勇気を出した日本と台湾―中国を激怒させた「名称変更」とは
2017/05/19/Fri
■交流協会に続いて亜東関係協会も改称
日本と台湾は一九七二年の断交後、実務関係の維持のため、対台交流窓口機関である交流協会と、対日交流窓口の亜東関係協会をそれぞれ開設し、交流協会台北事務所と亜東関係協会東京弁事処(現・台北駐日経済文化代表処)に大使館機能を担わせてきた。
しかしその難点に「交流」や「亜東関係」といった名称があった。これでは何のための機関か一般に伝わりにくいのだ。そこで前者は今年一月一日に「日本台湾交流協会」に、そして後者はこの五月十七日、「台湾日本関係協会」へと、それぞれ改称したのである。
実にめでたいことではあるが、しかしこの改称に激しい怒りを見せるのが中国だ。NHKの十七日の報道を見てみよう。

親中的姿勢のためか、NHKは亜東関係協会の改称より、それに対する中国の怒りの反応を重視していた
―――日本が、正式な外交関係のない台湾との窓口機関の名称を、ことし1月に「交流協会」から「日本台湾交流協会」に変更したことを受けて、台湾側の窓口機関も「台湾日本関係協会」と名称を変更し、「1つの中国」の原則を主張する中国政府は、強い不満を表明しました。
―――中国政府は「中国大陸と台湾は、ともに1つの中国に属する」という原則を主張していて、ことし1月、日本が窓口機関の名称を変更したことについて、「台湾をわざと日本と併記している」と批判していました。
―――今回、台湾側の名称変更について、中国外務省の華春瑩報道官は17日の記者会見で、「中国は強い不満を表明する。『2つの中国』とか『1つの中国、1つの台湾』といったものをつくり出そうという台湾当局のいかなるたくらみも絶対に達成できない」と述べ、強く反発しました。
台湾を中国領土の一部とし、台湾併呑を正当化するため、それを他国の干渉を容れない中国国内問題だと強調するのが「一つの中国」原則だが、その中国にとって何が何でも否定、隠蔽したいのが「一つの中国、一つの台湾」という現状。そのため「一つの台湾」の事実が反映されかねない「日本台湾」「台湾日本」との名称は何としても取り下げさせたい。それで今回のように「強い不満」を表明したわけなのだ。
■中国は日本のいったい何に怒っているのか
こうした圧力をかければ日本でも台湾でも、必ず委縮、迎合する勢力が呼応するものだから、そうした呼応に中国はいつも期待を寄せるのである。統一戦線工作の名の下でだ。
例えば日頃から親中的姿勢が際立つNHKなどにはその疑いはないだろうか。上記の報道の内容は亜東関係協会の改称の今後の日台関係に対する意味の重要さよりも、改称に対する中国の怒りの反応に重きを置いているように見えなくもない。少なくとも中国側の怒りのコメント(欺瞞に満ちた報道の価値もない主張。下記参照)を詳細に伝えているが、それはあの国の宣伝への加担ではないのか。
実際に中国側が見せるコメントが、いかに人を欺く危険なプロパガンダであるかを見てみよう。
まず、一月の交流協会の改称に関し、外交部報道官は昨年十二月二十八日、次のように「不満」を述べている。

交流協会の改称程度に中国が噛み付くとは、一般の日本人には想像外だったの
ではないか
―――中国は台湾問題での立場は一貫し、明確だ。我々は断固として「一つの中国、一つの台湾」「二つの中国」を作り出すいかなる企てにも反対する。日本に対し、台湾問題で否定的な措置を取ったことに強烈な不満を表明する。
―――中国側は日本に対し、中日共同声明で確定された原則と今日まで中国側と交わして来た約束を遵守し、「一つの中国」原則を堅持して台湾当局と国際社会に誤った情報を発し、中日関係に新たな障害を作らないよう促したい。
次いで同報道官は五月十七日、亜東関係協会の看板懸け替えのための台湾当局の式典に日本台湾交流協会台北事務所代表が参列したことに関し、以下のように論評している。

