熊本地震と日台の友情―そして警戒すべき両国離間の工作
2016/04/25/Mon
■逐一報じられる日本の台湾感謝の思い
台湾のビジネス誌、天下雑誌の電子版が四月十八日に配信した記事を紹介したい。
タイトルは「熊本地震/台湾で義捐金が競うように/日本は大感謝」。

そのおおよその内容がわかると思うので、リード部分を下に訳そう。
「日本と台湾はこれまで東日本大震災、高雄でのガス爆破事故、台南地震等の災害時にお互い支援し、応援し、そして義捐金、物資を送り合うなどで友好の絆を結んだ。今回の熊本地震の被災状況は悲惨であり、台湾では大勢の政治家や民間がまっさきに慰問し、そして義捐金等の支援を申し出た。日本側もこうした雪中送炭(困窮者に物的支援を行う)を行う台湾に感謝を言い表すことを忘れない」
ちなみに本文ではこんなことが書かれている。
「日本內閣官房長官菅義偉官房長官は十七日夜の臨時の記者会見で、台湾からも申し入れに『政府としての心からの感謝』を表明した」
「台湾では馬英九総統、蔡英文次期総統、柯文哲・台北市長、陳菊・高雄市長、五月天(メイデイ)のメインボーカルの阿信、そして外交部が義捐金を送り、日本の従来の台湾の災害時での支援に報い、日本の一日も早い復興を願うと表明している」
「日本の有名な掲示板サイト、2ちゃんねるも台湾各界が競って義捐金を出しているニュースを転載。多くのユーザーやブログが台湾に感謝を表明したり、東日本大震災当時の台湾からの支援をも振り返ったり、あるいは中国や韓国の反応と比較している」
「ヤフージャパンではユーザーたちが、『台湾は毎回反応が早い。ありがとう』『心から感謝する。ありがとう台湾』『困難な時にお互い助け合う。台湾はそうした価値観』『台湾の皆さん、ありがとう。これからもずっと友達だ』『台湾は日本にとり本当に大切な親友』『お互い災害に負けず共に頑張ろう』『熊本県民として台湾のお気持ちに感謝』等々と書きこんでいる」
実は「日本は台湾に感謝している」との報道は、台湾ではこの他にもたくさん見られる。
それはもちろん、台湾人の自尊心を満たしたいからではなく、日本との友情を確認して純粋に喜んでいるためだろう。そんな素直な反応は、いかにも台湾人らしいではないか。
もしかしたらこの国が、長年にわたって中国の圧力で国際社会で孤立を深めて来たとの事情も関係しているのかも知れない。
いずれにせよ、私はこうした台湾での報道にはいつも感動する。台湾人の日本への温かい友情には泣けるし、それに真摯に応えようとする日本人の真心も素晴しいからだ。
■思い出される一九九九年の台湾大地震
ところで、台湾人は「熊本」への支援を日本人の「高雄」「台南」への支援に報いるためだと言い、日本人は「高雄」「台南」への支援を「東日本」への台湾の支援への恩返しだと言っていたわけだが、その「東日本」への支援について台湾人は、一九九九年の台湾大地震当時の日本の官民の支援へのお返しだと強調していた。
私は当時のことをとてもよく覚えている。日本は官民挙げて支援に乗り出したのだが、私は多くの国民が深い同情心を台湾の被災地に向けるのを見てとても驚いた。何しろあの頃は今と違い、日本での台湾への一般的な関心はまだまだ低い時代だったからだ。
阪神淡路大震災の記憶も生々しい頃でもあり、他人事と思えなかったといのもあっただろう。ただ後で思えば当時はちょうど、日本で台湾への親しみ感情が広がり始めていた時代と重なっている。わかりやすく簡単に言えば、「江沢民=反日中国」への反感の高まりに反比例するように「李登輝=親日台湾」人気が高まりつつあった頃なのだ。
日本が反日国家ばかりの近隣の中で、そうではない「友」の存在に気付き始めた時期だったとも言える。
そしてその一方で台湾では日本の手厚い支援を受け、日本統治時代を知る親日世代はもとより、反日教育を受け、あるいは台湾に冷淡な親中日本しか知らない戦後世代をも感動させたのである。
つまり台湾でも、日本を「友」とする認識が広がりを見せたわけだ。
またあの時、日頃台湾人を「同胞」と呼んでいる中国が、「台湾支援は中国を通すべし」と世界に通告するなど、災害をも平然と反台湾宣伝に利用する不誠実な本性を露呈したため、それもまた「真の友」としての日本の信頼を高めたのだった。
■中国は何としても日台を分断したいはず
台湾を併呑してアジア太平洋地域に覇権を打ち立てることを国家目標とし、日台関係の深化、日米同盟と台湾との提携強化だけは阻止したいのが中国だ。こうした日台の心の接近だけ決して見たくない光景である。
