台中緊張で試される日本の勇気と良識
2016/05/13/Fri
■日本人の卑怯な性格で中国を批判できるか
これは日本人の性格の問題である。
たとえば電車の中など大勢の人がいる前で、乱暴で強そうなAが、横に居合わせた大人しく善良なBに大声で「言いがかり」を付けたとする。そうなるとBには謝罪する謂れもなく、屈服するわけにいかないから、自ずと車内での緊張は高まるわけだが、その時、周囲の「赤の他人」たちはどう反応を示すだろうか。
先ず、Bを危険から守るべく、凶暴なAを制止する者はとても少なく、たいていは揉め事に巻き込まれたくない一心で知らんぷりするものだが、時々はもっとひどいことに、悪人のAではなく被害者のBに対して、「とっとと謝罪でも何でもすればいいんだ」と睨み付けたり、「喧嘩は止めなさい」と叱りつける者も少なくないのである。
私自身もこのBのような境遇に何度か陥った経験があるので、「そうした卑怯な日本人は実に多い」と自信を以って言うことができる。
そこで話題を変えたい。今の国際社会を電車に例えるなら、まさに中国がAで台湾がBとなろう。
台湾で五月二十日に政権を担うことになる民進党の蔡英文主席が、台湾と中国とは別々の国家であるとの現状を強調し、台湾は中国の一部とする「一つの中国」なる虚構宣伝の受け入れたがらないため、中国は苛立ちを強めているところではないか。

中国を苛立たせる蔡英文次期総統。もちろん非は勝手に苛立つ中国の側にあるが
■「中国が見なす」としたNHKの台湾報道が正しい
これについてはNHKも五月十一日、“「1つの中国」受け入れを 台湾新総統に中国が圧力”とのタイトルで報道している。
それによると、次のような状況だそうだ。
―――来週、台湾の総統に、中国が独立志向が強いと見なす、民進党の蔡英文氏が就任するのを前に、中国政府は台湾海峡の危機にも言及しながら、蔡氏に「1つの中国」という考え方を受け入れるよう圧力をかけました。
―――中国政府は蔡氏のことを独立志向が強いと見なして警戒していて、就任演説に「中国大陸と台湾はともに1つの中国に属する」という考え方が取り入れられなかった場合は、報復的な措置を取るとみられています。

NHKの報道。「中国が独立志向が強いと見なす民進党」と報じたのが重要だ。もっともこの放送局が
中国迎合姿勢であるのに変わりはなく・・・
ところで、ここでNHKは他の日本のマスメスメディアと異なり、正確な伝え方をしている。
つまり民進党について「中国が独立志向が強いと見なす」と形容しているところだ。
他のメディアであれば「独立志向の民進党」「独立志向が強い民進党」などとし、同党が「中国からの独立」を志向しているかの如く報じているわけだが、それは中国の民進党批判宣伝への呼応である。
■中国の台湾への「言いがかり」に呼応するメディア
「一つの中国」を掲げる中国は目下、「一つの台湾・一つの中国」の立場を崩さない同党に対し、平和を乱す「台独分裂」勢力だと批判しているところだが、これはまさに「言いがかり」である。
なぜなら民進党は、かつて中華民国体制からの台湾独立という目標は掲げてたことはあるが(現在この目標は凍結)、しかし中華人民共和国からの独立など、一度たりとも志向したことはないからである。
当然だろう、あの国の支配も受けていないのに、どうやって独立する必要があるのか。
ところが日本のメディアは、こうした中国の台湾への「言いがかり」に自ら進んで加担しているというわけだ。
以上のような次第で、「中国が独立志向が強いと見なす」としたNHKの報道が適切なのである。
もっともだからといって、NHKが「一つの中国」の虚構に与していないかと言えばまったくそのようなことはない。
この放送局はどんなに抗議を受けても、台中を「中国大陸と台湾」と呼び続け、あるいは台湾を中国と同一色で塗って同一国扱いする地図の使用を決して止めないなど、中国への迎合では他社に決して負けていない。
ただ現在は、蔡英文氏が中国から「台独」なるトラブルメーカーの烙印を押されるのを警戒し、所謂「独立志向」の色合いを見せないよう努めているため、中国が「独立志向」と「見なしている」だけだ、との表現に切り替えただけではないか。
■反台湾宣伝の狙いは事勿れ主義者の取り込み
NHKの報道を最後までチェックしよう。
―――中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は、11日の記者会見で、中国と台湾の間では1992年に当時の窓口機関どうしが「1つの中国」という考え方で一致したと主張し、2008年から続く国民党政権下の台湾とは、「この考え方を基礎にして平和と安定を保ってきたのであり、こうした現状が続くよう望んでいる」と述べました。
―――そのうえで、馬報道官は「もし台湾海峡両岸の関係に行き詰まりや危機が生じれば、現状を変更した側が責任を負わねばならない」として、一触即発の事態を連想させるような「台湾海峡の危機」にも言及しながら、蔡氏に「1つの中国」という考え方を受け入れるよう圧力をかけました。
こんな報道に接した視聴者は、「平和と安定が一番。民進党の新政権も、とっとと『一つの中国』でも何でも受け入れればいいんだ」と思ってしまうのではないか。なにしろ、少なからざる日本人は、そんな性格につき・・・。
中国にしてもそもそも、そうした各国の正義感に欠けた事勿れ主義の人々を取り込もうと、こうした宣伝を展開しているわけである。
ということは、台湾に関する中国の宣伝に呼応するのに熱心なNHKはこの報道においても、やはりあの国の宣伝の代弁をしているのだろうか。
「このままでは一触即発の事態になりかねない。新政権は『一つの中国』を受け入れてほしい。日本政府はこんな台湾政権と付き合って中国を刺激するべきではない」などと言って視聴者を惑わそうと・・・。
■今の日本の良識ある世論は中国を許さない
話を電車のAとBに戻そう。
もし周囲の人が、みなトラブルに巻き込まれるのを恐れ、誰もAを制止しないばかりか、さらには大勢がAと一緒になってBを揺さぶったとする。
Aはますます増長し、トラブルを繰り返していくことだろう。その内Aの真似をする若い連中も続出することにもなろう。
もし将来、こんな無法が許されるようになれば、社会は大変なことになるということは、平穏な社会秩序を何より愛する日本人ならよく理解できるはずだ。
国際社会の秩序についても同じことなのだ。
かつてはメディアばかりでなく、日本政府(小泉政権、福田政権)も中国の側に立ち、台湾が主権国家であることを強調する民進党の陳水扁政権の政策(公民投票の実施)に対し、「中国を刺激するな」と圧力をかけたことがあったが、今日の安倍政権は蔡英文政権にそんな卑怯なことをしてはいけないし、メディアもそんな卑怯を求めてはいけない。
「安倍政権は大丈夫だ」との声もあろうが、しかしその安倍政権がもし台湾に接近するのであれば、政界の一部勢力やメディアはそのような動きの牽制に打って出るかもしれない。日台接近を何より嫌う中国の顔色を見ながら。

