尖閣問題―台湾人を惑わし続ける中華民国(もう一つの中国)の大胆な歴史捏造
2016/03/01/Tue
■捏造だらけの「台湾の主張」は「中国人の主張」
外務省の説明によれば、日本は以下の経緯を経て尖閣諸島を領有している。
―――1885年から日本政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い,単に尖閣諸島が無人島であるだけでなく,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って,正式に日本の領土に編入しました。
―――この行為は,国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。
しかしそれでありながら、同諸島は当時すでに中国(清国)の領土(中国台湾の一部)であり、日本はこれを盗取したのだと批判するのが台湾の中華民国政府だ(尖閣諸島領有の主張は一九七〇年前後に案出されたものだが、それは中華人民共和国にも採用されている)。
「台湾政府」とは言え、その本質は中国から亡命して来た「もう一つの中国政府」。歴史捏造の習性は台湾人の物というより中国人の物だろう。
この政府は、日本の閣議決定が他国に通報されなかった事実に着目し、それは「盗取した」ことを隠蔽するためだったと噛みついてはなさない。
そこでそれに対して外務省は、次のように説明している。
―――閣議決定以来,日本は,民間人の土地借用願に対する許可の発出や国及び沖縄県による実地調査等,尖閣諸島に対して公然と主権の行使を行っていたので,日本の領有意思は対外的にも明らかでした。
―――なお,国際法上,先占の意思につき他国に通報する義務があるわけではありません。
そして台湾国内でも中華民国政府の「盗取」説には批判の声がある。
■台湾の良識ある学者の指摘に狼狽した中華民国政府
著名な近代史研究家である陳深儀氏は二月二十二日の自由時報への寄稿で、「閣議決定を国際社会に公告しなかったのは、日本には比較的不利な瑕疵となっている。だが盗取したとするのは言い過ぎだろう。一八九五年から一九四五年まで、日本側には古賀一族が経営を行うなど有効に支配して来たが、中国はこれに抗議したことがあっただろうか」
中華民国政府にとってこの批判は痛烈だったのかもしれない。そう思うのはこの一篇の新聞投書に対し、同国外交部(外務省)が懸命に反論しているからだ。
外交部は二十七日になり、こんなコメントを見せているのだ。
「日本の文献が、明治政府は釣魚台が清国に属する台湾の島嶼であることを知っていながら秘密裏に併合した。そして国際的慣例である対外公告を行わなかった。だから盗取したとするのが史実に符合している」
この「日本は清国に属する台湾の島嶼であることを知っていた」というのがいつもながらの主張である。
そこでここで問題にすべきは、それが本当かどうか。つまり当時尖閣諸島は本当に清国領土だったかどうかだ。
■日本政府宛ての文書に含まれる事実捏造
そこでこれを考えるために参考にしたのが、外交部が二〇一四年に日本政府へ示した「日本政府の釣魚台列嶼に対する謬論に反論する」なる文書(漢語)だ。

日本の公文書の内容を改竄し、「日本は中央から地方に至るまで、非常にはっきりと釣魚台列嶼が中国に領有され、無人島ではある
が無主の地ではないことを知っていた」と主張する中華民国の日本宛文書。台湾に政府亡命して六十有余年。大胆な嘘で主張を通
そうとする恥知らずな中国人気質はいまなお変わらない
それにはこうある。
―――日本の公文書で明らかなように、一八八五年に内務大臣(※当時は内務卿)の山縣有朋は沖縄県令の西村捨三に釣魚台の調査を命じようとしたが、これに対して西村は、同列嶼は中国によって命名されており、且つ長年にわたって使用されているので、しばらく先送りすべきだと回答した。
―――山縣は外務卿の井上馨に意見を求めたところ、井上は秘密文書「親展第三十八号」で回答し、清国は各島々に対してすでに命名しており、また当時の清国の新聞(上海申報)も、日本が台湾付近の清国所属の島嶼を占領したがっているとの噂を報じているため、「他日に譲るべきだ」と答えている。
