トランプは台湾の味方かー対中外交に「型破り」は必要だが
2016/12/05/Mon
■なぜ中国はそこまで反撥するのか
米国のトランプ次期大統領が十二月二日、「米国の外交政策に反して台湾の蔡英文総統と電話協議したため、中国の反発を呼ぶなど波紋が広がった」(時事)などと、日本でも大きく報じられている。

米国のトランプ次期大統領と電話会談を行った台湾の蔡英文総統(中)。呉釗燮
国家安全会議秘書長(左)と李大維外交部長(右)も同席した
「中国の反発」ぶりは、国務院台湾事務弁公室の安峰山報道官が見せた以下のコメントからも明らかだ。
「これは台湾側の姑息な動き。中国は『一つの中国』原則を堅持し、台湾独立に反対するという立場は確固たるものがあり、いかなる形の台独の動きをも抑え込む能了がある」
相変わらずの恫喝である。武力行使も辞さない、と言っている訳だ。
両者は電話会談で「『米国と台湾の経済、政治、安全保障面での緊密な結びつき』を確認した。蔡氏は今年5月に就任しており、両者は互いに祝意を伝え合った」(産経)という。
また台湾総統府の声明によると、「10分間余りの電話会談の中で蔡総統は、アメリカとの緊密な協力関係に期待を表明し、国際的な課題を議論する場に台湾が参加できるよう支援を求めた」(朝日)ということだ。
このようにこうした平和的な内容の話をしただけなのだが、中国統一(台湾併呑)という国家目標の下、台湾と国際社会、ことに米国とを分断することを外交上の最大の課題とする中国には、断じて許容できないものなのである。
だからわずかこれだけのことで、中国外交部は米国に「厳正な抗議」を申し入れている。ただどう見てもおかしいのはトランプではなく、ここまで対外拡張欲を剥き出しにする中国の方だろう。
■注意を要する中国の言葉のトリック
産経によると、「米大統領は1979年に当時のカーター大統領が米中の国交を正常化させて以来、『一つの中国』原則を認識し、異論を唱えないとする立場から台湾の総統との接触を控えてきた」。ところがこの次期大統領はそれとの電話会談を行ったのだから異例のことだ。
ただ上記の「米国の外交政策に反して」との時事の報道表現はどんなものか。
中国の王毅外交部長は電話会談について、「今回の件で米国政府が長年堅持して来た『一つの中国』政策が変わることはない。なぜなら『一つの中国』原則は中米関係の健全な発展の礎石だからだ。中国はこの政治的基礎がいかなる干渉、妨害を受けることも望んでいない」と述べている。
しかしここでは、中国常套の言葉のトリックに惑わされないよう注意すべきだ。
王毅によれば、米中がともに「一つの中国」で合意しているように聞こえるが実際には然にあらず。中国の“「一つの中国」”原則と米国の“「一つの中国」政策”とは根本的に異なるのである。
後者は「世界で中国はただ一つ。中国とは中華人民共和国であり、台湾はその領土の一部」というものだが、そに対して前者は「台湾は中国の領土の一部」とまでは表明していないのだ。
なぜならそのような事実はないからである。
しかしそれでは中国には甚だ不都合につき、米国が台湾を中国領土と承認しているかのような紛らわしい表現を、あの国は絶えず弄し続けているのである。
だからそうした中国の宣伝が世を覆う中、時事が「米国の外交政策に反して中国の反発を呼んだ」などと強調すれば、まるでトランプが遵守すべき「一つの中国」原則を破ったかのような誤った印象を与えかねない。
■異例の対台湾行動であるのは事実だ
しかしトランプの行動が異例であることは間違いない。
台湾紙自由時報によれば、同国の外交専門家は「これまで台湾の政治家は米国を訪問し、またはトランジットする場合、みなそれぞれのレベルに応じながら一定の制約を受けてきた。だから今回のケースは特別だ」と指摘する。
産経もこう説明する。
「1979年の台湾との断交以来、米国は『一つの中国』原則を認識しているとの『建前』から、大統領と総統の会談を控えてきた。中南米訪問時などの乗り継ぎを名目に総統が米国の地方都市を訪れることはあっても、首脳を遇したと受け取られる首都ワシントン訪問は認めてこなかった」
■何も分かっていないだけなのか
