台湾民主運動は日本の媚中メディアを変えるか―NHK「クローズアップ現代」の総統選挙報道に思う
2016/01/15/Fri
台湾紙自由時報は一月十五日、「NHKが“台湾の若者は国民党に怒り”と報道」と題する記事を配信。
翻訳すると、そこにはこうある。
―――NHKが十四日夜に放送した高視聴率番組、「クローズアップ現代」が台湾総統選挙を特集。民進党の総統候補、蔡英文は番組の取材に対し、「台湾の民主と自由は変えられない。なぜならそれは台湾人民の最大の資産だから」と述べた。東京大学の松田康博教授も、台湾の若者は八年来、国民党に失望と怒りを覚えており、それが民進党が支持される具体的な理由だと指摘する。
―――ひまわり運動に参加した学生は取材に対し、「私は台湾人であり中国人ではない。馬英九は極度に親中だが、台湾の若者は逆に台湾人が文化、思考等の各面で中国人と異なると意識している」と強調した。

NHK「クロ現」が台湾総統選挙を報道、と自由時報が詳報
実は私もこの番組を見ている。放送開始と同時に知り合いの在日台湾人から電話があり、「今、NHKが台湾の選挙に関する報道をやっている」と教えられたからだ。おそらくその人は、NHKという日本の代表的テレビ局が故国を報道し始めたのを知り、嬉しかったのだろう(自由時報も同じ思いか)。
その時私は外出中だったが、「この時間の番組ならきっと『クロ現』。あの親中番組ならおかしな印象操作をするのでは」と直感。帰宅後に深夜の再放送を見た。
この日のタイトルは「台湾と中国 揺れる距離間」。内容は自由時報が報じたとおり。台湾で国民党政権の対中宥和政策に反撥が強まり、自分は中国人とは異なる台湾人だとの台湾人意識が大きなうねりになっており、民進党への政権交代の可能性が高まっているという主旨だ。
しかし私が懸念したような、中国の立場に立っての悪意の印象操作は特に見られなかった。
たとえばNHKは「中国と台湾」と呼称しなければならない時、「中国本土と台湾」と呼ぶ方針を持っている(私はNHKからそう聞かされている)。要するに中国のし「一つの中国」の宣伝に従い、中国が認めたがらない「一つの台湾・一つの中国」の現状を隠蔽しているわけだが、今回は「選挙で焦点になっているのは大国中国との距離の取り方」などとナレーションを行い、中国を台湾とは異なる「大国」として扱っていた。
また台湾人に対して中国人を「中国人」とも。要するに台湾人を中国人に含めない表現で、中国には認められないものである。
内容としても全体的に中国が嫌われ者という感じ。自国の印象を損ねる報道を行わないよう日本のマスコミ各社に圧力をかけて来た中国から見れば、実に好ましからざるものだった。
この日の番組は、いつもの国谷裕子キャスターは休みで、男性アナウンサーが代行していた。あまり中国べったりの国谷氏が関与しなかったためだろうか。
いずれにせよ、中国の脅威がアジア太平洋を覆いつつある中、台湾においてはそれから民主と自由を守ろうと若い世代が中心となって立ち上がり、声を上げるという情勢を前にしては、さすがに変な報道できないのだろう。
他のマスコミの台湾選挙報道にも、最近はそうした好ましい傾向が見て取れる。もっとも各報道を熟読すれば、中国への配慮(あの国の宣伝への迎合)は皆無ではないし、台湾情勢が中国に不都合な方向へ向かうほど、その数は増えて行くことになろう。
だがそれにしても、台湾の若者を中心とする民主主義を守る闘いが、日本のマスコミに良識を取り戻させつつあるのは確かだと思う。
追記:もっとも今回の番組は、国民党が一九四九年に台湾へ移ったことを、中国と台湾の「分断」と表現していた。これは日本の他のメディアも繰り返す、「一つの中国」宣伝に基づく誤りだ。一九四五年の日本敗戦後、台湾は中国(当時は中華民国)の占領は受けたものの、中国に帰属してはいないため、「分断」と呼ぶのは正しくない。
