日本人も知るべき台湾・中国「九二年合意」とはーそれを拒否する蔡英文政権のアジア太平洋地域における重要性
2017/07/22/Sat
中国は歴史問題と台湾問題が日中関係の政治的基礎だとし、これら問題に関しては日本側が中国に譲歩することを日中関係改善の条件としているが、一方台湾との関係においては、「一つの中国」原則に関わる九二年コンセンサス(合意)が政治的基礎だとし、国民党の馬英九政権とは異なり、その合意の受け入れを拒否する民進党の蔡英文政権との対話を断っているところだ。
このところ、中国が国際社会からの台湾締め出しのため、外交圧力を強化しているのも、蔡政権が九二年合意を受け入れていないためだ、と中国自身が説明している。

このような台中関係の悪化には日本でも懸念の声が上がっている。たとえば朝日新聞は「現在の中台関係は『冷たい平和』と評されている。それでも貿易や人の往来は活発に続いている。この交流を広げつつ、中台とアジア太平洋地域の安定を図ることしか、いまの中台関係の中で選べる道はない」(五月二十三日、社説)などと書いていた。
しかし朝日が望むことは適切だろうか。もし台中がもっとお互いに「交流を広げる」というなら、先ずは中国側の台湾への敵意を緩和させる必要がある。そしてそのためには、蔡政権が九二年合意を受け入れるしかないのだが、そうすることで「中台とアジア太平洋地域の安定を図る」ことはできるだろうか。
長期的に見ればそれは逆だろう。おそらく「安定」は深刻なまでに損なわれる状況となるに違いない。
それはなぜかを語る前に、先ずは九二年合意とはそもそも何かだ。
それは一九九二年に台湾と中国の代表が「一つの中国」(台湾は中国領土の一部)原則を確認したやり取りを指す。もっとも「一つの中国」(一中)の意味に関しては、それぞれが解釈するとした。たとえば台湾側は「中華民国」と、そして中国側は「中華人民共和国」とそれぞれ解釈する(各表)と。
もっともこの九二年合意とはでっち上げだ。これは実は二〇〇〇年に、「一つの中国」を容認しない民進党政権を牽制するため、国民党が案出したもので、九二年にそのような合意はなされていなかったのだ。
だからこそ中国も、当初は九二年合意の存在を認めていなかった。
しかし二〇〇五年、国共両党が反民進党で提携を深める際、中国ははじめて合意の存在を認め、それを台中の関係の政治的基礎と提議したのだった。もっとも中国は、「一つの中国の意味はそれぞれが解釈する」(一中各表)ことで合意したことまでは否定する。
それはそうだろう。「世界に中国はただ一つ。中国とは中華人民共和国。台湾は中国の不可分の領土の一つ」と強調し、「中華民国」の存在否定に躍起になるこの国が、「各表」を認める訳がない。
しかし二〇〇八年に発足した国民党は、それでもこうした九二年合意を基礎に中国との関係強化を進めたのだ。国内では「九二年合意・一中各表」を強調する一方で、中国の「各表」否定の姿勢には沈黙を続けたのである。
つまり国内向けには中華民国体制の護持を訴えながらも、それを否定する中国には何も文句を言わずにきたというわけで、同政権が中国の傀儡と広く批判された所以である。
さてその国民党だが、その次期主席への就任が決まった呉敦義元副総統などは、九二年合意を受け入れない蔡政権の対中政策を盛んに批判」しているが、その面子を潰す出来事がこのほどあった。
中国国営の新華社通信が七月二十日、国内メディア向けに公布した最新の「ニュース禁止用語・慎重用語」なる文書には、「九二年合意・一中各表」(九二共識・一中各表)が禁止用語に列せられたのだ。

「九二年合意」に言及しても好いが、「一中各表」には触れてはならないということである。「中華民国」は認めないとする姿勢を台湾の政府、国民に強硬に見せたといったところだ。
「一中各表」の明確な否定に慌てた呉敦義氏の事務所は、「新華社の行為は民進党に向けたもので、国民党に対するものではない。呉敦義は八月二十日の主席就任後、引き続き『九二年合意・一中各表』の立場を継続して行く」などと説明したが、苦し紛れとは言え、説得力に欠けたコメントである。もっとも、九二年合意などという、そもそも存在もしていないものを巡ってだから、国民党も中国もお互いに好き勝手なことを言い放っている訳である。
ただそんな宣伝で、日本を含む国際社会までが惑わされてはどうかと思う。
中国が蔡政権に突き付けている九二年合意とは、中国の解釈によれば「世界に中国はただ一つ。中国とは中華人民共和国。台湾は中国の不可分の領土の一つ」というものだ。馬政権は事実上、それを受け入れていたということができるが、もし蔡政権までがそれに従うなら、台湾という「アジア太平洋地域」の要衝は中国の影響下へと転落し、そしてその一部と化すものであると警戒するべきだ。
「アジア太平洋地域の安定」は望めないとはこういうことなのである。それを望むのであれば、国際社会が「一つの中国」なる虚構を排して「一つの中国・一つの台湾」との現状を認め、それを破壊しようとする中国に圧力をかけて行くしかないのである。
もちろんそれにより緊張はもたらされるが、恐れるべきではない。そもそも覇権主義国家から地域の安全を守るとなれば、緊張の高まりは不可避だとの認識から出発すべきである。
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このところ、中国が国際社会からの台湾締め出しのため、外交圧力を強化しているのも、蔡政権が九二年合意を受け入れていないためだ、と中国自身が説明している。

