安倍首相「ウイルスは中国から」発言に過剰反応した中国の目指す国際新秩序とは
2020/05/29/Fri
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■「ウイルスは中国から広がった」とついに発言した政府
「日本の政府も国会もウイルス感染に関連して『中国』という言葉を出すことは皆無だといえよう。タブーというか呪縛というか、中国の名を出してはいけないようなのだ」と書くのは、産経新聞が5月24日に掲載した「発生源問わぬ日本の異様さ」と題する古森義久・ワシントン駐在客員特派員のコラムだが、その翌25日、一転して安倍晋三首相は「ウイルスが中国から世界に広がった」と発言した。武漢ウイルスの緊急事態宣言解除を受けての安倍首相の記者会見でのことである。
その日、米ウォールストリート・ジャーナルの記者が、おそらく中国に物を言えない日本の「異様さ」が気になったのだろう、「今、米国と中国がウイルスなどを巡り激しく対立している。日本はどっち側につくのか」と質問したため、以下のように答えたのだ。
「現在、米国と中国の間で、新型コロナウイルスの発生源を巡り、激しく議論が行われている。日本の立場は『ウイルスが中国から世界に広がった』のは事実だと考えている」と。
ただ中国との「激しい対立」に巻き込まれたくなかったのか、「こういう時は、世界中が協力しなければならない」と付け加え、米中の議論に対する中立の立場を強調している。
しかし中国は、「中国」を口にした安倍首相の発言を許さなかった。
■覇権戦略の弱点を突かれて狼狽した中国政府
中国外交部報道官は26日、次のように安倍首相を非難し、牽制している。
「新型コロナウイルスの発生源は厳粛な科学の問題であり、事実と科学に依拠し、科学者と医学専門家の研究を待たねばならない」
「中国はウイルスの発生源の問題を政治問題化し、汚名を着せることに断固反対する。そうした行為はWHO及び多くの研究機関、医学専門家の専門的意見に悖り、中日両国を含む国際社会の共同での疫病との戦いにおける努力と期待にも反する」
「政治的盲従が科学的判断を超えてはならない。団結と協力こそ、人類が疫病に勝利するための最有力の武器だ」

中国外交部のコメントからは、何としても「中国が発生源」とは
言わせたくないとの切実な思いが伝わってくる
これが一国の政府の言うことだろうか。なぜ中国はとっとと「事実と科学に依拠」して発生源を探さないのか。そうした政治的な隠蔽工作を行うので、この問題は「政治問題化」しているのではないのか。
そもそも安倍首相は今回、一切中国を批判していない。ただ「ウイルスが中国から世界に広がった」という、子供でも知っている事実を口にしただけなのだが、それでありながらもここまで大袈裟な反応を示した中国政府。このコメントからは何が何でも「中国が発生源」とだけは言わせたくないとの切実な思いが伝わってくる。
このような激しい反撥が予想されたからこそ、日本では政府も国会も、それを恐れて「中国」と口にするのを避けてきた訳だ。米国から見れば、なんとも情けない同盟国と映ることだろう。
中国がそこまで激昂するのは、「死んでも誤りを認めない」という民族性のためだけではない。
あの国は今「以疫謀覇」(疫病を利用して覇権を握る)、つまり武漢ウイルス禍で米国などが苦しみ喘ぐのに乗じ、感染拡大の抑え込みに成功したとする自国の全体主義の優位性を宣伝するとともに、世界各国への医療支援外交を展開し、ポスト武漢ウイルス時代で国際社会の主導権を握り、「人類運命共同体」なる中国を中心とした世界秩序の構築で躍起になっているところである。そして中国のそうした戦略にとり、「中国が発生源」という事実はもちろん、何としても隠蔽したい弱点となっているのである。
だからこそ米国はこの覇権主義国の弱点をつかずにはいられないのだが、日本にはそれを行う勇気が欠けているのである。
■日本は将来このまま中国の影響下に転げ落ちるか
ところで中共機関紙人民日報系のタカ派メディア、国際問題紙の胡錫進編集長は26日、中国版ツイッターの微博でこう論じ、話題を呼んでいる。

環球時報の胡錫進編集長(左)の提言は中共の対日懐柔戦略そのものではないか