「安倍首相なら大丈夫」との声も聞こえそうだが、日本は事勿れ主義が蔓延しており
もっとも日本はかつてと違い、今や世界一の親台湾・反中国の国だ。事勿れ主義のおかしな政策、報道が見られれば、良識ある最近の世論はこれを許さないだろう。
日本人は卑怯者ばかりではないのである。
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これは日本人の性格の問題である。
たとえば電車の中など大勢の人がいる前で、乱暴で強そうなAが、横に居合わせた大人しく善良なBに大声で「言いがかり」を付けたとする。そうなるとBには謝罪する謂れもなく、屈服するわけにいかないから、自ずと車内での緊張は高まるわけだが、その時、周囲の「赤の他人」たちはどう反応を示すだろうか。
先ず、Bを危険から守るべく、凶暴なAを制止する者はとても少なく、たいていは揉め事に巻き込まれたくない一心で知らんぷりするものだが、時々はもっとひどいことに、悪人のAではなく被害者のBに対して、「とっとと謝罪でも何でもすればいいんだ」と睨み付けたり、「喧嘩は止めなさい」と叱りつける者も少なくないのである。
私自身もこのBのような境遇に何度か陥った経験があるので、「そうした卑怯な日本人は実に多い」と自信を以って言うことができる。
そこで話題を変えたい。今の国際社会を電車に例えるなら、まさに中国がAで台湾がBとなろう。
台湾で五月二十日に政権を担うことになる民進党の蔡英文主席が、台湾と中国とは別々の国家であるとの現状を強調し、台湾は中国の一部とする「一つの中国」なる虚構宣伝の受け入れたがらないため、中国は苛立ちを強めているところではないか。

中国を苛立たせる蔡英文次期総統。もちろん非は勝手に苛立つ中国の側にあるが
■「中国が見なす」としたNHKの台湾報道が正しい
これについてはNHKも五月十一日、“「1つの中国」受け入れを 台湾新総統に中国が圧力”とのタイトルで報道している。
それによると、次のような状況だそうだ。
―――来週、台湾の総統に、中国が独立志向が強いと見なす、民進党の蔡英文氏が就任するのを前に、中国政府は台湾海峡の危機にも言及しながら、蔡氏に「1つの中国」という考え方を受け入れるよう圧力をかけました。
―――中国政府は蔡氏のことを独立志向が強いと見なして警戒していて、就任演説に「中国大陸と台湾はともに1つの中国に属する」という考え方が取り入れられなかった場合は、報復的な措置を取るとみられています。

