朗報!台湾がAIIB(アジアインフラ投資銀行)加盟を断念
2016/04/13/Wed
■台湾は「中国の一部」としてしか加盟できない
台湾の張盛和財政部長(財務相)は四月十二日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟を断念することを明らかにした。

AIIB加盟申請を見送ると表明した台湾の張盛和財政部長
国際金融機関であっても実質的には中国政府が主導するのがAIIB。「中華人民共和国の一地域」としてでしか台湾の加盟を認めないためである。たとえば金立群総裁は四月七日、次のように表明している。

金立群AIIB総裁。もちろん中国政府の操縦を受けている
「我々の規則(AIIB協定)の第三条第三項は『主権を持たない地域と国際的事務に責任を負うことのできない地域は、彼らの国家主権を持つ政府を通じて加盟申請を行う』(※)と規定している。香港は中国財政部を通じて申請を行うべきで、台湾の状況もそれと同じだ」
※AIIB協定のその条文は、正確には「主権を持たず、または自身の国際関係行為に責任を負えない申請者は、その国際関係行為の責任を負う銀行加盟者の同意、あるいは代行により、銀行に加盟申請を行わなくてはならない」だ。
台湾側は、この規定には従わないと早くから表明し、同協定の第三条第二項の「アジア開発銀行のメンバーは、理事会の多数決投票で同意されれば加盟できる」との規定に従い加盟することを希望して来たのだが、今回ついにそれを断念したのだ。張盛和部長は次のように述べている。
「台湾は尊厳、平等に反する方式には従えない。我が国は暫時、申請の動きを停止する」
「金立群の発言を見れば北京の考えはすでに定まっている模様で、申請をしても意味がない」
「間もなく政権交代が行われるので、今後どうするかは新政権に決めてもらう」
もちろん民進党新政権も申請は行わないだろう。同党はすでに「第三条第三項は台湾・香港・マカオ条項と呼ばれ、明らかに我が国を矮小化するもの。国家主権の問題で妥協や協議はできない」(阮昭雄スポークスマン、六月三十日)と表明している。
■AIIB加盟申請は国民党政権の売国行為
今回は財政部も声明を出し、次のよう中国を批判した。
「金立群の発言は遺憾だ。台湾が主権国家であるのは争うことのできない事実。AIIBは国際機関であり一国によって主導されるべきではない」
もっとも、その張盛和部長=国民党の馬英九政権自身が、約一年前には台湾が主権国家であることを否定していたのである。
まだAIIBの規則が制定される以前の昨年三月三十日、馬英九総統が加盟申請を行うことを決定し、申請書類をこの張盛和が作成したのだが、その文書には「中華民国」という国名はなく(「台湾」とだけあった)、「財政部」との国家機関名もなかった(Minister=部長とのみ)。つまり中国の歓心を買うため、国家主権を自己否定したのだ。

「中華民国」や「財政部」の文字が見えない加盟申請書。中国の歓心を
買うべく自ら国家主権を否定した
しかもこの文書は外交部や財政部ではなく行政院で対中業務を司る大陸委員会が、中国国務院で対台業務を司る台湾事務弁公室を通じてAIIB準備事務局に提出している。自ら中国政府の傘下に入ったに等しかった(その後、財政部は直接AIIB準備事務局に提出してはいるが)。
そもそもこの申請は米国の制止を振り切ってのものだった。
中国の脅威から台湾を守る米国ではなく、台湾併呑を狙う中国の懐に飛び込もうとした馬英九。それほどの売国的な人物だからこそ、国家主権の自己否定くらい平然とやってのけることができたわけだ。
しかも国会の審議も経ないなど、密室作業での申請だったのは、国民の反撥は必至と予測していたからだろう。実際に申請後には激しい野党、国民の激しい抗議に曝されている。

