安倍首相の対中姿勢は本当に強気か―「安倍・習近平会談」に思う
2019/12/24/Tue
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■尖閣問題で中国に自制を求めたというが
12月24日の産経新聞の一面に躍った見出しは「首相 尖閣自制を要求」。安倍晋三首相が前日の習近平との会談で、「尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での中国公船の挑発活動について自制を強く求めるなど、懸念についても率直に伝えた」という報道だ。

この記事はZAKZAK(産経新聞社「夕刊フジ」のサイト)にも転載され、こちらでは「安倍首相、習近平主席に強気要求!」との見出しがついた。
今年、尖閣諸島の接続における中国の武装公船の航行は過去最多。そうした状況を受け安倍首相は、たとえ日中関係の改善が求められる中でも、国の主権を守るため、抗議すべきことは毅然と抗議したかの印象を受けるが、実際にはどうなのか。
本当に「強気要求」をしたのだろうか。記事によれば会談では「来年4月で調整している習氏の国賓来日に向け準備を進めることで一致した」という。本気で自制を要求したのなら(相手が怒るくらいに強く要求したのなら)、そんな「一致」には至らなかったのではないか。
■どのような「建設的な議論」があったというのか
しかし同日の産経の「首相 習氏に懸念伝達」と題する記事には、こうある。
―――首相と習氏の会談は、以前は設定自体が難航した。旧民主党政権による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化の影響などもあり、平成28年9月に2人が中国・杭州で会談した際は「30分の会談のために日中の事務方が直前に5時間協議しても、なかなか日程が決まらなかった」(日本政府関係者)。中国側が「東シナ海問題に触れれば会談開催が危うくなる」などと条件を付けてきたためだ。
―――時は過ぎ、首相は今回の会談で尖閣周辺での中国公船の挑発や人権問題にも切り込んだ。会談に同席した岡田直樹官房副長官は「率直かつ建設的な議論を行うことが可能になった」との認識を記者団に示した。
これを読むと、どうも中国側は今回、これまでとは違って日本側の切り込んだ議論に応じたようだ。それではいかなる「建設的な議論」が行われたというのか。
産経のウェブニュースが報じる「会見要旨」によれば、安倍氏は「東シナ海の安定なくして真の日中関係の改善なしの考えに基づき、対応を強く要請」し、両者は「東シナ海を友好の海とすべく、海洋安全保障分野の取り組みを進めていく方針を確認」したのだという。
安倍氏がどのように率直に切り込んだのかは、これでわかった。それでは習氏はそれにどう応じたのか。
■東支那海を「友好の海」にするなどできるはずない

両者は「東シナ海を友好の海とする」ことで一致したようだ。
しかしこれまで日中首脳間で、何度「東シナ海を友好の海とする」と誓約されてはきたことか。いまだそれが実現しないのは、双方の「友好の海」の定義が異なるからである。
中国が求めるのは尖閣諸島の主権問題の棚上げによる「友好の海」の実現だ。「主権が我が国に属することは譲らず、領有権争議で徹底的な解決の条件に欠ける場合は共同開発を行い、相互理解を増進しながら解決の条件を創り出す」という「争議棚上げ、共同開発」の謀略の上に立った上での要求である。
習氏は今年6月の安倍氏との会談で「日本側がこれまでの合意、約束を守り、共同で東海(東支那海)の平和と安定を維持するよう希望する」と述べている。今回もまた同じことを話しただろう。
日本は主権問題棚上げで「合意」したことなどないが、しかし事実上、棚上げを続けてきたことは否定できない。そしてそうした弱腰姿勢が、中国を増長させてきた。
中国は「旧民主党政権による尖閣諸島の国有化の影響」などにより混乱し、日本を攻めあぐね、そこで今日のように公船を航行させるなどで緊張を高め、対日関係を悪化させてきた。そしてそうした状況に日本が耐えきれず、中国に妥協してくる日を心待ちにしてきたわけだが、今まさに安倍氏は、その妥協をしでかそうとしている。
■反中世論が安倍政権の対中妥協を牽制するしかない
今回の会談で日本側が「率直かつ建設的な議論を行うことが可能になった」というが、それを可能にしたのは中国である。それほど向こうは日本取り込みを急いでいるということだろう。安倍氏に率直で毅然とした意見表明を許すことで、日本の反中世論を和らげようとしたように見える。
しかし安倍氏がいかに毅然とした姿勢を示しても、東支那海が「友好の海」になることはまい。中国が「中華民族の偉大なる復興」という覇権主義政策に基づき南支那海、台湾海峡、そして東支那海を制覇するという野望を放棄しない限り、尖閣諸島が脅かされる状況は終わらないのに、この問題に関しどのような「建設的な議論」があったというのだ。
これまで中国からタカ派、右翼と罵られてきた安倍政権も、すでにこのような状況に陥る中、今や日本国内の反中世論こそ、日本の主権を守る最後の砦と言えるかもしれない。そして中国は、この砦に対してだけは全く攻めきれずにいる。
したがってこうした世論を強化し、安倍政権の中国迎合路線を牽制するが重要だ。習氏の来日に反対する声もさらにいっそう盛り上げなくてはならない。
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■尖閣問題で中国に自制を求めたというが
12月24日の産経新聞の一面に躍った見出しは「首相 尖閣自制を要求」。安倍晋三首相が前日の習近平との会談で、「尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での中国公船の挑発活動について自制を強く求めるなど、懸念についても率直に伝えた」という報道だ。

