尖閣で中国が過激化―最早通じぬ「棚上げ」の主張
2016/08/07/Sun
「中国は東シナ海、南シナ海周辺の制海・制空権の獲得を目指している」
毎日新聞はこのように言いきった。八月六日、中国の海警船七隻と漁船約二百三十隻が尖閣諸島魚釣島沖の接続水域に入り込んだのを受けてだ。

海警船7隻が漁船230隻と共に尖閣の接続水域に侵入。あの国の行動は過激化するばかりだ

2012年、尖閣へ向かう中国漁船群。民兵が乗り込んでいると見られ
たが、今回も同様だろう
数年前に毎日は、中国の戚建国副総参謀長が尖閣問題の棚上げを訴えたのを支持し、棚上げ合意の事実はないと説明する菅義偉官房長官を批判するなどしていたものだが(二〇一三年六月十二日社説、「尖閣と日中関係 外交的解決に知恵絞れ」)、今日のあの国の領土欲剥き出しの姿に、日本への「棚上げ」の呼び掛けなど、所詮「制海・制空権の獲得」のための謀略に過ぎないと認めざるを得ないだろう。
今回の状況の関し、メディアは次のように、その異常性を伝えている。
―――政府関係者は「通常、尖閣周辺にいる海警船は3隻で、7隻もいるのは特異だ。漁船の数も例年の100隻程度より多く、心配だ」と話す。(毎日)
―――5日には海警局の船2隻と漁船6隻が同時に領海に侵入した。同時侵入は初めてで、海警の船は漁船の周囲を行ったり来たりしたという。日本領海内で法執行するようにもみえ、尖閣を自国の領土とする中国の主張を既成事実化させかねないと日本政府は警戒する。(日経)
―――日本の実効支配を崩すため新たなステージに踏み出そうとする習近平政権の明確な意思がうかがえる。(産経)
―――中国は日本周辺で最近、前例のない活動を活発化させている。6月9日に中国軍艦が初めて尖閣周辺の接続水域に入ったほか、同15日には鹿児島県口永良部島沖の領海を、中国海軍の情報収集艦1隻が航行した。この際、中国は「国際海峡であるトカラ海峡」を合法的に航行したと主張。今回もこれまでにない動きで、日本政府は中国側の意図の分析を急ぐ。(毎日)
―――東シナ海では1日に中国軍が大規模な実弾演習も実施した。(日経)
―――中国が東シナ海ガス田開発の構造物に対水上レーダーを設置したことも判明した。日本政府は警戒を強めている。(日経)
このように「中国の行動が過激化する背景には、厳しい内政状況や日本への反発が垣間見える」(日経)という。各紙の分析を見よう。
―――中国が尖閣諸島での示威行動のレベルを高める背景として、日本が中国に対し、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の判決を受け入れるよう繰り返し求めていることへの反発がまず挙げられる。加えて、尖閣を「中国の領土」との主張を定着させて海洋での勢力圏拡大を早期に進めたいという思惑もあり、中国の強引さが顕著になりつつある。(毎日)
―――南シナ海をめぐる仲裁裁判所の判決が示され、日本はアジア欧州会議(ASEM)首脳会議などの場で、中国に受け入れを迫り、「中国は外交舞台でコーナーに追い詰められ、強硬姿勢を取る必要に迫られた」(北京の外交関係者)。(毎日)
―――中国人民大の時殷弘教授は「判決を支持する国の中で日本が最も積極的である。中国はこの点に強い憤りを抱いている。日本が南シナ海問題で中国に圧力をかけるなら、中国も東シナ海問題で日本に圧力をかける」と解説しながら「対立は非常に深刻であり、双方が取る措置も変わりつつある」と危惧する。(毎日)
以上は要するに、今回の中国側の行動は、仲裁判決に従おうとしないあの国に対し、「法の支配と紛争の平和的解決が重要だ」と主張した日本への報復だという分析だ。
もしそれでも日本国内に、中国との緊張回避を最優先課題として問題棚上げを主張する者がいるなら、それは国際法秩序をも無視する愚かな事大主義者、中国覇権主義の翼賛者と言わざるを得ない。
中国の意図については、次のような分析もある。
―――稲田朋美氏の防衛相就任へのけん制との見方もある。中国メディアは「今後の靖国神社参拝を否定しなかった」と伝えており、15日の終戦記念日の参拝を警戒している。(日経)
―――中国当局は安倍晋三政権の内閣改造で、安倍首相に政治信条の近い稲田朋美氏の防衛相起用などを受けて政権の「右傾化」を警戒。今後の南シナ海問題への関与強化に対抗する狙いもあるようだ。(産経)
「安倍政権は右傾化で中国を刺激するな」などと政権批判をしないように。誰が政権を握ろうと、中国が「東シナ海、南シナ海周辺の制海・制空権の獲得を目指」すことには変わりはない。
そんな中国がそこまで安倍政権を警戒するというなら、それほどあの覇権主義に抑止力を効かせているということで、むしろ日本としては喜んで好い。
これまでメディアなどが尖閣問題の棚上げを訴えたのは緊張緩和を第一に考えてのものだったが、今後はいかに中国拡張主義との間の緊張に耐えつつ、断固として領土、領海を守り抜くか、各国と共同でアジアの平和を守り抜くかを第一課題とするべきだ。
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毎日新聞はこのように言いきった。八月六日、中国の海警船七隻と漁船約二百三十隻が尖閣諸島魚釣島沖の接続水域に入り込んだのを受けてだ。

