安倍政権は台湾新政権の後盾たれー中国が台湾に手を出せない理由とは (附:台湾チャンネル・関連報道動画)
2016/04/23/Sat
■中国が嫌う民進党政権の発足で日本は
台湾では五月二十日、民進党の蔡英文政権が発足するが、それによって懸念されるのが中国の動向だ。

同党が「一つの中国」(台湾は中国の一部)との虚構宣伝を受け入れず、「台湾が主権独立国家だとの現状を強調してきたため、中国が「文攻武嚇」(宣伝攻撃と武力恫喝)で緊張を高める可能性があるためだ。二〇〇〇年から八年続いた民進党の陳水扁政権時代の時のようにである。
もしそうなれば、日本はどうするのだろうか。
陳水扁政権当時、日本は中国への配慮で、あの国と一緒になって台湾へ内政干渉と言うべき圧力を掛けたことがある。たとえば同政権が〇四年、「中国が台湾に向けたミサイルを撤去しない場合の国防強化」の可否などを問う公民投票を、そして〇八年、「台湾の国連加盟申請」の可否などを問う公民投票を実施するのに対して中国が猛反撥した時のことである。
前者に対しては、外務省が独断で台湾総統府に対し、「中台関係をいたずらに緊張させる」との理由で実施を差し控えるよう申し入れた。
後者に関しては、米国を含む各国が中国の圧力を受け、実施に反対表明を行う中、当時の安倍晋三政権は沈黙を守って台湾側から感謝もされたのだが、次いで福田康夫首相が就任して訪中するや、「緊張を高めるものであるなら支持しない」と明言してしまった。
そしていずれの場合も、一方的な「文攻武嚇」で緊張を高めていた中国に対しては一言の批判も行っていない。だが台湾が中国に呑み込まれれば、次は日本が生存の危機に曝される。敵に媚びて友を叩くという明らかな愚行だった。
そう者を、中国の古い言葉で「懦愚」(臆病な愚か者)と呼ぶが、今後再び中国が緊張を高めるなら、日本はまたも懦愚の振る舞いを見せるのだろうか。今や中国の軍事力は、かつての比ではないほど拡充されているが。
■中国が台湾に静かなのは打つ手がないから
すでに中国は台湾への揺さぶり、恫喝に着手しているとされる。
たとえば四月八日と十二日に行われた台湾人強制連行事件。中国の圧力でケニア政府が国内の詐欺事件で逮捕した四十五人の台湾人(無罪確定者を含む)を中国に送致してしまったあれである。
これに関して英BBCは、「中国はこうした行為を通じ、蔡英文氏に圧力をかけ、台湾は中国の一部だと口頭で認めさせたいのだ。北京当局が蔡氏に与えてきた蜜月期間はもう終わった。就任後はさらに多くの困った問題を突き付けるだろう」と分析している。

中国による台湾人強制連行事件。台湾新政権に対する揺さぶりとされる
中国が「蜜月」を演じるというのは、「静観する」ということだろう。あの国は蔡英文氏が中国との対立を嫌って妥協し、「一つの中国」を受け入れるのを期待し、「その言を聴きその行いを観る」の姿勢を示しているともされる。
一方、「攻めあぐねている」との解釈もよく見られる。たとえば最近、「習近平は蔡英文に対して打つ手なく、途方に暮れている」と指摘して台湾で話題になっているのが、中国系ジャーナリストの曹長青氏だ。
なぜ「打つ手がない」のか。曹長青氏はその理由を次のように挙げる。
■ここまで有効な日米同盟の抑止力
第一が「台湾の民意」。
「ケニア事件に関してもそうであるように、台湾では国民党、民進党など党派を分かたず、みな中国を批判している」という。
たしかに従来、中国の民進党に対する批判、恫喝に力があったのは、それに呼応する国民党の「聯共制台」(中共と提携して台湾人勢力の台頭を抑止する)があったからだが、今や民意は同党の過剰な中国傾斜を許さず、その結果、同党は選挙で敗れたと言える。
第二の理由は「民主国家の後ろ盾」。
「米国や日本など民主主義大国が有力な後ろ盾になっている」というのだ。
つまり日米同盟の強化が、それほど中国の膨張に対して抑止力を発揮しているということだろう。
中国外交部は三月末、日本で安全保障関連法が施行されたのを受け、こうコメントした。「中国は日本に対し、中国の主権と安全利益を損ね、地域の平和と安定を損ねることをしないよう要求する」と。
