中国が恐れる今後の日台関係の深化という脅威
2016/02/04/Thu
■総統選後に中国が警戒する日台の動向
一月十六日、台湾の総統選挙で民進党の蔡英文主席が圧勝。従来中国が望むとおりに「一つの中国」(一中)原則を掲げてきた国民党と異なり、台湾は中国とは別の主権国家だとの現状を強調するのが民進党だ。そこでこれを「台独分子」だと敵視してきた中国にとり、民進党政権の出現はもちろん由々しき事態である。

台湾で総統選で蔡英文が圧勝。中国は新政権と日本との関係強化を警戒する
そして中国が懸念するもう一つが、日米の動向である。
日米同盟は台湾国防の後ろ盾である。蔡英文はこれまで以上に両国の関係強化を図るが、それにより中国の日台分断工作を含むアジアでの覇権確立の国家戦略に、大きな障害が生じることは必定である。
したがって中国は今、相当苛立っているようだ。香港紙明報(一月二十四日)の社説を読んでもそう思える。
■総統選後に中国が見せた日本への行動
社説がまず伝えるのは、蔡英文当選直後の次のような日中の動きだ。
―――中国外交部の孔鉉佑部長助理(外務次官補)は日本の木寺昌人駐中国大使と会見し、「中国は一中原則を堅持し、台独に反対する」との立場を説明した。

日曜にも関わらず木寺昌人大使(左)は孔鉉佑外務次官補(右)に呼び出された
―――日本では、岸田文雄外相が蔡英文の当選に祝意を表明し、「基本的な価値観を共有するパートナー」だと語った。安倍晋三首相も日台協力に期待すると述べ、菅偉秀官房長官も祝意を見せ、ともに台湾が日本の重要な友であると強調している。
そしてその上で社説は、「なぜ孔鉉佑は日曜であるにも関わらず、日本の大使と会ったかは想像に難くない。北京は日本に明確な態度と言辞で、日本の日台関係における方向性に警告を発したのだ」「日本政府が今後、これ以上蔡英文と接触しないよう力を込めて制止したかった」と論じるのだ。
■なぜそこまで日台の緊密化を恐れるか
ではなぜ中国は、そこまで日台関係の緊密化を警戒するのか。引き続き社説の分析を見よう。
―――蔡英文の当選に、西太平洋で大きな影響力を持つ二つの国家、米国と日本は歓迎の意を示した。そして米国はバーンズ前国務副長官を蔡英文の下に派遣したのだが、中国はいまだ、米国の駐中国大使との単独会見を行っておらず、日本だけを「特別扱い」している。
―――その原因は二つあろう。一つは中国が台湾にはいまだ「恋日」感情が持たれていると見ていること。二つは日本が台独分子の集結地であると認識していることだ。
―――しかも安倍晋三は北京との関係がよくない。中日関係は回答に向かいつつあるものの、なお睨み合いは続いている。蔡英文は選挙前に訪日し、安倍とか会見したようだと報じられている。北京は日台関係がこのようにあるのを見て、必然的に強い関心を寄せ、日本大使と会見したのだろう。
―――北京は地域の潜在的な敵である米国と日本の内、暫時日本だけに関心を強めるのは、日本右翼勢力と蔡英文との関係を懸念し、日本が台湾を使って中国を牽制して戦略的に優位を占めようとすることを警戒しているためだ。
以上を読む限り、中国の日台関係強化への警戒は、どうも「西太平洋」戦略の上でのものらしい。もっともそう言われても、平和ボケの日本人の多くはピンと来ないかもしれない。
■中国の拡張主義の前に立ちはだかる日台
そこでもう少し社説を見よう。こんなことも書いている。
―――実際に日米は程度の差こそあれ、国民党政権時期においても台湾との関係を強化しようとして来た。なぜなら台湾の位置は日米にとり極めて重要だからである。それは東海(東支那海)の主要航路を扼すのみならず、さらには中国進出の要衝であり、冷戦時代には不沈空母とも呼ばれて来た。
言うまでもなく中国は、第一列島線までを勢力下におき、さらには第二列島線に至る西太平洋をも勢力下に組み込み、アジアでの覇権を確立するという国家戦略を遂行中だ。そしてその戦略を完遂するには、戦略的要衝にして、従来は米国陣営の「不沈空母」として機能して来た台湾を自国の側に引き込み、さらには自国領土に編入することが不可欠になっているのである。
ところがその営みを、日本が対台湾関係の強化という形で妨害しようと企んでいるというわけだ。
「日本右翼勢力」(日本の安倍政権など中国に迎合しない勢力)が「台湾を使って中国を牽制」しようとしているとは、そういうことである。
■日本に日台連携との対中戦略はあるか
実際に日本側には、そのような戦略は持たれているのだろうか。
