中国への配慮かー産経の台湾報道の不可解な部分
2018/09/12/Wed
終戦後に日本へ亡命し、台湾独立運動の道を開いた指導者、故王育徳氏の記念館が、故郷の台南市で完成した。
この台湾独立運動とは、戦後の中華民国体制からの独立建国を目指すものである。しかし残念ながら多くの日本人は、台湾独立とは中華人民共和国からの独立だと誤解している。「台湾はすでに独立しているのだから、独立を主張するのはおかしい」との声も少なくないが、それもそうした勘違いに基づくものだろう。
ではなぜそうした誤解が広がっているのか。
それは台湾を中国領土と認めず、中国統一(台湾併呑の美称!)を拒否する台湾人勢力を、中華人民共和国政府が自国からの分離独立を企てる台独派などと呼んで罵倒していることが最大原因である。また日本のマスメディアも誤って(それとも故意に?)、そうした事実に符合しない「定義」に基づく報道を続けている影響も大きい。
それはともかく、この偉人の記念館の開館式の模様を産経新聞が九月九日に報道した。
日本のメディアは従来、おそらく不必要に中国に嫌われたくないとでも思っているのだろう、あまり台湾独立運動について取り上げてこなかったのだが、産経は最近、そうした報道を増やしているように見える。
今回も見出しは「台南に台湾独立運動家の記念館 亡命先の日本で生涯終える」。別に台湾独立の真義を説明しているわけではないが、しかしこの報道によって王育徳氏への関心が高まり、台湾独立運動への理解も深まって行けばといいと思う。
ただこの記事には、どうも気になる部分もある。それは以下のくだりである。
―――戦後、日本に亡命し「台湾独立」運動に注力した台湾の言語学者、王育徳(1924~85)の記念館が出身地の南部・台南市に完成し命日の9日、開館式が行われた。
台湾独立の四文字が鍵括弧で括られているではないか。見出しでの四文字には括弧がないが、本文中の括弧には何か特別の意味でもあるのだろうか。
必ず意味があるはずである。しかしどう読んでも、なぜ括弧を用いるのかがわからないのだ。

そればかりでない。実はそうした表記は、中国の公文書や報道記事で決まって用いられるものでもあるのである。
昨年中国の国営新華社通信が公布し、台湾で大きな話題となった「新華社ニュース情報報道における禁用詞および慎用詞」を見てみよう。これは言論統制を目的とした国内メディアの報道表現の指南書だが、その第七十一項にはこうある。

―――“台独”の性質を具える政治述語には引用符を付さなくてはならない。例えば“台独”“台湾独立”“台湾地位未定”“台湾住民自決”“台湾主権独立”“去中国化(脱中国化)”“法理独立”“太陽花学運(ひまわり学生運動)”のようにだ。
その語句のどれもが、中国政府には抹殺したくてならないものばかりではないか。そこでこれらをどうしても報道で使用しなければならない場合は、それぞれを引用符(“”)で囲み、その正当性を否定せよと指導しているわけだ。
例えば“台湾独立”と表記すれば、すなわち「いわゆる台湾独立」との意味になる。“台湾住民自決”との表記も「俗にいう台湾住民自決」の意となろう。
このように中国の御用メディアは、こうした国策に基づく言論統制をつねに受けているわけだが、日本メディアもそうした統制下に組み込まれているのは周知の事実だ。台湾報道など、中国の「検閲」を気にした内容としか思えないものはいくらでもある(例えば台湾の中国領土扱いだなど)。
だから産経の今回の記事も、やはりあの国の指導を受け入れ、台湾独立の四字にわざわざ括弧を付したのではないかと疑ってしまうのだ。
実は産経は七月二十日配信の「『中国・五星紅旗の禁止を』 台湾・独立派が住民投票申請、“統一工作”に反発」と題する記事でも、同じことをやっているのだ。
―――台湾で中国による統一工作への反発から、中国国旗の掲揚禁止を求める動きが出ている。「台湾独立」派団体が禁止法制定を求める住民投票を申請し、中央選挙委員会が今月末にも可否を判断する。