この「中国の主権を損ねるな」とは、「日米同盟の強化で中国の東支那海や南支那海での膨張の動きを妨害するな」という意味だけではなく、むしろそれ以上に「台湾併呑を妨げるな」との必死の訴えが込められているはずだ。
なぜならあの国が手にしたいのは、尖閣諸島やスプラトリー諸島以上に台湾だからである。
■中国だって戦争だけはしたくない
そのように見れば今日、日本が安倍政権であって本当に好かったと思うのである。
かつて台湾に圧力をかけた福田首相(この人物は「相手(中国)の嫌がることをあえてする必要はない」との名文句も残した)や、目下安保関連法の廃止を叫ぶ民進党(旧民主党)を見よ。もし今こうした親中勢力が日本の政権を握っていたとしたら、台湾の国民党政権の如く、いたずらに中国覇権主義を増長させ、アジア太平洋地域の危機的状況を拡大させることとなりかねない。懦愚であるが故にだ。

2007年、福田康夫首相は温家宝首相の前で、中国の台湾へのミサイル配備ではなく台湾の公
民投票政策を、「緊張を高める」として批判した。このように、友を叩き敵を励ます政権など、
日本は決して戴いてはならない
さて曹長青氏によれば、習近平が台湾に打つ手がない理由がもう一つある。
それは、「中国人民が武力行使に反対している」ことだ。
「もし中国人に投票させれば、圧倒的多数は台湾に武力を用いるのに反対する。なぜならそれで株式市場が崩壊するからだ。それでもし習近平が台湾挑発に失敗したら、党上層部は引きずりおろされることになる」とのことである。
常々思うのだが、台湾でも日本でも、中国に媚びる勢力の主張を聞く限り、どうも彼らにはこうした中国の弱みを見抜く力に欠けているようだ。それもまた懦愚であるためなのだろう。
しかし日本だけが一方的に中国との対立を恐れ、譲歩する必要はないというわけだ。向こうも日米同盟との対立を、以上のように本気で望んではいないのだから。
「台湾は国民党政権なら安泰だが民進党政権だと危うい」というのも、日台の中国迎合勢力が好んで用いる言説だが、それはまた中国のプロパガンダの代弁その物でもある。
実際には、その逆が正しいだろう。日本の安倍政権に加えて台湾でも蔡英文政権が誕生することで、あの覇権主義国家に対する抑止力は確実に強化されることになるからだ。
くれぐれも日本は今後、かつての反台湾の愚行(それもまた「聯共制台」)を繰り返してはならない。
【過去の関連記事】
台湾人強制連行を狙う中国/各国を操縦し台湾新政権に対抗か 2016/04/17
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台湾チャンネル関連報道動画
【台湾CH Vol.128】台湾から見た安保法と陸自の与那国島配備・他[桜H28/4/15]
https://youtu.be/vlSeUpDatNY
「台湾チャンネル」第128回は、①台湾の祝日、清明節の話題。②タイワンツキノワグマの人形を使った台湾独立をアピールする活動を紹介。③日本では3月末に安全保障関連法案が施行され、また陸自与那国島への初配備が行われたが、これを評価する台湾の識者の見方を紹介し、今後の日台の防衛協力の必要性を訴える。キャスター:永山英樹、謝恵芝
【日台交流頻道】第128集,對台湾有利的日本安保法施行及與那國島駐兵
本集内容:①台湾的國定假日—清明節民俗。②透過介紹目前在台灣各地舉行的「台灣國黑熊氣球展」,説明台湾獨立建國的意義。③日本3月底施行「安保法」,也在與那國島新部署陸上自衛隊沿岸監視部隊。節目中説明日本的這些對抗來自中國威脅的動作皆對台灣有利,並主張今後應強化日台美三國之共同防衛陣線。主播:永山英樹・謝惠芝
【台湾CH Vol.129】熊本地震と台湾の友情/台湾AIIBに加盟せず/ケニアで台湾人連行事件[桜H28/4/21]
https://youtu.be/7MCP-geKBFc
