台湾人は日本政府の冷淡さになぜ怒らない―台湾対日世論調査の結果に思う(3)
2019/11/18/Mon
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公益財団法人日本台湾交流協会がこのほど発表した「2018年度 対日世論調査」により、一般の台湾人の多くが日本に対し好感を抱いていることがわかった。しかしそこで気になるのは、それほど親日的な台湾人が、日台関係の深化に猛反発する中国への配慮で台湾に冷淡、あるいは非礼な態度を見せる日本政府をどう見ているかだ。果たしてそういった「媚中侮台」は台湾人の日本への友情にどのような負の影響を及ぼしているのだろうか。
■わずかながらも日本を嫌う回答も
今回の調査における「日本に対してどのようなイメージを持っていますか(複数回答可)」との質問に対し、以下の結果が見られたことは前回書いたとおりだ。
「きまりを守る国」74%
「自然の美しい国」72%
「豊かな伝統と文化を持つ国」69%
「経済力・技術力の高い国」68%
「平和な国」51%
「民主的な国」50%
「クール・おしゃれな国」27%
どれもがプラスのイメージだが、実はその他にも、低い比率ながら次のような回答も並んでいたのだ。
「影響力を失いつつある国」23%
「傲慢な国」17%
「好戦的な国」16%
「警戒を要する国」15%
「理解し難い国」13%
「閉鎖的な国」13%
「国際貢献に消極的な国」12%
「その他」1%
「その他」を除けば、どれも芳しからざるイメージだ。これらは日本政府の「媚中侮台」が災いしたものか。「侮台」行為があれば「傲慢な国」と言われてもやむを得まい。

あくまで私の想像だが、このように「傲慢」「好戦的」「閉鎖的」などと嫌悪感を示したのは、台湾の人口の約一割前後を占める中国系の中華民族主義者が中心ではないか。たまに日本でも報道されるので記憶ある人も多いだろうが、尖閣諸島問題や慰安婦問題等々で抗議デモを行う反日勢力のことだ。一般の台湾人とは感覚が懸け離れた回答なので、そう感じるのである。
もしあの勢力なら、日本が「媚中侮台」であろうがなかろうが、つねにこんな反日的な回答だろう。日本の「媚中」を見ても、それを批判するというより、逆に満足するのかもしれない。
■日本に信頼を寄せる理由とは
次に「日本は信頼できる国と考えますか」との質問への回答も見てみたい。
「非常に信頼できる」10%、「信頼できる」40%と、合計で50%が日本に信頼を寄せている。
「どちらとも言えない」は40%だ。
「信頼できない」7%、「非常に信頼できない」2%で、9%が日本を信頼していない。約一割だから、これも多くは例の中国系の反日層だろう。

「なぜ日本は(非常に)信頼できる国であると考えますか(複数回答可)」の設問には、「自由・民主主義・基本的人権・法の支配といった共通の価値観」が68%で最高。それに「慎重な国民性」(58%)、「文化面での共通性」(54%)、「長い交流の歴史」(53%)、「地理的近さ」(52%)と続いている。
それに対して「なぜ信頼できない国であると考えますか(複数回答可)」との問いには、「過去の歴史的経緯」が最多の86%。それに次ぐ「経済面・技術面での競争関係」の34%を大きく引き離した。
中国系がこだわる「過去の歴史的経緯」とは、日本の台湾統治と言う以上に、中国と日本との戦争の「経緯」のことだろう。
回答の選択肢に「侮台」はないので何とも言えない。「実際に裏切られたことがある」との回答は28%。この「裏切り」には「侮台」姿勢は含まれるのだろうか。たとえそうだとしても、この数値は全体から見ればごく少数。「侮台」は「信頼できない」の理由にはさほどなっていないようだ。
しかしもし日本政府が「媚中侮台」の姿勢を改めるなら、「どちらとも言えない」の数値は下がり、「信頼できる」のそれが上がることは間違いないと思う。
■日中友好より日中対立を心配する台湾人
「日台間で最も心配している案件は以下のどれですか」の問いに対し、「日本と中国との関係」との回答が33%で最多だ。
そしてその回答者の32%が「日中関係の過度な対立による台湾への不利な影響」を「最も心配」している。それに対して「過度に緊密な日中関係による台湾への不利な影響」を「最も心配」するのが24%。
その24%には「日中の過度に緊密した外交関係による日台関係の発展及び台湾の国際的地位への影響」を「最も心配」する14%が含まれる。日本政府の「媚中侮台」を「最も心配」する層がこれであろう。