このように「台湾独立」派、と書く一方、下のような表現も。独立派の対極に位置する統一派の統一の二文字には括弧がないのだ。
―――統一派団体「中華愛国同心会」が20日、総統府前で開いた集会では、約40人が中国国旗「五星紅旗」を掲げて行進した。
ただこの記事では、独立派の独立の二文字にも括弧を付けていない。だから統一派の統一に括弧がなくても、別におかしくはないのかもしれない。しかしもし、中国統一という四文字を書くなら、やはり「台湾独立」の如く括弧で括り、「中国統一」と表記してバランスをとるのだろうか。
実は産経は、中国統一ではなく中台統一という表現を好んで使っている様子だ。しかし私が見た限り、そこに括弧は付けていない。中国統一であれ中台統一であれ、中国から「禁用詞」や「慎用詞」に指定されていないのだから、一々付けないのは当然というべきか。
以上のような産経による不可解な括弧付けは、もしかしたら「台湾独立運動について報道はするが、決してそれを肯定も支持も致しません。だから怒らないでください」との中国へのメッセージかもしれない。
台湾独立運動は、国際法で認められる台湾の住民自決の理念に基づき、中華民国亡命政権の不法、不条理な台湾支配に対し、命がけで抵抗してきた崇高な解放運動なのである。だから産経はそれに言及する時は、「俗に言う台湾独立運動」との意味にも受けとることができる表記は、今後やめてはどうだろう。
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日時 9月16日(日)13~16時 ※雨天中止
場所 JR池袋駅東口前
主催 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)、在日台湾同協会、美麗島交流会
協力 2020東京五輪「台湾正名」推進協議会
連絡先 070-6484-2624
■全国の皆さん、台湾正名請願署名にご協力ください!
http://www.ganbare-nippon.net/PDF/2020taiwanshomei
この台湾独立運動とは、戦後の中華民国体制からの独立建国を目指すものである。しかし残念ながら多くの日本人は、台湾独立とは中華人民共和国からの独立だと誤解している。「台湾はすでに独立しているのだから、独立を主張するのはおかしい」との声も少なくないが、それもそうした勘違いに基づくものだろう。
ではなぜそうした誤解が広がっているのか。
それは台湾を中国領土と認めず、中国統一(台湾併呑の美称!)を拒否する台湾人勢力を、中華人民共和国政府が自国からの分離独立を企てる台独派などと呼んで罵倒していることが最大原因である。また日本のマスメディアも誤って(それとも故意に?)、そうした事実に符合しない「定義」に基づく報道を続けている影響も大きい。
それはともかく、この偉人の記念館の開館式の模様を産経新聞が九月九日に報道した。
日本のメディアは従来、おそらく不必要に中国に嫌われたくないとでも思っているのだろう、あまり台湾独立運動について取り上げてこなかったのだが、産経は最近、そうした報道を増やしているように見える。
今回も見出しは「台南に台湾独立運動家の記念館 亡命先の日本で生涯終える」。別に台湾独立の真義を説明しているわけではないが、しかしこの報道によって王育徳氏への関心が高まり、台湾独立運動への理解も深まって行けばといいと思う。
ただこの記事には、どうも気になる部分もある。それは以下のくだりである。
―――戦後、日本に亡命し「台湾独立」運動に注力した台湾の言語学者、王育徳(1924~85)の記念館が出身地の南部・台南市に完成し命日の9日、開館式が行われた。
台湾独立の四文字が鍵括弧で括られているではないか。見出しでの四文字には括弧がないが、本文中の括弧には何か特別の意味でもあるのだろうか。
必ず意味があるはずである。しかしどう読んでも、なぜ括弧を用いるのかがわからないのだ。

そればかりでない。実はそうした表記は、中国の公文書や報道記事で決まって用いられるものでもあるのである。
昨年中国の国営新華社通信が公布し、台湾で大きな話題となった「新華社ニュース情報報道における禁用詞および慎用詞」を見てみよう。これは言論統制を目的とした国内メディアの報道表現の指南書だが、その第七十一項にはこうある。

―――“台独”の性質を具える政治述語には引用符を付さなくてはならない。例えば“台独”“台湾独立”“台湾地位未定”“台湾住民自決”“台湾主権独立”“去中国化(脱中国化)”“法理独立”“太陽花学運(ひまわり学生運動)”のようにだ。
その語句のどれもが、中国政府には抹殺したくてならないものばかりではないか。そこでこれらをどうしても報道で使用しなければならない場合は、それぞれを引用符(“”)で囲み、その正当性を否定せよと指導しているわけだ。
例えば“台湾独立”と表記すれば、すなわち「いわゆる台湾独立」との意味になる。“台湾住民自決”との表記も「俗にいう台湾住民自決」の意となろう。
このように中国の御用メディアは、こうした国策に基づく言論統制をつねに受けているわけだが、日本メディアもそうした統制下に組み込まれているのは周知の事実だ。台湾報道など、中国の「検閲」を気にした内容としか思えないものはいくらでもある(例えば台湾の中国領土扱いだなど)。
だから産経の今回の記事も、やはりあの国の指導を受け入れ、台湾独立の四字にわざわざ括弧を付したのではないかと疑ってしまうのだ。
実は産経は七月二十日配信の「『中国・五星紅旗の禁止を』 台湾・独立派が住民投票申請、“統一工作”に反発」と題する記事でも、同じことをやっているのだ。
―――台湾で中国による統一工作への反発から、中国国旗の掲揚禁止を求める動きが出ている。「台湾独立」派団体が禁止法制定を求める住民投票を申請し、中央選挙委員会が今月末にも可否を判断する。

このように「台湾独立」派、と書く一方、下のような表現も。独立派の対極に位置する統一派の統一の二文字には括弧がないのだ。
―――統一派団体「中華愛国同心会」が20日、総統府前で開いた集会では、約40人が中国国旗「五星紅旗」を掲げて行進した。
ただこの記事では、独立派の独立の二文字にも括弧を付けていない。だから統一派の統一に括弧がなくても、別におかしくはないのかもしれない。しかしもし、中国統一という四文字を書くなら、やはり「台湾独立」の如く括弧で括り、「中国統一」と表記してバランスをとるのだろうか。
実は産経は、中国統一ではなく中台統一という表現を好んで使っている様子だ。しかし私が見た限り、そこに括弧は付けていない。中国統一であれ中台統一であれ、中国から「禁用詞」や「慎用詞」に指定されていないのだから、一々付けないのは当然というべきか。
以上のような産経による不可解な括弧付けは、もしかしたら「台湾独立運動について報道はするが、決してそれを肯定も支持も致しません。だから怒らないでください」との中国へのメッセージかもしれない。
台湾独立運動は、国際法で認められる台湾の住民自決の理念に基づき、中華民国亡命政権の不法、不条理な台湾支配に対し、命がけで抵抗してきた崇高な解放運動なのである。だから産経はそれに言及する時は、「俗に言う台湾独立運動」との意味にも受けとることができる表記は、今後やめてはどうだろう。
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場所 JR池袋駅東口前
主催 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)、在日台湾同協会、美麗島交流会
協力 2020東京五輪「台湾正名」推進協議会
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