ちなみにここでは「米国は『一つの中国』原則を認識しているとの『建前』」があると書かれている。
要するに米国は「台湾は中国の領土の一部」であることを承認せよと要求する中国に対し、「一部である」とする中国の立場については「認識する」と表明するに止めているだけなのだが、それでも大統領が台湾総統との会談を控えるなど、極度に中国の反撥を恐れてきた訳だ。
だからホワイトハウスはトランプに苛立ったとか。産経は「米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官は2日、(中略)『一つの中国』原則を認識する米国の対中政策に『変わりはない』と強調した」というのだが、そうした一種の長年続く対中宥和的な政策をトランプは打ち破ろうとしているのだろうか。
ちなみに産経はこうした「トランプ外交」を「型破り」と形容する。
もっとも米コロンビア大学の中国専門家、孫哲教授(中国出身)は今回の電話会談を蔡英文側の工作の成果だとの見方を示す。要するに「トランプはおそらく台湾問題が米中関係の敏感な部分であることをよくわかっていない。もし中国側が先にその敏感性を教えていたなら、きっと電話会談は断っていた」と言うのである。
一方、米国在台協会の元台北事務所長であるウィリアム・スタントンは、「電話会談はトランプのブレーンが提案、計画したもので、台湾側の一方的な行動ではないはずだ」と語る。それによれば「米国の『一つの中国』政策は間違った。今回は正しいことが行われたのであり、こうしたことはもっと早くやるべきだった。なぜなら米国はこれまで、中国が台湾に関する主権を持っているなどと言ったことはないのだから」とのことだ。
果たして真相やいかに。
いずれにせよ「型破り」は必要だ。つまり従来の不必要なまでに宥和的だった対中外交の仕切り直しを行い、今一度新たな関係の在り方を築くことは、米国にとっても日本にとって大切なことなのである。
もっと台湾との交流への制限を緩和、撤廃して行くとか。日米ともに台湾を中国領土とは認めていないし、中国の台湾侵略には反対なのだから。
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米国のトランプ次期大統領が十二月二日、「米国の外交政策に反して台湾の蔡英文総統と電話協議したため、中国の反発を呼ぶなど波紋が広がった」(時事)などと、日本でも大きく報じられている。

米国のトランプ次期大統領と電話会談を行った台湾の蔡英文総統(中)。呉釗燮
国家安全会議秘書長(左)と李大維外交部長(右)も同席した
「中国の反発」ぶりは、国務院台湾事務弁公室の安峰山報道官が見せた以下のコメントからも明らかだ。
「これは台湾側の姑息な動き。中国は『一つの中国』原則を堅持し、台湾独立に反対するという立場は確固たるものがあり、いかなる形の台独の動きをも抑え込む能了がある」
相変わらずの恫喝である。武力行使も辞さない、と言っている訳だ。
両者は電話会談で「『米国と台湾の経済、政治、安全保障面での緊密な結びつき』を確認した。蔡氏は今年5月に就任しており、両者は互いに祝意を伝え合った」(産経)という。
また台湾総統府の声明によると、「10分間余りの電話会談の中で蔡総統は、アメリカとの緊密な協力関係に期待を表明し、国際的な課題を議論する場に台湾が参加できるよう支援を求めた」(朝日)ということだ。
このようにこうした平和的な内容の話をしただけなのだが、中国統一(台湾併呑)という国家目標の下、台湾と国際社会、ことに米国とを分断することを外交上の最大の課題とする中国には、断じて許容できないものなのである。
だからわずかこれだけのことで、中国外交部は米国に「厳正な抗議」を申し入れている。ただどう見てもおかしいのはトランプではなく、ここまで対外拡張欲を剥き出しにする中国の方だろう。
■注意を要する中国の言葉のトリック
産経によると、「米大統領は1979年に当時のカーター大統領が米中の国交を正常化させて以来、『一つの中国』原則を認識し、異論を唱えないとする立場から台湾の総統との接触を控えてきた」。ところがこの次期大統領はそれとの電話会談を行ったのだから異例のことだ。
ただ上記の「米国の外交政策に反して」との時事の報道表現はどんなものか。
