朝日の台湾報道を台湾の人々は「不正確」と
2008/05/15/Thu
中国の四川大地震を受け、台湾の陳水扁政権は二十億台湾元(六十八億円)もの緊急支援を行うと発表した(日本政府は約五億円)。二〇〇四年のスマトラ沖地震・津波のときの十八億五百万元を上回る規模だ。
台湾人はじつに人道的な民族で、「被災地救援」と聞けば黙っていられないところがある。九九年の台湾大地震のときなど、全国民が救援に「夢中」になった。だから今回も、それほど四川の震災に全国民が同情しているのかと言えば、そうとは言えない。たしかにマスコミは大騒ぎだが、この国のマスコミの八割は中国資本が入り込むなどで、中国の影響下で情報操作を行い、台湾社会を混乱させていることは周知の事実だ。
この緊急支援に関し、最大手の自由時報(中国資本とは無関係)は十五日、「最後の愚行」と題したコラムで批判を行っている(「最後」と言うのは陳水扁総統が十九日の退陣するためだ)。それによると、陳水扁の八年間の執政の最大欠点は「看報治国」(メディアの報道を鵜呑みにし、それを基準に政策を決定する)だが、今回の地震で国民党と親中メディアマスコミから「十億元の救援を行え」と迫られた彼は、それに十億元を上乗せした二十億元を出すと決めてしまったのだそうだ。
いかにも陳水扁らしい話だ。彼のこうした愚行、愚考で政治は混乱し、挙句の果てに国民から見放され、民進党は政権を失うこととなったのである。
一方、十四日の朝日新聞は「中国に生産拠点や販売先を抱える台湾企業が競って巨額の寄付を表明している。14日現在で、台湾プラスチックの1億人民元(1人民元=約15円)を筆頭にハイテク企業の台湾鴻海グループが6千万元、小売業の台湾潤泰大潤発が5千万元などだ」と報じている。
このような台湾企業が贈ろうとする義捐金は、すでに二十二億元に達している模様だ。中国国内の富豪による義捐金総額である一億四千万元の十数倍に上るとかで、中国政府はこれら利用価値の高い台湾企業に丁重な感謝表明を行った。
こうした企業は台湾で「売国企業」と罵られているように、中国の歓心を買うためなら何でもすることで知られている。たとえば中国の台湾に対する「以商囲政」(商売人を使って政府を包囲する)のコマとなっているのが、まさにこれら企業なのだ。総統選挙では中国が好む国民党の支援運動を組織的に行っている。
このような政府、メディア、企業の救援熱に対し、「中国は外貨準備高で世界一。金に困っていない」(自由時報、前掲コラム)と言った批判は多い。ネット上などでも「中国はいつも台湾をどう扱っているかを考えろ」と言った主張が目立つ。
何しろ中国は台湾併呑の野心を抱いている国である。千基以上のミサイルの照準を台湾に合わせている他、外交的には国連、WHOへの加盟阻止や有国交国の切り離しなどで台湾を孤立させている。台湾大地震の際は、台湾へ向かうロシアの救援隊を乗せた飛行機の上空通過を拒否したし、中国発のSARAが台湾へ流入したときにはWHOとの接触を妨害した。
だからこのような中国に善意を示すべきではない、善意を示したところで感謝もされないと言う訳だが、こうしたものが国民の間で広く持たれていることは事実だ。そのためだろう、いかにお人好しで人助けが大好きな台湾人も、四川の災害には比較的に冷淡らしい。
ところで、前掲の朝日新聞の記事は台湾企業の寄付表明についてこう書く。
「中国国務院台湾事務弁公室は会見で『台湾同胞のご厚情に感動した』と述べた」「対中関係改善を掲げる馬英九(マー・インチウ)・国民党政権の発足を20日に控え、『同胞意識』の高まりが影響した面もありそうだ」
これを見てもわかるように、台湾側がどんなに善意を示しても、中国は台湾人を「台湾同胞」と呼ぶのである。つまり台湾は依然として中国の併呑目標であり続けると言うことだ。
そしてそのような中国を一生懸命フォローしようとするのが、この記事の「国民党政権の発足を20日に控え、『同胞意識』の高まりが影響した」とのくだりである。それを言い換えれば「国民党が間もなく発足するので、台湾では中国人意識が高揚している。だから四川への同情も高い」となるだろう。
もしこれが事実なら、台湾での台湾人意識の高まりを「台湾独立の動き」として最も警戒してきた中国は大喜びだ。
だが、そのような事実はあるのか。早速複数の台湾の知人に聞いてみたが、答えはすべて「いいえ」だった。「中国人意識は今では外省人を中心とした人口の三割程度。どんどん減少している。ただ外省人はこの意識は捨てないのでは」「これを書いた記者は台湾駐在だろうか。台湾の情況を理解していないようだ」などとも聞かされた。
たしかに国民党は親中政党で「中国統一」なる目標も掲げているが、有権者が同党を選んだ理由として、「民進党への失望」との指摘は普遍的でも、「中国人意識の高まり」「中国統一への期待」などを挙げる専門家は、台湾でも日本でも一人もいないはずだ。国民党も選挙期間中は「台湾人の政党」であることを懸命にアピールして支持を獲得していた。
