加藤紘一の訃報と中国の対日工作
2016/09/11/Sun
加藤紘一元官房長官が九月九日に死去したと報じられている。
「中国要人とのパイプが太く、日中友好協会会長を務めた」(産経)という加藤氏。時事は同氏と中国との繋がりを次のように強調した。

亡くなった加藤紘一氏(左)。中国とのパイプの太さで知られた
「晩年の加藤氏は親中派としての人脈を生かし、沖縄県・尖閣諸島国有化で悪化した日中関係の改善に意を尽くした。体調を崩し、日中友好協会の会長職を丹羽宇一郎元駐中国大使に譲ったが、最後まで日中の将来を気に掛けていたという」
朝日は、地元山形県の小野寺喜一郎前遊佐町長は次のコメントを紹介した。
「彼のライフワークでもある日中友好運動にともに取り組んできたが、尖閣問題で日中がぎくしゃくしている時期だけにアドバイスを頂ければと思っていた。残念です」
このように日中関係が低迷する中、その死が惜しまれているところだが、しかし実際に同氏の「パイプ」は、関係改善に役立ち得るものだったのだろうか。
たしかに加藤氏は中国側から「中国人民の老朋友」に列せられなど、強い信頼を寄せられて来た人物だが、問題はあの国が同氏の何を評価して来たかだ。
国営新華社が配信した訃報を見よう。次のような評価だ。
―――政治家として長年来、一貫して日本は侵略の歴史を反省するよう訴え、それとともに日本国内における各種の侵略の歴史を否定、美化する言動を批判して来た。引退後も公の場で、安倍政権が登場して安保法で集団的自衛権を解禁するのを糾弾するなど、正義の声を上げることを堅持した。
要するに日本の中国に対する「侵略の歴史」を誇張宣伝し、日本に贖罪意識を抱かせて中国に従属するよう仕向け、あるいは中国の覇権主義、拡張政策の抑止に乗り出す安倍政権への逆抑止を行うという、対日謀略の有力エージェントとしての役割が期待されて来たというわけだ。
実際にしっかり協力してきた(利用されてきた)ようだ。
近年の実例を挙げると、二〇一三年一月二十八日からの訪中がある。

病を押して訪中を果たした加藤氏。疲れ切った表情を見せたが、なぜそこまで中国に忠誠を尽くしたのか
従来、中国の宣伝に呼応して尖閣諸島問題の棚上げ(領有権の自己否定につながりかねない日本側の一方的な譲歩)を政府に要求し続けて来た加藤氏は、この問題を巡る日中対立を解消しようと、村山富市元首相らとともに中国の要人に会いに行ったのだのだが、実はこの行程は向こうの中日友好協会が仕組んだものだった。
当時、産経新聞(二〇一三年一月三十日)は次のように報じている。
―――安倍晋三内閣を「隣国に不安に与える政権」と批判する一方、村山氏らを「勇気ある政治家」と持ち上げて、「安倍氏は日本でも孤立している」と中国国内に印象づけている。沖縄県・尖閣諸島問題で対立する日本への“分断作戦”ともいえそうだ。
―――中国のメディアは防衛予算を増額する方針を固めた安倍政権への批判を続けており、習政権は対日強硬政策を崩していない。“アメとムチ”を使い分けることで、日本側の世論の分断を狙ったもといえる。
―――同時に「日中関係の悪化の責任は安倍氏とその周辺だけにあり、日本人の中にも中国の主張を支持する要人はたくさんいる」(関係筋)と中国国内にアピールして、安倍氏の“孤立化”を印象づけたい思惑もあるとみられる。
―――こうした中国の外交術は一定の成果をあげたようだ。加藤氏は29日、中国要人との会談後の会見で、「中国側から『民をもって官を促す』という言葉をいわれた。われわれはこれから民間の日中友好活動を積極的に展開することで日本政府に影響力を及ぼしていきたい」と述べている。
中国の所謂「民をもって官を促す」(以民促官)とは言うまでもなく、他国の世論を煽動してその国の政府を動かし、中国に有利な政策を採らせるという謀略であるが、加藤氏は平然と「日本政府に影響力を及ぼしていきたい」と言い放ち、その謀略に加担することを宣言したわけだ。
良識の麻痺で善悪の判断がつかなくなるのは、魂を外国に売り飛ばした者にしばしば見られる症状だが、これはまさにそれだろう。
病を押しての訪中のようだった。現地に到着した時の疲れた症状や歩行もままならない姿に、何が彼をそこまで駆り立てるのかと訝しんだものだ。
もっともそれは、本人に聞かなければわからないことだ。いったいどれほど籠絡されたのだろうか。少なくとも日本人としての良心を放棄させられるほどの思想改造を受けたに違いない。
「最後まで日中の将来を気に掛けていたという」という加藤氏だが、この人物が果たしていかなる「将来」を求めていたかが問題だ。少なくともその死は、両国関係にマイナスにはならないことだけは確かである。
中国政府との「パイプ」を誇る日本人は、地方議員や中小企業の経営者に至るまで全国に大勢いるが、誰と「パイプ」を繋ぎ、維持するかを決めるのは中国側である。その判断基準は第一に、「以民促官」を含む対日工作(日本分断を目指す統一戦線工作)に有用か否かだ。
新華社による加藤氏の訃報を読みながら、そのようなことを改めて考えた次第である。
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「中国要人とのパイプが太く、日中友好協会会長を務めた」(産経)という加藤氏。時事は同氏と中国との繋がりを次のように強調した。

