中国軍事費―「日本も標的」と報道しない日本メディア
2016/03/07/Mon
■中国の軍事費を「国防費」と呼ぶ違和感

中国の第十二期全国人民代表大会(全人代)の第四回会議が三月五日に開幕。習近平指導部は前年比七・六%増の約九千五百四十三億五千四百万元(約十六兆七千億円)の軍事費を提示した。
過去最高の更新で異常な膨らみだ。日本の来年度の防衛費の実に三・三倍。しかもそこに肝心の兵器の購入、研究開発費は含まれず、実際には公表額の二倍以上と見られている。
産経新聞は社説で「自ら欲して敵をつくっているようなものではないか」と忠告するが、中国は最初から、各国対等の国際秩序などを追求していない。
あの国が昨年公表した国防白書など、自らの国家戦略目標についてこう説明しているくらいだ。
「中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現すること。中国の夢とは強国の夢であり、軍隊にとっては強軍の夢だ。強軍であって初めて国を守ることができ、強国たるには強軍が必要なのだ」と。
どこの国が中国を攻めようとしているというのか。あの国が言う「国を守る」とは「国を広げる」としか受け取れない。中国は軍事費を「国防費」と称し、日本のメディアもそう呼ぶが、それには違和感を抱かざるを得ない。
■軍拡は五月の民進党政権の発足も視野に
今回の軍事予算に関し、共同通信は次のように報じる。
―――習近平指導部は南シナ海での「軍事化」にまい進。西太平洋の支配権確保も狙っており、海洋権益をめぐる各国との対立長期化を見据え、軍拡を加速させる方針だ。
―――台湾で5月に独立志向の民主進歩党(民進党)政権が発足することも「不安定要因」と位置付け、軍拡を進めていく構えだ。
「台湾」が軍拡の要因として浮上したということだろうか。
全人代開幕式が行われたこの日、習近平主席は次のような台湾工作に関する談話を示している。
「我々はいかなる形式の台独分裂行為をも抑え込み、国家の主権と領土の完全性を守り、国家分裂という悲劇を再現することはない。これが中華民族に共通する願いであり確固たる意志であり、我々の歴史、人民に対して負う荘厳なる約束であり責任だ」
これまでの在台中国人主導の国民党政権とは異なり、台湾と中国は「一辺一国」(別々の主権国家)との現状を強調し、「一つの中国」というフィクションを受容しない民進党は、中国から見ればまさに許し難き「台獨分裂」勢力。共同が同党を「独立志向」と形容するのはそのためだろう(中国の支配下にない台湾が中国から独立・分裂するという問題は存在しないのだが・・・)。
■そもそも台湾併呑が中国軍拡の目標だ

かくして中国人民解放軍には民進党政権の発足を受け、台湾の「抑え込み」との新任務が付されたかに見えるわけだが、実際にはそうではない。
民進党政権が発足しようがしまいが、あの国は昔から一貫して、台湾併呑こそを軍拡の最大目標としてきているのである。
習近平が語った「国家の主権と領土の完全性を守る」というのは、実は中国が軍拡の目的を説明する際に用いる決まり文句であり、そしてそれは特に「台湾併呑を達成する」という意味である。
そのため二〇〇八年以来、台湾の国民党政権が「一つの中国」原則を受け入れ、台独反対を表明しても、併呑が達成されない以上、台湾攻略や米軍(日米同盟)の台湾支援阻止を目指す軍拡は依然として加速され続けたのだ。
共同は中国が「南シナ海での『軍事化』にまい進。西太平洋の支配権確保も狙って」いると指摘するが、実際には西太平洋(第二列島線までの海域)に勢力を伸張し、そこまでを「中国の海」(中華民族の生存圏)するというのがあの国の軍事戦略目標だ(それこそが「中華民族の偉大なる復興」を意味するのだろう)。
そして西太平洋の覇権を確立するには、どうしても台湾という戦略的要衝の奪取が不可欠となるのである。
だから「南シナ海での『軍事化』」などは、台湾、西太平洋で覇権を打ち立てるための準備段階にしか過ぎない。尖閣諸島を奪って東支那海の支配権を確立せんとする動きも、それと同様だ。
■中国の攻撃目標として台湾と日本はセット
そしてここで我々が気付くべきは、この中国の主要攻撃目標には、台湾の国土以外に日本の国土も含まれているということだ。
中国は軍事勢力範囲を、日本、台湾と連なる第一列島線を越えて第二列島線まで広げようとしているのだ。かくして南支那海、東支那海、西太平洋が中国の内海となれば、日本はその海域の中に心許なく浮かぶ小列島と化す。
かくて日米同盟は「中国の夢」「強軍の夢」を掲げる中国との対峙、対抗を拒否することはできない宿命となる。いやそもそも、この中国の拡張を抑止するため、同盟は存続するというべきだ。
全人代に出席した東部戦区の劉粵軍司令員(司令官)はメディアに対し、「(同戦区は)台湾海峡、東海(東支那海)、西太平洋に向かい、国家統一、領土主権、海洋権益を守ることという神聖なる使命を負っている」と語っているが、これだけでもわかるはずだ。中国にとっては台湾も日本も、攻撃目標としてはセットと考えられているのである。
「中国脅威論」を広げるなとの中国からの圧力を受け続けてきたためか、日本メディアの中国の軍拡に関する報道は、まだまだ遠慮気味。日本も標的」と明確に指摘する報道は稀だ。
共同は今回、「西太平洋の支配権確保を狙っている」とまで分析したのだから、いっそ「日本の属国化を狙っている」とまで書くべきだった。国民が知りたいのは、日本に実際に迫りくる中国の脅威の実態なのだから。
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中国の第十二期全国人民代表大会(全人代)の第四回会議が三月五日に開幕。習近平指導部は前年比七・六%増の約九千五百四十三億五千四百万元(約十六兆七千億円)の軍事費を提示した。
過去最高の更新で異常な膨らみだ。日本の来年度の防衛費の実に三・三倍。しかもそこに肝心の兵器の購入、研究開発費は含まれず、実際には公表額の二倍以上と見られている。
産経新聞は社説で「自ら欲して敵をつくっているようなものではないか」と忠告するが、中国は最初から、各国対等の国際秩序などを追求していない。
あの国が昨年公表した国防白書など、自らの国家戦略目標についてこう説明しているくらいだ。
「中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現すること。中国の夢とは強国の夢であり、軍隊にとっては強軍の夢だ。強軍であって初めて国を守ることができ、強国たるには強軍が必要なのだ」と。
どこの国が中国を攻めようとしているというのか。あの国が言う「国を守る」とは「国を広げる」としか受け取れない。中国は軍事費を「国防費」と称し、日本のメディアもそう呼ぶが、それには違和感を抱かざるを得ない。
■軍拡は五月の民進党政権の発足も視野に
今回の軍事予算に関し、共同通信は次のように報じる。
―――習近平指導部は南シナ海での「軍事化」にまい進。西太平洋の支配権確保も狙っており、海洋権益をめぐる各国との対立長期化を見据え、軍拡を加速させる方針だ。
―――台湾で5月に独立志向の民主進歩党(民進党)政権が発足することも「不安定要因」と位置付け、軍拡を進めていく構えだ。
「台湾」が軍拡の要因として浮上したということだろうか。
全人代開幕式が行われたこの日、習近平主席は次のような台湾工作に関する談話を示している。
「我々はいかなる形式の台独分裂行為をも抑え込み、国家の主権と領土の完全性を守り、国家分裂という悲劇を再現することはない。これが中華民族に共通する願いであり確固たる意志であり、我々の歴史、人民に対して負う荘厳なる約束であり責任だ」
これまでの在台中国人主導の国民党政権とは異なり、台湾と中国は「一辺一国」(別々の主権国家)との現状を強調し、「一つの中国」というフィクションを受容しない民進党は、中国から見ればまさに許し難き「台獨分裂」勢力。共同が同党を「独立志向」と形容するのはそのためだろう(中国の支配下にない台湾が中国から独立・分裂するという問題は存在しないのだが・・・)。
■そもそも台湾併呑が中国軍拡の目標だ