総統府前では数百人の学生などが馬英九総統の売国行為に抗議の声を上げた
そしてそうした国民の声は、馬英九政権の売国暴走の歯止めになったはずである。そしてその結果、今回加盟申請が断念されたのだろう。
■民進党新政権の揺さぶり目指す中国だが
それに関して香港の中共御用メディアである大公報は十二日、次のように論評している。
ーーー昨年台湾側は相当積極的に加盟を目指していたが、今回は非常に残念だ。金立群の説明は「両岸(台湾と中国)は同じく一つの中国に属する」との精神に符合したものである。
ーーーAIIBは国際機関であり、メンバーはみな主権国家ばかり。台湾の加盟は大陸(中国)にとり敏感な問題。両岸間の充分な信頼関係が求められている。
ーーーこれまでの八年間(国民党政権時期)は九二年合意(「一つの中国」での合意)という共通の政治的基礎の上で両岸関係は大幅に改善されたのだが、来月に政権を引き継ぐ民進党は、いまだ九二年合意を認めず、大陸との間で少しも相互信頼の基礎を持っていない。
ーーー大陸側が何度も表明しているように、九二年合意を認めなければ台湾の国際空間の問題も話し合うことはできない。そうした基礎がない限り、両岸関係は停滞、後退し、対話ルートも消滅する。国際空間を話し合うどころではなくなるのだ。
この「国際空間」とは「国際社会での活動空間」である。中国は国際社会からの台湾の締め出しを図っているが、それと同時に「空間」をエサに、台湾に「一つの中国」を認めさせ、自国の影響下へと引き込もうとするのである。
だからこうも指摘するのだ。
ーーー金立群は「台湾がAIIBに加盟したいなら大陸財政部に申請を行え」と話したのは、間もなく政権与党となる民進党の蔡英文主席に対して「両岸は同じく一つの中国に属する」との立場、原則において、大陸側は譲歩、妥協することはないと伝えるためだった。
ちなみに国務院台湾事務弁公室は十三日、次のようにコメントしている。
「AIIBは『一つの中国の原則』とAIIBの規定に基づき台湾加盟問題を処理しているのだと思う」
一方、共同通信は台湾の加盟断念を伝える中で、「新たに政権を担う民主進歩党は台湾独立志向が強く、AIIBへの参加は当面困難になったとみられる」と分析する。
実際には「中国はAIIBをエサにして懸命に民進党に『一つの中国』を認めさせようとしている」とも言えそうだし、「AIIBなどで台湾を呑み込もうとする中国に反撥する台湾国民が、民進党に政権を担わすことになった」とも言えそうだ。
いずれにせよ、朗報だ。
【過去の関連記事】
台湾売国政権のAIIB参加申請 15/04/03
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2544.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓

モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
台湾の張盛和財政部長(財務相)は四月十二日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟を断念することを明らかにした。

AIIB加盟申請を見送ると表明した台湾の張盛和財政部長
国際金融機関であっても実質的には中国政府が主導するのがAIIB。「中華人民共和国の一地域」としてでしか台湾の加盟を認めないためである。たとえば金立群総裁は四月七日、次のように表明している。

金立群AIIB総裁。もちろん中国政府の操縦を受けている
「我々の規則(AIIB協定)の第三条第三項は『主権を持たない地域と国際的事務に責任を負うことのできない地域は、彼らの国家主権を持つ政府を通じて加盟申請を行う』(※)と規定している。香港は中国財政部を通じて申請を行うべきで、台湾の状況もそれと同じだ」
※AIIB協定のその条文は、正確には「主権を持たず、または自身の国際関係行為に責任を負えない申請者は、その国際関係行為の責任を負う銀行加盟者の同意、あるいは代行により、銀行に加盟申請を行わなくてはならない」だ。
台湾側は、この規定には従わないと早くから表明し、同協定の第三条第二項の「アジア開発銀行のメンバーは、理事会の多数決投票で同意されれば加盟できる」との規定に従い加盟することを希望して来たのだが、今回ついにそれを断念したのだ。張盛和部長は次のように述べている。
「台湾は尊厳、平等に反する方式には従えない。我が国は暫時、申請の動きを停止する」
「金立群の発言を見れば北京の考えはすでに定まっている模様で、申請をしても意味がない」
「間もなく政権交代が行われるので、今後どうするかは新政権に決めてもらう」
もちろん民進党新政権も申請は行わないだろう。同党はすでに「第三条第三項は台湾・香港・マカオ条項と呼ばれ、明らかに我が国を矮小化するもの。国家主権の問題で妥協や協議はできない」(阮昭雄スポークスマン、六月三十日)と表明している。
■AIIB加盟申請は国民党政権の売国行為
今回は財政部も声明を出し、次のよう中国を批判した。
「金立群の発言は遺憾だ。台湾が主権国家であるのは争うことのできない事実。AIIBは国際機関であり一国によって主導されるべきではない」
もっとも、その張盛和部長=国民党の馬英九政権自身が、約一年前には台湾が主権国家であることを否定していたのである。
まだAIIBの規則が制定される以前の昨年三月三十日、馬英九総統が加盟申請を行うことを決定し、申請書類をこの張盛和が作成したのだが、その文書には「中華民国」という国名はなく(「台湾」とだけあった)、「財政部」との国家機関名もなかった(Minister=部長とのみ)。つまり中国の歓心を買うため、国家主権を自己否定したのだ。