亡くなった加藤紘一氏(左)。中国とのパイプの太さで知られた
「晩年の加藤氏は親中派としての人脈を生かし、沖縄県・尖閣諸島国有化で悪化した日中関係の改善に意を尽くした。体調を崩し、日中友好協会の会長職を丹羽宇一郎元駐中国大使に譲ったが、最後まで日中の将来を気に掛けていたという」
朝日は、地元山形県の小野寺喜一郎前遊佐町長は次のコメントを紹介した。
「彼のライフワークでもある日中友好運動にともに取り組んできたが、尖閣問題で日中がぎくしゃくしている時期だけにアドバイスを頂ければと思っていた。残念です」
このように日中関係が低迷する中、その死が惜しまれているところだが、しかし実際に同氏の「パイプ」は、関係改善に役立ち得るものだったのだろうか。
たしかに加藤氏は中国側から「中国人民の老朋友」に列せられなど、強い信頼を寄せられて来た人物だが、問題はあの国が同氏の何を評価して来たかだ。
国営新華社が配信した訃報を見よう。次のような評価だ。
―――政治家として長年来、一貫して日本は侵略の歴史を反省するよう訴え、それとともに日本国内における各種の侵略の歴史を否定、美化する言動を批判して来た。引退後も公の場で、安倍政権が登場して安保法で集団的自衛権を解禁するのを糾弾するなど、正義の声を上げることを堅持した。
要するに日本の中国に対する「侵略の歴史」を誇張宣伝し、日本に贖罪意識を抱かせて中国に従属するよう仕向け、あるいは中国の覇権主義、拡張政策の抑止に乗り出す安倍政権への逆抑止を行うという、対日謀略の有力エージェントとしての役割が期待されて来たというわけだ。
実際にしっかり協力してきた(利用されてきた)ようだ。
近年の実例を挙げると、二〇一三年一月二十八日からの訪中がある。

病を押して訪中を果たした加藤氏。疲れ切った表情を見せたが、なぜそこまで中国に忠誠を尽くしたのか
従来、中国の宣伝に呼応して尖閣諸島問題の棚上げ(領有権の自己否定につながりかねない日本側の一方的な譲歩)を政府に要求し続けて来た加藤氏は、この問題を巡る日中対立を解消しようと、村山富市元首相らとともに中国の要人に会いに行ったのだのだが、実はこの行程は向こうの中日友好協会が仕組んだものだった。
当時、産経新聞(二〇一三年一月三十日)は次のように報じている。
―――安倍晋三内閣を「隣国に不安に与える政権」と批判する一方、村山氏らを「勇気ある政治家」と持ち上げて、「安倍氏は日本でも孤立している」と中国国内に印象づけている。沖縄県・尖閣諸島問題で対立する日本への“分断作戦”ともいえそうだ。
―――中国のメディアは防衛予算を増額する方針を固めた安倍政権への批判を続けており、習政権は対日強硬政策を崩していない。“アメとムチ”を使い分けることで、日本側の世論の分断を狙ったもといえる。
―――同時に「日中関係の悪化の責任は安倍氏とその周辺だけにあり、日本人の中にも中国の主張を支持する要人はたくさんいる」(関係筋)と中国国内にアピールして、安倍氏の“孤立化”を印象づけたい思惑もあるとみられる。
―――こうした中国の外交術は一定の成果をあげたようだ。加藤氏は29日、中国要人との会談後の会見で、「中国側から『民をもって官を促す』という言葉をいわれた。われわれはこれから民間の日中友好活動を積極的に展開することで日本政府に影響力を及ぼしていきたい」と述べている。
中国の所謂「民をもって官を促す」(以民促官)とは言うまでもなく、他国の世論を煽動してその国の政府を動かし、中国に有利な政策を採らせるという謀略であるが、加藤氏は平然と「日本政府に影響力を及ぼしていきたい」と言い放ち、その謀略に加担することを宣言したわけだ。
良識の麻痺で善悪の判断がつかなくなるのは、魂を外国に売り飛ばした者にしばしば見られる症状だが、これはまさにそれだろう。
病を押しての訪中のようだった。現地に到着した時の疲れた症状や歩行もままならない姿に、何が彼をそこまで駆り立てるのかと訝しんだものだ。
もっともそれは、本人に聞かなければわからないことだ。いったいどれほど籠絡されたのだろうか。少なくとも日本人としての良心を放棄させられるほどの思想改造を受けたに違いない。
「最後まで日中の将来を気に掛けていたという」という加藤氏だが、この人物が果たしていかなる「将来」を求めていたかが問題だ。少なくともその死は、両国関係にマイナスにはならないことだけは確かである。
中国政府との「パイプ」を誇る日本人は、地方議員や中小企業の経営者に至るまで全国に大勢いるが、誰と「パイプ」を繋ぎ、維持するかを決めるのは中国側である。その判断基準は第一に、「以民促官」を含む対日工作(日本分断を目指す統一戦線工作)に有用か否かだ。
新華社による加藤氏の訃報を読みながら、そのようなことを改めて考えた次第である。
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