かくして中国人民解放軍には民進党政権の発足を受け、台湾の「抑え込み」との新任務が付されたかに見えるわけだが、実際にはそうではない。
民進党政権が発足しようがしまいが、あの国は昔から一貫して、台湾併呑こそを軍拡の最大目標としてきているのである。
習近平が語った「国家の主権と領土の完全性を守る」というのは、実は中国が軍拡の目的を説明する際に用いる決まり文句であり、そしてそれは特に「台湾併呑を達成する」という意味である。
そのため二〇〇八年以来、台湾の国民党政権が「一つの中国」原則を受け入れ、台独反対を表明しても、併呑が達成されない以上、台湾攻略や米軍(日米同盟)の台湾支援阻止を目指す軍拡は依然として加速され続けたのだ。
共同は中国が「南シナ海での『軍事化』にまい進。西太平洋の支配権確保も狙って」いると指摘するが、実際には西太平洋(第二列島線までの海域)に勢力を伸張し、そこまでを「中国の海」(中華民族の生存圏)するというのがあの国の軍事戦略目標だ(それこそが「中華民族の偉大なる復興」を意味するのだろう)。
そして西太平洋の覇権を確立するには、どうしても台湾という戦略的要衝の奪取が不可欠となるのである。
だから「南シナ海での『軍事化』」などは、台湾、西太平洋で覇権を打ち立てるための準備段階にしか過ぎない。尖閣諸島を奪って東支那海の支配権を確立せんとする動きも、それと同様だ。
■中国の攻撃目標として台湾と日本はセット
そしてここで我々が気付くべきは、この中国の主要攻撃目標には、台湾の国土以外に日本の国土も含まれているということだ。
中国は軍事勢力範囲を、日本、台湾と連なる第一列島線を越えて第二列島線まで広げようとしているのだ。かくして南支那海、東支那海、西太平洋が中国の内海となれば、日本はその海域の中に心許なく浮かぶ小列島と化す。
かくて日米同盟は「中国の夢」「強軍の夢」を掲げる中国との対峙、対抗を拒否することはできない宿命となる。いやそもそも、この中国の拡張を抑止するため、同盟は存続するというべきだ。
全人代に出席した東部戦区の劉粵軍司令員(司令官)はメディアに対し、「(同戦区は)台湾海峡、東海(東支那海)、西太平洋に向かい、国家統一、領土主権、海洋権益を守ることという神聖なる使命を負っている」と語っているが、これだけでもわかるはずだ。中国にとっては台湾も日本も、攻撃目標としてはセットと考えられているのである。
「中国脅威論」を広げるなとの中国からの圧力を受け続けてきたためか、日本メディアの中国の軍拡に関する報道は、まだまだ遠慮気味。日本も標的」と明確に指摘する報道は稀だ。
共同は今回、「西太平洋の支配権確保を狙っている」とまで分析したのだから、いっそ「日本の属国化を狙っている」とまで書くべきだった。国民が知りたいのは、日本に実際に迫りくる中国の脅威の実態なのだから。
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