ウイルス禍をも利用する中国の軍備増強は凄まじい―米国の専門家が語るその実態と対抗戦略
2020/05/06/Wed
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■目標は第一・第二列島線と南支那海北部の支配
中国軍事問題などを研究する米国の有力シンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員は5月2日、台湾紙自由時報への寄稿で、「中国共産党の独裁政権は『中国ウイルス』(China Virus)を武器に、顔色も変えることなく軍事力を第一列島線から第二列島線まで伸長させようとしている」と警鐘を打ち鳴らした。

台湾紙自由時報の載った「中国は二大列島線を狙う」と題したフィッシャー氏の寄稿。台湾
人のみならず日本人も一読に値する内容だ
つまり、「全世界の大半の地域では、今回の疫病のために人命が奪われ経済も打撃を受け、封鎖、管制の下で人々は何とか正常な生活を戻そうと必死になっているまさにこの時、そうした油断に乗じて中共は、日本の南西諸島、台湾、フィリピンと結ぶ第一列島線の西太平洋海域での解放軍の活動を拡大させ、更には日本からグアムへと延びる第二列島線をも突破しようと試みている」というのである。
そこで以下において、フィッシャー氏の分析に耳を傾けたい。
中共の目標は「解放軍に、この二大列島線と南支那海の北半分を支配させること」にあるという。そしてそれは「台湾を孤立させるためだけでなく、台湾への武力侵攻や台湾を降伏させるのに有利な条件を作り出すためであり、更には日本や韓国に米国との同盟関係の見直しを迫るためでもある」という。

中国が支配を狙うのは第二列島線にまで至る海域だ
そうした動きはまた、「南太平洋、ラテンアメリカ、インド洋、ペルシャ湾、そしてアフリカへの戦力投射のルートを切り開き、一帯一路の類の政治経済勢力の強化する」ものであるともいうのだ。
■侵略国家だからこそウイルス禍をも利用する
それではこれまで具体的にはどういう形で、こうした戦略目標の達成を目指してきたのか。フィッシャー氏は「解放軍は最近、南支那海と台湾周辺の空海域で恫喝性の軍事行動をレベルアップさせ、統合作戦の演習を展開している。これが解放軍近代化の最新段階における優先目標の一つだ」と指摘する。そして次のような事例も。
「統合部隊による協同作戦も、最近の台湾周辺での軍事的圧力の加え方の特徴の一つだ。4月10日に台湾国防部は、解放軍のH-6爆撃機、J-11戦闘機、KJ-500早期警戒管制機の編隊がバシー海峡を越えたと発表。同日には日本の防衛省も、中国海軍の空母遼寧率いる戦闘群が宮古海峡を越え、台湾東部海岸に沿って第一列島線の外側の太平洋へと航行したと通報している」
「その4月10日には、中共の喉舌である環球時報が『演習は台湾に対する潜在的軍事闘争の一部、この種の演習はすでに常態化している』と報道。演習とは言うが、台湾に対する封鎖、侵攻の積極的な準備であり、これは今後さらに強化されることになる」

ウイルス禍の中でも、いや中だからこそ、日米台への挑発を強化する中国覇権主義
こうした動きに関しては日本でも、「米空母四隻で新型コロナウイルスの感染者が続出しており、十三日には乗組員が初めて死亡した。米軍の即応態勢に懸念が出ている中、中国軍の活発な活動が目立っている。……米軍の弱り目を突く形」(東京新聞)、「自衛隊にも圧力をかける狙いがあるとみられる」(産経新聞)などと大きく報じられたが、その背景には上記のような勢力拡張、覇権確立という野望があった訳だ。このような侵略主義者だからこそ、「顔色も変えず、中国ウイルスを武器にする」こともできるのである。
■グアムを含む第二列島線も奪われかねない
それでは中国の軍拡は今後、どのような展開を見せるのだろう。
まず第一列島線の要衝である台湾に対しては……。
「予想されるのは、解放軍の台湾周辺海空域での統合作戦演習では、空軍のH-6爆撃機編隊と海軍の空母戦闘群の協同下における対艦弾道ミサイル攻撃の定期訓練が行われることだ。これらの演習が描くシナリオは、東部から台湾を脅かす行動により、台湾の防衛力に分散を余儀なくされ、西部での上陸阻止能力を低下させ、台湾救援に駆け付ける米軍に対する戦線を構築するというものだ」
そして第二列島線を奪取するため……。
「解放軍は現在、作戦範囲を5000キロ以上広げる研究と配備を進めている。たとえば空軍の新型爆撃機H-6Nは、空中給油を重ねれば航続距離は5000キロを超える。射程距離1000キロの空中発射弾道ミサイルや1500キロの対地巡航ミサイルの搭載も可能で、ハワイの米海空軍に脅威を及ぼすには十分だ」
「また、すでにDF26がロケット軍の三つのミサイル旅団に配備されたと見られる。やがてその射程距離は40%伸長され、グアムの戦略的撤退陣地となるウェーク島にまで達すると考えられる」