この記事はZAKZAK(産経新聞社「夕刊フジ」のサイト)にも転載され、こちらでは「安倍首相、習近平主席に強気要求!」との見出しがついた。
今年、尖閣諸島の接続における中国の武装公船の航行は過去最多。そうした状況を受け安倍首相は、たとえ日中関係の改善が求められる中でも、国の主権を守るため、抗議すべきことは毅然と抗議したかの印象を受けるが、実際にはどうなのか。
本当に「強気要求」をしたのだろうか。記事によれば会談では「来年4月で調整している習氏の国賓来日に向け準備を進めることで一致した」という。本気で自制を要求したのなら(相手が怒るくらいに強く要求したのなら)、そんな「一致」には至らなかったのではないか。
■どのような「建設的な議論」があったというのか
しかし同日の産経の「首相 習氏に懸念伝達」と題する記事には、こうある。
―――首相と習氏の会談は、以前は設定自体が難航した。旧民主党政権による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化の影響などもあり、平成28年9月に2人が中国・杭州で会談した際は「30分の会談のために日中の事務方が直前に5時間協議しても、なかなか日程が決まらなかった」(日本政府関係者)。中国側が「東シナ海問題に触れれば会談開催が危うくなる」などと条件を付けてきたためだ。
―――時は過ぎ、首相は今回の会談で尖閣周辺での中国公船の挑発や人権問題にも切り込んだ。会談に同席した岡田直樹官房副長官は「率直かつ建設的な議論を行うことが可能になった」との認識を記者団に示した。
これを読むと、どうも中国側は今回、これまでとは違って日本側の切り込んだ議論に応じたようだ。それではいかなる「建設的な議論」が行われたというのか。
産経のウェブニュースが報じる「会見要旨」によれば、安倍氏は「東シナ海の安定なくして真の日中関係の改善なしの考えに基づき、対応を強く要請」し、両者は「東シナ海を友好の海とすべく、海洋安全保障分野の取り組みを進めていく方針を確認」したのだという。
安倍氏がどのように率直に切り込んだのかは、これでわかった。それでは習氏はそれにどう応じたのか。
■東支那海を「友好の海」にするなどできるはずない

両者は「東シナ海を友好の海とする」ことで一致したようだ。
しかしこれまで日中首脳間で、何度「東シナ海を友好の海とする」と誓約されてはきたことか。いまだそれが実現しないのは、双方の「友好の海」の定義が異なるからである。
中国が求めるのは尖閣諸島の主権問題の棚上げによる「友好の海」の実現だ。「主権が我が国に属することは譲らず、領有権争議で徹底的な解決の条件に欠ける場合は共同開発を行い、相互理解を増進しながら解決の条件を創り出す」という「争議棚上げ、共同開発」の謀略の上に立った上での要求である。
習氏は今年6月の安倍氏との会談で「日本側がこれまでの合意、約束を守り、共同で東海(東支那海)の平和と安定を維持するよう希望する」と述べている。今回もまた同じことを話しただろう。
日本は主権問題棚上げで「合意」したことなどないが、しかし事実上、棚上げを続けてきたことは否定できない。そしてそうした弱腰姿勢が、中国を増長させてきた。
中国は「旧民主党政権による尖閣諸島の国有化の影響」などにより混乱し、日本を攻めあぐね、そこで今日のように公船を航行させるなどで緊張を高め、対日関係を悪化させてきた。そしてそうした状況に日本が耐えきれず、中国に妥協してくる日を心待ちにしてきたわけだが、今まさに安倍氏は、その妥協をしでかそうとしている。
■反中世論が安倍政権の対中妥協を牽制するしかない
今回の会談で日本側が「率直かつ建設的な議論を行うことが可能になった」というが、それを可能にしたのは中国である。それほど向こうは日本取り込みを急いでいるということだろう。安倍氏に率直で毅然とした意見表明を許すことで、日本の反中世論を和らげようとしたように見える。
しかし安倍氏がいかに毅然とした姿勢を示しても、東支那海が「友好の海」になることはまい。中国が「中華民族の偉大なる復興」という覇権主義政策に基づき南支那海、台湾海峡、そして東支那海を制覇するという野望を放棄しない限り、尖閣諸島が脅かされる状況は終わらないのに、この問題に関しどのような「建設的な議論」があったというのだ。
これまで中国からタカ派、右翼と罵られてきた安倍政権も、すでにこのような状況に陥る中、今や日本国内の反中世論こそ、日本の主権を守る最後の砦と言えるかもしれない。そして中国は、この砦に対してだけは全く攻めきれずにいる。
したがってこうした世論を強化し、安倍政権の中国迎合路線を牽制するが重要だ。習氏の来日に反対する声もさらにいっそう盛り上げなくてはならない。
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