亜東関係協会の改称についても黙っていなかった
―――世界で中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であり、中国政府は断固として我が国と国交を持つ国のいかなる方式の台湾との政府関係の保持にも反対する。
―――日本政府と台湾当局は相謀り、台湾の対日交流窓口である亜東関係協会を台湾日本関係協へと改称し、日台の実質的関係をレベルアップさせようと企てているが、中国はこれに強烈な不満を表明する。
―――中国は日本に対し、中日共同声明で確定された原則と今日まで中国側と交わして来た約束を切実に遵守し、「一つの中国」原則を堅持し、実際の行動で誤りを糾し、台湾当局と国際社会に誤った情報を発し、中日関係に新たな障害を作らないよう促したい。
―――我々は台湾当局に対しても、「二つの中国」「一つの中国、一つの台湾」を作り出すいかなる策謀も断じて思いのままにはならないということを厳正に告げておく。
以上、長々と中国の言い分を紹介したが、要するにあの国が言いたいのはごく簡単だ。
■中国の激しい対日批判は「嘘」に基づいていた
それは、日本は「中日共同声明」(一九七二年の日中国交樹立時における日中共同声明)やその他の約束に従って「一つの中国」原則に従へと求めているというのに尽きよう。
しかし実際にはそこに中国の事実捏造が含まれている。すなわち日本は日中共同声明において、台湾を中国領土とは認めていないのである。もちろんその後も認めるなどと「約束」したこともない。
つまり嘘をついているのである。
もし以上のような中国の言い分に呼応する者が日本にいるなら(実際には政界、財界、メディアに蔓延っているが)、それは欺瞞を欺瞞とも思わぬ輩であり、恥を知らなくてはならない。
もっともこれまで日本は、「一つの中国」原則の押し付けに対し、日中関係に「障害」をもたらさないよう、できるだけ抵抗を避けてきたのは事実である。これまで長年間「交流協会」という意味不明瞭な看板を掲げてきたのもそのためなのだ。
嘘を吐く中国は許し難いが、その嘘に反論もできなかった弱虫政府も情けなかった。
したがって今回の改称は、日本が(そして台湾も)日台関係の発展のために勇気を出し、中国の不当な圧力を跳ね返したという、それなりに画期的な出来事だったと評価して好いのである。中国が激怒するのも、そうした日本の覚醒に危機感を抱いたからに他ならない。
ちなみに報道官の批判の矛先が日本にばかり向けられたのはなぜかと言うと、「一つの中国」の建前により、台湾批判は外交部以外の仕事になるからである。馬鹿げた話である。
それにしてもこれまで、中国から「一つの中国」というフィクションを押し付けられて「台湾」の二文字が使用できなかったとは。実はそんなバカげた状況は、オリンピックでも見られるのだ。台湾代表に対する「チャイニーズタイペイ」の名称使用はその一例である。
それを日本語に訳せば「中国領台北」となるが、このように「中国領」と付けるだけでは飽き足らず、さらに「台北」の名までくっつけるなど、何が何でも「台湾」の存在を抹殺しようとする中国覇権主義の執念を見て取ることができる。
このようなものをIOCは採用し、そして日本を含む各国はそれを好として来たのだ。「一つの中国」原則に背いて、中国との関係に「障害」を設けたくないとの一心でだ。
三年後には東京でオリンピックが開催されるが、日本にはまだまだ、勇気を出してやるべきことがたくさんあるのではないか。
【過去の関連記事】
日台新時代が到来かー日本の駐台機関の名が「日本台湾交流協会」に 16/12/28
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3032.html
日台交流—中国配慮の時代に終止符を!/「亜東関係協会」改称問題 17/03/06
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3088.html
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日本と台湾は一九七二年の断交後、実務関係の維持のため、対台交流窓口機関である交流協会と、対日交流窓口の亜東関係協会をそれぞれ開設し、交流協会台北事務所と亜東関係協会東京弁事処(現・台北駐日経済文化代表処)に大使館機能を担わせてきた。
しかしその難点に「交流」や「亜東関係」といった名称があった。これでは何のための機関か一般に伝わりにくいのだ。そこで前者は今年一月一日に「日本台湾交流協会」に、そして後者はこの五月十七日、「台湾日本関係協会」へと、それぞれ改称したのである。
実にめでたいことではあるが、しかしこの改称に激しい怒りを見せるのが中国だ。NHKの十七日の報道を見てみよう。

親中的姿勢のためか、NHKは亜東関係協会の改称より、それに対する中国の怒りの反応を重視していた
―――日本が、正式な外交関係のない台湾との窓口機関の名称を、ことし1月に「交流協会」から「日本台湾交流協会」に変更したことを受けて、台湾側の窓口機関も「台湾日本関係協会」と名称を変更し、「1つの中国」の原則を主張する中国政府は、強い不満を表明しました。
―――中国政府は「中国大陸と台湾は、ともに1つの中国に属する」という原則を主張していて、ことし1月、日本が窓口機関の名称を変更したことについて、「台湾をわざと日本と併記している」と批判していました。
―――今回、台湾側の名称変更について、中国外務省の華春瑩報道官は17日の記者会見で、「中国は強い不満を表明する。『2つの中国』とか『1つの中国、1つの台湾』といったものをつくり出そうという台湾当局のいかなるたくらみも絶対に達成できない」と述べ、強く反発しました。
台湾を中国領土の一部とし、台湾併呑を正当化するため、それを他国の干渉を容れない中国国内問題だと強調するのが「一つの中国」原則だが、その中国にとって何が何でも否定、隠蔽したいのが「一つの中国、一つの台湾」という現状。そのため「一つの台湾」の事実が反映されかねない「日本台湾」「台湾日本」との名称は何としても取り下げさせたい。それで今回のように「強い不満」を表明したわけなのだ。
■中国は日本のいったい何に怒っているのか
こうした圧力をかければ日本でも台湾でも、必ず委縮、迎合する勢力が呼応するものだから、そうした呼応に中国はいつも期待を寄せるのである。統一戦線工作の名の下でだ。
例えば日頃から親中的姿勢が際立つNHKなどにはその疑いはないだろうか。上記の報道の内容は亜東関係協会の改称の今後の日台関係に対する意味の重要さよりも、改称に対する中国の怒りの反応に重きを置いているように見えなくもない。少なくとも中国側の怒りのコメント(欺瞞に満ちた報道の価値もない主張。下記参照)を詳細に伝えているが、それはあの国の宣伝への加担ではないのか。
実際に中国側が見せるコメントが、いかに人を欺く危険なプロパガンダであるかを見てみよう。
まず、一月の交流協会の改称に関し、外交部報道官は昨年十二月二十八日、次のように「不満」を述べている。

