台湾人を怒らす産経報道―「中国の反発」が何だと言うか
2017/08/20/Sun
ある日本在住の台湾人女性は、八月十五日付の産経新聞を開いて憤った。「台湾、モンゴル・チベット委を廃止へ 中国反発の可能性も」との見出しにだ。
記事は次のような内容だ。
―――台湾の行政院(内閣に相当)の徐国勇報道官は14日、週内にも決定する来年度予算案で、「蒙蔵(モンゴル・チベット)委員会」の関連予算を計上しないことを明らかにした。組織廃止法案も近く立法院(国会)に提出する。同委員会は台湾当局が中国大陸を統治することを前提とした組織で、廃止は中国側が「台湾独立に向けた動きだ」として反発する可能性がある。

■台湾にも非があると言いたいのか
この蒙蔵委員会なる役所が未だ存続していることにこそ驚くべきである。
そもそもこれは清国の旧版図を全て我が物にと狙った蒋介石の国民党の中華民国政権が、清国の理藩院(モンゴル、チベットなどの藩部を管轄)に倣って設けたもの。このようにして支配もしていないモンゴル、チベットの領有権を主張したのである。
そして同政権は台湾への亡命後もこの機関を維持し、現在の中華人民共和国とモンゴル国を合わせた領域を中華民国の領土だと、国民党は言い張ってきた。
国連に加盟できない台湾が、これら二つの加盟国を我が領土と強調する辺りが、まさに中華民国体制の滑稽さだが、その滑稽さの象徴の一つたるこの官庁が廃止されるというのだから、それはそれで台湾の国家正常化へのささやかな一歩。国の未来を想う台湾人には喜ばしいことだ。モンゴル国への非礼もこれで大きく解消されるだろう。
しかし産経は、そうした「朗報」の意義を伝えることもなく、中国の「反発」の可能性ばかりを強調したのである。
これでは「台湾は中国を挑発し、緊張を高めるトラブルメーカー」との印象を読者に与えかねないではないか。この台湾人女性はそれを心配しているのである。
■中国政府は一々「反発」を見せていない
トラブルメーカーというなら、一方的に台湾侵略の野心を捨てない中国こそがそれである。今回の見出しが、そうした現状を明確に伝えず、逆に台湾にも非があるかのような誤解を日本社会にもたらさないなどとは誰も言えないだろう。
中国はつねに、現在の民進党政権を「トラブルメーカー(麻煩製造者)」との汚名を押し付け、そしてそれに国民党が呼応し、さらには産経を含む日本のマスメディアも、それに同調してきた。中でも特に産経にはそうした傾向が見られ(その事例は本ブログもこれまでしばしば取り上げている)、在日台湾人の間では評判が悪い。
ところで、実際に中国政府はどう「反発」したかだが、すでに五月の段階で「我々は台湾方面の内部調整について論評はしない」(国務院台湾事務弁公室報道官) と表明している。
要するに、この程度のことで一々「反発」しないというわけだ。なぜならそれをやっては徒に台湾国民を「反発」させ、自ら「トラブルメーカー」だというようなものだ。そういったことをあの国が警戒していないはずはない。
■中国に配慮する国民党と同じセリフ
しかしそのような時に蠢くのが中国の代弁者だ。国民党である。
同党の副秘書長で国会議員団総召集人ある林徳福氏は十四日、「現状維持で蒙蔵委員会は存続させ、大陸(中国を指す)に『法理的な台湾独立の動きだ』と思わせないことだ。対岸(同)とは強調し合い、経済振興を図るのが最重要」と訴えている。
まさか産経は、このセリフに歩調を合わせ、「中国側が『台湾独立に向けた動きだ』として反発する可能性がある」と書いたのか。同紙は確かに国民党の代弁記事のようなものを随分載せてきたが。
最後にもう一つ触れよう。その台湾人女性はさらに、この記事が台湾政府を「台湾当局」と呼び変えることも気に入らない。それは中国が台湾政府を自国内部の偽政権、地方政権と位置付けるために用いる呼称と同じだからである。
産経が中国、韓国、北朝鮮など反日国家から蛇蝎の如く嫌われているのは評価に値するが、しかし親日国台湾の人々から不信感を抱かれるのはどのようなものか。