岸田外相が蔡英文への祝意表明で見せた「台湾は日本にとり基本的な価値観を共有するパートナー」発言を見ても、正確には「基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来のある重要なパートナー」と述べたのみ。安倍首相、菅官房長官もそれ以上のことを述べたわけではない。

安倍政権はどこまで対台関係を強化することができるか
もっとも台湾について「基本的な価値観を共有する」と強調したのは、価値観を共有しない中国の拡張政策には共同で対処するとの表明とは受け取れる。
しかし日本は果たしてどこまで中国側の制止を振り切り、日台関係を戦略的に強化して行くことができるかが今後の問題だ。
ところで社説によれば中国は、特に日台間の精神的な絆の強さにも懸念しているようだ。
たとえば台湾の「恋日」感情を警戒している。要するに台湾人の日本に対する強い親近感、信頼感のことをいうのだろう。
■日台両国民の友情が武器になる
また日本が「台独分子の集結地」であることも気にしているようだが、ところでそれは何のことなのか。
もともと日本は中華民国体制の打倒を目指す台湾独立運動の策現地であり、そうした台湾人の反中国運動に最も同情的なのが、日本であり日本人だということかもしれない。
少なくとも中国には、昔からそうした警戒感を示して来たし、台湾が中国から圧迫されればされるほど、台湾を応援したくなるという傾向が実際に日本人には持たれており、しかも近年それはますます顕著になりつつある。
このように、日本でも「親台」感情は広がりつつある。そして「親台」とは、ややもすれば「愛台」「恋台」の域にも達するものだ。
そしてそれが、台湾の「恋日」感情が結合し、将来の日台戦略関係の支柱の一つを形成するとなれば、中国には甚だやっかいな一大脅威と映ることだろう。
このように日台両国民の友情は中国の制覇の動きからアジア太平洋を守る武器になり得るのである。そうした認識を、我々はしっかりと持って行くべきではないだろうか。
ちなみに日台関係が深化の方向へ向かう際、日本国内ではそれを喜ばない言論が目立つようになろう。一中原則に立った上での言論であるとか、報道であるとかだ。もはや言うまでもなく、そうしたフィクションを振りかざすものは、中国シンパであると疑い、警戒すべき。
以上のようなことをいろいろと、明報の社説を読みながらあらためて考えた次第だ。
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台湾総統選勝利・大祝賀会のご案内
――民主進歩党幹部も参加――
世界が注目する中で行われた総統選挙の結果、台湾では再び政権交代が行われることとなりました。
「自己的国家自己救」(自分の国は自分が救う)。これは台湾で最近よく見かける若者達のTシャツにある言葉ですが、こうした力強い思いが台湾を変え始めているのでしょう。「太陽花(ひまわり)学生運動」「柯P旋風、白色の力」もそうでしたが、若い世代が政治に関心を持ち、自分の意見を述べ、更には政治活動にも身を投じ、社会を変革し、そしてついに今回のように行政及び国会を一変させる力の一つともなったのです。
そこで本会は、この新生台湾の門出を祝うとともに、今後の日台関係の更なる緊密化にも期待しつつ、下記の要領で台湾総統選勝利・大祝賀会を開催することとなりました。
当日は台湾からは民進党を代表して呉?燮秘書長(幹事長)も参加されます。台湾を愛する皆様と共に祝杯を上げたく存じますので、奮ってご出席の程お願い申し上げます。
日本蔡英文後援会
2016年2月吉日
―記―
【日時】平成28年(2016年)2月14日(日)
受付開始 17時30分/祝賀会 18時~21時
【会場】京王プラザホテル 南館5F エミネンスホ―ル
(東京都新宿区西新宿2-2-1 ?03-3344-0111 )
交通:JR新宿駅西口より徒歩約5分/都営大江戸線都庁前駅B1出口すぐ
【参加費】10,000円
【主催】日本蔡英文後援会
【共催】在日台湾同郷會、在日台湾婦女会、日本台湾医師連合、日本台医人協会、日本台湾語言文化協会、
台湾独立建国聯盟日本本部、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム、怡友会、台湾の声、東京池袋教会、荻窪教会
【申込み】2月11日までお願いします。
電話0424-22-4604(張信恵)
Fax:03-5974-1795(同郷会事務所)
Eメ―ル:tehaino@nifty.com
