日本も知るべき「台湾独立」の真義ー台湾新政権発足を機に
2016/05/28/Sat
五月二十日の台湾総統就任式は台北の総統府前の広場で行われたが、実はその「広場」は総統府正面から景福門(かつての台北府城門の一)までの四百メートルを一直線に伸びる両側十車線のケタガラン大通を閉鎖してできたものだ。

台北の総統就任式典会場入り口付近に広げられた民間グループの看板。世界に訴えようとの作戦だ
したがって、景福門付近が式典会場の入口となるわけだが、当日はその辺りで台湾独立派の諸団体がアピール活動を展開していた。
この「台湾独立」とは、内戦で敗れて台湾へ亡命した蒋介石が持ち込んだ中華民国体制からの脱却を意味する。
日本のマスメディアはつねに新総統の蔡英文氏を「台湾独立志向」と報じているが、実際には、民進党はかつての台湾の独立建国を謳った党綱領を凍結して中華民国体制を認めており、そう形容するのは不適切である。
台湾併呑を国家目標に掲げる中国は、「一つの中国」原則を認めず、台湾は中国から独立した国家だと強調する同党を、台独分裂分子などと断罪するが、日本のメディアがもしこうした身勝手な宣伝に従っているのなら、それは真実報道という自らの使命を放棄するものとなるだろう。
さて式典には、我々台湾研究フォーラムの代表団も出席したのだが、入場のために景福門付近を通りかかった際、先ず目を見張ったのが、日本語や英語で「台湾は中国の一部ではない」と書かれた大きな看板だった。
独立派政党、自由台湾党が掲げたものだ。この日は各国の元首、議員などを含む約七百人の外国人が招待され、また現地の映像は世界中に配信されることになる。それに着眼した上での対外宣伝作戦だ。
招待された外国人の内、日本人は二百名以上を数えたが、その全てが日本語の看板を目にしたはずである。そのほとんどは親台派であろうから、「台湾は中国の一部ではない」との文字に、「その通りだ」と頷いたことだろう。
ただ、これは私の推測だが、たとえ親台派ではあっても実際には、その多くは「台湾は中国の一部ではない」の本当の意味を明確には理解し切れていないと思うのだ。
なぜならほとんどの日本人の脳裏には「一つの中国」宣伝が刷り込まれてしまっているからである。
中国の支配は台湾に及んでいないという意味では「台湾は中国の一部ではない」と認識できても、しかしその一方では「台湾(中華民国)と中華人民共和国は分断国家であり、未来においてはやはり分断国家だった東西ドイツの如く、統一しても不思議ではない」と、心のどこかで思っているはずだ。
マスメディアが台湾と中国の「統一」(中国による台湾侵略、併呑)に反対を表明しないのもそのためだろう。そしてそれは親台派、知台派であっても例外ではないのである。
しかし、台湾と中国は決して分断国家などではない。
なぜなら中国の国土は分断されていない。かつて日本領土だった台湾だが、その後この島が中国に割譲された事実はないからだ(日本は一九五二年に台湾を放棄したのみで、新たな帰属先は未定とされた)。たしかに中華民国政府の支配を受けて来たが、あれは海外へ逃れた亡命政府である。
蔣介石・経国政権は「一つの中国」を主張し、馬英九政権もそれに倣い、そうしたことも日本人を大いに惑わしたわけだが、幸い今度の新政権は、そうしたフィクションを取り下げた。
かくて中華民国は中国からの外来亡命政権ではなく、中国とは無関係の台湾人国家の道を歩んで行くこととなるわけだが、しかし「一つの中国」原則に立脚する中華民国憲法を頂く限り、それには自ずと限界が生じることとなる。
そこで強化されるのが、台湾国の建国を目指す民間の台湾独立運動であるわけだ。
実は我々はその前日、自由台湾党本部を訪問し、蔡丁貴主席と会談した。「蔡英文総統はおそらく二〇二〇年に二期目を務めることになる。その時には国民党勢力はさらに小さくなっているはず。そこで独立宣言を促したい」と、同党の運動目標を語ってくれた。

自由台湾党本部で同党の人々と。前列左3が蔡丁貴主席

蔡丁貴主席は中華民国体制打倒の果敢な運動で知られる
そうした理念は、「天然独」(生まれながらの独立支持)と呼ばれる若者世代を中心に自然と受け入れられることだろう。
しかしもし台湾が本当に独立を宣言しようとすれば、中国は武力行使も辞さない構え。そのため米国もそれを許さず、反対の圧力をかけるだろうから、「宣言はあり得ない」との見方が有力だろう。しかしだからといって「一つの中国」憲法を奉戴しつづければ、中国に「中国統一」の口実を与え続けることにもなり…。

