日本語版「台湾歴史教科書」を発刊―知っておきたい真の台湾史と台湾人の歴史観
2020/03/01/Sun
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『詳説台湾の歴史 台湾高校歴史教科書』
薛化元 (編)、 永山英樹 (訳)
雄山閣・刊 / 2750円((2500円+税)
全国書店、オンライン書店で販売中。
このほど私は台湾の歴史教科書を翻訳し、雄山閣から『詳説台湾の歴史』の書名で発刊した。
原著は『普通高級中学歴史第一冊』(三民書局)という高校用教科書。編者は政治大学文学院院長兼台湾史研究所教授である薛化元氏だ。
台湾の歴史学者には、史実より政治を優先して台湾史を中国史の一環と強引に位置付けようとする親中派(外省人)が、少数ながらもいまだ大きな発言力を持っているが(日本でも親中派学者の声が小さくないのと同じだ)、その一方で民主化以降史実重視の学者が擡頭してきた。実は民主化以前の国民党独裁時代には、中国人化政策の下で学校では中国史は教えても、台湾史は台湾独立思想をもたらすものとしてタブー視された。そのように一度は抹殺された台湾史が今や、こうした理知的な学者らによりどんどん明らかにされつつある。そしてその台湾史研究の第一人者であるのが薛化元氏である訳だ。
そのためこの教科書の評価は高く、八点ある教科書のうち、採択率でこれがトップ。高校生の三人に一人はこれを使用したという計算だ。
そうしたこともあり、日台の更なる関係強化、交流深化を願いながら翻訳にあたった次第だ。そこでここでは、この日本語版の発刊の意義を紹介すべく、以下に「訳者あとがき」で書いたものを引用したいと思う。
台湾はよく大の親日国と言われるが、日本もまた大の親台国と言えるだろう。特に東日本大震災以降はそうである。あの震災当時、台湾の人々から多大な支援があり、それに日本全国が感動し、今でもあの国に感謝し続ける人は少なくない。そして台湾を訪問する日本人旅行者もまた年々増加しているところだが、そうした日本人が観光先でしばしば気になるのが、台湾の歴史ではないだろうか。
台湾史は、多くの日本人には未知の領域だと思う。それは学校の授業でほとんど教わっていないためだ。「台湾史は中国の一地方史だろう」などと漠然と考える人も少なくない。なぜなら中国政府が、「台湾は古より中国領土の不可分の一部」とする「一つの中国」宣伝を延々と繰り返しているからだ。
しかし実際に台湾史をひもとけば、台湾には台湾の独自の歴史的な歩みがあり、あの島が古代から一貫して中国領土だったする主張など、フィクションにすぎないことがわかるはずだ。
例えば最初に台湾を領有した国は中国ではなく、何と大航海時代のオランダだ。あの国が台湾南部に入植したのは17世紀前半。そして同世紀後半になり清が台湾を版図に入れるが、中国の政権による台湾支配は、この時が最初なのである。

それではそれ以前の島の主は誰かと言えば、それはオーストロネシア人の原住民だ。今日の台湾人の多くにも、漢人とは異なるこの原住民の血が流れている。

そしてこの台湾史には、早くから日本人が登場する。オランダの領有より早くこの島を狙ったのが豊臣秀吉であり徳川家康だ。そして日本の商人も、ここで交易を行っていた訳だが、このように日本人にとっても意外かつ興味深い話の数々を教えてくれるのが、本書なのである。

原著は台湾の高校用教科書である『歴史第一冊』(三民書局)。聞けば、高校用歴史教科書七点のうち、最高の採択率(高校生の三人に一人が使用)を記録するなど、評価の高い一冊だ。
編者は著名な台湾史研究者の薛化元氏。先年台湾で見られた教科書論争の際には、歴史教育に「政治」(大中国意識)を持ち込もうとする国民党政権を相手に、史実重視の姿勢で論陣を張ったが、それだけにこの教科書も、その特長と言えばやはり、史実重視で客観的なところではないかと思う。
例えば日本統治時代に関する記述だが、あの時代を「植民化」及び「近代化」の時代と位置づけ、公正、中立な立場で描いているように感じる。少なくとも他の国々でよく見られる愛国主義に基づた史実の誇張や歪曲といったようなものは、本書には見当たらない。