交流協会の改称程度に中国が噛み付くとは、一般の日本人には想像外だったの
ではないか
―――中国は台湾問題での立場は一貫し、明確だ。我々は断固として「一つの中国、一つの台湾」「二つの中国」を作り出すいかなる企てにも反対する。日本に対し、台湾問題で否定的な措置を取ったことに強烈な不満を表明する。
―――中国側は日本に対し、中日共同声明で確定された原則と今日まで中国側と交わして来た約束を遵守し、「一つの中国」原則を堅持して台湾当局と国際社会に誤った情報を発し、中日関係に新たな障害を作らないよう促したい。
次いで同報道官は五月十七日、亜東関係協会の看板懸け替えのための台湾当局の式典に日本台湾交流協会台北事務所代表が参列したことに関し、以下のように論評している。

亜東関係協会の改称についても黙っていなかった
―――世界で中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であり、中国政府は断固として我が国と国交を持つ国のいかなる方式の台湾との政府関係の保持にも反対する。
―――日本政府と台湾当局は相謀り、台湾の対日交流窓口である亜東関係協会を台湾日本関係協へと改称し、日台の実質的関係をレベルアップさせようと企てているが、中国はこれに強烈な不満を表明する。
―――中国は日本に対し、中日共同声明で確定された原則と今日まで中国側と交わして来た約束を切実に遵守し、「一つの中国」原則を堅持し、実際の行動で誤りを糾し、台湾当局と国際社会に誤った情報を発し、中日関係に新たな障害を作らないよう促したい。
―――我々は台湾当局に対しても、「二つの中国」「一つの中国、一つの台湾」を作り出すいかなる策謀も断じて思いのままにはならないということを厳正に告げておく。
以上、長々と中国の言い分を紹介したが、要するにあの国が言いたいのはごく簡単だ。
■中国の激しい対日批判は「嘘」に基づいていた
それは、日本は「中日共同声明」(一九七二年の日中国交樹立時における日中共同声明)やその他の約束に従って「一つの中国」原則に従へと求めているというのに尽きよう。
しかし実際にはそこに中国の事実捏造が含まれている。すなわち日本は日中共同声明において、台湾を中国領土とは認めていないのである。もちろんその後も認めるなどと「約束」したこともない。
つまり嘘をついているのである。
もし以上のような中国の言い分に呼応する者が日本にいるなら(実際には政界、財界、メディアに蔓延っているが)、それは欺瞞を欺瞞とも思わぬ輩であり、恥を知らなくてはならない。
もっともこれまで日本は、「一つの中国」原則の押し付けに対し、日中関係に「障害」をもたらさないよう、できるだけ抵抗を避けてきたのは事実である。これまで長年間「交流協会」という意味不明瞭な看板を掲げてきたのもそのためなのだ。
嘘を吐く中国は許し難いが、その嘘に反論もできなかった弱虫政府も情けなかった。
したがって今回の改称は、日本が(そして台湾も)日台関係の発展のために勇気を出し、中国の不当な圧力を跳ね返したという、それなりに画期的な出来事だったと評価して好いのである。中国が激怒するのも、そうした日本の覚醒に危機感を抱いたからに他ならない。
ちなみに報道官の批判の矛先が日本にばかり向けられたのはなぜかと言うと、「一つの中国」の建前により、台湾批判は外交部以外の仕事になるからである。馬鹿げた話である。
それにしてもこれまで、中国から「一つの中国」というフィクションを押し付けられて「台湾」の二文字が使用できなかったとは。実はそんなバカげた状況は、オリンピックでも見られるのだ。台湾代表に対する「チャイニーズタイペイ」の名称使用はその一例である。
それを日本語に訳せば「中国領台北」となるが、このように「中国領」と付けるだけでは飽き足らず、さらに「台北」の名までくっつけるなど、何が何でも「台湾」の存在を抹殺しようとする中国覇権主義の執念を見て取ることができる。
このようなものをIOCは採用し、そして日本を含む各国はそれを好として来たのだ。「一つの中国」原則に背いて、中国との関係に「障害」を設けたくないとの一心でだ。
三年後には東京でオリンピックが開催されるが、日本にはまだまだ、勇気を出してやるべきことがたくさんあるのではないか。
【過去の関連記事】
日台新時代が到来かー日本の駐台機関の名が「日本台湾交流協会」に 16/12/28
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3032.html
日台交流—中国配慮の時代に終止符を!/「亜東関係協会」改称問題 17/03/06
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