逆に言えば、中国の脅威の前では一蓮托生の生命共同体である日台にとっては、こうした友情の深まりは何よりのものであるはずである。
そして今日、両国を結ぶ心の絆は、これほどまでに深いものとなっているのである。何としてもこれだけは大切にして行きたい。
ところで、以前から感じることなのだが、こうした日台の友情を快く思わない者を、日本では時々見かけるのである。
たとえば、これまで見られてきた日台の相互支援に対しても、何かしらのケチを付けたがる者は少なくないらしい。それにはたぶん、他人の善行を見て苛立ったり、幸せな友情関係を妬んだりするヒネクレ者もいるのだろう。「反中親台」の広がりが面白くない左翼やら在日中国人やらもいるかも知れない。
もちろんその程度の人々であれば一々気にするまでもないのだが、ただ注意すべきは中国が、こうした人々を煽動、操縦するなどで、日台分断の宣伝工作をやりはしないか(あるいは、すでに着手してはいないか)ということだ。
私の心配しすぎだろうか。
たいていの人は気付かないのだが、意識していればわかってくるはず。まるで中国の歓心を買うかのように、日台の友情をわざわざ不自然にも妨げようとする日本国内の動きは、本当に少なくないのである。
政界やメディアの言論も含め、そうしたものには絶えず警戒を要するだろう。
どんな手を使うかはともかく、とにかく中国は、日台の離間工作に懸命になっていないはずはないので。

お互い助け合う「台湾黒熊」と「熊本熊(くまもん)」。日台の友情を描き、台湾のネット、メディア
で大反響のイラスト
【過去の関連記事】
台湾からも「熊本頑張れ」 16/04/16
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2825.html
安倍首相が台湾に感謝メッセージ/中国にも見せつけた友邦を重んじる日本の堂々たる姿勢 16/04/21
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2830.html
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台湾のビジネス誌、天下雑誌の電子版が四月十八日に配信した記事を紹介したい。
タイトルは「熊本地震/台湾で義捐金が競うように/日本は大感謝」。

そのおおよその内容がわかると思うので、リード部分を下に訳そう。
「日本と台湾はこれまで東日本大震災、高雄でのガス爆破事故、台南地震等の災害時にお互い支援し、応援し、そして義捐金、物資を送り合うなどで友好の絆を結んだ。今回の熊本地震の被災状況は悲惨であり、台湾では大勢の政治家や民間がまっさきに慰問し、そして義捐金等の支援を申し出た。日本側もこうした雪中送炭(困窮者に物的支援を行う)を行う台湾に感謝を言い表すことを忘れない」
ちなみに本文ではこんなことが書かれている。
「日本內閣官房長官菅義偉官房長官は十七日夜の臨時の記者会見で、台湾からも申し入れに『政府としての心からの感謝』を表明した」
「台湾では馬英九総統、蔡英文次期総統、柯文哲・台北市長、陳菊・高雄市長、五月天(メイデイ)のメインボーカルの阿信、そして外交部が義捐金を送り、日本の従来の台湾の災害時での支援に報い、日本の一日も早い復興を願うと表明している」
「日本の有名な掲示板サイト、2ちゃんねるも台湾各界が競って義捐金を出しているニュースを転載。多くのユーザーやブログが台湾に感謝を表明したり、東日本大震災当時の台湾からの支援をも振り返ったり、あるいは中国や韓国の反応と比較している」
「ヤフージャパンではユーザーたちが、『台湾は毎回反応が早い。ありがとう』『心から感謝する。ありがとう台湾』『困難な時にお互い助け合う。台湾はそうした価値観』『台湾の皆さん、ありがとう。これからもずっと友達だ』『台湾は日本にとり本当に大切な親友』『お互い災害に負けず共に頑張ろう』『熊本県民として台湾のお気持ちに感謝』等々と書きこんでいる」
実は「日本は台湾に感謝している」との報道は、台湾ではこの他にもたくさん見られる。
それはもちろん、台湾人の自尊心を満たしたいからではなく、日本との友情を確認して純粋に喜んでいるためだろう。そんな素直な反応は、いかにも台湾人らしいではないか。
