尖閣論争―日本側の奮闘を伝えない日本メディアの誤った姿勢
2016/02/17/Wed
日中対立に関してはいつも日本を応援してくれる台湾の友人の一人が、台湾紙自由時報が二月十五日に配信の記事を紹介してくれた。ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議に関するもので、見出しは「中国と日本が激論」。
こんな内容だった。
―――会議で開かれた「中国と国際秩序」と題するシンポジウムで日本の黄川田仁志外務政務官が、中国の全国人民代表大会外事委員会の傅瑩主任委員と激論。
―――黄川田氏が南海(南支那海)で埋め立てを行い、「釣魚台(尖閣諸島)の主権が日本に帰属する現状を改変しようと企図している」と批判すると、傅瑩氏はこれに直接反論し、「一方的に現状を改変しているのは日本である中国ではない。日本の国有化こそそれだ」と批判した。
―――こうした傅瑩氏の挑戦を受けて黄川田氏は、「釣魚台は歴史的に見ても国際法から見ても日本の固有領土。中国はまさにこうした歴史的な現実を修正しつつある」と指摘。
―――傅瑩はこれに対しても「釣魚台(中国での呼称は釣魚島)は中国の固有の領土であり、日本は中国が最も苦しんでいる時期に盗み去った」と論じた。
こういった報導を私に読ませた友人は、「日本は中国に負けていないね」と喜んでくれていたわけだ。
自由時報も、そうしたことを強調したかったのかもしれない。これまでも同紙は尖閣諸島を巡る日中対立に関しては日本に同情的であった気がする(真実を重んじるべき民主主義国家のマスメディアとしては当然の姿勢だ)。
「相手(中国)の嫌がることを敢えてする必要がない」と言い放った福田康夫元首相に象徴されるように、中国にははっきりと反論ができないとの印象が広く持たれて来た政府だが、それだけに黄川田氏の姿勢を「戦後日本」にしては立派で頼もしいと感じるのは、その友人や私だけではないと思う。
そこでこのことを日本のメディアはちゃんと報じているかをチェックしたところ、読売新聞が「尖閣巡り日中代表が激しく応酬」と題する現地発の記事を配信。
内容は自由時報とほぼ同じ。これは結構なことだ。国家主権は守り抜くという政府の姿勢はきちんと伝え、国民にもその大切さを知らせなければならないのだから。



ただその一方で残念なのは、あまり感心できない報道もあった。やはり現地発なのだが、時事通信のそれは趣が異なる。
「尖閣・歴史認識で日本批判=中国」なる見出しの通り、焦点は中国側の反論。
―――中国全国人民代表大会外事委員会の傅瑩主任委員は13日、ドイツ南部ミュンヘンでの安全保障会議で、日本による沖縄県・尖閣諸島の国有化を「現状を変える一方的な行動」と非難した。歴史認識問題についても「両国関係を悪化させている」と訴えた。
―――傅主任委員は「中国と国際秩序」に関するパネルディスカッションで、黄川田仁志外務政務官がアジア地域の緊張を高める中国の「一方的な行動」は容認できないと述べたことに反論。「日本は戦後70年がたっても、第2次大戦中の残虐行為(に及んだ事実)を受け入れられていない」と主張した。
台湾メディアは日本に同情的に見えたが、まさかこの日本メディアは中国に同情的なのだろうか。これを読む限り、黄川田氏がコテンパンにやられたような印象を受けるではないか。
そしてしかも傅瑩氏が歴史問題まで持ち出したことを強調している。これは日本のメディアが日本ではなく中国に肩入れする時(日本に対中譲歩を求める時)に用いる伝統的手法ではないのか、と疑いたくなる。
ちなみに中国(香港)メディアの複数の報道によると、傅瑩氏の歴史問題への言及は次のようなものだった。
「日本は戦後七十年経っても過去の歴史を承認することを拒絶している。安倍晋三首相にしても釣魚島問題の解決に向け中国と話し合うことを試みようとしない」
歴史問題への言及をことさら強調するのは産経新聞が配信した共同通信の記事も同様だ。
見出しは「“歴史”拘泥の中国が日本に反論『戦後70年過ぎても歴史克服できず』」。
―――中国の全国人民代表大会(全人代)外事委員会の傅瑩主任は13日、日本政府による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化を批判した上で、「戦後70年が過ぎても過去の歴史を克服していない」と日本を非難した。ドイツ南部で開かれている「ミュンヘン安全保障会議」のパネルディスカッションで述べた。黄川田仁志外務政務官が南シナ海で人工島造成を進める中国を、「一方的な現状変更は容認できない」と批判したことを受け、傅氏が反論した。
日本メディアが、それほど中国の「過去の歴史」への批判を触れたいのなら、「過去の歴史」をまで持ち出さなければ日本と議論できないような、中国側の尖閣諸島の領有権の主張の脆弱性でも指摘したらどうだろう。
さて政府は今、ようやくながらも「国連を舞台とした“歴史戦”で反転攻勢に出た」(産経)ところだ。つまり十六日に、国連欧州本部での女子差別撤廃委員会で、慰安婦問題に関する歴史の捏造を指摘したわけだが、今後予想される中国や韓国との議論が発生した際、日本メディアはいかなる姿勢で報道を行うのだろうか。
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