メディアは尖閣報道の改善を!-中国への過度の配慮が疑われる日経のケース
2015/12/04/Fri
日本経済新聞がニュースサイトで十一月二十六日に公開した「東・南シナ海、対立の構図 6つのポイントで解読」は参考になる。「中国の『九段線』と周辺国の対立」「中国のガス田開発」「尖閣問題」「12カイリと島・岩礁」「排他的経済水域(EEZ)」「シーレーン」などの六項目を設け、基礎的な解説を施している。

わかりやすく参考になるビジュアル解説だが、しかし日中間の懸案たる尖閣問題に関して
は記述に問題がある
たとえば、下のようにである。
―――南シナ海の南沙諸島は、日本が第2次世界大戦後に領有権を放棄したが、1970年代に海底油田の発見などで中国やフィリピン、ベトナム、マレーシアなどが自国の領海と主張し始めた。
―――中国は南シナ海の「九段線」の内側に、7カ所の岩礁を埋め立てて人工島をつくり出した。中国は人工島を「領土」とみなして周辺の12カイリ(約22キロメートル)は領海だと唱えるが、日米などは根拠はないとの立場。満潮時に海面に沈む岩礁を埋め立てても、国際法上は領海と主張できないためだ。
これを読めば、「南海諸島は古来中国の領土」だと強調し、南支那海の支配権固めに躍起になる中国の主張や行為が、いかに不当であるかが理解できよう。
ただ、大きな問題もある。
日中両国の懸案である尖閣諸島の問題に関しては決してそうではない。つまり中国の主張の不当性に触れていないのだ。
以下を見てみよう。
―――5つの島と3つの岩礁からなる沖縄県・尖閣諸島を巡る日中間の対立。2012年9月に日本政府が魚釣島、北小島、南小島の3島を地権者から買い取って国有化。残る2島は大正島がすでに国有で、民間所有の久場島は防衛省が借り上げている。中国と台湾は自らの領有権を主張するが、日本政府は「我が国固有の領土」との立場だ。
―――2012年4月に東京都の石原慎太郎知事(当時)が3島の購入計画を表明したのを受け、野田佳彦首相(同)が国有化を決断した。領有権を主張していた中国は猛反発し、その後の日中関係は冷え込んだ。日本政府は「領土問題は存在しない」としており隔たりは大きい。
以上のように、「中国と台湾は自らの領有権を主張」「日本政府は『我が国固有の領土』との立場。領土問題は存在しないとしている」とを並べ、両国の「隔たりは大きい」と指摘するだけなのだ。
中国の歴史捏造の基づく不当な領有の主張が生んだ日中間の対立、というのが尖閣問題の本質。なぜそれを明確にしないのか。
ここで思い出されるのが、学校教科書の問題である。尖閣諸島や竹島に関し、中国や韓国が領有権を主張していることには言及するも、それらが「日本固有の領土である」ことをあえて明記しないものがたくさんある。
執筆者、編集者は明らかに中国や韓国の主張に配慮したのだろう。これら周辺国に対し「相手の嫌がることは言わない」のが、自国の過去の歴史について「謝罪・反省」する知識人の証だとでも言いたいのだろうが、実際にはあれらからの批判を恐れるだけの卑怯な事勿れ主義に過ぎないだろう。
これにより子供達は正しい情報を受けにくくなるばかりか、逆にそうした卑怯者根性に感染されかねない。
もっとも、新たな教科書検定基準が設けられ、まず来年度に中学校でそうした弊害は取り除かれるわけだが、しかし日経はいまだこうした体たらくだとは…。
もしかしたら、執筆者の単なる手落ちかも知れない(素人でないのだから、そうは思えないけれども)。しかし中国の主張(政治プロパガンダ)の誤りを指摘しないのであればただそれだけで、日本側の正当な主張の信憑性を損ねることに繋がり、充分な中国のプロパガンダへの加担となってしまうのである。
そのような結果を呼ぶくらいなら、今後日経は尖閣問題には触れない方がいい。
逆に日経が今後、中国の主張は誤りだとはっきり指摘するようになれば、それだけで中国のプロパガンダの影響力を大きく削ぐことになるだろう。
しかし中国はそうした自体を恐れ、メディア各社の報道をつぶさに監視しているところだ。もし日経がそのようなことをすれば、日本駐在の中国大使館は直ちに抗議(恫喝)の圧力を加えるだろう。