ところで本書に限らず、台湾人研究者の日本統治時代に関する見方は往々にして、このように理知的な感じがあるのだが、それは台湾人が排外思想には馴染まない性格だからだろう。そういった台湾人ならではの歴史観というものにも、本書では触れることができるのではないか。
日本の親しい友人である台湾を深く理解するには、その歴史を深く知ることが重要だ。本書が日台交流の一助になることを願ってやまない。
それにしても本書を読むと、台湾史とは台湾人の奮励努力の歴史であることがわかる。長期にわたった外来政権の支配から脱却を果たし、ようやく民主化の時代を迎えた今日、人々の未来に平和と幸あれと祈るばかりだ。
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『詳説台湾の歴史 台湾高校歴史教科書』
薛化元 (編)、 永山英樹 (訳)
雄山閣・刊 / 2750円((2500円+税)
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このほど私は台湾の歴史教科書を翻訳し、雄山閣から『詳説台湾の歴史』の書名で発刊した。
原著は『普通高級中学歴史第一冊』(三民書局)という高校用教科書。編者は政治大学文学院院長兼台湾史研究所教授である薛化元氏だ。
台湾の歴史学者には、史実より政治を優先して台湾史を中国史の一環と強引に位置付けようとする親中派(外省人)が、少数ながらもいまだ大きな発言力を持っているが(日本でも親中派学者の声が小さくないのと同じだ)、その一方で民主化以降史実重視の学者が擡頭してきた。実は民主化以前の国民党独裁時代には、中国人化政策の下で学校では中国史は教えても、台湾史は台湾独立思想をもたらすものとしてタブー視された。そのように一度は抹殺された台湾史が今や、こうした理知的な学者らによりどんどん明らかにされつつある。そしてその台湾史研究の第一人者であるのが薛化元氏である訳だ。
そのためこの教科書の評価は高く、八点ある教科書のうち、採択率でこれがトップ。高校生の三人に一人はこれを使用したという計算だ。
そうしたこともあり、日台の更なる関係強化、交流深化を願いながら翻訳にあたった次第だ。そこでここでは、この日本語版の発刊の意義を紹介すべく、以下に「訳者あとがき」で書いたものを引用したいと思う。
台湾はよく大の親日国と言われるが、日本もまた大の親台国と言えるだろう。特に東日本大震災以降はそうである。あの震災当時、台湾の人々から多大な支援があり、それに日本全国が感動し、今でもあの国に感謝し続ける人は少なくない。そして台湾を訪問する日本人旅行者もまた年々増加しているところだが、そうした日本人が観光先でしばしば気になるのが、台湾の歴史ではないだろうか。
台湾史は、多くの日本人には未知の領域だと思う。それは学校の授業でほとんど教わっていないためだ。「台湾史は中国の一地方史だろう」などと漠然と考える人も少なくない。なぜなら中国政府が、「台湾は古より中国領土の不可分の一部」とする「一つの中国」宣伝を延々と繰り返しているからだ。
しかし実際に台湾史をひもとけば、台湾には台湾の独自の歴史的な歩みがあり、あの島が古代から一貫して中国領土だったする主張など、フィクションにすぎないことがわかるはずだ。
例えば最初に台湾を領有した国は中国ではなく、何と大航海時代のオランダだ。あの国が台湾南部に入植したのは17世紀前半。そして同世紀後半になり清が台湾を版図に入れるが、中国の政権による台湾支配は、この時が最初なのである。

それではそれ以前の島の主は誰かと言えば、それはオーストロネシア人の原住民だ。今日の台湾人の多くにも、漢人とは異なるこの原住民の血が流れている。

そしてこの台湾史には、早くから日本人が登場する。オランダの領有より早くこの島を狙ったのが豊臣秀吉であり徳川家康だ。そして日本の商人も、ここで交易を行っていた訳だが、このように日本人にとっても意外かつ興味深い話の数々を教えてくれるのが、本書なのである。

原著は台湾の高校用教科書である『歴史第一冊』(三民書局)。聞けば、高校用歴史教科書七点のうち、最高の採択率(高校生の三人に一人が使用)を記録するなど、評価の高い一冊だ。
編者は著名な台湾史研究者の薛化元氏。先年台湾で見られた教科書論争の際には、歴史教育に「政治」(大中国意識)を持ち込もうとする国民党政権を相手に、史実重視の姿勢で論陣を張ったが、それだけにこの教科書も、その特長と言えばやはり、史実重視で客観的なところではないかと思う。
例えば日本統治時代に関する記述だが、あの時代を「植民化」及び「近代化」の時代と位置づけ、公正、中立な立場で描いているように感じる。少なくとも他の国々でよく見られる愛国主義に基づた史実の誇張や歪曲といったようなものは、本書には見当たらない。

ところで本書に限らず、台湾人研究者の日本統治時代に関する見方は往々にして、このように理知的な感じがあるのだが、それは台湾人が排外思想には馴染まない性格だからだろう。そういった台湾人ならではの歴史観というものにも、本書では触れることができるのではないか。
日本の親しい友人である台湾を深く理解するには、その歴史を深く知ることが重要だ。本書が日台交流の一助になることを願ってやまない。
それにしても本書を読むと、台湾史とは台湾人の奮励努力の歴史であることがわかる。長期にわたった外来政権の支配から脱却を果たし、ようやく民主化の時代を迎えた今日、人々の未来に平和と幸あれと祈るばかりだ。
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