台湾は集団的自衛権の対象たり得るか(上)
2016/04/08/Fri
■「脅威は中国ではなく日本」という中国の宣伝
安全保障関連法が三月二十八日に成立したが、これに関する中国反応や如何。
あの国の外交部は三十日の定例記者会見で、次のようにコメントした。
「戦後日本の軍事安全政策における重大な調整だ。日本が平和発展の道を変更するのではないかとの懸念が広がり、日本国内でも強烈な反対意見が出ている」
「歴史と現実が原因で、ここ数年来、日本の方向性が問題視されている。近隣の第二次大戦当時の被害国としては、日本が真剣に歴史の教訓を汲み取り、真摯に日本国内、国際社会での正義の声に耳を傾け、アジアの隣国の安全への関心を重視し、軍事安全面では慎重に行動し、平和発展の道を堅持するよう呼び掛けたい」
「強調しなければならないのは、日本の某勢力がこれまで一貫して、所謂中国の脅威なるもののでっち上げを通じ、国内政治の議事を進めようと試みているということだ。中国はこれに対して断固反対を表明し、日本が中国の主権と安全上の利益を損ね、そして地域の平和と安定を損ねることを行わないよう要求する」

安全保障関連法の施行を受け、中国外交部は反日宣伝を展開。それほど同法があの国の侵略主義に不都合という
わけだ
脅威は中国ではなく日本だ、とのお決まりの反日宣伝を展開したわけだが、それでは「日本が中国の脅威をでっち上げ、中国の主権と安全上の利益を損ねようと試みている」とはどういうことなのだろうか。
■安保法反対の声が中国に喜ばれる理由
それについては中共機関紙人民日報系の環球時報が二十九日に配信した評論が今少し具体的に書いている。
標題は「新安保法は日本を危険な道へと向かわせる」。執筆者は中国社会科学院日本研究所の高洪研究員。日本問題のコメンテーターで知られる御用学者(中共の喉舌)だ。
それによれば「安倍が新安保法を強力に推進する真の目的」は以下の三つだという。
「第一に、平和憲法を改変するのが安倍をトップとする民族保守主義集団の政治的宿願。新安保法をそのための梃子にするのが彼らのやり方だ。安倍は改憲で勢力の再起を歴史に大きく記したいと考えている」
「第二に、新安保法で自衛隊に集団的自衛権を付与し、日米同盟を緊密化し、日本を有事の際に米国と肩を並べて闘うことのできる盟友へと変えたい」
中国脅威論をでっち上げる「日本の某勢力」とは安倍首相など「民族保守主義集団」であるわけだ。
そしてもう一つ。
「第三に、海洋問題で中国を中傷し、自国の海洋争奪の口実すること。長年来安倍は東海、南海問題の両方を撹乱することに熱中して来た、国内に向けては地域の緊張情勢を極力誇大宣伝して脅威論をでっち上げ、国外に対しては中国の脅威を大袈裟に宣伝し、さらには地域外の国家でありながら南海問題に強行介入し、関係諸国と反中国の連盟を構築しようと策動している。誰の目にも明らかだろう。安倍が南海問題にしがみ付くのは、中国の脅威を口実に新安保法を南海に適用しようとしているのだ」
要するに中国は、日本が「東海と南海」(尖閣諸島=東支那海と南支那海)に関する「中国の主権を損ねようと試み」ているというわけだ。
もっとも、それを正しく言うなら、「日本は東支那海、南支那海に対する中国の膨張、侵略を阻止しようとしている」となろう。安保法が各国から支持される所以である。日本国内の「強烈な反対意見」は、侵略国の中国にしか喜ばれないものなのだ。
ところで、日本は安保法を東支那海、南支那海では適用することがあるとしても、その中間に位置する台湾海峡=台湾には適用しないのだろうか。
中国の東支那海、南支那海への膨張の動きは台湾奪取の動きそのもの。中国は日米同盟の台湾有事介入の動きにこそ警戒を示してしかるべきだが、この御用学者は台湾には言及していない。日本は安保法を台湾有事には適用しないと踏んでいるのだろうか。
(つづく)
【過去の関連記事】
台湾侵略で日本は集団的自衛権を行使するかー岸田外相答弁を読み解く 15/06/17
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2585.html
安倍首相「台湾は大切な友人」―安保法案・参院審議で 15/07/29
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2616.html