「台湾チャンネル」第129回は、①熊本地震を受け被災地支援に乗り出した台湾官民の温かい友情について。②中国主導のアジアインフラ開発銀行(AIIB)への加盟を目指していた台湾が最近それを見送った背景には何が。③ケニアが国内で逮捕した台湾人グループを中国に強制送致。それを要求した中国の狙いを考える。キャスター:永山英樹、謝恵芝
【日台交流頻道】第129集,熊本地震與台湾的情誼/台湾不加入亞投行/肯亞案是中國謀略
本集内容:①熊本地震發生後,隨即感受到來自台灣官民支援災區的温暖情誼。②台湾決定不加入亞投行,作出此賢明判斷的背後也有不願被中國併呑的台湾民意。③分析中國挑起肯亞事件的目的與今後反台湾工作的動向。主播:永山英樹・謝惠芝
台湾では五月二十日、民進党の蔡英文政権が発足するが、それによって懸念されるのが中国の動向だ。

同党が「一つの中国」(台湾は中国の一部)との虚構宣伝を受け入れず、「台湾が主権独立国家だとの現状を強調してきたため、中国が「文攻武嚇」(宣伝攻撃と武力恫喝)で緊張を高める可能性があるためだ。二〇〇〇年から八年続いた民進党の陳水扁政権時代の時のようにである。
もしそうなれば、日本はどうするのだろうか。
陳水扁政権当時、日本は中国への配慮で、あの国と一緒になって台湾へ内政干渉と言うべき圧力を掛けたことがある。たとえば同政権が〇四年、「中国が台湾に向けたミサイルを撤去しない場合の国防強化」の可否などを問う公民投票を、そして〇八年、「台湾の国連加盟申請」の可否などを問う公民投票を実施するのに対して中国が猛反撥した時のことである。
前者に対しては、外務省が独断で台湾総統府に対し、「中台関係をいたずらに緊張させる」との理由で実施を差し控えるよう申し入れた。
後者に関しては、米国を含む各国が中国の圧力を受け、実施に反対表明を行う中、当時の安倍晋三政権は沈黙を守って台湾側から感謝もされたのだが、次いで福田康夫首相が就任して訪中するや、「緊張を高めるものであるなら支持しない」と明言してしまった。
そしていずれの場合も、一方的な「文攻武嚇」で緊張を高めていた中国に対しては一言の批判も行っていない。だが台湾が中国に呑み込まれれば、次は日本が生存の危機に曝される。敵に媚びて友を叩くという明らかな愚行だった。
そう者を、中国の古い言葉で「懦愚」(臆病な愚か者)と呼ぶが、今後再び中国が緊張を高めるなら、日本はまたも懦愚の振る舞いを見せるのだろうか。今や中国の軍事力は、かつての比ではないほど拡充されているが。
■中国が台湾に静かなのは打つ手がないから
すでに中国は台湾への揺さぶり、恫喝に着手しているとされる。
たとえば四月八日と十二日に行われた台湾人強制連行事件。中国の圧力でケニア政府が国内の詐欺事件で逮捕した四十五人の台湾人(無罪確定者を含む)を中国に送致してしまったあれである。
これに関して英BBCは、「中国はこうした行為を通じ、蔡英文氏に圧力をかけ、台湾は中国の一部だと口頭で認めさせたいのだ。北京当局が蔡氏に与えてきた蜜月期間はもう終わった。就任後はさらに多くの困った問題を突き付けるだろう」と分析している。

中国による台湾人強制連行事件。台湾新政権に対する揺さぶりとされる
中国が「蜜月」を演じるというのは、「静観する」ということだろう。あの国は蔡英文氏が中国との対立を嫌って妥協し、「一つの中国」を受け入れるのを期待し、「その言を聴きその行いを観る」の姿勢を示しているともされる。
一方、「攻めあぐねている」との解釈もよく見られる。たとえば最近、「習近平は蔡英文に対して打つ手なく、途方に暮れている」と指摘して台湾で話題になっているのが、中国系ジャーナリストの曹長青氏だ。
なぜ「打つ手がない」のか。曹長青氏はその理由を次のように挙げる。
■ここまで有効な日米同盟の抑止力
第一が「台湾の民意」。
「ケニア事件に関してもそうであるように、台湾では国民党、民進党など党派を分かたず、みな中国を批判している」という。