―――これからも明らかなように日本は中央から地方に至るまで、非常にはっきりと釣魚台列嶼が中国に領有され、無人島ではあるが無主の地ではないことを知っていたのだ。
このように、日本は「無主の地ではないことを知っていた」と強調するこの文書。ここにはいくつかの事実捏造が含まれている。
■原文を見れば明らかー日本は「清国領土」と認識せず
先ず第一に見たいのは、西村から山縣に対する回答だが、これは「久米赤島外ニ島取調ノ儀 ニ付上申」なる上申書を指す。
だが実際に原文に当たると、そこには「釣魚台列嶼は中国によって命名されており、且つ長年にわたって使用されている」などとは書かれていない。
正しくはこうだ。
「(久米赤嶋、久場嶋、及魚釣島は)中山傅信録に記載せる魚釣台、黄尾嶼、赤尾嶼と同一なるもに無之哉の疑なき能はず。果して同一なるときは既に清國も旧中山王を冊封する使船の詳悉せるのみならず、夫々名称をも附し、琉球航海の目標と為せし事明らかなり」
(久米赤嶋、久場嶋、魚釣島は中山伝信録に記載される魚釣台、黄尾嶼、赤尾嶼のことである可能性があり、もしそのとおりであれば、すでに清国の琉球への冊封使節の船には知られていたばかりか、それぞれに名を付けて琉球航路の指標にしていたことになる)
要するにこの沖縄県令は、尖閣諸島は「無主の地ではない」と認識するまでには至っていなかったのである。ただ清国が同諸島の存在を知っている可能性が高く、軽々にこれを領土編入すれば、トラブルになりかねないと懸念しただけなのだ。
そしてその上で西村は山縣に対し、「國標取建等の義、御指揮を請度此段兼て上申候也」、つまり「国標を建てるべきか否かを指揮してほしい」とうかがっているのだ。外交部が言うような、「しばらく先送りすべきだ」といった建議などしていないのである。
次に井上から山縣へ送った「親展第三十八号」について。

「親展第三十八号」(『日本外交文書・明治編第18巻』所収)。原文に照らせば、中華民国政府の資料改竄は明らかだ
たしかに井上はこの文書において、清国が島々に命名しているとの認識を示すも、しかしそれは島々が清国領土であると領有していたことを意味しない(島々には久米赤嶋、久場嶋、魚釣島といった日本名もある)。
「近時清國新聞紙等にも我政府に於て台湾近傍清國所属の島嶼を占拠せし等の風説を掲載し、我國に対して猜疑を抱き頻に清政府の注意を促し」ているとの認識も示した。そしてその上で「公然國標を建設する等の處置有之候ては清國の疑惑を招」くとの懸念も見せた。
だがそれはあくまでも、日本が台湾付近の清国領の島を「占拠した」との「風説」など反日言説が広がっているのに鑑み(当時日清両国は朝鮮問題を巡り鋭く対立していた)、国標建設は清国の要らぬ「疑惑」を招きかねないと主張したのみ。
どうしてここから、井上が島々は「無主の地ではないことを知っていた」との結論が導き出されるのか。
■こんな虚偽の主張を民進党政権は受け継ぐか
日本は一八九五年の段階で、「中央から地方に至るまで、非常にはっきりと釣魚台列嶼が中国に領有され、無人島ではあるが無主の地ではないことを知っていた」と主張するため、ここまで事実を捏造するのが中華民国政府の中華民族主義だ。
こうした大胆な嘘で台湾人を惑わし続けるのだから悪むべしだ。今回、陳儀深氏がせっかく事実を指摘しても、外交部の虚偽説明によって押し潰され(同部はこの説明をマスメディア各社に配信させている)。
そう言えば同じ民族主義を掲げる中共の御用学者も、まったく同じ主張を行い、そんな論文を何年か前に産経新聞が掲載してしまったこともあった(二〇一〇年十二月八日)。それによって惑わされた日本人も少なくなかったと思う。
台湾で五月に発足する民進党政権。中華民族主義を拒絶するものと見られ、尖閣問題でいかなる立場を見せるかに注目が集まっているが、果たしてこのような恥知らずの捏造宣伝を継承するのだろうか。
何が何でも継承させようと、台湾国内の中華民族主義勢力があれこれ蠢き出しそうだ。中共と連携をしながら。