海警船7隻が漁船230隻と共に尖閣の接続水域に侵入。あの国の行動は過激化するばかりだ

2012年、尖閣へ向かう中国漁船群。民兵が乗り込んでいると見られ
たが、今回も同様だろう
数年前に毎日は、中国の戚建国副総参謀長が尖閣問題の棚上げを訴えたのを支持し、棚上げ合意の事実はないと説明する菅義偉官房長官を批判するなどしていたものだが(二〇一三年六月十二日社説、「尖閣と日中関係 外交的解決に知恵絞れ」)、今日のあの国の領土欲剥き出しの姿に、日本への「棚上げ」の呼び掛けなど、所詮「制海・制空権の獲得」のための謀略に過ぎないと認めざるを得ないだろう。
今回の状況の関し、メディアは次のように、その異常性を伝えている。
―――政府関係者は「通常、尖閣周辺にいる海警船は3隻で、7隻もいるのは特異だ。漁船の数も例年の100隻程度より多く、心配だ」と話す。(毎日)
―――5日には海警局の船2隻と漁船6隻が同時に領海に侵入した。同時侵入は初めてで、海警の船は漁船の周囲を行ったり来たりしたという。日本領海内で法執行するようにもみえ、尖閣を自国の領土とする中国の主張を既成事実化させかねないと日本政府は警戒する。(日経)
―――日本の実効支配を崩すため新たなステージに踏み出そうとする習近平政権の明確な意思がうかがえる。(産経)
―――中国は日本周辺で最近、前例のない活動を活発化させている。6月9日に中国軍艦が初めて尖閣周辺の接続水域に入ったほか、同15日には鹿児島県口永良部島沖の領海を、中国海軍の情報収集艦1隻が航行した。この際、中国は「国際海峡であるトカラ海峡」を合法的に航行したと主張。今回もこれまでにない動きで、日本政府は中国側の意図の分析を急ぐ。(毎日)
―――東シナ海では1日に中国軍が大規模な実弾演習も実施した。(日経)
―――中国が東シナ海ガス田開発の構造物に対水上レーダーを設置したことも判明した。日本政府は警戒を強めている。(日経)
このように「中国の行動が過激化する背景には、厳しい内政状況や日本への反発が垣間見える」(日経)という。各紙の分析を見よう。
―――中国が尖閣諸島での示威行動のレベルを高める背景として、日本が中国に対し、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の判決を受け入れるよう繰り返し求めていることへの反発がまず挙げられる。加えて、尖閣を「中国の領土」との主張を定着させて海洋での勢力圏拡大を早期に進めたいという思惑もあり、中国の強引さが顕著になりつつある。(毎日)
―――南シナ海をめぐる仲裁裁判所の判決が示され、日本はアジア欧州会議(ASEM)首脳会議などの場で、中国に受け入れを迫り、「中国は外交舞台でコーナーに追い詰められ、強硬姿勢を取る必要に迫られた」(北京の外交関係者)。(毎日)
―――中国人民大の時殷弘教授は「判決を支持する国の中で日本が最も積極的である。中国はこの点に強い憤りを抱いている。日本が南シナ海問題で中国に圧力をかけるなら、中国も東シナ海問題で日本に圧力をかける」と解説しながら「対立は非常に深刻であり、双方が取る措置も変わりつつある」と危惧する。(毎日)
以上は要するに、今回の中国側の行動は、仲裁判決に従おうとしないあの国に対し、「法の支配と紛争の平和的解決が重要だ」と主張した日本への報復だという分析だ。
もしそれでも日本国内に、中国との緊張回避を最優先課題として問題棚上げを主張する者がいるなら、それは国際法秩序をも無視する愚かな事大主義者、中国覇権主義の翼賛者と言わざるを得ない。
中国の意図については、次のような分析もある。
―――稲田朋美氏の防衛相就任へのけん制との見方もある。中国メディアは「今後の靖国神社参拝を否定しなかった」と伝えており、15日の終戦記念日の参拝を警戒している。(日経)
―――中国当局は安倍晋三政権の内閣改造で、安倍首相に政治信条の近い稲田朋美氏の防衛相起用などを受けて政権の「右傾化」を警戒。今後の南シナ海問題への関与強化に対抗する狙いもあるようだ。(産経)
「安倍政権は右傾化で中国を刺激するな」などと政権批判をしないように。誰が政権を握ろうと、中国が「東シナ海、南シナ海周辺の制海・制空権の獲得を目指」すことには変わりはない。
そんな中国がそこまで安倍政権を警戒するというなら、それほどあの覇権主義に抑止力を効かせているということで、むしろ日本としては喜んで好い。
これまでメディアなどが尖閣問題の棚上げを訴えたのは緊張緩和を第一に考えてのものだったが、今後はいかに中国拡張主義との間の緊張に耐えつつ、断固として領土、領海を守り抜くか、各国と共同でアジアの平和を守り抜くかを第一課題とするべきだ。
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