断交連鎖の台湾も日米がいれば安泰だーエルサルバドルの「一つの中国」承認は意味なし
2018/08/22/Wed
■何の罪なき台湾と断交したエルサルバドル
エルサルバドルのサンチェス大統領は八月二十一日、「本日、台湾と断交し中華人民共和国との国交樹立を決定した」と宣言。

台湾との断交を一方的に宣言するエルサルバドル大統領
これを受け日本では「中国からの圧力か」(朝日新聞)との速報の見出しも見られたが、もちろんその「圧力」の結果である。我が国と国交を結んで経済支援を受けたくば台湾と断交せよ、という中国の外交「圧力」があるからこそ、エルサルバドルは何の罪もなき台湾に対し、一方的な断交を通告したのである。中国という覇権国家と付き合うとすれば、往々にしてこうした道義に悖る行為に出なければならなくなるものだ。

両国の外相が調印した国交樹立の共同声明には、エ国が台湾を中国領土と承認するとある
今回の断交事件に関し、産経新聞は次のように報じている。
―――中国の王毅国務委員兼外相と中米エルサルバドルのカスタネダ外相は21日、北京で会談し、両国が同日国交を樹立するとの共同声明に署名した。エルサルバドルは台湾と断交。蔡英文政権に軍事・外交圧力を強める習近平指導部は、台湾との連携を強めるトランプ米政権の動きをにらみながら、「断交ドミノ」による攻勢を続ける構えだ。
そして以下のようにも。
―――共同声明では、エルサルバドルが「世界に中国は一つ」で、台湾は中国の不可分の領土などとする「一つの中国」原則を承認した。
ここで考えてみたいのは、この“エルサルバドルが台湾は中国の不可分の領土とする「一つの中国」原則を承認した”ということについてだ。
■「一つの中国」承認に何の法的効果もなし
こうした「承認」を極めて重視するのが中国政府だ。対台湾工作を管轄する国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光などはこう強調している。
「『一つの中国』原則の堅持は国際社会の普遍的なコンセンサスであり、民心の赴くところであり、大勢の向かうところであることが再度証明された」
だが実際には、エルサルバドルであれ中国であれ、あるいはその他の国であれ、「台湾は中国の不可分の領土」と承認しても、そんな「承認」に何の法的効果もないのである。
それは、何の権限も持たない甲が、乙の所有物を勝手に丙の物と承認しても、それだけで所有権が丙に移らないのと同じ理屈だ。