「安倍は記者の質問を受け、米国に配慮したが、中国人を刺激する気はなかった。ただ中国から『世界に拡散された』と言っただけであり、『中国がウイルスの起源だ』とは言っていない」
「日本は米国の同盟国だが、感染問題を巡っては、豪州などとも大きく違う。豪州は明確に米国に付き、その手先となっているが、日本の政府関係者は今日に至るまで、米国を真似て中国への責任追及をするようなことはしていない」
「一定の限度内で日本を包容し、中米対立の際に中国寄りであれと厳しくは求めず、それとともにこちらのデッドラインを示し、『豪州のような態度は受け入れない』と伝えればいい」
以上のような懐柔策は日本に対して有効かといえば、非常に有効である。そもそも中国が黙っていても日本の政府、国会には昔から「中国の嫌がることを言はない」という「異様さ」がある訳なのだから。
中国政府もそれをよく知っている。だからこそ米国との対立が深まる中、日米同盟を弱体化せんと、関係改善という名の懐柔策に乗り出し、中国との緊張に耐えきれずにいる日本政府を取り込んだのだ。今回の外交部の安倍首相発言への非難は、そうした取り込みと同時に行われるデッドラインの提示といったところか。
実は安倍首相は記者会見で、「日本は米中のどっち側につくのか」との質問に、こうも答えている。
「日本の外交・安全保障の基本的立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国である。『自由と民主主義』『基本的人権』『法の支配』という基本的価値を共有している。日本は米国と協力しながら、様々な国際的な課題に取り組んでいきたい」
しかしその一方で政府は「中国と協力しながら、様々な課題に取り組んでいきたい」とも考えているのである。中国の懐柔にすっかり乗せられ、関係改善に夢中となっている政府の体たらくを見ていると、いずれ日本は「人類運命共同体」、つまり中国の政治的影響下へと、徐々に足を踏み入れて行くのではないかと思えてならない。
武漢ウイルス禍の下、国民の生命、生活がこれほど危機に晒されているにもかかわらず、中国の感染を拡大させた責任を追及したがらない日本の「異様さ」を見れば、そうなるのは必然ではないかとさえ見えてくる。
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「日本の政府も国会もウイルス感染に関連して『中国』という言葉を出すことは皆無だといえよう。タブーというか呪縛というか、中国の名を出してはいけないようなのだ」と書くのは、産経新聞が5月24日に掲載した「発生源問わぬ日本の異様さ」と題する古森義久・ワシントン駐在客員特派員のコラムだが、その翌25日、一転して安倍晋三首相は「ウイルスが中国から世界に広がった」と発言した。武漢ウイルスの緊急事態宣言解除を受けての安倍首相の記者会見でのことである。
その日、米ウォールストリート・ジャーナルの記者が、おそらく中国に物を言えない日本の「異様さ」が気になったのだろう、「今、米国と中国がウイルスなどを巡り激しく対立している。日本はどっち側につくのか」と質問したため、以下のように答えたのだ。
「現在、米国と中国の間で、新型コロナウイルスの発生源を巡り、激しく議論が行われている。日本の立場は『ウイルスが中国から世界に広がった』のは事実だと考えている」と。
ただ中国との「激しい対立」に巻き込まれたくなかったのか、「こういう時は、世界中が協力しなければならない」と付け加え、米中の議論に対する中立の立場を強調している。
しかし中国は、「中国」を口にした安倍首相の発言を許さなかった。
■覇権戦略の弱点を突かれて狼狽した中国政府
中国外交部報道官は26日、次のように安倍首相を非難し、牽制している。
「新型コロナウイルスの発生源は厳粛な科学の問題であり、事実と科学に依拠し、科学者と医学専門家の研究を待たねばならない」
「中国はウイルスの発生源の問題を政治問題化し、汚名を着せることに断固反対する。そうした行為はWHO及び多くの研究機関、医学専門家の専門的意見に悖り、中日両国を含む国際社会の共同での疫病との戦いにおける努力と期待にも反する」
「政治的盲従が科学的判断を超えてはならない。団結と協力こそ、人類が疫病に勝利するための最有力の武器だ」

中国外交部のコメントからは、何としても「中国が発生源」とは
