「豪潜水艦」受注の夢破れーターンブル政権はそもそも信頼できるか
2016/04/27/Wed
■日本敗れる―豪州国内の親中意見の影響も
中国による海洋拡張などに対処するため、二〇一四年に防衛装備移転三原則を設定した安倍政権。次期潜水艦の共同開発の相手国を求める豪州に対し、世界に誇る最新鋭の「そうりゅう型」を売り込もうと独仏二国と争うも、ターンブル豪首相は四月二十六日、仏への発注を決めたと発表。初の本格的な軍事技術の移転計画は失敗に終わった。

安倍政権が売り込みを図ったそうりゅう型だが
日米同盟との連携を重視するアボット前政権は日本の潜水艦を求めたが、昨年就任した実業界出身のターンブル氏は、中国との経済関係を重要視する親中派でもあり、やはり何かが違う。
同氏の今回の決定に関し、時事通信は次のように分析する。
「潜水艦計画でも雇用創出や経済効果に重点を置いた。その結果、現地生産を強く訴えた仏DCNSへの支持が拡大。(中略)外交専門家らが『日本受注なら日中間の対立に巻き込まれる』と強調したことも逆風を強めた。豪州にとり、中国は最大の貿易相手。経済重視の首相としては、影響を無視できなかった」

中国は豪との提携を目指す日本の動きを警戒していた
このように、「日中間の対立に巻き込まれる」との声が広がったらしい。
■中国は豪州に妨害の圧力をかけた模様
きっと中国も、そのように警告していたのだろう。今年二月、日本を訪問したジュリー・ビショップ豪外相は、安倍首相などから盛んに売り込みを受けるも、次いで訪れた中国では、王毅外相から次のように釘を刺されている。

ビショプ外相は王毅外相との会見で日豪分断の圧力を直接受けた
「日本が第二次大戦当時に何をしたか、そしてそれをアジアの人民がどう思っているかを全面的に考えてほしい。豪州には実際に行動で、日本の平和的発展、平和憲法の護持を支持するよう望む」
歴史カードで日米離間を図るので知られる中国だが、豪州に対しても同じことをやるわけだ。おそらく中国側はこのように、相当強烈な圧力を豪州にかけつづけてきた模様。
「もし豪州が『そうりゅう型』を獲得すれば、人民解放軍にとっては疑いなく一大挑戦となる」(台湾の親中メディア中国時報、四月十一日)からだ。
「日本が受注を逃したことは、中国の活発な海洋進出を踏まえ、豪州との『準同盟』関係を重視してきた安倍政権にとって大きな誤算だ。(中略)政府内には失望感が広がっている」(時事)ところだが、逆に今回の結果を喜ぶのが、やはり「日中間の対立」を懸念する親中勢力だ。
■豪州の決定を喜ぶ日本の親中メディア
親中メディアの代表格である東京新聞はこう論じる。
―――仮に日本の潜水艦が選定されていた場合、日本の防衛に直接は関係ない地域での「力による対立」を日本の武器があおることにもなりかねなかった。
これほどまでに、ホッとしているのだ。
―――日本が潜水艦輸出に力を入れた最大の理由は、日豪が共同開発・生産し米国の戦闘システムを導入することで、南シナ海に進出を強める中国を軍事的にけん制、抑止することだった。ところが、日豪には対中国で隔たりがあったとの見方もある。(中略)中国はオーストラリアの重要な貿易相手だからだ。
これはまるで豪州の親中勢力に対するシンパシーの表明のようだ。
―――中国の王毅外相は二月に「日本は戦後、武器輸出に関し平和憲法や法律で厳しい制約を受けている」とけん制。日本が「安全保障」を強調するほど、オーストラリアは中国との対立を懸念し、日本を選定しづらくなったとの指摘もある。
「日本の平和的発展、平和憲法の護持」と断固支持という一点で、王毅外相と東京新聞は完全に一致している訳である。
■ターンブル政権との機密共有は危険か
それから、こんなことも書いている。
―――安倍政権は今回の事例を検証し、今後の武器輸出拡大につなげたいとしている。日本の武器が国際紛争を助長することへの懸念は、置き去りのままだ。
安倍政権が目指すのは、国際紛争の助長ではなく、紛争の抑止力の向上なのであるが、中国に対する「抑止力」を、逆に「挑発力」と受け取りたがるのも、日本の媚中勢力の一大特徴である。
もちろん豪州国内に蔓延る媚中勢力も同様らしい。経済利益などをエサに中国の影響下に組み込まれて正確な判断ができず、あるいはそうした判断を自ら放棄している。