このような台中関係の悪化には日本でも懸念の声が上がっている。たとえば朝日新聞は「現在の中台関係は『冷たい平和』と評されている。それでも貿易や人の往来は活発に続いている。この交流を広げつつ、中台とアジア太平洋地域の安定を図ることしか、いまの中台関係の中で選べる道はない」(五月二十三日、社説)などと書いていた。
しかし朝日が望むことは適切だろうか。もし台中がもっとお互いに「交流を広げる」というなら、先ずは中国側の台湾への敵意を緩和させる必要がある。そしてそのためには、蔡政権が九二年合意を受け入れるしかないのだが、そうすることで「中台とアジア太平洋地域の安定を図る」ことはできるだろうか。
長期的に見ればそれは逆だろう。おそらく「安定」は深刻なまでに損なわれる状況となるに違いない。
それはなぜかを語る前に、先ずは九二年合意とはそもそも何かだ。
それは一九九二年に台湾と中国の代表が「一つの中国」(台湾は中国領土の一部)原則を確認したやり取りを指す。もっとも「一つの中国」(一中)の意味に関しては、それぞれが解釈するとした。たとえば台湾側は「中華民国」と、そして中国側は「中華人民共和国」とそれぞれ解釈する(各表)と。
もっともこの九二年合意とはでっち上げだ。これは実は二〇〇〇年に、「一つの中国」を容認しない民進党政権を牽制するため、国民党が案出したもので、九二年にそのような合意はなされていなかったのだ。
だからこそ中国も、当初は九二年合意の存在を認めていなかった。
しかし二〇〇五年、国共両党が反民進党で提携を深める際、中国ははじめて合意の存在を認め、それを台中の関係の政治的基礎と提議したのだった。もっとも中国は、「一つの中国の意味はそれぞれが解釈する」(一中各表)ことで合意したことまでは否定する。
それはそうだろう。「世界に中国はただ一つ。中国とは中華人民共和国。台湾は中国の不可分の領土の一つ」と強調し、「中華民国」の存在否定に躍起になるこの国が、「各表」を認める訳がない。
しかし二〇〇八年に発足した国民党は、それでもこうした九二年合意を基礎に中国との関係強化を進めたのだ。国内では「九二年合意・一中各表」を強調する一方で、中国の「各表」否定の姿勢には沈黙を続けたのである。
つまり国内向けには中華民国体制の護持を訴えながらも、それを否定する中国には何も文句を言わずにきたというわけで、同政権が中国の傀儡と広く批判された所以である。
さてその国民党だが、その次期主席への就任が決まった呉敦義元副総統などは、九二年合意を受け入れない蔡政権の対中政策を盛んに批判」しているが、その面子を潰す出来事がこのほどあった。
中国国営の新華社通信が七月二十日、国内メディア向けに公布した最新の「ニュース禁止用語・慎重用語」なる文書には、「九二年合意・一中各表」(九二共識・一中各表)が禁止用語に列せられたのだ。

「九二年合意」に言及しても好いが、「一中各表」には触れてはならないということである。「中華民国」は認めないとする姿勢を台湾の政府、国民に強硬に見せたといったところだ。
「一中各表」の明確な否定に慌てた呉敦義氏の事務所は、「新華社の行為は民進党に向けたもので、国民党に対するものではない。呉敦義は八月二十日の主席就任後、引き続き『九二年合意・一中各表』の立場を継続して行く」などと説明したが、苦し紛れとは言え、説得力に欠けたコメントである。もっとも、九二年合意などという、そもそも存在もしていないものを巡ってだから、国民党も中国もお互いに好き勝手なことを言い放っている訳である。
ただそんな宣伝で、日本を含む国際社会までが惑わされてはどうかと思う。
中国が蔡政権に突き付けている九二年合意とは、中国の解釈によれば「世界に中国はただ一つ。中国とは中華人民共和国。台湾は中国の不可分の領土の一つ」というものだ。馬政権は事実上、それを受け入れていたということができるが、もし蔡政権までがそれに従うなら、台湾という「アジア太平洋地域」の要衝は中国の影響下へと転落し、そしてその一部と化すものであると警戒するべきだ。
「アジア太平洋地域の安定」は望めないとはこういうことなのである。それを望むのであれば、国際社会が「一つの中国」なる虚構を排して「一つの中国・一つの台湾」との現状を認め、それを破壊しようとする中国に圧力をかけて行くしかないのである。
もちろんそれにより緊張はもたらされるが、恐れるべきではない。そもそも覇権主義国家から地域の安全を守るとなれば、緊張の高まりは不可避だとの認識から出発すべきである。
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