エ国が台湾を中国領土と承認しても、それに何の法的効果もない
もしエルサルバドルが台湾の島を領有しているのであれば、台湾を煮て食おうと焼いて食おうと同国の勝手だ。領土処分の権限があるのだから、中国に割譲し中国領土だと承認することは可能である。しかし実際には台湾は人様の土地なのだから、エルサルバドルが何をどう「承認」したところで、台湾の主権はその住民にしか帰属しないという事実に何の影響も及ぼさないのである。
■「一つの中国」という中国の弱点隠しの宣伝
もっとも「承認」の行為が、今回国台弁が実際に「『一つの中国』原則の堅持は国際社会の普遍的コンセンサスだ」と豪語したように、中国側の政治宣伝に利用されることは避けられない。
ちなみに今回の国交樹立の結果、中国と外交関係を持つ国は百七十六カ国で、国交樹立の共同コミュニケにおいて台湾を中国領土と「承認する」と表明したのはエルサルバドルが四十八カ国目だ。こうした「承認」表明国の多くは九〇年代以降、中国の巨額の金銭援助に釣られて国交を結んだ小国だ。
このように中国の言いなりとなって宣伝に利用される方もされる方だが、利用する方もする方だ。中国がここまで「一つの中国」を繰り返し強調するのは、その考えが虚構であることを隠蔽したいからに他ならない。
つまり弱点を隠すための大騒ぎ、といったところだが、こんな虚構宣伝に騙され続ける者は、日本でも少なくない。
■金のかかる友邦から解放されるという利点
さて産経が言うところの「台湾との連携を強めるトランプ米政権の動き」を睨みながらの中国の「『断交ドミノ』による攻勢」だが、実際には台湾と国交を持つ国のほとんどは国際的影響力の小さい小国ばかりであり、「断交」が台湾にもたらす影響も決して大きくはない。
むしろ国交を維持のための中国との経済援助競争から解放されるのをよしとする意見も台湾では多い。かつてエルサルバドルに滞在したことのある私の台湾の友人は同国に関し、「病院も公園も警察も台湾の資金で建てられ、警察車両まで台湾が買って与えていたのが印象に残る。金銭で維持してきた友情を金で奪われただけだ」と話すが、そういった見方が今台湾では広がっているのである。
■台湾はインド太平洋を守る要
「台湾との連携を強めるトランプ米政権の動き」、つまり米国の台湾に対する準国家、準同盟国としての扱いが続くかぎり、小国群との「断交ドミノ」が台湾の存在を大きく脅かすことはないだろう。
日本もまた米国に倣い、国交はないまでも台湾とは更なる関係強化を進めるべきではないか。何しろ日本と台湾とは中国の脅威の前では生命共同体なのだから、それは当然のことである。
これまで日本も「台湾は中国領土」であると承認はしていないものの、そうした考えに対し「十分理解し尊重」(日中共同声明)するなどとし、台湾への接近には消極的だったが、今後はこういった姿勢を改めるべきだ。
中国の台湾侵略を正当化するための「一つの中国」宣伝は、あの国の脅威の増大に伴い、そろそろ日本の首をも絞め始めつつあるのだから。
台湾と日米との関係強化は、台湾を守り日本を守り、そしてインド太平洋を守ることとなる。
【過去の関連記事】
断交連鎖の台湾も日米がいれば安泰だ 18/05/25
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3304.html
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~東京オリンピックに「台湾」の名称で参加を!

13時00分~16時00分(雨天中止)
場所 池袋駅東口
主催 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)
後援 2020東京五輪「台湾正名」推進協議会
連絡先 070-6484‐2624
エルサルバドルのサンチェス大統領は八月二十一日、「本日、台湾と断交し中華人民共和国との国交樹立を決定した」と宣言。

台湾との断交を一方的に宣言するエルサルバドル大統領
これを受け日本では「中国からの圧力か」(朝日新聞)との速報の見出しも見られたが、もちろんその「圧力」の結果である。我が国と国交を結んで経済支援を受けたくば台湾と断交せよ、という中国の外交「圧力」があるからこそ、エルサルバドルは何の罪もなき台湾に対し、一方的な断交を通告したのである。中国という覇権国家と付き合うとすれば、往々にしてこうした道義に悖る行為に出なければならなくなるものだ。

両国の外相が調印した国交樹立の共同声明には、エ国が台湾を中国領土と承認するとある
今回の断交事件に関し、産経新聞は次のように報じている。
―――中国の王毅国務委員兼外相と中米エルサルバドルのカスタネダ外相は21日、北京で会談し、両国が同日国交を樹立するとの共同声明に署名した。エルサルバドルは台湾と断交。蔡英文政権に軍事・外交圧力を強める習近平指導部は、台湾との連携を強めるトランプ米政権の動きをにらみながら、「断交ドミノ」による攻勢を続ける構えだ。
そして以下のようにも。
―――共同声明では、エルサルバドルが「世界に中国は一つ」で、台湾は中国の不可分の領土などとする「一つの中国」原則を承認した。
ここで考えてみたいのは、この“エルサルバドルが台湾は中国の不可分の領土とする「一つの中国」原則を承認した”ということについてだ。
■「一つの中国」承認に何の法的効果もなし
こうした「承認」を極めて重視するのが中国政府だ。対台湾工作を管轄する国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光などはこう強調している。
「『一つの中国』原則の堅持は国際社会の普遍的なコンセンサスであり、民心の赴くところであり、大勢の向かうところであることが再度証明された」
だが実際には、エルサルバドルであれ中国であれ、あるいはその他の国であれ、「台湾は中国の不可分の領土」と承認しても、そんな「承認」に何の法的効果もないのである。
それは、何の権限も持たない甲が、乙の所有物を勝手に丙の物と承認しても、それだけで所有権が丙に移らないのと同じ理屈だ。

