NHKが反台湾の捏造報道を続ける理由
2016/09/19/Mon
■中国に踊らされた台湾観光業界の反政府デモ
日本でも盛んに報じられたが、台北では先日、観光業者によるデモが行われた。
時事通信によれば、「台湾で5月に民進党の蔡英文政権が発足後、中国との関係が冷却化し、この影響で中国人観光客も大幅に減っている。旅行会社、ホテルなどの観光業者は12日、台北市内で1万人規模のデモを行い、政府に対策を求めた」という。

台北で開かれた観光業者の反政府デモ。中国の意を汲むかのようにして実施された。
事前に参加者は「百万人」と銘打たれたが、警察発表では一万人。実際にはそれにも
及んでいない
中国人客減少の背景に関しては、「中国人観光客の台湾訪問は2008年に対中融和を掲げた国民党の馬英九政権下で解禁され、09年に日本人を抜いて海外観光客のトップとなった。その後も右肩上がりに伸び、15年は約418万人で訪台客の約4割を占めた。ところが、蔡総統が就任した5月以降は減少に転じ、8月は前年同月比で約40%の大幅減となった」とのこと。
そして次のように指摘する。
「蔡政権は中国が求める『一つの中国』原則に基づく『92年合意』の受け入れに応じていない。中国人観光客の減少は、蔡政権に対する中国の圧力とみられている」
要するにこういうことだ。
馬英九政権の「対中融和」政策とは、台中がかつて「一つの中国」(台湾は中国に属する)を確認したとされる「92年合意」を基礎とする経済振興策。中国はその「融和」姿勢を好しとし、大量の観光客を送りだすに至ったわけだ。
もちろんその最終目標は台湾併呑。台湾に経済的利益を与えて取込み、中国への依存度を高めさせて首根っこを押さえる恵台政策の一環である。
ところが、そこへ「一つの中国」を受け入れず、台湾と中国はそれぞれ異なる国家だとの現状を強調する蔡英文政権が発足したのである。
時事が言うように、蔡政権に対する「中国の圧力」(牽制、報復)として「中国人観光客の減少」が行われるわけである。
そしてそれに堪りかねたのが、これまで「恵台」に浴して来た観光業者だ。かくてデモを繰り出した。
デモは「政府に対策を求めた」というが、どんな「対策」かが問題だ。
要するに「九二年合意=一つの中国」の受け入れを要求したのだ。もっともそれでは政治的色彩が濃いとの判断で、当日は「生存、仕事、安定した生活を」といった非政治的スローガンに切り替えてはいたが。
このように観光業界の内、中国人客に依存して来た一部は、すっかり中国に首根っ子を摑まれ(実際は香港企業が多く、最初から中国の操縦下だが)、好いように踊らされているところだ。
■反民進党政権で中国とタッグを組む国民党
十八日にはこんな話もあった。
国民党籍を中心とした八つの県・市の首長ら代表者は十八日、中国へ飛び、台湾工作を司る国務院台湾事務弁公室の張志軍主任と会見。「九二年合意を認める県・市に観光客を送ってほしい」と要請したのだ。