日本はそこまでターンブル首相を信用していいのか
ところで今回、ホッとしているのは親中勢力だけではなく、海上自衛隊もそうらしい。産経新聞は次のように報じる。
―――海自幹部が「もともと官邸が押し込んできた話だった。機密情報が中国に漏れる懸念があった」と胸をなで下ろすように、政府が豪州との共同開発に積極的だったのに反して、海自には最高機密が集積する潜水艦の情報流出を懸念し、消極的な考え方が強かったという。
今回の敗北は好かったというのか。
政府は潜水艦の機密情報を豪州と共有することを「準同盟」の証とする考えだったわけだが、それは無防備すぎると海自は警戒しているらしい。
かつて米国は日本の民主党政権の親中姿勢に不信感を抱いたが、たしかに安倍政権もそれと同様、ターンブル政権に全面的な信頼を寄せていいのかどうかを、今一度検討すべきかもしれない。
先日は南支那海を睨む戦略的要衝ダーウィンで、米海兵隊の拠点にも近い港湾を、中国軍と深く繋がる中国企業、嵐橋集団に九十九年間貸与することを許容した。
他国の人々から良識も正しい判断力も奪い取り、売国媚中の傀儡政治勢力を各国で形成するのが中国の取込み工作(統一戦線工作)だが、こうした侮りがたい謀略が同政権に全く及んでいないとは言えなくなっているのだ。
【過去の関連記事】
豪の中国企業への港湾貸与問題に思うー中国の取込み工作は日本でも早くから 16/04/01
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2812.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓

モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
中国による海洋拡張などに対処するため、二〇一四年に防衛装備移転三原則を設定した安倍政権。次期潜水艦の共同開発の相手国を求める豪州に対し、世界に誇る最新鋭の「そうりゅう型」を売り込もうと独仏二国と争うも、ターンブル豪首相は四月二十六日、仏への発注を決めたと発表。初の本格的な軍事技術の移転計画は失敗に終わった。

安倍政権が売り込みを図ったそうりゅう型だが
日米同盟との連携を重視するアボット前政権は日本の潜水艦を求めたが、昨年就任した実業界出身のターンブル氏は、中国との経済関係を重要視する親中派でもあり、やはり何かが違う。
同氏の今回の決定に関し、時事通信は次のように分析する。
「潜水艦計画でも雇用創出や経済効果に重点を置いた。その結果、現地生産を強く訴えた仏DCNSへの支持が拡大。(中略)外交専門家らが『日本受注なら日中間の対立に巻き込まれる』と強調したことも逆風を強めた。豪州にとり、中国は最大の貿易相手。経済重視の首相としては、影響を無視できなかった」

中国は豪との提携を目指す日本の動きを警戒していた
このように、「日中間の対立に巻き込まれる」との声が広がったらしい。
■中国は豪州に妨害の圧力をかけた模様
きっと中国も、そのように警告していたのだろう。今年二月、日本を訪問したジュリー・ビショップ豪外相は、安倍首相などから盛んに売り込みを受けるも、次いで訪れた中国では、王毅外相から次のように釘を刺されている。