つまり日中対立を懸念する人の方が、日中の緊密化を懸念する人より多く、日本の「媚中侮台」を深刻にとらえる人は、この程度であるということだ。
台湾人は日本の冷淡な態度に、あまり痛痒を感じないのか。それは台湾人が国際情勢に鈍感ということだろうか。それとも日本政府の態度がどうあれ、台湾への影響は小さいと認識され、人々からは歯牙にも掛けられていないということか。
■関心も持たれない日本の「政治」
「現在の日台関係をどう思いますか」との質問では、
「大変良い」11%で「良い」42%は。従って53%が良好と考えている。
「どちらともいえない」43%
「悪い」が3%で「大変悪い」が1%。合計でわずか4%が悪いとしている。
以上を見ても、台湾人の多くは、やはり日本政府の「媚中侮台」をあまり気にしていないように思える。
ここで振り返りたいのは、前々回に見たように、「日本のどの分野に関心がありますか(複数回答可)」との問いに対しする反応だ。半数以上の人が「観光」「食文化」「日本人の精神・哲学」「自然風土」「現代文化・ポップカルチャー」を挙げているが、これに対して「政治」に関心があるとの回答はわずか6%だった。
つまり、台湾人は日本の政治にはあまり興味がないし、期待もしていないということなのだろう。
台湾政策と言うものを持たない日本政府に、中国ばかりに目が向いていた日本の政治家に期待などしないのは当然のことだ。
台湾人は日本の政治にはあまり詳しくないから、中国に歩調を合わせる台湾国内の反日メディアによる反日報道に簡単に惑わされるケースもよく見られる。
たとえば平和安全法制の整備は日米同盟を強化するものであり、台湾の安全保障には大いに役立つものだが、多くの台湾人は、日本は「戦争法」を制定したとの反日報道(宣伝)を鵜呑みにし、それによって引き起こされる日中戦争に台湾も巻き込まれるかもしれないと警戒していた。
「日本は信頼できるか」と聞かれれば「はい」と答える台湾人は、「日本政府は信頼できるか」と聞かれたら、何と答えるのか。
(つづく)
感動!こんなに日本に友情を抱く国―台湾「対日世論調査」の結果に思う (1) 19/11/15
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3385.html
戦後派台湾人も「日本人の精神」に関心―台湾「対日世論調査」の結果に思う (2) 19/11/17
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3386.html
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■わずかながらも日本を嫌う回答も
今回の調査における「日本に対してどのようなイメージを持っていますか(複数回答可)」との質問に対し、以下の結果が見られたことは前回書いたとおりだ。
「きまりを守る国」74%
「自然の美しい国」72%
「豊かな伝統と文化を持つ国」69%
「経済力・技術力の高い国」68%
「平和な国」51%
「民主的な国」50%
「クール・おしゃれな国」27%
どれもがプラスのイメージだが、実はその他にも、低い比率ながら次のような回答も並んでいたのだ。
「影響力を失いつつある国」23%
「傲慢な国」17%
「好戦的な国」16%
「警戒を要する国」15%
「理解し難い国」13%
「閉鎖的な国」13%
「国際貢献に消極的な国」12%
「その他」1%
「その他」を除けば、どれも芳しからざるイメージだ。これらは日本政府の「媚中侮台」が災いしたものか。「侮台」行為があれば「傲慢な国」と言われてもやむを得まい。

あくまで私の想像だが、このように「傲慢」「好戦的」「閉鎖的」などと嫌悪感を示したのは、台湾の人口の約一割前後を占める中国系の中華民族主義者が中心ではないか。たまに日本でも報道されるので記憶ある人も多いだろうが、尖閣諸島問題や慰安婦問題等々で抗議デモを行う反日勢力のことだ。一般の台湾人とは感覚が懸け離れた回答なので、そう感じるのである。
もしあの勢力なら、日本が「媚中侮台」であろうがなかろうが、つねにこんな反日的な回答だろう。日本の「媚中」を見ても、それを批判するというより、逆に満足するのかもしれない。
■日本に信頼を寄せる理由とは
次に「日本は信頼できる国と考えますか」との質問への回答も見てみたい。
「非常に信頼できる」10%、「信頼できる」40%と、合計で50%が日本に信頼を寄せている。