国台弁の張志軍主任と会見した国民党籍の首長ら。「一つの中国」を主張して
中国人客の誘致を行った
これに対して張志軍氏は、「台湾の新しい当局は九二年合意を承認せず、両岸が一つの中国の属することを認めず、両岸の交流、協力に影響を及ぼし、特に台湾同胞の利益に厳重なる損害をもたらしている。こうした状況下でも引き続き九二年合意を政治的な基礎とし、台湾独立に断固として反対、抑止しながら交流を進めよう」と応じている。
もし中国がこれら県、市の願いを容れ、それら地域を「九二年合意特別区」にでも指定するなら、「中国人客が中共の統一戦線工作の道具であることの証明になる」(中国問題専門家、范世平氏)との見方もあるが、国民党文伝委員会(宣伝部門)の唐徳明副主任委員は張志軍氏の発言について、「大陸(中国)の反応は当然のもの。両岸関係が緊張するか否かは蔡英文総統一人にかかっている。蔡総統には人民が何を求めているかを知ってほしい」とコメント。同党が観光客数の問題で中国側としっかりタッグを組んでいることをうかがわせた。
以上を見てもわかるはずだ。台湾の観光業界はすでに中国の「以商囲政」(経済界を動かし政府に圧力をかける)のコマとなっているが、国民党もまた中国のコマとして同業界に歩調を合わせ、民進党政権に「一つの中国」の需要を要求しているのである。「台湾独立に断固として反対」など自らの国家主権を事実上否定しながら。
■国民党の中国迎合宣伝と同じNHKの報道
そして、こうした中国の反台湾の宣伝攻勢が強化されるとき、それにしばしば呼応の“素振り”を見せるのがNHKなど日本のマスメディアなのだ。あたかも中国の操縦下に置かれている国民党のようにである。
たとえば、NHKが台湾のデモの関して十二日に配信したニュースを見てみよう。タイトルは「中国人旅行客が減少 台湾で観光業者が大規模デモ」。
―――台湾では民進党政権の発足後、中国との関係が冷え込み、中国人旅行客が減少して観光業者の経営に影響が出ているとして、業者の団体が当局に対策を求める大規模なデモを行いました。
―――中国と距離を置く民進党の蔡英文政権が発足したことし5月以降、中台関係が冷え込んでいるのに合わせて、中国からの観光客の減少が続いていて、7月は去年の同じ月をおよそ15%下回りました。
―――観光関連の業者の団体は、経営が厳しくなっているとして、当局に観光客誘致の強化などを求めていて、デモでは「観光業をつぶすな」などと書かれたプラガードを手に、「仕事が欲しい」とシュプレヒコールを上げていました。主催者によりますと、観光業者による大規模なデモは初めてだということです。
―――デモに参加した観光ガイドの男性は「中国からの団体客が3分の1に減ってしまった。蔡総統が就任する前のように中国人客に来てほしい」と話していました。

ここでは、時事が指摘した「中国の圧力」には一切触れていない。そのためただただ、蔡英文政権の政策の悪影響で対中関係が悪化し、それによって業者が悲鳴を上げているとのイメージしか伝わってこない。
これでは上記の国民党の宣伝部門のコメント(プロパガンダ)と同じではないか。
■なぜNHKは中国の反台湾宣伝に呼応するのか
次いで、やはり十四日に配信の「中国政府 台湾の中国人旅行客の減少は台湾側に原因」を見よう。これは台湾のデモを受けての中国政府の反応を報じたものだ。
―――中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は14日の記者会見で、「台湾側は『1つの中国』という考え方を確認しておらず、多くの方面に影響が出ていて、大陸からの旅行客が減少したこともその1つだ。台湾の旅行業界の利益が損なわれたことの問題の所在は明確だ」と述べ、原因は台湾側にあるという認識を示しました。
―――そのうえで、「旅行客へのセールスだけでは根本的な問題解決にならない。問題は、引き起こした側が解決しなければならない」と述べて、蔡英文総統率いる民進党政権に対して、中国人旅行客の誘致で中国側の協力を得るためにも、「1つの中国」という考え方を受け入れるよう改めて求めました。

これらのニュースにお茶の間で接した国民の多くは、「関係悪化を招く民進党が悪い」と感じたのではないだろうか。
あるいは「台湾も中国もどっちもどっちだ」とか。それに比べて「一方的に『一つの中国』なる条件を押し付けて交流を停止する中国が悪い」と認識できる者はあまりいないだろう。一般国民は台中問題にはあまりにも関心が薄く、「一つの中国」が不当な侵略思想であることをNHKが強調しない限り、そうした現実を理解できないのである。
このように、民進党政権こそが緊張を高めるトラブルメーカーであるとの印象を日本国内に広めるなど、明らかに中国の宣伝謀略への加担である。
国民のほとんどは気付いていないが、実はこれはいつもながらことである。なぜならNHKは「一つの中国」の立場に立っているからだ。
そうしたフィクション(虚構宣伝)に立脚するため、自ずと捏造に満ちた反台湾報道が発せられてしまうのである。
【過去の関連記事】
日テレは台湾の親中デモに好意的か 16/09/14
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2954.html
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日本でも盛んに報じられたが、台北では先日、観光業者によるデモが行われた。
時事通信によれば、「台湾で5月に民進党の蔡英文政権が発足後、中国との関係が冷却化し、この影響で中国人観光客も大幅に減っている。旅行会社、ホテルなどの観光業者は12日、台北市内で1万人規模のデモを行い、政府に対策を求めた」という。