中国政府が、被災地への救援・復興作業で、少しでも政治優先・民生軽視の姿勢を見せれば、台湾の反中国感情(=台湾人意識)はますます高いものとなることだろう。このように台湾人は国民党による中国人化教育で一度は洗脳されたが、中国の残酷な国内統治、そして台湾への冷酷な仕打ちを目の当たりにし、台湾人意識を回復してきたのである。
朝日新聞は、いかに中国の歓心を買いたいとは言え、今回のような無責任な報道は止めるべきだ。そして台湾人の心と言うものを、もっと深刻に考えるべきである。
国民党政権が発足して対中宥和路線が強化されれば、朝日新聞をはじめとする日本の媚中メディアも好ましく思うことだろう。そしてそこでこれまで以上に行われるものと予測されるのが、誤報道であり捏造報道だ。
従来からメディアには、「歴史問題とは違って台湾問題なら、中国寄りに書いても読者にはばれまい、批判されまい」との安心感が持たれているような気がしてならない。
今後も台湾報道を監視したい。
朝日新聞記事:台湾企業、相次ぎ巨額寄付 同胞意識高まり 四川大地震
http://www.asahi.com/international/update/0514/TKY200805140251.html?ref=rss
2008年05月14日19時30分
【台北=野嶋剛】四川大地震の被害に対し、中国に生産拠点や販売先を抱える台湾企業が競って巨額の寄付を表明している。14日現在で、台湾プラスチックの1億人民元(1人民元=約15円)を筆頭にハイテク企業の台湾鴻海グループが6千万元、小売業の台湾潤泰大潤発が5千万元などだ。
中国国務院台湾事務弁公室は会見で「台湾同胞のご厚情に感動した」と述べた。
対中関係改善を掲げる馬英九(マー・インチウ)・国民党政権の発足を20日に控え、「同胞意識」の高まりが影響した面もありそうだ。
*********************************************

↑ ↑
よろしければクリックをお願いします。
運動を拡大したいので。
【お知らせ】 「台湾は日本の生命線!」メルマガ版を創刊
反中華覇権主義運動の一助たらんとさまざまな関連情報を配信しておりますので、同志同憂のご登録ならびにご指導をお願い申し上げます。
登録先・バックナンバー http://www.melma.com/backnumber_174014/
台湾人はじつに人道的な民族で、「被災地救援」と聞けば黙っていられないところがある。九九年の台湾大地震のときなど、全国民が救援に「夢中」になった。だから今回も、それほど四川の震災に全国民が同情しているのかと言えば、そうとは言えない。たしかにマスコミは大騒ぎだが、この国のマスコミの八割は中国資本が入り込むなどで、中国の影響下で情報操作を行い、台湾社会を混乱させていることは周知の事実だ。
この緊急支援に関し、最大手の自由時報(中国資本とは無関係)は十五日、「最後の愚行」と題したコラムで批判を行っている(「最後」と言うのは陳水扁総統が十九日の退陣するためだ)。それによると、陳水扁の八年間の執政の最大欠点は「看報治国」(メディアの報道を鵜呑みにし、それを基準に政策を決定する)だが、今回の地震で国民党と親中メディアマスコミから「十億元の救援を行え」と迫られた彼は、それに十億元を上乗せした二十億元を出すと決めてしまったのだそうだ。
いかにも陳水扁らしい話だ。彼のこうした愚行、愚考で政治は混乱し、挙句の果てに国民から見放され、民進党は政権を失うこととなったのである。
一方、十四日の朝日新聞は「中国に生産拠点や販売先を抱える台湾企業が競って巨額の寄付を表明している。14日現在で、台湾プラスチックの1億人民元(1人民元=約15円)を筆頭にハイテク企業の台湾鴻海グループが6千万元、小売業の台湾潤泰大潤発が5千万元などだ」と報じている。
このような台湾企業が贈ろうとする義捐金は、すでに二十二億元に達している模様だ。中国国内の富豪による義捐金総額である一億四千万元の十数倍に上るとかで、中国政府はこれら利用価値の高い台湾企業に丁重な感謝表明を行った。
こうした企業は台湾で「売国企業」と罵られているように、中国の歓心を買うためなら何でもすることで知られている。たとえば中国の台湾に対する「以商囲政」(商売人を使って政府を包囲する)のコマとなっているのが、まさにこれら企業なのだ。総統選挙では中国が好む国民党の支援運動を組織的に行っている。
このような政府、メディア、企業の救援熱に対し、「中国は外貨準備高で世界一。金に困っていない」(自由時報、前掲コラム)と言った批判は多い。ネット上などでも「中国はいつも台湾をどう扱っているかを考えろ」と言った主張が目立つ。