言わせたくないとの切実な思いが伝わってくる
これが一国の政府の言うことだろうか。なぜ中国はとっとと「事実と科学に依拠」して発生源を探さないのか。そうした政治的な隠蔽工作を行うので、この問題は「政治問題化」しているのではないのか。
そもそも安倍首相は今回、一切中国を批判していない。ただ「ウイルスが中国から世界に広がった」という、子供でも知っている事実を口にしただけなのだが、それでありながらもここまで大袈裟な反応を示した中国政府。このコメントからは何が何でも「中国が発生源」とだけは言わせたくないとの切実な思いが伝わってくる。
このような激しい反撥が予想されたからこそ、日本では政府も国会も、それを恐れて「中国」と口にするのを避けてきた訳だ。米国から見れば、なんとも情けない同盟国と映ることだろう。
中国がそこまで激昂するのは、「死んでも誤りを認めない」という民族性のためだけではない。
あの国は今「以疫謀覇」(疫病を利用して覇権を握る)、つまり武漢ウイルス禍で米国などが苦しみ喘ぐのに乗じ、感染拡大の抑え込みに成功したとする自国の全体主義の優位性を宣伝するとともに、世界各国への医療支援外交を展開し、ポスト武漢ウイルス時代で国際社会の主導権を握り、「人類運命共同体」なる中国を中心とした世界秩序の構築で躍起になっているところである。そして中国のそうした戦略にとり、「中国が発生源」という事実はもちろん、何としても隠蔽したい弱点となっているのである。
だからこそ米国はこの覇権主義国の弱点をつかずにはいられないのだが、日本にはそれを行う勇気が欠けているのである。
■日本は将来このまま中国の影響下に転げ落ちるか
ところで中共機関紙人民日報系のタカ派メディア、国際問題紙の胡錫進編集長は26日、中国版ツイッターの微博でこう論じ、話題を呼んでいる。

環球時報の胡錫進編集長(左)の提言は中共の対日懐柔戦略そのものではないか
「安倍は記者の質問を受け、米国に配慮したが、中国人を刺激する気はなかった。ただ中国から『世界に拡散された』と言っただけであり、『中国がウイルスの起源だ』とは言っていない」
「日本は米国の同盟国だが、感染問題を巡っては、豪州などとも大きく違う。豪州は明確に米国に付き、その手先となっているが、日本の政府関係者は今日に至るまで、米国を真似て中国への責任追及をするようなことはしていない」
「一定の限度内で日本を包容し、中米対立の際に中国寄りであれと厳しくは求めず、それとともにこちらのデッドラインを示し、『豪州のような態度は受け入れない』と伝えればいい」
以上のような懐柔策は日本に対して有効かといえば、非常に有効である。そもそも中国が黙っていても日本の政府、国会には昔から「中国の嫌がることを言はない」という「異様さ」がある訳なのだから。
中国政府もそれをよく知っている。だからこそ米国との対立が深まる中、日米同盟を弱体化せんと、関係改善という名の懐柔策に乗り出し、中国との緊張に耐えきれずにいる日本政府を取り込んだのだ。今回の外交部の安倍首相発言への非難は、そうした取り込みと同時に行われるデッドラインの提示といったところか。
実は安倍首相は記者会見で、「日本は米中のどっち側につくのか」との質問に、こうも答えている。
「日本の外交・安全保障の基本的立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国である。『自由と民主主義』『基本的人権』『法の支配』という基本的価値を共有している。日本は米国と協力しながら、様々な国際的な課題に取り組んでいきたい」
しかしその一方で政府は「中国と協力しながら、様々な課題に取り組んでいきたい」とも考えているのである。中国の懐柔にすっかり乗せられ、関係改善に夢中となっている政府の体たらくを見ていると、いずれ日本は「人類運命共同体」、つまり中国の政治的影響下へと、徐々に足を踏み入れて行くのではないかと思えてならない。
武漢ウイルス禍の下、国民の生命、生活がこれほど危機に晒されているにもかかわらず、中国の感染を拡大させた責任を追及したがらない日本の「異様さ」を見れば、そうなるのは必然ではないかとさえ見えてくる。
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