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安全保障関連法が三月二十八日に成立したが、これに関する中国反応や如何。
あの国の外交部は三十日の定例記者会見で、次のようにコメントした。
「戦後日本の軍事安全政策における重大な調整だ。日本が平和発展の道を変更するのではないかとの懸念が広がり、日本国内でも強烈な反対意見が出ている」
「歴史と現実が原因で、ここ数年来、日本の方向性が問題視されている。近隣の第二次大戦当時の被害国としては、日本が真剣に歴史の教訓を汲み取り、真摯に日本国内、国際社会での正義の声に耳を傾け、アジアの隣国の安全への関心を重視し、軍事安全面では慎重に行動し、平和発展の道を堅持するよう呼び掛けたい」
「強調しなければならないのは、日本の某勢力がこれまで一貫して、所謂中国の脅威なるもののでっち上げを通じ、国内政治の議事を進めようと試みているということだ。中国はこれに対して断固反対を表明し、日本が中国の主権と安全上の利益を損ね、そして地域の平和と安定を損ねることを行わないよう要求する」

安全保障関連法の施行を受け、中国外交部は反日宣伝を展開。それほど同法があの国の侵略主義に不都合という
わけだ
脅威は中国ではなく日本だ、とのお決まりの反日宣伝を展開したわけだが、それでは「日本が中国の脅威をでっち上げ、中国の主権と安全上の利益を損ねようと試みている」とはどういうことなのだろうか。
■安保法反対の声が中国に喜ばれる理由
それについては中共機関紙人民日報系の環球時報が二十九日に配信した評論が今少し具体的に書いている。
標題は「新安保法は日本を危険な道へと向かわせる」。執筆者は中国社会科学院日本研究所の高洪研究員。日本問題のコメンテーターで知られる御用学者(中共の喉舌)だ。
それによれば「安倍が新安保法を強力に推進する真の目的」は以下の三つだという。
「第一に、平和憲法を改変するのが安倍をトップとする民族保守主義集団の政治的宿願。新安保法をそのための梃子にするのが彼らのやり方だ。安倍は改憲で勢力の再起を歴史に大きく記したいと考えている」
「第二に、新安保法で自衛隊に集団的自衛権を付与し、日米同盟を緊密化し、日本を有事の際に米国と肩を並べて闘うことのできる盟友へと変えたい」
中国脅威論をでっち上げる「日本の某勢力」とは安倍首相など「民族保守主義集団」であるわけだ。
そしてもう一つ。
「第三に、海洋問題で中国を中傷し、自国の海洋争奪の口実すること。長年来安倍は東海、南海問題の両方を撹乱することに熱中して来た、国内に向けては地域の緊張情勢を極力誇大宣伝して脅威論をでっち上げ、国外に対しては中国の脅威を大袈裟に宣伝し、さらには地域外の国家でありながら南海問題に強行介入し、関係諸国と反中国の連盟を構築しようと策動している。誰の目にも明らかだろう。安倍が南海問題にしがみ付くのは、中国の脅威を口実に新安保法を南海に適用しようとしているのだ」
要するに中国は、日本が「東海と南海」(尖閣諸島=東支那海と南支那海)に関する「中国の主権を損ねようと試み」ているというわけだ。
もっとも、それを正しく言うなら、「日本は東支那海、南支那海に対する中国の膨張、侵略を阻止しようとしている」となろう。安保法が各国から支持される所以である。日本国内の「強烈な反対意見」は、侵略国の中国にしか喜ばれないものなのだ。
ところで、日本は安保法を東支那海、南支那海では適用することがあるとしても、その中間に位置する台湾海峡=台湾には適用しないのだろうか。
中国の東支那海、南支那海への膨張の動きは台湾奪取の動きそのもの。中国は日米同盟の台湾有事介入の動きにこそ警戒を示してしかるべきだが、この御用学者は台湾には言及していない。日本は安保法を台湾有事には適用しないと踏んでいるのだろうか。
(つづく)
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http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2585.html
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http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2616.html
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