何しろ中国は台湾併呑の野心を抱いている国である。千基以上のミサイルの照準を台湾に合わせている他、外交的には国連、WHOへの加盟阻止や有国交国の切り離しなどで台湾を孤立させている。台湾大地震の際は、台湾へ向かうロシアの救援隊を乗せた飛行機の上空通過を拒否したし、中国発のSARAが台湾へ流入したときにはWHOとの接触を妨害した。
だからこのような中国に善意を示すべきではない、善意を示したところで感謝もされないと言う訳だが、こうしたものが国民の間で広く持たれていることは事実だ。そのためだろう、いかにお人好しで人助けが大好きな台湾人も、四川の災害には比較的に冷淡らしい。
ところで、前掲の朝日新聞の記事は台湾企業の寄付表明についてこう書く。
「中国国務院台湾事務弁公室は会見で『台湾同胞のご厚情に感動した』と述べた」「対中関係改善を掲げる馬英九(マー・インチウ)・国民党政権の発足を20日に控え、『同胞意識』の高まりが影響した面もありそうだ」
これを見てもわかるように、台湾側がどんなに善意を示しても、中国は台湾人を「台湾同胞」と呼ぶのである。つまり台湾は依然として中国の併呑目標であり続けると言うことだ。
そしてそのような中国を一生懸命フォローしようとするのが、この記事の「国民党政権の発足を20日に控え、『同胞意識』の高まりが影響した」とのくだりである。それを言い換えれば「国民党が間もなく発足するので、台湾では中国人意識が高揚している。だから四川への同情も高い」となるだろう。
もしこれが事実なら、台湾での台湾人意識の高まりを「台湾独立の動き」として最も警戒してきた中国は大喜びだ。
だが、そのような事実はあるのか。早速複数の台湾の知人に聞いてみたが、答えはすべて「いいえ」だった。「中国人意識は今では外省人を中心とした人口の三割程度。どんどん減少している。ただ外省人はこの意識は捨てないのでは」「これを書いた記者は台湾駐在だろうか。台湾の情況を理解していないようだ」などとも聞かされた。
たしかに国民党は親中政党で「中国統一」なる目標も掲げているが、有権者が同党を選んだ理由として、「民進党への失望」との指摘は普遍的でも、「中国人意識の高まり」「中国統一への期待」などを挙げる専門家は、台湾でも日本でも一人もいないはずだ。国民党も選挙期間中は「台湾人の政党」であることを懸命にアピールして支持を獲得していた。
中国政府が、被災地への救援・復興作業で、少しでも政治優先・民生軽視の姿勢を見せれば、台湾の反中国感情(=台湾人意識)はますます高いものとなることだろう。このように台湾人は国民党による中国人化教育で一度は洗脳されたが、中国の残酷な国内統治、そして台湾への冷酷な仕打ちを目の当たりにし、台湾人意識を回復してきたのである。
朝日新聞は、いかに中国の歓心を買いたいとは言え、今回のような無責任な報道は止めるべきだ。そして台湾人の心と言うものを、もっと深刻に考えるべきである。
国民党政権が発足して対中宥和路線が強化されれば、朝日新聞をはじめとする日本の媚中メディアも好ましく思うことだろう。そしてそこでこれまで以上に行われるものと予測されるのが、誤報道であり捏造報道だ。
従来からメディアには、「歴史問題とは違って台湾問題なら、中国寄りに書いても読者にはばれまい、批判されまい」との安心感が持たれているような気がしてならない。
今後も台湾報道を監視したい。
朝日新聞記事:台湾企業、相次ぎ巨額寄付 同胞意識高まり 四川大地震
http://www.asahi.com/international/update/0514/TKY200805140251.html?ref=rss
2008年05月14日19時30分
【台北=野嶋剛】四川大地震の被害に対し、中国に生産拠点や販売先を抱える台湾企業が競って巨額の寄付を表明している。14日現在で、台湾プラスチックの1億人民元(1人民元=約15円)を筆頭にハイテク企業の台湾鴻海グループが6千万元、小売業の台湾潤泰大潤発が5千万元などだ。
中国国務院台湾事務弁公室は会見で「台湾同胞のご厚情に感動した」と述べた。
対中関係改善を掲げる馬英九(マー・インチウ)・国民党政権の発足を20日に控え、「同胞意識」の高まりが影響した面もありそうだ。
*********************************************

↑ ↑
よろしければクリックをお願いします。
運動を拡大したいので。
【お知らせ】 「台湾は日本の生命線!」メルマガ版を創刊
反中華覇権主義運動の一助たらんとさまざまな関連情報を配信しておりますので、同志同憂のご登録ならびにご指導をお願い申し上げます。
登録先・バックナンバー http://www.melma.com/backnumber_174014/