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―――NHKが十四日夜に放送した高視聴率番組、「クローズアップ現代」が台湾総統選挙を特集。民進党の総統候補、蔡英文は番組の取材に対し、「台湾の民主と自由は変えられない。なぜならそれは台湾人民の最大の資産だから」と述べた。東京大学の松田康博教授も、台湾の若者は八年来、国民党に失望と怒りを覚えており、それが民進党が支持される具体的な理由だと指摘する。
―――ひまわり運動に参加した学生は取材に対し、「私は台湾人であり中国人ではない。馬英九は極度に親中だが、台湾の若者は逆に台湾人が文化、思考等の各面で中国人と異なると意識している」と強調した。

NHK「クロ現」が台湾総統選挙を報道、と自由時報が詳報
実は私もこの番組を見ている。放送開始と同時に知り合いの在日台湾人から電話があり、「今、NHKが台湾の選挙に関する報道をやっている」と教えられたからだ。おそらくその人は、NHKという日本の代表的テレビ局が故国を報道し始めたのを知り、嬉しかったのだろう(自由時報も同じ思いか)。
その時私は外出中だったが、「この時間の番組ならきっと『クロ現』。あの親中番組ならおかしな印象操作をするのでは」と直感。帰宅後に深夜の再放送を見た。
この日のタイトルは「台湾と中国 揺れる距離間」。内容は自由時報が報じたとおり。台湾で国民党政権の対中宥和政策に反撥が強まり、自分は中国人とは異なる台湾人だとの台湾人意識が大きなうねりになっており、民進党への政権交代の可能性が高まっているという主旨だ。
しかし私が懸念したような、中国の立場に立っての悪意の印象操作は特に見られなかった。
たとえばNHKは「中国と台湾」と呼称しなければならない時、「中国本土と台湾」と呼ぶ方針を持っている(私はNHKからそう聞かされている)。要するに中国のし「一つの中国」の宣伝に従い、中国が認めたがらない「一つの台湾・一つの中国」の現状を隠蔽しているわけだが、今回は「選挙で焦点になっているのは大国中国との距離の取り方」などとナレーションを行い、中国を台湾とは異なる「大国」として扱っていた。
また台湾人に対して中国人を「中国人」とも。要するに台湾人を中国人に含めない表現で、中国には認められないものである。
内容としても全体的に中国が嫌われ者という感じ。自国の印象を損ねる報道を行わないよう日本のマスコミ各社に圧力をかけて来た中国から見れば、実に好ましからざるものだった。
この日の番組は、いつもの国谷裕子キャスターは休みで、男性アナウンサーが代行していた。あまり中国べったりの国谷氏が関与しなかったためだろうか。
いずれにせよ、中国の脅威がアジア太平洋を覆いつつある中、台湾においてはそれから民主と自由を守ろうと若い世代が中心となって立ち上がり、声を上げるという情勢を前にしては、さすがに変な報道できないのだろう。
他のマスコミの台湾選挙報道にも、最近はそうした好ましい傾向が見て取れる。もっとも各報道を熟読すれば、中国への配慮(あの国の宣伝への迎合)は皆無ではないし、台湾情勢が中国に不都合な方向へ向かうほど、その数は増えて行くことになろう。
だがそれにしても、台湾の若者を中心とする民主主義を守る闘いが、日本のマスコミに良識を取り戻させつつあるのは確かだと思う。
追記:もっとも今回の番組は、国民党が一九四九年に台湾へ移ったことを、中国と台湾の「分断」と表現していた。これは日本の他のメディアも繰り返す、「一つの中国」宣伝に基づく誤りだ。一九四五年の日本敗戦後、台湾は中国(当時は中華民国)の占領は受けたものの、中国に帰属してはいないため、「分断」と呼ぶのは正しくない。
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