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2月14日「台湾総統選後祝賀会」申込書
ご氏名: Tel: Fax:
一月十六日、台湾の総統選挙で民進党の蔡英文主席が圧勝。従来中国が望むとおりに「一つの中国」(一中)原則を掲げてきた国民党と異なり、台湾は中国とは別の主権国家だとの現状を強調するのが民進党だ。そこでこれを「台独分子」だと敵視してきた中国にとり、民進党政権の出現はもちろん由々しき事態である。

台湾で総統選で蔡英文が圧勝。中国は新政権と日本との関係強化を警戒する
そして中国が懸念するもう一つが、日米の動向である。
日米同盟は台湾国防の後ろ盾である。蔡英文はこれまで以上に両国の関係強化を図るが、それにより中国の日台分断工作を含むアジアでの覇権確立の国家戦略に、大きな障害が生じることは必定である。
したがって中国は今、相当苛立っているようだ。香港紙明報(一月二十四日)の社説を読んでもそう思える。
■総統選後に中国が見せた日本への行動
社説がまず伝えるのは、蔡英文当選直後の次のような日中の動きだ。
―――中国外交部の孔鉉佑部長助理(外務次官補)は日本の木寺昌人駐中国大使と会見し、「中国は一中原則を堅持し、台独に反対する」との立場を説明した。

日曜にも関わらず木寺昌人大使(左)は孔鉉佑外務次官補(右)に呼び出された
―――日本では、岸田文雄外相が蔡英文の当選に祝意を表明し、「基本的な価値観を共有するパートナー」だと語った。安倍晋三首相も日台協力に期待すると述べ、菅偉秀官房長官も祝意を見せ、ともに台湾が日本の重要な友であると強調している。
そしてその上で社説は、「なぜ孔鉉佑は日曜であるにも関わらず、日本の大使と会ったかは想像に難くない。北京は日本に明確な態度と言辞で、日本の日台関係における方向性に警告を発したのだ」「日本政府が今後、これ以上蔡英文と接触しないよう力を込めて制止したかった」と論じるのだ。
■なぜそこまで日台の緊密化を恐れるか
ではなぜ中国は、そこまで日台関係の緊密化を警戒するのか。引き続き社説の分析を見よう。
―――蔡英文の当選に、西太平洋で大きな影響力を持つ二つの国家、米国と日本は歓迎の意を示した。そして米国はバーンズ前国務副長官を蔡英文の下に派遣したのだが、中国はいまだ、米国の駐中国大使との単独会見を行っておらず、日本だけを「特別扱い」している。
―――その原因は二つあろう。一つは中国が台湾にはいまだ「恋日」感情が持たれていると見ていること。二つは日本が台独分子の集結地であると認識していることだ。
―――しかも安倍晋三は北京との関係がよくない。中日関係は回答に向かいつつあるものの、なお睨み合いは続いている。蔡英文は選挙前に訪日し、安倍とか会見したようだと報じられている。北京は日台関係がこのようにあるのを見て、必然的に強い関心を寄せ、日本大使と会見したのだろう。
―――北京は地域の潜在的な敵である米国と日本の内、暫時日本だけに関心を強めるのは、日本右翼勢力と蔡英文との関係を懸念し、日本が台湾を使って中国を牽制して戦略的に優位を占めようとすることを警戒しているためだ。
以上を読む限り、中国の日台関係強化への警戒は、どうも「西太平洋」戦略の上でのものらしい。もっともそう言われても、平和ボケの日本人の多くはピンと来ないかもしれない。
■中国の拡張主義の前に立ちはだかる日台
そこでもう少し社説を見よう。こんなことも書いている。
―――実際に日米は程度の差こそあれ、国民党政権時期においても台湾との関係を強化しようとして来た。なぜなら台湾の位置は日米にとり極めて重要だからである。それは東海(東支那海)の主要航路を扼すのみならず、さらには中国進出の要衝であり、冷戦時代には不沈空母とも呼ばれて来た。
言うまでもなく中国は、第一列島線までを勢力下におき、さらには第二列島線に至る西太平洋をも勢力下に組み込み、アジアでの覇権を確立するという国家戦略を遂行中だ。そしてその戦略を完遂するには、戦略的要衝にして、従来は米国陣営の「不沈空母」として機能して来た台湾を自国の側に引き込み、さらには自国領土に編入することが不可欠になっているのである。
ところがその営みを、日本が対台湾関係の強化という形で妨害しようと企んでいるというわけだ。
「日本右翼勢力」(日本の安倍政権など中国に迎合しない勢力)が「台湾を使って中国を牽制」しようとしているとは、そういうことである。
■日本に日台連携との対中戦略はあるか
実際に日本側には、そのような戦略は持たれているのだろうか。