グアムを含む第二列島線上の米軍をも攻撃できるDF-26
「海軍の大型戦艦にもやがて対艦ミサイルが搭載されるだろう。そのなれば第二列島線は艦対艦ミサイル、H-6Nの対艦ミサイル及びウェーク島にも届くDF-26の猛攻により、奪われることになるかもしれない」
中国の劉華清・海軍司令(中央軍事委員会副主席)が1982年以策定した近代海軍建設計画は、2010年までに第一列島線内側海域を内海化し、2020年までに第二列島線までの海域の制海権を握り、2050年には世界の制海権を掌握するという目標を掲げているが、実際にあの国はすでに、第二列島線を奪取する軍事力を擁しつつあるというのである。
■日米は台湾を中共の不沈空母にしてはならない
このような中国の拡張の動きに対し、米国は、そして日本や台湾は以下に対処するべきなのか。フィッシャー氏は以下のように語る。
「こうした重大な脅威に対処するため、米国およびその同盟国やパートナー国には、目下の第一列島線の優位を最大限利用し、列島線の周辺や外囲を侵略する解放軍を打ち砕く部隊を置く以外に選択肢はない。例えば日本は3月、宮古島に防空部隊を新たに配備した」
「オバマ米前政権で核・ミサイル防衛政策を主管したブラッド・ロバーツ元国防次官補代理は『解放軍は反介入(アンチアクセス)能力を新たに身に付けた。日本は当然、それを抑止する攻撃能力か、新型の長距離ミサイルを手に入れ、米国のミサイル戦力を補助すべきだ』と訴えている」
「ワシントンは、こうした論理を台湾にも適用する必要がある。台湾には低価格のKC-135空中給油機を台湾へ売却し、台湾の戦闘機や哨戒機の航続距離を延長させ、第二列島線を狙う解放軍の統合作戦を抑止できるようにするべきだ」
そして最後は、次のように訴えている。
「1950年に朝鮮人民軍が韓国を侵略した時、米国のトルーマン大統領は第七艦隊を台湾海峡に派遣した。当時の国連軍司令官、マッカーサー将軍は台湾を『永久に沈没しない航空母艦』と呼んだ。現在の台北、東京、ワシントンもまた、台湾が中共の不沈空母になることを阻止し、第一、第二列島線の支配権を確保する必要がある」
日本のマスメディアは近年、しばしば中国の海洋進出の脅威を報じるが、それに対抗する日米にとっての台湾の戦略的重要性についてあまり触れないのは、中国に配慮して台湾の重要性を強調しないという従来の習慣によるのだろうが、あまりにも残念だ。それだけにフィッシャー氏のこの指摘は、広く国民に伝達したいと思う。
日本と米国、そして台湾との安保上の連携を強化する以外に「選択肢はない」のである。
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■目標は第一・第二列島線と南支那海北部の支配
中国軍事問題などを研究する米国の有力シンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員は5月2日、台湾紙自由時報への寄稿で、「中国共産党の独裁政権は『中国ウイルス』(China Virus)を武器に、顔色も変えることなく軍事力を第一列島線から第二列島線まで伸長させようとしている」と警鐘を打ち鳴らした。

台湾紙自由時報の載った「中国は二大列島線を狙う」と題したフィッシャー氏の寄稿。台湾
人のみならず日本人も一読に値する内容だ
つまり、「全世界の大半の地域では、今回の疫病のために人命が奪われ経済も打撃を受け、封鎖、管制の下で人々は何とか正常な生活を戻そうと必死になっているまさにこの時、そうした油断に乗じて中共は、日本の南西諸島、台湾、フィリピンと結ぶ第一列島線の西太平洋海域での解放軍の活動を拡大させ、更には日本からグアムへと延びる第二列島線をも突破しようと試みている」というのである。
そこで以下において、フィッシャー氏の分析に耳を傾けたい。
中共の目標は「解放軍に、この二大列島線と南支那海の北半分を支配させること」にあるという。そしてそれは「台湾を孤立させるためだけでなく、台湾への武力侵攻や台湾を降伏させるのに有利な条件を作り出すためであり、更には日本や韓国に米国との同盟関係の見直しを迫るためでもある」という。

中国が支配を狙うのは第二列島線にまで至る海域だ
そうした動きはまた、「南太平洋、ラテンアメリカ、インド洋、ペルシャ湾、そしてアフリカへの戦力投射のルートを切り開き、一帯一路の類の政治経済勢力の強化する」ものであるともいうのだ。
■侵略国家だからこそウイルス禍をも利用する
それではこれまで具体的にはどういう形で、こうした戦略目標の達成を目指してきたのか。フィッシャー氏は「解放軍は最近、南支那海と台湾周辺の空海域で恫喝性の軍事行動をレベルアップさせ、統合作戦の演習を展開している。これが解放軍近代化の最新段階における優先目標の一つだ」と指摘する。そして次のような事例も。
「統合部隊による協同作戦も、最近の台湾周辺での軍事的圧力の加え方の特徴の一つだ。4月10日に台湾国防部は、解放軍のH-6爆撃機、J-11戦闘機、KJ-500早期警戒管制機の編隊がバシー海峡を越えたと発表。同日には日本の防衛省も、中国海軍の空母遼寧率いる戦闘群が宮古海峡を越え、台湾東部海岸に沿って第一列島線の外側の太平洋へと航行したと通報している」
「その4月10日には、中共の喉舌である環球時報が『演習は台湾に対する潜在的軍事闘争の一部、この種の演習はすでに常態化している』と報道。演習とは言うが、台湾に対する封鎖、侵攻の積極的な準備であり、これは今後さらに強化されることになる」