台北で開かれた観光業者の反政府デモ。中国の意を汲むかのようにして実施された。
事前に参加者は「百万人」と銘打たれたが、警察発表では一万人。実際にはそれにも
及んでいない
中国人客減少の背景に関しては、「中国人観光客の台湾訪問は2008年に対中融和を掲げた国民党の馬英九政権下で解禁され、09年に日本人を抜いて海外観光客のトップとなった。その後も右肩上がりに伸び、15年は約418万人で訪台客の約4割を占めた。ところが、蔡総統が就任した5月以降は減少に転じ、8月は前年同月比で約40%の大幅減となった」とのこと。
そして次のように指摘する。
「蔡政権は中国が求める『一つの中国』原則に基づく『92年合意』の受け入れに応じていない。中国人観光客の減少は、蔡政権に対する中国の圧力とみられている」
要するにこういうことだ。
馬英九政権の「対中融和」政策とは、台中がかつて「一つの中国」(台湾は中国に属する)を確認したとされる「92年合意」を基礎とする経済振興策。中国はその「融和」姿勢を好しとし、大量の観光客を送りだすに至ったわけだ。
もちろんその最終目標は台湾併呑。台湾に経済的利益を与えて取込み、中国への依存度を高めさせて首根っこを押さえる恵台政策の一環である。
ところが、そこへ「一つの中国」を受け入れず、台湾と中国はそれぞれ異なる国家だとの現状を強調する蔡英文政権が発足したのである。
時事が言うように、蔡政権に対する「中国の圧力」(牽制、報復)として「中国人観光客の減少」が行われるわけである。
そしてそれに堪りかねたのが、これまで「恵台」に浴して来た観光業者だ。かくてデモを繰り出した。
デモは「政府に対策を求めた」というが、どんな「対策」かが問題だ。
要するに「九二年合意=一つの中国」の受け入れを要求したのだ。もっともそれでは政治的色彩が濃いとの判断で、当日は「生存、仕事、安定した生活を」といった非政治的スローガンに切り替えてはいたが。
このように観光業界の内、中国人客に依存して来た一部は、すっかり中国に首根っ子を摑まれ(実際は香港企業が多く、最初から中国の操縦下だが)、好いように踊らされているところだ。
■反民進党政権で中国とタッグを組む国民党
十八日にはこんな話もあった。
国民党籍を中心とした八つの県・市の首長ら代表者は十八日、中国へ飛び、台湾工作を司る国務院台湾事務弁公室の張志軍主任と会見。「九二年合意を認める県・市に観光客を送ってほしい」と要請したのだ。

