親台派は「双十節」不参加を!ー在日台湾人団体が呼び掛け
2016/09/20/Tue
台湾の中華民国のナショナルデー(国家記念日)は十月十日の双十国慶だが、それが何の日かについては、馬英九に聞けばいい。
彼は総統時代の二〇一一年、国慶節の祝辞で次のように説明していた。
「国父孫中山(孫文)先生の指導で発動され、世界を驚かせた武昌起義(辛亥革命の発端となった武昌蜂起)は、一挙に満清政府(満洲民族の清帝国)と千年帝政(二千年続いた中華帝国体制)を覆し、アジア初の民主共和国である中華民国を建国した」
要するに、辛亥革命記念日であるわけだ。馬英九は「中華民国のお誕生日だ」と繰り返し強調していたから、建国記念日という位置付けなのだろう。
もっとも孫文が革命を指導したという事実はないし、革命の結果生まれた中華民国と蔣介石の中華民国とは連続性もない。いかにも中国人ならではのご都合主義の歴史捏造であるが、ここではそれは問題にしない。問題にするべきは、この中国内乱の昔話と、台湾及び台湾人とは全く関係がないということだ。
つまり国共内戦で敗れ、当台湾へ亡命して来た中華民国政権は(当時台湾はまだ日本領土)、人口の圧倒的多数を占める台湾人を抑え付けるために戒厳令を敷き、恐怖政治と中国人化政策を強行したが、その中国人化という思想統制の洗脳政策の重要な一環が、双十節祝賀の強制だったのだ。

国民党独裁時代、国民党が台湾人民に強調されたのは孫文という神格化さ
れた中国人への崇拝。双十節はそのための記念日だった
台湾は中国の一部と強調する国民党の「一つの中国」宣伝の一環でもある。
孫文を「国父」として神格化し、その中国史上における功績を喧伝し(でっち上げ)、その後継者としての国民党の偉大さを宣伝し、「中国唯一の合法的代表」であると強調して台湾支配を正当化し、台湾人の精神的、物質的な動員体制の強化を目指す中、孫文=国民党の崇拝の日である双十節は持ち込まれた。

台湾では1949年以来、観閲式などを含む双十節の祝賀式典が行われている。
写真は観閲するかつての独裁者、蔣介石総統
そしてこうしたフィクション(虚構宣伝)に支えられ、民主化時代の今日に至ってなお存続するのが、中華民国体制というものなのである。
言いかえればこの体制が存続する限り、双十節という台湾とは無関係の中国の祝日も存続し続けるのである。
もちろん民主化以降、台湾の一般国民は辛亥革命など興味も関心もなくなっているのだが、そこで話題にしたいのが、それとは対照的な日本での光景なのだ。
台湾政府の出先機関が東京などで開催するレセプションには、毎年招待を受けた在日台湾人や親台湾の日本人(国会議員も含む)が嬉々として出席しているのである。