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外務省の説明によれば、日本は以下の経緯を経て尖閣諸島を領有している。
―――1885年から日本政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い,単に尖閣諸島が無人島であるだけでなく,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って,正式に日本の領土に編入しました。
―――この行為は,国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。
しかしそれでありながら、同諸島は当時すでに中国(清国)の領土(中国台湾の一部)であり、日本はこれを盗取したのだと批判するのが台湾の中華民国政府だ(尖閣諸島領有の主張は一九七〇年前後に案出されたものだが、それは中華人民共和国にも採用されている)。
「台湾政府」とは言え、その本質は中国から亡命して来た「もう一つの中国政府」。歴史捏造の習性は台湾人の物というより中国人の物だろう。
この政府は、日本の閣議決定が他国に通報されなかった事実に着目し、それは「盗取した」ことを隠蔽するためだったと噛みついてはなさない。
そこでそれに対して外務省は、次のように説明している。
―――閣議決定以来,日本は,民間人の土地借用願に対する許可の発出や国及び沖縄県による実地調査等,尖閣諸島に対して公然と主権の行使を行っていたので,日本の領有意思は対外的にも明らかでした。
―――なお,国際法上,先占の意思につき他国に通報する義務があるわけではありません。
そして台湾国内でも中華民国政府の「盗取」説には批判の声がある。
■台湾の良識ある学者の指摘に狼狽した中華民国政府
著名な近代史研究家である陳深儀氏は二月二十二日の自由時報への寄稿で、「閣議決定を国際社会に公告しなかったのは、日本には比較的不利な瑕疵となっている。だが盗取したとするのは言い過ぎだろう。一八九五年から一九四五年まで、日本側には古賀一族が経営を行うなど有効に支配して来たが、中国はこれに抗議したことがあっただろうか」
中華民国政府にとってこの批判は痛烈だったのかもしれない。そう思うのはこの一篇の新聞投書に対し、同国外交部(外務省)が懸命に反論しているからだ。
外交部は二十七日になり、こんなコメントを見せているのだ。
「日本の文献が、明治政府は釣魚台が清国に属する台湾の島嶼であることを知っていながら秘密裏に併合した。そして国際的慣例である対外公告を行わなかった。だから盗取したとするのが史実に符合している」
この「日本は清国に属する台湾の島嶼であることを知っていた」というのがいつもながらの主張である。
そこでここで問題にすべきは、それが本当かどうか。つまり当時尖閣諸島は本当に清国領土だったかどうかだ。
■日本政府宛ての文書に含まれる事実捏造
そこでこれを考えるために参考にしたのが、外交部が二〇一四年に日本政府へ示した「日本政府の釣魚台列嶼に対する謬論に反論する」なる文書(漢語)だ。

日本の公文書の内容を改竄し、「日本は中央から地方に至るまで、非常にはっきりと釣魚台列嶼が中国に領有され、無人島ではある
が無主の地ではないことを知っていた」と主張する中華民国の日本宛文書。台湾に政府亡命して六十有余年。大胆な嘘で主張を通
そうとする恥知らずな中国人気質はいまなお変わらない
それにはこうある。
―――日本の公文書で明らかなように、一八八五年に内務大臣(※当時は内務卿)の山縣有朋は沖縄県令の西村捨三に釣魚台の調査を命じようとしたが、これに対して西村は、同列嶼は中国によって命名されており、且つ長年にわたって使用されているので、しばらく先送りすべきだと回答した。
―――山縣は外務卿の井上馨に意見を求めたところ、井上は秘密文書「親展第三十八号」で回答し、清国は各島々に対してすでに命名しており、また当時の清国の新聞(上海申報)も、日本が台湾付近の清国所属の島嶼を占領したがっているとの噂を報じているため、「他日に譲るべきだ」と答えている。