岸田外相が蔡英文への祝意表明で見せた「台湾は日本にとり基本的な価値観を共有するパートナー」発言を見ても、正確には「基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来のある重要なパートナー」と述べたのみ。安倍首相、菅官房長官もそれ以上のことを述べたわけではない。

安倍政権はどこまで対台関係を強化することができるか
もっとも台湾について「基本的な価値観を共有する」と強調したのは、価値観を共有しない中国の拡張政策には共同で対処するとの表明とは受け取れる。
しかし日本は果たしてどこまで中国側の制止を振り切り、日台関係を戦略的に強化して行くことができるかが今後の問題だ。
ところで社説によれば中国は、特に日台間の精神的な絆の強さにも懸念しているようだ。
たとえば台湾の「恋日」感情を警戒している。要するに台湾人の日本に対する強い親近感、信頼感のことをいうのだろう。
■日台両国民の友情が武器になる
また日本が「台独分子の集結地」であることも気にしているようだが、ところでそれは何のことなのか。
もともと日本は中華民国体制の打倒を目指す台湾独立運動の策現地であり、そうした台湾人の反中国運動に最も同情的なのが、日本であり日本人だということかもしれない。
少なくとも中国には、昔からそうした警戒感を示して来たし、台湾が中国から圧迫されればされるほど、台湾を応援したくなるという傾向が実際に日本人には持たれており、しかも近年それはますます顕著になりつつある。
このように、日本でも「親台」感情は広がりつつある。そして「親台」とは、ややもすれば「愛台」「恋台」の域にも達するものだ。
そしてそれが、台湾の「恋日」感情が結合し、将来の日台戦略関係の支柱の一つを形成するとなれば、中国には甚だやっかいな一大脅威と映ることだろう。
このように日台両国民の友情は中国の制覇の動きからアジア太平洋を守る武器になり得るのである。そうした認識を、我々はしっかりと持って行くべきではないだろうか。
ちなみに日台関係が深化の方向へ向かう際、日本国内ではそれを喜ばない言論が目立つようになろう。一中原則に立った上での言論であるとか、報道であるとかだ。もはや言うまでもなく、そうしたフィクションを振りかざすものは、中国シンパであると疑い、警戒すべき。
以上のようなことをいろいろと、明報の社説を読みながらあらためて考えた次第だ。
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世界が注目する中で行われた総統選挙の結果、台湾では再び政権交代が行われることとなりました。
「自己的国家自己救」(自分の国は自分が救う)。これは台湾で最近よく見かける若者達のTシャツにある言葉ですが、こうした力強い思いが台湾を変え始めているのでしょう。「太陽花(ひまわり)学生運動」「柯P旋風、白色の力」もそうでしたが、若い世代が政治に関心を持ち、自分の意見を述べ、更には政治活動にも身を投じ、社会を変革し、そしてついに今回のように行政及び国会を一変させる力の一つともなったのです。
そこで本会は、この新生台湾の門出を祝うとともに、今後の日台関係の更なる緊密化にも期待しつつ、下記の要領で台湾総統選勝利・大祝賀会を開催することとなりました。
当日は台湾からは民進党を代表して呉?燮秘書長(幹事長)も参加されます。台湾を愛する皆様と共に祝杯を上げたく存じますので、奮ってご出席の程お願い申し上げます。
日本蔡英文後援会
2016年2月吉日
―記―
【日時】平成28年(2016年)2月14日(日)
受付開始 17時30分/祝賀会 18時~21時
【会場】京王プラザホテル 南館5F エミネンスホ―ル
(東京都新宿区西新宿2-2-1 ?03-3344-0111 )
交通:JR新宿駅西口より徒歩約5分/都営大江戸線都庁前駅B1出口すぐ
【参加費】10,000円
【主催】日本蔡英文後援会
【共催】在日台湾同郷會、在日台湾婦女会、日本台湾医師連合、日本台医人協会、日本台湾語言文化協会、
台湾独立建国聯盟日本本部、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム、怡友会、台湾の声、東京池袋教会、荻窪教会
【申込み】2月11日までお願いします。
電話0424-22-4604(張信恵)
Fax:03-5974-1795(同郷会事務所)
Eメ―ル:tehaino@nifty.com
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