毎年都内のホテルで盛大に開催されるレセプション。大勢の親台派日本人も招待
されるのだが・・・
しかし本当に「親台湾」なら、そうしたものはボイコットすべきではないだろうか。このように言うと、「中華民国体制の台湾人迫害の時代はすでに過去のもの」と反論されるかもしれない。
だがそうした「一つの中国」を建前にする国家体制が、台湾併呑を目指す中華人民共和国の「一つの中国」宣伝に正当性を与えているのを忘れてはいけない。中国は民進党政権に対し、「いかなる台湾独立の動きにも断固反対する」と繰り返し恫喝するが、それは「中華民国体制からの脱却に断固反対する」という意味でもある。
また馬英九政権時代を見ればわかるように、国民党勢力がこの「一つの中国」体制を理由に、中国に台湾を売り飛ばしかねない動きに出たことも忘れてはならない。
そしてこの「中国」体制があるからこそ、日米を含む国際社会が「台湾は台湾人の国だ」との声に耳を傾けないで来たという事実も忘れてはならない。
だがそうしたなか注目すべき出来事が。
在日台湾人のグループが日本で行われるレセプションへのボイコットの呼び掛けを始めたのだ。
今年の東京でのレセプションは十月六日、パレスホテル東京においてだが、果たしてどれだけの在日台湾人、親台派日本人が呼びかけに呼応するだろうか。
二〇〇八年の馬英九政権発足直後にもこうした呼び掛けが行われた。もちろん私は賛同したのだが、その時目の当たりにしたのは、それまで私と共に台湾独立支持を訴えて来た日本人たちの変節だった。
まずボイコット呼びかけ活動への拒否が見られた。そしてその後、そういった人々が年を追うごとに、レセプション会場に続々と姿を見せるようになった。そこに呼ばれるのがステータスだと勘違いしているとも言われる。
民進党政権時代には同党を応援し、国民党政権時代には同党に迎合するという信念欠如のレベルの低さもまた、親台派といわれる日本人の特徴である(在日台湾人にもそういう者は少なくないらしいが)。
だから結構バカにされている。我々台湾研究フォーラムの主要メンバーの間では、「招待されても出席しない」と話し合われてきた。
しかし今回はどうだろう。
私が期待したいのは、旧来の無節操な人々ではなく、東日本大震災での台湾からの支援に感動し、あるいは近年の台湾の民主化運動に賛同するなど、心から「台湾人の台湾」を応援する新しい親台派の人々なのだ。
こうしたボイコットようなささやかな行動も、みなで積み重ねて行けば、やがては台湾に対する応援メッセージとなることを知ってもらいたい。
以下は、在日台湾人の諸団体が今回発表したボイコット呼び掛けの文書である。これを読み、「台湾人の台湾」を打ち立てたいと願う台湾の人々の心に思いを馳せてもらいたい。
「双十節」は台湾人の歓喜の日に当たらず
————— 祝賀行事への不参加の呼びかけ
間も無く日本においても、蔡英文政権が発足して最初の「中華民国」国慶節、いわゆる「双十節」の祝賀行事が行われる。多くの親台湾の日本の友人はこれに招かれ、お祝いのつもりで参加されると思われる。
しかし、「双十節」は中華民国の辛亥革命の端緒となった1911年10月10日の武昌起義を記念したものであり、台湾人また将来あるべき台湾国とはなんら関係ない。さらに、「双十節」は台湾人を50年間恐怖のどん底に落とした「中華民国」の建国記念日である。自分の父祖を惨殺し、自分を圧迫した外来政権の建国記念日を祝うのは滑稽としか言えない。
このように、いかなる観点からも「双十節」は台湾人の歓喜の日に当たらない。我々台湾人は、中国人または中華人ではないことを明示するためにも「双十節」を拒絶すべきである。
そして、親台湾の日本の友人にも「双十節」は台湾人にとり屈辱の日であり、歓喜すべき日ではないことをご理解いただき、参加しないようお願いする次第である。
■呼びかけ団体
日本台湾医師連合
日本台医人協会
在日台湾同郷会
在日台湾婦女会
台湾語言文化協会
台湾の声
台湾研究フォーラム
台湾独立建国聯盟日本本部
日本基督教東京台湾教会
【過去の関連記事】
祝っている場合ではない双十国慶節 07/04/18
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彼は総統時代の二〇一一年、国慶節の祝辞で次のように説明していた。
「国父孫中山(孫文)先生の指導で発動され、世界を驚かせた武昌起義(辛亥革命の発端となった武昌蜂起)は、一挙に満清政府(満洲民族の清帝国)と千年帝政(二千年続いた中華帝国体制)を覆し、アジア初の民主共和国である中華民国を建国した」
要するに、辛亥革命記念日であるわけだ。馬英九は「中華民国のお誕生日だ」と繰り返し強調していたから、建国記念日という位置付けなのだろう。
もっとも孫文が革命を指導したという事実はないし、革命の結果生まれた中華民国と蔣介石の中華民国とは連続性もない。いかにも中国人ならではのご都合主義の歴史捏造であるが、ここではそれは問題にしない。問題にするべきは、この中国内乱の昔話と、台湾及び台湾人とは全く関係がないということだ。
つまり国共内戦で敗れ、当台湾へ亡命して来た中華民国政権は(当時台湾はまだ日本領土)、人口の圧倒的多数を占める台湾人を抑え付けるために戒厳令を敷き、恐怖政治と中国人化政策を強行したが、その中国人化という思想統制の洗脳政策の重要な一環が、双十節祝賀の強制だったのだ。

国民党独裁時代、国民党が台湾人民に強調されたのは孫文という神格化さ
れた中国人への崇拝。双十節はそのための記念日だった
台湾は中国の一部と強調する国民党の「一つの中国」宣伝の一環でもある。
孫文を「国父」として神格化し、その中国史上における功績を喧伝し(でっち上げ)、その後継者としての国民党の偉大さを宣伝し、「中国唯一の合法的代表」であると強調して台湾支配を正当化し、台湾人の精神的、物質的な動員体制の強化を目指す中、孫文=国民党の崇拝の日である双十節は持ち込まれた。

