大だ。そうした事態は、米国にとってははさほどのものではないとしても、日本にとっては充分死活に関わるものである。
それは、石油価格の高騰で漁船が操業できなくなれば日本人の食生活が脅かされると言った程度の問題ではない。中国に台湾周辺のシーレーンを扼されれば、石油や食糧の輸入は中国の顔色次第と言うことになり、日本はその国の属国になるしか生存の道はなくなるからだ。
米中による台湾海峡共同管理体制に警戒しよう。
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台湾で国民党政権が発足した直後の六月、米政府が台湾への武器売却を実質的に凍結したとの報道が流れた。ブッシュ政権が二〇〇一年に売却を承認したディーゼル潜水艦八隻、〇二年に認めた戦闘ヘリ「アパッチ」三十機や、台湾が購入を希望する戦闘機F16C/D数十機など、台湾及びその周辺の安全確保には不可欠の武器売却を見送ると言うわけだ。

台湾の国防上不可欠とされるF16C/D
そして七月十六日、キーティング米太平洋軍司令官は講演会場で質問を受け、凍結が事実であることを認めた。「それがブッシュ政権の政策なのだ」と。
キーティング氏は「(対中宥和政策をとる国民党政権の発足で)目下台湾海峡の緊張は緩和されており、米国も緊張緩和に一切の力を尽くすことになった」「台湾海峡での衝突発生の可能性は極めてない」と説明している。

キーティング米太平洋軍司令官
武器の更新を急速に推し進める中国と、更新が遅れる台湾。やがては台湾海峡の軍事バランスが逆転しかねない趨勢に中で、これまで台湾への武器売却を決め、台湾国内で国民党による購入阻止の動きに苛立ちさえ見せてきた米国政府だが、キーティング氏は現在の情勢について「米国政府は憂慮していない」とし、さらに中国の台湾への攻撃に対しては「米国は責任を負っている。対応する能力もあるし、準備も万端だ」と楽観的な見方を示すのである。
こうした米国の楽観的な姿勢表明の背景にあるのは、もちろん「台湾への武器売却を停止せよ」とつねに迫ってくる中国への配慮である。中国が軍備拡張を停止しないことを知りながらも、ただ緊張の高まりと、自らが紛争に引きずり込まれることだけを恐れているのだ。
一方、ブレア前太平洋軍司令官は「中国は威嚇的手段より、協力関係を結ぶことの方が効果的であることをよく理解している」「台湾に対する軍事的協力をありとあらゆる手段を講じて妨害している」と指摘していたが、実際に現実はその通りである。ところが米国政府はそのことを知った上でなお、中国との台湾問題を巡っての関係悪化だけを避けようとしていわけだ。
これがブッシュ政権の東アジア政策である。つまり所謂、米中による「台湾海峡共同管理」の政策である。それは実質的には「台湾の運命」の共同管理と言っても過言ではなく、このため台湾人は強大な敵を前に自らの意思での国防体制構築に制限を加えられ、国の進路も外国次第、つまり敵の中国に配慮する米国の方針次第と言うわけでなのだ。だから将来、米国によって中国に明け渡されると言う局面が現出しないなどとは、決して誰も言えないのである。このような「殖民地」状態が先進的な民主主義国家台湾の現実なのだ。
実のところ、米国の武器売却の凍結は、国民党政権の要請によるものだと言われている。蘇起・国家安全会議秘書長が、中国との関係改善を進める関係上、北京五輪が閉幕する九月以前は武器売却を発表しないで欲しいと求めたため、ライス国務長官とアジア事務担当のヒル国務次官補は売却延期を決めたのだそうだ。
すでに中国の影響下にあって「売台」勢力とも呼ばれる国民党政権が、米中共同管理体制に協力したと言う格好である。
では武器売却の凍結は北京五輪終了後に直ちに解除されるのか。これについては少なくとも、凍結はブッシュ政権が終わるまでは続くとの見方が強いのだが、おそらく新政権発足後も、中国との対決も辞さないとの局面にでもならないかぎり、共同管理体制は強化されて行くのではないだろうか。
そしてそのまま推移すれば、強大化した中国の脅威が東アジア全体を覆う可能性が大だ。そうした事態は、米国にとってははさほどのものではないとしても、日本にとっては充分死活に関わるものである。
それは、石油価格の高騰で漁船が操業できなくなれば日本人の食生活が脅かされると言った程度の問題ではない。中国に台湾周辺のシーレーンを扼されれば、石油や食糧の輸入は中国の顔色次第と言うことになり、日本はその国の属国になるしか生存の道はなくなるからだ。
米中による台湾海峡共同管理体制に警戒しよう。
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