―――これからも明らかなように日本は中央から地方に至るまで、非常にはっきりと釣魚台列嶼が中国に領有され、無人島ではあるが無主の地ではないことを知っていたのだ。
このように、日本は「無主の地ではないことを知っていた」と強調するこの文書。ここにはいくつかの事実捏造が含まれている。
■原文を見れば明らかー日本は「清国領土」と認識せず
先ず第一に見たいのは、西村から山縣に対する回答だが、これは「久米赤島外ニ島取調ノ儀 ニ付上申」なる上申書を指す。
だが実際に原文に当たると、そこには「釣魚台列嶼は中国によって命名されており、且つ長年にわたって使用されている」などとは書かれていない。
正しくはこうだ。
「(久米赤嶋、久場嶋、及魚釣島は)中山傅信録に記載せる魚釣台、黄尾嶼、赤尾嶼と同一なるもに無之哉の疑なき能はず。果して同一なるときは既に清國も旧中山王を冊封する使船の詳悉せるのみならず、夫々名称をも附し、琉球航海の目標と為せし事明らかなり」
(久米赤嶋、久場嶋、魚釣島は中山伝信録に記載される魚釣台、黄尾嶼、赤尾嶼のことである可能性があり、もしそのとおりであれば、すでに清国の琉球への冊封使節の船には知られていたばかりか、それぞれに名を付けて琉球航路の指標にしていたことになる)
要するにこの沖縄県令は、尖閣諸島は「無主の地ではない」と認識するまでには至っていなかったのである。ただ清国が同諸島の存在を知っている可能性が高く、軽々にこれを領土編入すれば、トラブルになりかねないと懸念しただけなのだ。
そしてその上で西村は山縣に対し、「國標取建等の義、御指揮を請度此段兼て上申候也」、つまり「国標を建てるべきか否かを指揮してほしい」とうかがっているのだ。外交部が言うような、「しばらく先送りすべきだ」といった建議などしていないのである。
次に井上から山縣へ送った「親展第三十八号」について。

「親展第三十八号」(『日本外交文書・明治編第18巻』所収)。原文に照らせば、中華民国政府の資料改竄は明らかだ
たしかに井上はこの文書において、清国が島々に命名しているとの認識を示すも、しかしそれは島々が清国領土であると領有していたことを意味しない(島々には久米赤嶋、久場嶋、魚釣島といった日本名もある)。
「近時清國新聞紙等にも我政府に於て台湾近傍清國所属の島嶼を占拠せし等の風説を掲載し、我國に対して猜疑を抱き頻に清政府の注意を促し」ているとの認識も示した。そしてその上で「公然國標を建設する等の處置有之候ては清國の疑惑を招」くとの懸念も見せた。
だがそれはあくまでも、日本が台湾付近の清国領の島を「占拠した」との「風説」など反日言説が広がっているのに鑑み(当時日清両国は朝鮮問題を巡り鋭く対立していた)、国標建設は清国の要らぬ「疑惑」を招きかねないと主張したのみ。
どうしてここから、井上が島々は「無主の地ではないことを知っていた」との結論が導き出されるのか。
■こんな虚偽の主張を民進党政権は受け継ぐか
日本は一八九五年の段階で、「中央から地方に至るまで、非常にはっきりと釣魚台列嶼が中国に領有され、無人島ではあるが無主の地ではないことを知っていた」と主張するため、ここまで事実を捏造するのが中華民国政府の中華民族主義だ。
こうした大胆な嘘で台湾人を惑わし続けるのだから悪むべしだ。今回、陳儀深氏がせっかく事実を指摘しても、外交部の虚偽説明によって押し潰され(同部はこの説明をマスメディア各社に配信させている)。
そう言えば同じ民族主義を掲げる中共の御用学者も、まったく同じ主張を行い、そんな論文を何年か前に産経新聞が掲載してしまったこともあった(二〇一〇年十二月八日)。それによって惑わされた日本人も少なくなかったと思う。
台湾で五月に発足する民進党政権。中華民族主義を拒絶するものと見られ、尖閣問題でいかなる立場を見せるかに注目が集まっているが、果たしてこのような恥知らずの捏造宣伝を継承するのだろうか。
何が何でも継承させようと、台湾国内の中華民族主義勢力があれこれ蠢き出しそうだ。中共と連携をしながら。
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