台湾では1949年以来、観閲式などを含む双十節の祝賀式典が行われている。
写真は観閲するかつての独裁者、蔣介石総統
そしてこうしたフィクション(虚構宣伝)に支えられ、民主化時代の今日に至ってなお存続するのが、中華民国体制というものなのである。
言いかえればこの体制が存続する限り、双十節という台湾とは無関係の中国の祝日も存続し続けるのである。
もちろん民主化以降、台湾の一般国民は辛亥革命など興味も関心もなくなっているのだが、そこで話題にしたいのが、それとは対照的な日本での光景なのだ。
台湾政府の出先機関が東京などで開催するレセプションには、毎年招待を受けた在日台湾人や親台湾の日本人(国会議員も含む)が嬉々として出席しているのである。

毎年都内のホテルで盛大に開催されるレセプション。大勢の親台派日本人も招待
されるのだが・・・
しかし本当に「親台湾」なら、そうしたものはボイコットすべきではないだろうか。このように言うと、「中華民国体制の台湾人迫害の時代はすでに過去のもの」と反論されるかもしれない。
だがそうした「一つの中国」を建前にする国家体制が、台湾併呑を目指す中華人民共和国の「一つの中国」宣伝に正当性を与えているのを忘れてはいけない。中国は民進党政権に対し、「いかなる台湾独立の動きにも断固反対する」と繰り返し恫喝するが、それは「中華民国体制からの脱却に断固反対する」という意味でもある。
また馬英九政権時代を見ればわかるように、国民党勢力がこの「一つの中国」体制を理由に、中国に台湾を売り飛ばしかねない動きに出たことも忘れてはならない。
そしてこの「中国」体制があるからこそ、日米を含む国際社会が「台湾は台湾人の国だ」との声に耳を傾けないで来たという事実も忘れてはならない。
だがそうしたなか注目すべき出来事が。
在日台湾人のグループが日本で行われるレセプションへのボイコットの呼び掛けを始めたのだ。
今年の東京でのレセプションは十月六日、パレスホテル東京においてだが、果たしてどれだけの在日台湾人、親台派日本人が呼びかけに呼応するだろうか。
二〇〇八年の馬英九政権発足直後にもこうした呼び掛けが行われた。もちろん私は賛同したのだが、その時目の当たりにしたのは、それまで私と共に台湾独立支持を訴えて来た日本人たちの変節だった。
まずボイコット呼びかけ活動への拒否が見られた。そしてその後、そういった人々が年を追うごとに、レセプション会場に続々と姿を見せるようになった。そこに呼ばれるのがステータスだと勘違いしているとも言われる。
民進党政権時代には同党を応援し、国民党政権時代には同党に迎合するという信念欠如のレベルの低さもまた、親台派といわれる日本人の特徴である(在日台湾人にもそういう者は少なくないらしいが)。
だから結構バカにされている。我々台湾研究フォーラムの主要メンバーの間では、「招待されても出席しない」と話し合われてきた。
しかし今回はどうだろう。
私が期待したいのは、旧来の無節操な人々ではなく、東日本大震災での台湾からの支援に感動し、あるいは近年の台湾の民主化運動に賛同するなど、心から「台湾人の台湾」を応援する新しい親台派の人々なのだ。
こうしたボイコットようなささやかな行動も、みなで積み重ねて行けば、やがては台湾に対する応援メッセージとなることを知ってもらいたい。
以下は、在日台湾人の諸団体が今回発表したボイコット呼び掛けの文書である。これを読み、「台湾人の台湾」を打ち立てたいと願う台湾の人々の心に思いを馳せてもらいたい。
「双十節」は台湾人の歓喜の日に当たらず
————— 祝賀行事への不参加の呼びかけ
間も無く日本においても、蔡英文政権が発足して最初の「中華民国」国慶節、いわゆる「双十節」の祝賀行事が行われる。多くの親台湾の日本の友人はこれに招かれ、お祝いのつもりで参加されると思われる。
しかし、「双十節」は中華民国の辛亥革命の端緒となった1911年10月10日の武昌起義を記念したものであり、台湾人また将来あるべき台湾国とはなんら関係ない。さらに、「双十節」は台湾人を50年間恐怖のどん底に落とした「中華民国」の建国記念日である。自分の父祖を惨殺し、自分を圧迫した外来政権の建国記念日を祝うのは滑稽としか言えない。
このように、いかなる観点からも「双十節」は台湾人の歓喜の日に当たらない。我々台湾人は、中国人または中華人ではないことを明示するためにも「双十節」を拒絶すべきである。
そして、親台湾の日本の友人にも「双十節」は台湾人にとり屈辱の日であり、歓喜すべき日ではないことをご理解いただき、参加しないようお願いする次第である。
■呼びかけ団体
日本台湾医師連合
日本台医人協会
在日台湾同郷会
在日台湾婦女会
台湾語言文化協会
台湾の声
台湾研究フォーラム
台湾独立建国聯盟日本本部
日本基督教東京台湾教会
【過去の関連記事】
祝っている場合ではない双十国慶節 07/04/18
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