たしかに従来、中国の民進党に対する批判、恫喝に力があったのは、それに呼応する国民党の「聯共制台」(中共と提携して台湾人勢力の台頭を抑止する)があったからだが、今や民意は同党の過剰な中国傾斜を許さず、その結果、同党は選挙で敗れたと言える。
第二の理由は「民主国家の後ろ盾」。
「米国や日本など民主主義大国が有力な後ろ盾になっている」というのだ。
つまり日米同盟の強化が、それほど中国の膨張に対して抑止力を発揮しているということだろう。
中国外交部は三月末、日本で安全保障関連法が施行されたのを受け、こうコメントした。「中国は日本に対し、中国の主権と安全利益を損ね、地域の平和と安定を損ねることをしないよう要求する」と。
この「中国の主権を損ねるな」とは、「日米同盟の強化で中国の東支那海や南支那海での膨張の動きを妨害するな」という意味だけではなく、むしろそれ以上に「台湾併呑を妨げるな」との必死の訴えが込められているはずだ。
なぜならあの国が手にしたいのは、尖閣諸島やスプラトリー諸島以上に台湾だからである。
■中国だって戦争だけはしたくない
そのように見れば今日、日本が安倍政権であって本当に好かったと思うのである。
かつて台湾に圧力をかけた福田首相(この人物は「相手(中国)の嫌がることをあえてする必要はない」との名文句も残した)や、目下安保関連法の廃止を叫ぶ民進党(旧民主党)を見よ。もし今こうした親中勢力が日本の政権を握っていたとしたら、台湾の国民党政権の如く、いたずらに中国覇権主義を増長させ、アジア太平洋地域の危機的状況を拡大させることとなりかねない。懦愚であるが故にだ。

2007年、福田康夫首相は温家宝首相の前で、中国の台湾へのミサイル配備ではなく台湾の公
民投票政策を、「緊張を高める」として批判した。このように、友を叩き敵を励ます政権など、
日本は決して戴いてはならない
さて曹長青氏によれば、習近平が台湾に打つ手がない理由がもう一つある。
それは、「中国人民が武力行使に反対している」ことだ。
「もし中国人に投票させれば、圧倒的多数は台湾に武力を用いるのに反対する。なぜならそれで株式市場が崩壊するからだ。それでもし習近平が台湾挑発に失敗したら、党上層部は引きずりおろされることになる」とのことである。
常々思うのだが、台湾でも日本でも、中国に媚びる勢力の主張を聞く限り、どうも彼らにはこうした中国の弱みを見抜く力に欠けているようだ。それもまた懦愚であるためなのだろう。
しかし日本だけが一方的に中国との対立を恐れ、譲歩する必要はないというわけだ。向こうも日米同盟との対立を、以上のように本気で望んではいないのだから。
「台湾は国民党政権なら安泰だが民進党政権だと危うい」というのも、日台の中国迎合勢力が好んで用いる言説だが、それはまた中国のプロパガンダの代弁その物でもある。
実際には、その逆が正しいだろう。日本の安倍政権に加えて台湾でも蔡英文政権が誕生することで、あの覇権主義国家に対する抑止力は確実に強化されることになるからだ。
くれぐれも日本は今後、かつての反台湾の愚行(それもまた「聯共制台」)を繰り返してはならない。
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台湾人強制連行を狙う中国/各国を操縦し台湾新政権に対抗か 2016/04/17
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【台湾CH Vol.128】台湾から見た安保法と陸自の与那国島配備・他[桜H28/4/15]
https://youtu.be/vlSeUpDatNY
「台湾チャンネル」第128回は、①台湾の祝日、清明節の話題。②タイワンツキノワグマの人形を使った台湾独立をアピールする活動を紹介。③日本では3月末に安全保障関連法案が施行され、また陸自与那国島への初配備が行われたが、これを評価する台湾の識者の見方を紹介し、今後の日台の防衛協力の必要性を訴える。キャスター:永山英樹、謝恵芝
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