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連署漢語説明 http://2020taiwan-seimei.tokyo/petition_tw.html
記事は次のような内容だ。
―――台湾の行政院(内閣に相当)の徐国勇報道官は14日、週内にも決定する来年度予算案で、「蒙蔵(モンゴル・チベット)委員会」の関連予算を計上しないことを明らかにした。組織廃止法案も近く立法院(国会)に提出する。同委員会は台湾当局が中国大陸を統治することを前提とした組織で、廃止は中国側が「台湾独立に向けた動きだ」として反発する可能性がある。

■台湾にも非があると言いたいのか
この蒙蔵委員会なる役所が未だ存続していることにこそ驚くべきである。
そもそもこれは清国の旧版図を全て我が物にと狙った蒋介石の国民党の中華民国政権が、清国の理藩院(モンゴル、チベットなどの藩部を管轄)に倣って設けたもの。このようにして支配もしていないモンゴル、チベットの領有権を主張したのである。
そして同政権は台湾への亡命後もこの機関を維持し、現在の中華人民共和国とモンゴル国を合わせた領域を中華民国の領土だと、国民党は言い張ってきた。
国連に加盟できない台湾が、これら二つの加盟国を我が領土と強調する辺りが、まさに中華民国体制の滑稽さだが、その滑稽さの象徴の一つたるこの官庁が廃止されるというのだから、それはそれで台湾の国家正常化へのささやかな一歩。国の未来を想う台湾人には喜ばしいことだ。モンゴル国への非礼もこれで大きく解消されるだろう。
しかし産経は、そうした「朗報」の意義を伝えることもなく、中国の「反発」の可能性ばかりを強調したのである。
これでは「台湾は中国を挑発し、緊張を高めるトラブルメーカー」との印象を読者に与えかねないではないか。この台湾人女性はそれを心配しているのである。
■中国政府は一々「反発」を見せていない
トラブルメーカーというなら、一方的に台湾侵略の野心を捨てない中国こそがそれである。今回の見出しが、そうした現状を明確に伝えず、逆に台湾にも非があるかのような誤解を日本社会にもたらさないなどとは誰も言えないだろう。
中国はつねに、現在の民進党政権を「トラブルメーカー(麻煩製造者)」との汚名を押し付け、そしてそれに国民党が呼応し、さらには産経を含む日本のマスメディアも、それに同調してきた。中でも特に産経にはそうした傾向が見られ(その事例は本ブログもこれまでしばしば取り上げている)、在日台湾人の間では評判が悪い。
ところで、実際に中国政府はどう「反発」したかだが、すでに五月の段階で「我々は台湾方面の内部調整について論評はしない」(国務院台湾事務弁公室報道官) と表明している。
要するに、この程度のことで一々「反発」しないというわけだ。なぜならそれをやっては徒に台湾国民を「反発」させ、自ら「トラブルメーカー」だというようなものだ。そういったことをあの国が警戒していないはずはない。
■中国に配慮する国民党と同じセリフ
しかしそのような時に蠢くのが中国の代弁者だ。国民党である。
同党の副秘書長で国会議員団総召集人ある林徳福氏は十四日、「現状維持で蒙蔵委員会は存続させ、大陸(中国を指す)に『法理的な台湾独立の動きだ』と思わせないことだ。対岸(同)とは強調し合い、経済振興を図るのが最重要」と訴えている。
まさか産経は、このセリフに歩調を合わせ、「中国側が『台湾独立に向けた動きだ』として反発する可能性がある」と書いたのか。同紙は確かに国民党の代弁記事のようなものを随分載せてきたが。
最後にもう一つ触れよう。その台湾人女性はさらに、この記事が台湾政府を「台湾当局」と呼び変えることも気に入らない。それは中国が台湾政府を自国内部の偽政権、地方政権と位置付けるために用いる呼称と同じだからである。
産経が中国、韓国、北朝鮮など反日国家から蛇蝎の如く嫌われているのは評価に値するが、しかし親日国台湾の人々から不信感を抱かれるのはどのようなものか。
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