国台弁の張志軍主任と会見した国民党籍の首長ら。「一つの中国」を主張して
中国人客の誘致を行った
これに対して張志軍氏は、「台湾の新しい当局は九二年合意を承認せず、両岸が一つの中国の属することを認めず、両岸の交流、協力に影響を及ぼし、特に台湾同胞の利益に厳重なる損害をもたらしている。こうした状況下でも引き続き九二年合意を政治的な基礎とし、台湾独立に断固として反対、抑止しながら交流を進めよう」と応じている。
もし中国がこれら県、市の願いを容れ、それら地域を「九二年合意特別区」にでも指定するなら、「中国人客が中共の統一戦線工作の道具であることの証明になる」(中国問題専門家、范世平氏)との見方もあるが、国民党文伝委員会(宣伝部門)の唐徳明副主任委員は張志軍氏の発言について、「大陸(中国)の反応は当然のもの。両岸関係が緊張するか否かは蔡英文総統一人にかかっている。蔡総統には人民が何を求めているかを知ってほしい」とコメント。同党が観光客数の問題で中国側としっかりタッグを組んでいることをうかがわせた。
以上を見てもわかるはずだ。台湾の観光業界はすでに中国の「以商囲政」(経済界を動かし政府に圧力をかける)のコマとなっているが、国民党もまた中国のコマとして同業界に歩調を合わせ、民進党政権に「一つの中国」の需要を要求しているのである。「台湾独立に断固として反対」など自らの国家主権を事実上否定しながら。
■国民党の中国迎合宣伝と同じNHKの報道
そして、こうした中国の反台湾の宣伝攻勢が強化されるとき、それにしばしば呼応の“素振り”を見せるのがNHKなど日本のマスメディアなのだ。あたかも中国の操縦下に置かれている国民党のようにである。
たとえば、NHKが台湾のデモの関して十二日に配信したニュースを見てみよう。タイトルは「中国人旅行客が減少 台湾で観光業者が大規模デモ」。
―――台湾では民進党政権の発足後、中国との関係が冷え込み、中国人旅行客が減少して観光業者の経営に影響が出ているとして、業者の団体が当局に対策を求める大規模なデモを行いました。
―――中国と距離を置く民進党の蔡英文政権が発足したことし5月以降、中台関係が冷え込んでいるのに合わせて、中国からの観光客の減少が続いていて、7月は去年の同じ月をおよそ15%下回りました。
―――観光関連の業者の団体は、経営が厳しくなっているとして、当局に観光客誘致の強化などを求めていて、デモでは「観光業をつぶすな」などと書かれたプラガードを手に、「仕事が欲しい」とシュプレヒコールを上げていました。主催者によりますと、観光業者による大規模なデモは初めてだということです。
―――デモに参加した観光ガイドの男性は「中国からの団体客が3分の1に減ってしまった。蔡総統が就任する前のように中国人客に来てほしい」と話していました。

ここでは、時事が指摘した「中国の圧力」には一切触れていない。そのためただただ、蔡英文政権の政策の悪影響で対中関係が悪化し、それによって業者が悲鳴を上げているとのイメージしか伝わってこない。
これでは上記の国民党の宣伝部門のコメント(プロパガンダ)と同じではないか。
■なぜNHKは中国の反台湾宣伝に呼応するのか
次いで、やはり十四日に配信の「中国政府 台湾の中国人旅行客の減少は台湾側に原因」を見よう。これは台湾のデモを受けての中国政府の反応を報じたものだ。
―――中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は14日の記者会見で、「台湾側は『1つの中国』という考え方を確認しておらず、多くの方面に影響が出ていて、大陸からの旅行客が減少したこともその1つだ。台湾の旅行業界の利益が損なわれたことの問題の所在は明確だ」と述べ、原因は台湾側にあるという認識を示しました。
―――そのうえで、「旅行客へのセールスだけでは根本的な問題解決にならない。問題は、引き起こした側が解決しなければならない」と述べて、蔡英文総統率いる民進党政権に対して、中国人旅行客の誘致で中国側の協力を得るためにも、「1つの中国」という考え方を受け入れるよう改めて求めました。

これらのニュースにお茶の間で接した国民の多くは、「関係悪化を招く民進党が悪い」と感じたのではないだろうか。
あるいは「台湾も中国もどっちもどっちだ」とか。それに比べて「一方的に『一つの中国』なる条件を押し付けて交流を停止する中国が悪い」と認識できる者はあまりいないだろう。一般国民は台中問題にはあまりにも関心が薄く、「一つの中国」が不当な侵略思想であることをNHKが強調しない限り、そうした現実を理解できないのである。
このように、民進党政権こそが緊張を高めるトラブルメーカーであるとの印象を日本国内に広めるなど、明らかに中国の宣伝謀略への加担である。
国民のほとんどは気付いていないが、実はこれはいつもながらことである。なぜならNHKは「一つの中国」の立場に立っているからだ。
そうしたフィクション(虚構宣伝)に立脚するため、自ずと捏造に満ちた反台湾報道が発せられてしまうのである。
【過去の関連記事】
日テレは台湾の親中デモに好意的か 16/09/14
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