就任式典終了後、会場外で独立運動のメンバーたちと
今後台湾はどうあるべきなのか。これは日本の安全保障とも密接に関わる問題だが、日本人がそれを考えて行く上で、まずは「一つの中国」の洗脳からの脱却を。
台中の対立は「一つの中国」内部の揉め事ではなく、中国の台湾侵略の野心が惹起しているものだとの認識の確立が必要だ。
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台北の総統就任式典会場入り口付近に広げられた民間グループの看板。世界に訴えようとの作戦だ
したがって、景福門付近が式典会場の入口となるわけだが、当日はその辺りで台湾独立派の諸団体がアピール活動を展開していた。
この「台湾独立」とは、内戦で敗れて台湾へ亡命した蒋介石が持ち込んだ中華民国体制からの脱却を意味する。
日本のマスメディアはつねに新総統の蔡英文氏を「台湾独立志向」と報じているが、実際には、民進党はかつての台湾の独立建国を謳った党綱領を凍結して中華民国体制を認めており、そう形容するのは不適切である。
台湾併呑を国家目標に掲げる中国は、「一つの中国」原則を認めず、台湾は中国から独立した国家だと強調する同党を、台独分裂分子などと断罪するが、日本のメディアがもしこうした身勝手な宣伝に従っているのなら、それは真実報道という自らの使命を放棄するものとなるだろう。
さて式典には、我々台湾研究フォーラムの代表団も出席したのだが、入場のために景福門付近を通りかかった際、先ず目を見張ったのが、日本語や英語で「台湾は中国の一部ではない」と書かれた大きな看板だった。
独立派政党、自由台湾党が掲げたものだ。この日は各国の元首、議員などを含む約七百人の外国人が招待され、また現地の映像は世界中に配信されることになる。それに着眼した上での対外宣伝作戦だ。
招待された外国人の内、日本人は二百名以上を数えたが、その全てが日本語の看板を目にしたはずである。そのほとんどは親台派であろうから、「台湾は中国の一部ではない」との文字に、「その通りだ」と頷いたことだろう。
ただ、これは私の推測だが、たとえ親台派ではあっても実際には、その多くは「台湾は中国の一部ではない」の本当の意味を明確には理解し切れていないと思うのだ。
なぜならほとんどの日本人の脳裏には「一つの中国」宣伝が刷り込まれてしまっているからである。
中国の支配は台湾に及んでいないという意味では「台湾は中国の一部ではない」と認識できても、しかしその一方では「台湾(中華民国)と中華人民共和国は分断国家であり、未来においてはやはり分断国家だった東西ドイツの如く、統一しても不思議ではない」と、心のどこかで思っているはずだ。
マスメディアが台湾と中国の「統一」(中国による台湾侵略、併呑)に反対を表明しないのもそのためだろう。そしてそれは親台派、知台派であっても例外ではないのである。
しかし、台湾と中国は決して分断国家などではない。
なぜなら中国の国土は分断されていない。かつて日本領土だった台湾だが、その後この島が中国に割譲された事実はないからだ(日本は一九五二年に台湾を放棄したのみで、新たな帰属先は未定とされた)。たしかに中華民国政府の支配を受けて来たが、あれは海外へ逃れた亡命政府である。
蔣介石・経国政権は「一つの中国」を主張し、馬英九政権もそれに倣い、そうしたことも日本人を大いに惑わしたわけだが、幸い今度の新政権は、そうしたフィクションを取り下げた。
かくて中華民国は中国からの外来亡命政権ではなく、中国とは無関係の台湾人国家の道を歩んで行くこととなるわけだが、しかし「一つの中国」原則に立脚する中華民国憲法を頂く限り、それには自ずと限界が生じることとなる。
そこで強化されるのが、台湾国の建国を目指す民間の台湾独立運動であるわけだ。
実は我々はその前日、自由台湾党本部を訪問し、蔡丁貴主席と会談した。「蔡英文総統はおそらく二〇二〇年に二期目を務めることになる。その時には国民党勢力はさらに小さくなっているはず。そこで独立宣言を促したい」と、同党の運動目標を語ってくれた。

自由台湾党本部で同党の人々と。前列左3が蔡丁貴主席

蔡丁貴主席は中華民国体制打倒の果敢な運動で知られる
そうした理念は、「天然独」(生まれながらの独立支持)と呼ばれる若者世代を中心に自然と受け入れられることだろう。
しかしもし台湾が本当に独立を宣言しようとすれば、中国は武力行使も辞さない構え。そのため米国もそれを許さず、反対の圧力をかけるだろうから、「宣言はあり得ない」との見方が有力だろう。しかしだからといって「一つの中国」憲法を奉戴しつづければ、中国に「中国統一」の口実を与え続けることにもなり…。

就任式典終了後、会場外で独立運動のメンバーたちと
今後台湾はどうあるべきなのか。これは日本の安全保障とも密接に関わる問題だが、日本人がそれを考えて行く上で、まずは「一つの中国」の洗脳からの脱却を。
台中の対立は「一つの中国」内部の揉め事ではなく、中国の台湾侵略の野心が惹起しているものだとの認識の確立が必要だ。
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