NHKの報道。「中国が独立志向が強いと見なす民進党」と報じたのが重要だ。もっともこの放送局が
中国迎合姿勢であるのに変わりはなく・・・
ところで、ここでNHKは他の日本のマスメスメディアと異なり、正確な伝え方をしている。
つまり民進党について「中国が独立志向が強いと見なす」と形容しているところだ。
他のメディアであれば「独立志向の民進党」「独立志向が強い民進党」などとし、同党が「中国からの独立」を志向しているかの如く報じているわけだが、それは中国の民進党批判宣伝への呼応である。
■中国の台湾への「言いがかり」に呼応するメディア
「一つの中国」を掲げる中国は目下、「一つの台湾・一つの中国」の立場を崩さない同党に対し、平和を乱す「台独分裂」勢力だと批判しているところだが、これはまさに「言いがかり」である。
なぜなら民進党は、かつて中華民国体制からの台湾独立という目標は掲げてたことはあるが(現在この目標は凍結)、しかし中華人民共和国からの独立など、一度たりとも志向したことはないからである。
当然だろう、あの国の支配も受けていないのに、どうやって独立する必要があるのか。
ところが日本のメディアは、こうした中国の台湾への「言いがかり」に自ら進んで加担しているというわけだ。
以上のような次第で、「中国が独立志向が強いと見なす」としたNHKの報道が適切なのである。
もっともだからといって、NHKが「一つの中国」の虚構に与していないかと言えばまったくそのようなことはない。
この放送局はどんなに抗議を受けても、台中を「中国大陸と台湾」と呼び続け、あるいは台湾を中国と同一色で塗って同一国扱いする地図の使用を決して止めないなど、中国への迎合では他社に決して負けていない。
ただ現在は、蔡英文氏が中国から「台独」なるトラブルメーカーの烙印を押されるのを警戒し、所謂「独立志向」の色合いを見せないよう努めているため、中国が「独立志向」と「見なしている」だけだ、との表現に切り替えただけではないか。
■反台湾宣伝の狙いは事勿れ主義者の取り込み
NHKの報道を最後までチェックしよう。
―――中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は、11日の記者会見で、中国と台湾の間では1992年に当時の窓口機関どうしが「1つの中国」という考え方で一致したと主張し、2008年から続く国民党政権下の台湾とは、「この考え方を基礎にして平和と安定を保ってきたのであり、こうした現状が続くよう望んでいる」と述べました。
―――そのうえで、馬報道官は「もし台湾海峡両岸の関係に行き詰まりや危機が生じれば、現状を変更した側が責任を負わねばならない」として、一触即発の事態を連想させるような「台湾海峡の危機」にも言及しながら、蔡氏に「1つの中国」という考え方を受け入れるよう圧力をかけました。
こんな報道に接した視聴者は、「平和と安定が一番。民進党の新政権も、とっとと『一つの中国』でも何でも受け入れればいいんだ」と思ってしまうのではないか。なにしろ、少なからざる日本人は、そんな性格につき・・・。
中国にしてもそもそも、そうした各国の正義感に欠けた事勿れ主義の人々を取り込もうと、こうした宣伝を展開しているわけである。
ということは、台湾に関する中国の宣伝に呼応するのに熱心なNHKはこの報道においても、やはりあの国の宣伝の代弁をしているのだろうか。
「このままでは一触即発の事態になりかねない。新政権は『一つの中国』を受け入れてほしい。日本政府はこんな台湾政権と付き合って中国を刺激するべきではない」などと言って視聴者を惑わそうと・・・。
■今の日本の良識ある世論は中国を許さない
話を電車のAとBに戻そう。
もし周囲の人が、みなトラブルに巻き込まれるのを恐れ、誰もAを制止しないばかりか、さらには大勢がAと一緒になってBを揺さぶったとする。
Aはますます増長し、トラブルを繰り返していくことだろう。その内Aの真似をする若い連中も続出することにもなろう。
もし将来、こんな無法が許されるようになれば、社会は大変なことになるということは、平穏な社会秩序を何より愛する日本人ならよく理解できるはずだ。
国際社会の秩序についても同じことなのだ。
かつてはメディアばかりでなく、日本政府(小泉政権、福田政権)も中国の側に立ち、台湾が主権国家であることを強調する民進党の陳水扁政権の政策(公民投票の実施)に対し、「中国を刺激するな」と圧力をかけたことがあったが、今日の安倍政権は蔡英文政権にそんな卑怯なことをしてはいけないし、メディアもそんな卑怯を求めてはいけない。
「安倍政権は大丈夫だ」との声もあろうが、しかしその安倍政権がもし台湾に接近するのであれば、政界の一部勢力やメディアはそのような動きの牽制に打って出るかもしれない。日台接近を何より嫌う中国の顔色を見ながら。

「安倍首相なら大丈夫」との声も聞こえそうだが、日本は事勿れ主義が蔓延しており
もっとも日本はかつてと違い、今や世界一の親台湾・反中国の国だ。事勿れ主義のおかしな政策、報道が見られれば、良識ある最近の世論はこれを許さないだろう。
日本人は卑怯者ばかりではないのである。
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