もしかしたらこの国が、長年にわたって中国の圧力で国際社会で孤立を深めて来たとの事情も関係しているのかも知れない。
いずれにせよ、私はこうした台湾での報道にはいつも感動する。台湾人の日本への温かい友情には泣けるし、それに真摯に応えようとする日本人の真心も素晴しいからだ。
■思い出される一九九九年の台湾大地震
ところで、台湾人は「熊本」への支援を日本人の「高雄」「台南」への支援に報いるためだと言い、日本人は「高雄」「台南」への支援を「東日本」への台湾の支援への恩返しだと言っていたわけだが、その「東日本」への支援について台湾人は、一九九九年の台湾大地震当時の日本の官民の支援へのお返しだと強調していた。
私は当時のことをとてもよく覚えている。日本は官民挙げて支援に乗り出したのだが、私は多くの国民が深い同情心を台湾の被災地に向けるのを見てとても驚いた。何しろあの頃は今と違い、日本での台湾への一般的な関心はまだまだ低い時代だったからだ。
阪神淡路大震災の記憶も生々しい頃でもあり、他人事と思えなかったといのもあっただろう。ただ後で思えば当時はちょうど、日本で台湾への親しみ感情が広がり始めていた時代と重なっている。わかりやすく簡単に言えば、「江沢民=反日中国」への反感の高まりに反比例するように「李登輝=親日台湾」人気が高まりつつあった頃なのだ。
日本が反日国家ばかりの近隣の中で、そうではない「友」の存在に気付き始めた時期だったとも言える。
そしてその一方で台湾では日本の手厚い支援を受け、日本統治時代を知る親日世代はもとより、反日教育を受け、あるいは台湾に冷淡な親中日本しか知らない戦後世代をも感動させたのである。
つまり台湾でも、日本を「友」とする認識が広がりを見せたわけだ。
またあの時、日頃台湾人を「同胞」と呼んでいる中国が、「台湾支援は中国を通すべし」と世界に通告するなど、災害をも平然と反台湾宣伝に利用する不誠実な本性を露呈したため、それもまた「真の友」としての日本の信頼を高めたのだった。
■中国は何としても日台を分断したいはず
台湾を併呑してアジア太平洋地域に覇権を打ち立てることを国家目標とし、日台関係の深化、日米同盟と台湾との提携強化だけは阻止したいのが中国だ。こうした日台の心の接近だけ決して見たくない光景である。
逆に言えば、中国の脅威の前では一蓮托生の生命共同体である日台にとっては、こうした友情の深まりは何よりのものであるはずである。
そして今日、両国を結ぶ心の絆は、これほどまでに深いものとなっているのである。何としてもこれだけは大切にして行きたい。
ところで、以前から感じることなのだが、こうした日台の友情を快く思わない者を、日本では時々見かけるのである。
たとえば、これまで見られてきた日台の相互支援に対しても、何かしらのケチを付けたがる者は少なくないらしい。それにはたぶん、他人の善行を見て苛立ったり、幸せな友情関係を妬んだりするヒネクレ者もいるのだろう。「反中親台」の広がりが面白くない左翼やら在日中国人やらもいるかも知れない。
もちろんその程度の人々であれば一々気にするまでもないのだが、ただ注意すべきは中国が、こうした人々を煽動、操縦するなどで、日台分断の宣伝工作をやりはしないか(あるいは、すでに着手してはいないか)ということだ。
私の心配しすぎだろうか。
たいていの人は気付かないのだが、意識していればわかってくるはず。まるで中国の歓心を買うかのように、日台の友情をわざわざ不自然にも妨げようとする日本国内の動きは、本当に少なくないのである。
政界やメディアの言論も含め、そうしたものには絶えず警戒を要するだろう。
どんな手を使うかはともかく、とにかく中国は、日台の離間工作に懸命になっていないはずはないので。

お互い助け合う「台湾黒熊」と「熊本熊(くまもん)」。日台の友情を描き、台湾のネット、メディア
で大反響のイラスト
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台湾からも「熊本頑張れ」 16/04/16
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2825.html
安倍首相が台湾に感謝メッセージ/中国にも見せつけた友邦を重んじる日本の堂々たる姿勢 16/04/21
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