「どちらとも言えない」は40%だ。
「信頼できない」7%、「非常に信頼できない」2%で、9%が日本を信頼していない。約一割だから、これも多くは例の中国系の反日層だろう。

「なぜ日本は(非常に)信頼できる国であると考えますか(複数回答可)」の設問には、「自由・民主主義・基本的人権・法の支配といった共通の価値観」が68%で最高。それに「慎重な国民性」(58%)、「文化面での共通性」(54%)、「長い交流の歴史」(53%)、「地理的近さ」(52%)と続いている。
それに対して「なぜ信頼できない国であると考えますか(複数回答可)」との問いには、「過去の歴史的経緯」が最多の86%。それに次ぐ「経済面・技術面での競争関係」の34%を大きく引き離した。
中国系がこだわる「過去の歴史的経緯」とは、日本の台湾統治と言う以上に、中国と日本との戦争の「経緯」のことだろう。
回答の選択肢に「侮台」はないので何とも言えない。「実際に裏切られたことがある」との回答は28%。この「裏切り」には「侮台」姿勢は含まれるのだろうか。たとえそうだとしても、この数値は全体から見ればごく少数。「侮台」は「信頼できない」の理由にはさほどなっていないようだ。
しかしもし日本政府が「媚中侮台」の姿勢を改めるなら、「どちらとも言えない」の数値は下がり、「信頼できる」のそれが上がることは間違いないと思う。
■日中友好より日中対立を心配する台湾人
「日台間で最も心配している案件は以下のどれですか」の問いに対し、「日本と中国との関係」との回答が33%で最多だ。
そしてその回答者の32%が「日中関係の過度な対立による台湾への不利な影響」を「最も心配」している。それに対して「過度に緊密な日中関係による台湾への不利な影響」を「最も心配」するのが24%。
その24%には「日中の過度に緊密した外交関係による日台関係の発展及び台湾の国際的地位への影響」を「最も心配」する14%が含まれる。日本政府の「媚中侮台」を「最も心配」する層がこれであろう。
つまり日中対立を懸念する人の方が、日中の緊密化を懸念する人より多く、日本の「媚中侮台」を深刻にとらえる人は、この程度であるということだ。
台湾人は日本の冷淡な態度に、あまり痛痒を感じないのか。それは台湾人が国際情勢に鈍感ということだろうか。それとも日本政府の態度がどうあれ、台湾への影響は小さいと認識され、人々からは歯牙にも掛けられていないということか。
■関心も持たれない日本の「政治」
「現在の日台関係をどう思いますか」との質問では、
「大変良い」11%で「良い」42%は。従って53%が良好と考えている。
「どちらともいえない」43%
「悪い」が3%で「大変悪い」が1%。合計でわずか4%が悪いとしている。
以上を見ても、台湾人の多くは、やはり日本政府の「媚中侮台」をあまり気にしていないように思える。
ここで振り返りたいのは、前々回に見たように、「日本のどの分野に関心がありますか(複数回答可)」との問いに対しする反応だ。半数以上の人が「観光」「食文化」「日本人の精神・哲学」「自然風土」「現代文化・ポップカルチャー」を挙げているが、これに対して「政治」に関心があるとの回答はわずか6%だった。
つまり、台湾人は日本の政治にはあまり興味がないし、期待もしていないということなのだろう。
台湾政策と言うものを持たない日本政府に、中国ばかりに目が向いていた日本の政治家に期待などしないのは当然のことだ。
台湾人は日本の政治にはあまり詳しくないから、中国に歩調を合わせる台湾国内の反日メディアによる反日報道に簡単に惑わされるケースもよく見られる。
たとえば平和安全法制の整備は日米同盟を強化するものであり、台湾の安全保障には大いに役立つものだが、多くの台湾人は、日本は「戦争法」を制定したとの反日報道(宣伝)を鵜呑みにし、それによって引き起こされる日中戦争に台湾も巻き込まれるかもしれないと警戒していた。
「日本は信頼できるか」と聞かれれば「はい」と答える台湾人は、「日本政府は信頼できるか」と聞かれたら、何と答えるのか。
(つづく)
感動!こんなに日本に友情を抱く国―台湾「対日世論調査」の結果に思う (1) 19/11/15
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戦後派台湾人も「日本人の精神」に関心―台湾「対日世論調査」の結果に思う (2) 19/11/17
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