中国の王毅外交部長は電話会談について、「今回の件で米国政府が長年堅持して来た『一つの中国』政策が変わることはない。なぜなら『一つの中国』原則は中米関係の健全な発展の礎石だからだ。中国はこの政治的基礎がいかなる干渉、妨害を受けることも望んでいない」と述べている。
しかしここでは、中国常套の言葉のトリックに惑わされないよう注意すべきだ。
王毅によれば、米中がともに「一つの中国」で合意しているように聞こえるが実際には然にあらず。中国の“「一つの中国」”原則と米国の“「一つの中国」政策”とは根本的に異なるのである。
後者は「世界で中国はただ一つ。中国とは中華人民共和国であり、台湾はその領土の一部」というものだが、そに対して前者は「台湾は中国の領土の一部」とまでは表明していないのだ。
なぜならそのような事実はないからである。
しかしそれでは中国には甚だ不都合につき、米国が台湾を中国領土と承認しているかのような紛らわしい表現を、あの国は絶えず弄し続けているのである。
だからそうした中国の宣伝が世を覆う中、時事が「米国の外交政策に反して中国の反発を呼んだ」などと強調すれば、まるでトランプが遵守すべき「一つの中国」原則を破ったかのような誤った印象を与えかねない。
■異例の対台湾行動であるのは事実だ
しかしトランプの行動が異例であることは間違いない。
台湾紙自由時報によれば、同国の外交専門家は「これまで台湾の政治家は米国を訪問し、またはトランジットする場合、みなそれぞれのレベルに応じながら一定の制約を受けてきた。だから今回のケースは特別だ」と指摘する。
産経もこう説明する。
「1979年の台湾との断交以来、米国は『一つの中国』原則を認識しているとの『建前』から、大統領と総統の会談を控えてきた。中南米訪問時などの乗り継ぎを名目に総統が米国の地方都市を訪れることはあっても、首脳を遇したと受け取られる首都ワシントン訪問は認めてこなかった」
■何も分かっていないだけなのか
ちなみにここでは「米国は『一つの中国』原則を認識しているとの『建前』」があると書かれている。
要するに米国は「台湾は中国の領土の一部」であることを承認せよと要求する中国に対し、「一部である」とする中国の立場については「認識する」と表明するに止めているだけなのだが、それでも大統領が台湾総統との会談を控えるなど、極度に中国の反撥を恐れてきた訳だ。
だからホワイトハウスはトランプに苛立ったとか。産経は「米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官は2日、(中略)『一つの中国』原則を認識する米国の対中政策に『変わりはない』と強調した」というのだが、そうした一種の長年続く対中宥和的な政策をトランプは打ち破ろうとしているのだろうか。
ちなみに産経はこうした「トランプ外交」を「型破り」と形容する。
もっとも米コロンビア大学の中国専門家、孫哲教授(中国出身)は今回の電話会談を蔡英文側の工作の成果だとの見方を示す。要するに「トランプはおそらく台湾問題が米中関係の敏感な部分であることをよくわかっていない。もし中国側が先にその敏感性を教えていたなら、きっと電話会談は断っていた」と言うのである。
一方、米国在台協会の元台北事務所長であるウィリアム・スタントンは、「電話会談はトランプのブレーンが提案、計画したもので、台湾側の一方的な行動ではないはずだ」と語る。それによれば「米国の『一つの中国』政策は間違った。今回は正しいことが行われたのであり、こうしたことはもっと早くやるべきだった。なぜなら米国はこれまで、中国が台湾に関する主権を持っているなどと言ったことはないのだから」とのことだ。
果たして真相やいかに。
いずれにせよ「型破り」は必要だ。つまり従来の不必要なまでに宥和的だった対中外交の仕切り直しを行い、今一度新たな関係の在り方を築くことは、米国にとっても日本にとって大切なことなのである。
もっと台湾との交流への制限を緩和、撤廃して行くとか。日米ともに台湾を中国領土とは認めていないし、中国の台湾侵略には反対なのだから。
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