「中華民国」や「財政部」の文字が見えない加盟申請書。中国の歓心を
買うべく自ら国家主権を否定した
しかもこの文書は外交部や財政部ではなく行政院で対中業務を司る大陸委員会が、中国国務院で対台業務を司る台湾事務弁公室を通じてAIIB準備事務局に提出している。自ら中国政府の傘下に入ったに等しかった(その後、財政部は直接AIIB準備事務局に提出してはいるが)。
そもそもこの申請は米国の制止を振り切ってのものだった。
中国の脅威から台湾を守る米国ではなく、台湾併呑を狙う中国の懐に飛び込もうとした馬英九。それほどの売国的な人物だからこそ、国家主権の自己否定くらい平然とやってのけることができたわけだ。
しかも国会の審議も経ないなど、密室作業での申請だったのは、国民の反撥は必至と予測していたからだろう。実際に申請後には激しい野党、国民の激しい抗議に曝されている。

総統府前では数百人の学生などが馬英九総統の売国行為に抗議の声を上げた
そしてそうした国民の声は、馬英九政権の売国暴走の歯止めになったはずである。そしてその結果、今回加盟申請が断念されたのだろう。
■民進党新政権の揺さぶり目指す中国だが
それに関して香港の中共御用メディアである大公報は十二日、次のように論評している。
ーーー昨年台湾側は相当積極的に加盟を目指していたが、今回は非常に残念だ。金立群の説明は「両岸(台湾と中国)は同じく一つの中国に属する」との精神に符合したものである。
ーーーAIIBは国際機関であり、メンバーはみな主権国家ばかり。台湾の加盟は大陸(中国)にとり敏感な問題。両岸間の充分な信頼関係が求められている。
ーーーこれまでの八年間(国民党政権時期)は九二年合意(「一つの中国」での合意)という共通の政治的基礎の上で両岸関係は大幅に改善されたのだが、来月に政権を引き継ぐ民進党は、いまだ九二年合意を認めず、大陸との間で少しも相互信頼の基礎を持っていない。
ーーー大陸側が何度も表明しているように、九二年合意を認めなければ台湾の国際空間の問題も話し合うことはできない。そうした基礎がない限り、両岸関係は停滞、後退し、対話ルートも消滅する。国際空間を話し合うどころではなくなるのだ。
この「国際空間」とは「国際社会での活動空間」である。中国は国際社会からの台湾の締め出しを図っているが、それと同時に「空間」をエサに、台湾に「一つの中国」を認めさせ、自国の影響下へと引き込もうとするのである。
だからこうも指摘するのだ。
ーーー金立群は「台湾がAIIBに加盟したいなら大陸財政部に申請を行え」と話したのは、間もなく政権与党となる民進党の蔡英文主席に対して「両岸は同じく一つの中国に属する」との立場、原則において、大陸側は譲歩、妥協することはないと伝えるためだった。
ちなみに国務院台湾事務弁公室は十三日、次のようにコメントしている。
「AIIBは『一つの中国の原則』とAIIBの規定に基づき台湾加盟問題を処理しているのだと思う」
一方、共同通信は台湾の加盟断念を伝える中で、「新たに政権を担う民主進歩党は台湾独立志向が強く、AIIBへの参加は当面困難になったとみられる」と分析する。
実際には「中国はAIIBをエサにして懸命に民進党に『一つの中国』を認めさせようとしている」とも言えそうだし、「AIIBなどで台湾を呑み込もうとする中国に反撥する台湾国民が、民進党に政権を担わすことになった」とも言えそうだ。
いずれにせよ、朗報だ。
【過去の関連記事】
台湾売国政権のAIIB参加申請 15/04/03
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2544.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓

モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
スポンサーサイト