ウイルス禍の中でも、いや中だからこそ、日米台への挑発を強化する中国覇権主義
こうした動きに関しては日本でも、「米空母四隻で新型コロナウイルスの感染者が続出しており、十三日には乗組員が初めて死亡した。米軍の即応態勢に懸念が出ている中、中国軍の活発な活動が目立っている。……米軍の弱り目を突く形」(東京新聞)、「自衛隊にも圧力をかける狙いがあるとみられる」(産経新聞)などと大きく報じられたが、その背景には上記のような勢力拡張、覇権確立という野望があった訳だ。このような侵略主義者だからこそ、「顔色も変えず、中国ウイルスを武器にする」こともできるのである。
■グアムを含む第二列島線も奪われかねない
それでは中国の軍拡は今後、どのような展開を見せるのだろう。
まず第一列島線の要衝である台湾に対しては……。
「予想されるのは、解放軍の台湾周辺海空域での統合作戦演習では、空軍のH-6爆撃機編隊と海軍の空母戦闘群の協同下における対艦弾道ミサイル攻撃の定期訓練が行われることだ。これらの演習が描くシナリオは、東部から台湾を脅かす行動により、台湾の防衛力に分散を余儀なくされ、西部での上陸阻止能力を低下させ、台湾救援に駆け付ける米軍に対する戦線を構築するというものだ」
そして第二列島線を奪取するため……。
「解放軍は現在、作戦範囲を5000キロ以上広げる研究と配備を進めている。たとえば空軍の新型爆撃機H-6Nは、空中給油を重ねれば航続距離は5000キロを超える。射程距離1000キロの空中発射弾道ミサイルや1500キロの対地巡航ミサイルの搭載も可能で、ハワイの米海空軍に脅威を及ぼすには十分だ」
「また、すでにDF26がロケット軍の三つのミサイル旅団に配備されたと見られる。やがてその射程距離は40%伸長され、グアムの戦略的撤退陣地となるウェーク島にまで達すると考えられる」

グアムを含む第二列島線上の米軍をも攻撃できるDF-26
「海軍の大型戦艦にもやがて対艦ミサイルが搭載されるだろう。そのなれば第二列島線は艦対艦ミサイル、H-6Nの対艦ミサイル及びウェーク島にも届くDF-26の猛攻により、奪われることになるかもしれない」
中国の劉華清・海軍司令(中央軍事委員会副主席)が1982年以策定した近代海軍建設計画は、2010年までに第一列島線内側海域を内海化し、2020年までに第二列島線までの海域の制海権を握り、2050年には世界の制海権を掌握するという目標を掲げているが、実際にあの国はすでに、第二列島線を奪取する軍事力を擁しつつあるというのである。
■日米は台湾を中共の不沈空母にしてはならない
このような中国の拡張の動きに対し、米国は、そして日本や台湾は以下に対処するべきなのか。フィッシャー氏は以下のように語る。
「こうした重大な脅威に対処するため、米国およびその同盟国やパートナー国には、目下の第一列島線の優位を最大限利用し、列島線の周辺や外囲を侵略する解放軍を打ち砕く部隊を置く以外に選択肢はない。例えば日本は3月、宮古島に防空部隊を新たに配備した」
「オバマ米前政権で核・ミサイル防衛政策を主管したブラッド・ロバーツ元国防次官補代理は『解放軍は反介入(アンチアクセス)能力を新たに身に付けた。日本は当然、それを抑止する攻撃能力か、新型の長距離ミサイルを手に入れ、米国のミサイル戦力を補助すべきだ』と訴えている」
「ワシントンは、こうした論理を台湾にも適用する必要がある。台湾には低価格のKC-135空中給油機を台湾へ売却し、台湾の戦闘機や哨戒機の航続距離を延長させ、第二列島線を狙う解放軍の統合作戦を抑止できるようにするべきだ」
そして最後は、次のように訴えている。
「1950年に朝鮮人民軍が韓国を侵略した時、米国のトルーマン大統領は第七艦隊を台湾海峡に派遣した。当時の国連軍司令官、マッカーサー将軍は台湾を『永久に沈没しない航空母艦』と呼んだ。現在の台北、東京、ワシントンもまた、台湾が中共の不沈空母になることを阻止し、第一、第二列島線の支配権を確保する必要がある」
日本のマスメディアは近年、しばしば中国の海洋進出の脅威を報じるが、それに対抗する日米にとっての台湾の戦略的重要性についてあまり触れないのは、中国に配慮して台湾の重要性を強調しないという従来の習慣によるのだろうが、あまりにも残念だ。それだけにフィッシャー氏のこの指摘は、広く国民に伝達したいと思う。
日本と米国、そして台湾との安保上の連携を強化する以外に「選択肢はない」のである。
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