ビショプ外相は王毅外相との会見で日豪分断の圧力を直接受けた
「日本が第二次大戦当時に何をしたか、そしてそれをアジアの人民がどう思っているかを全面的に考えてほしい。豪州には実際に行動で、日本の平和的発展、平和憲法の護持を支持するよう望む」
歴史カードで日米離間を図るので知られる中国だが、豪州に対しても同じことをやるわけだ。おそらく中国側はこのように、相当強烈な圧力を豪州にかけつづけてきた模様。
「もし豪州が『そうりゅう型』を獲得すれば、人民解放軍にとっては疑いなく一大挑戦となる」(台湾の親中メディア中国時報、四月十一日)からだ。
「日本が受注を逃したことは、中国の活発な海洋進出を踏まえ、豪州との『準同盟』関係を重視してきた安倍政権にとって大きな誤算だ。(中略)政府内には失望感が広がっている」(時事)ところだが、逆に今回の結果を喜ぶのが、やはり「日中間の対立」を懸念する親中勢力だ。
■豪州の決定を喜ぶ日本の親中メディア
親中メディアの代表格である東京新聞はこう論じる。
―――仮に日本の潜水艦が選定されていた場合、日本の防衛に直接は関係ない地域での「力による対立」を日本の武器があおることにもなりかねなかった。
これほどまでに、ホッとしているのだ。
―――日本が潜水艦輸出に力を入れた最大の理由は、日豪が共同開発・生産し米国の戦闘システムを導入することで、南シナ海に進出を強める中国を軍事的にけん制、抑止することだった。ところが、日豪には対中国で隔たりがあったとの見方もある。(中略)中国はオーストラリアの重要な貿易相手だからだ。
これはまるで豪州の親中勢力に対するシンパシーの表明のようだ。
―――中国の王毅外相は二月に「日本は戦後、武器輸出に関し平和憲法や法律で厳しい制約を受けている」とけん制。日本が「安全保障」を強調するほど、オーストラリアは中国との対立を懸念し、日本を選定しづらくなったとの指摘もある。
「日本の平和的発展、平和憲法の護持」と断固支持という一点で、王毅外相と東京新聞は完全に一致している訳である。
■ターンブル政権との機密共有は危険か
それから、こんなことも書いている。
―――安倍政権は今回の事例を検証し、今後の武器輸出拡大につなげたいとしている。日本の武器が国際紛争を助長することへの懸念は、置き去りのままだ。
安倍政権が目指すのは、国際紛争の助長ではなく、紛争の抑止力の向上なのであるが、中国に対する「抑止力」を、逆に「挑発力」と受け取りたがるのも、日本の媚中勢力の一大特徴である。
もちろん豪州国内に蔓延る媚中勢力も同様らしい。経済利益などをエサに中国の影響下に組み込まれて正確な判断ができず、あるいはそうした判断を自ら放棄している。

日本はそこまでターンブル首相を信用していいのか
ところで今回、ホッとしているのは親中勢力だけではなく、海上自衛隊もそうらしい。産経新聞は次のように報じる。
―――海自幹部が「もともと官邸が押し込んできた話だった。機密情報が中国に漏れる懸念があった」と胸をなで下ろすように、政府が豪州との共同開発に積極的だったのに反して、海自には最高機密が集積する潜水艦の情報流出を懸念し、消極的な考え方が強かったという。
今回の敗北は好かったというのか。
政府は潜水艦の機密情報を豪州と共有することを「準同盟」の証とする考えだったわけだが、それは無防備すぎると海自は警戒しているらしい。
かつて米国は日本の民主党政権の親中姿勢に不信感を抱いたが、たしかに安倍政権もそれと同様、ターンブル政権に全面的な信頼を寄せていいのかどうかを、今一度検討すべきかもしれない。
先日は南支那海を睨む戦略的要衝ダーウィンで、米海兵隊の拠点にも近い港湾を、中国軍と深く繋がる中国企業、嵐橋集団に九十九年間貸与することを許容した。
他国の人々から良識も正しい判断力も奪い取り、売国媚中の傀儡政治勢力を各国で形成するのが中国の取込み工作(統一戦線工作)だが、こうした侮りがたい謀略が同政権に全く及んでいないとは言えなくなっているのだ。
【過去の関連記事】
豪の中国企業への港湾貸与問題に思うー中国の取込み工作は日本でも早くから 16/04/01
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2812.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓

モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
スポンサーサイト