エ国が台湾を中国領土と承認しても、それに何の法的効果もない
もしエルサルバドルが台湾の島を領有しているのであれば、台湾を煮て食おうと焼いて食おうと同国の勝手だ。領土処分の権限があるのだから、中国に割譲し中国領土だと承認することは可能である。しかし実際には台湾は人様の土地なのだから、エルサルバドルが何をどう「承認」したところで、台湾の主権はその住民にしか帰属しないという事実に何の影響も及ぼさないのである。
■「一つの中国」という中国の弱点隠しの宣伝
もっとも「承認」の行為が、今回国台弁が実際に「『一つの中国』原則の堅持は国際社会の普遍的コンセンサスだ」と豪語したように、中国側の政治宣伝に利用されることは避けられない。
ちなみに今回の国交樹立の結果、中国と外交関係を持つ国は百七十六カ国で、国交樹立の共同コミュニケにおいて台湾を中国領土と「承認する」と表明したのはエルサルバドルが四十八カ国目だ。こうした「承認」表明国の多くは九〇年代以降、中国の巨額の金銭援助に釣られて国交を結んだ小国だ。
このように中国の言いなりとなって宣伝に利用される方もされる方だが、利用する方もする方だ。中国がここまで「一つの中国」を繰り返し強調するのは、その考えが虚構であることを隠蔽したいからに他ならない。
つまり弱点を隠すための大騒ぎ、といったところだが、こんな虚構宣伝に騙され続ける者は、日本でも少なくない。
■金のかかる友邦から解放されるという利点
さて産経が言うところの「台湾との連携を強めるトランプ米政権の動き」を睨みながらの中国の「『断交ドミノ』による攻勢」だが、実際には台湾と国交を持つ国のほとんどは国際的影響力の小さい小国ばかりであり、「断交」が台湾にもたらす影響も決して大きくはない。
むしろ国交を維持のための中国との経済援助競争から解放されるのをよしとする意見も台湾では多い。かつてエルサルバドルに滞在したことのある私の台湾の友人は同国に関し、「病院も公園も警察も台湾の資金で建てられ、警察車両まで台湾が買って与えていたのが印象に残る。金銭で維持してきた友情を金で奪われただけだ」と話すが、そういった見方が今台湾では広がっているのである。
■台湾はインド太平洋を守る要
「台湾との連携を強めるトランプ米政権の動き」、つまり米国の台湾に対する準国家、準同盟国としての扱いが続くかぎり、小国群との「断交ドミノ」が台湾の存在を大きく脅かすことはないだろう。
日本もまた米国に倣い、国交はないまでも台湾とは更なる関係強化を進めるべきではないか。何しろ日本と台湾とは中国の脅威の前では生命共同体なのだから、それは当然のことである。
これまで日本も「台湾は中国領土」であると承認はしていないものの、そうした考えに対し「十分理解し尊重」(日中共同声明)するなどとし、台湾への接近には消極的だったが、今後はこういった姿勢を改めるべきだ。
中国の台湾侵略を正当化するための「一つの中国」宣伝は、あの国の脅威の増大に伴い、そろそろ日本の首をも絞め始めつつあるのだから。
台湾と日米との関係強化は、台湾を守り日本を守り、そしてインド太平洋を守ることとなる。
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断交連鎖の台湾も日米がいれば安泰だ 18/05/25
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