実はこれまでも、各紙による中国の主張に関する解説を読んで来たが、あれを「誤りだ」と断言しないのは、何も日経だけではない。
中国側は御用メディアを動員し、「釣魚島及びその付属島嶼は古来中国固有の領土。充分な歴史と法理の根拠あり。日本がいかなる手段で誤った立場を宣伝しても、この基本的事実は変わらない」と繰り返し宣伝してきたが、これと同じようにはっきりと、尖閣問題の真実を強調することをメディア各社ができないのは、やはり抗議を恐れているからに違いない。
そもそも、ただたんに宣伝を行うだけが中国の宣伝工作ではない。「この宣伝を受け入れろ。反論するな」と相手に恫喝するのもまた、その重要な一環なのである。
日本のメディアは尖閣報道の改善を。そしてもしそれができないのであれば沈黙を。国民は中国のプロパガンダに加担するメディアの情報操作に惑わされたくはない。
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わかりやすく参考になるビジュアル解説だが、しかし日中間の懸案たる尖閣問題に関して
は記述に問題がある
たとえば、下のようにである。
―――南シナ海の南沙諸島は、日本が第2次世界大戦後に領有権を放棄したが、1970年代に海底油田の発見などで中国やフィリピン、ベトナム、マレーシアなどが自国の領海と主張し始めた。
―――中国は南シナ海の「九段線」の内側に、7カ所の岩礁を埋め立てて人工島をつくり出した。中国は人工島を「領土」とみなして周辺の12カイリ(約22キロメートル)は領海だと唱えるが、日米などは根拠はないとの立場。満潮時に海面に沈む岩礁を埋め立てても、国際法上は領海と主張できないためだ。
これを読めば、「南海諸島は古来中国の領土」だと強調し、南支那海の支配権固めに躍起になる中国の主張や行為が、いかに不当であるかが理解できよう。
ただ、大きな問題もある。
日中両国の懸案である尖閣諸島の問題に関しては決してそうではない。つまり中国の主張の不当性に触れていないのだ。
以下を見てみよう。
―――5つの島と3つの岩礁からなる沖縄県・尖閣諸島を巡る日中間の対立。2012年9月に日本政府が魚釣島、北小島、南小島の3島を地権者から買い取って国有化。残る2島は大正島がすでに国有で、民間所有の久場島は防衛省が借り上げている。中国と台湾は自らの領有権を主張するが、日本政府は「我が国固有の領土」との立場だ。
―――2012年4月に東京都の石原慎太郎知事(当時)が3島の購入計画を表明したのを受け、野田佳彦首相(同)が国有化を決断した。領有権を主張していた中国は猛反発し、その後の日中関係は冷え込んだ。日本政府は「領土問題は存在しない」としており隔たりは大きい。
以上のように、「中国と台湾は自らの領有権を主張」「日本政府は『我が国固有の領土』との立場。領土問題は存在しないとしている」とを並べ、両国の「隔たりは大きい」と指摘するだけなのだ。
中国の歴史捏造の基づく不当な領有の主張が生んだ日中間の対立、というのが尖閣問題の本質。なぜそれを明確にしないのか。
ここで思い出されるのが、学校教科書の問題である。尖閣諸島や竹島に関し、中国や韓国が領有権を主張していることには言及するも、それらが「日本固有の領土である」ことをあえて明記しないものがたくさんある。
執筆者、編集者は明らかに中国や韓国の主張に配慮したのだろう。これら周辺国に対し「相手の嫌がることは言わない」のが、自国の過去の歴史について「謝罪・反省」する知識人の証だとでも言いたいのだろうが、実際にはあれらからの批判を恐れるだけの卑怯な事勿れ主義に過ぎないだろう。
これにより子供達は正しい情報を受けにくくなるばかりか、逆にそうした卑怯者根性に感染されかねない。
もっとも、新たな教科書検定基準が設けられ、まず来年度に中学校でそうした弊害は取り除かれるわけだが、しかし日経はいまだこうした体たらくだとは…。
もしかしたら、執筆者の単なる手落ちかも知れない(素人でないのだから、そうは思えないけれども)。しかし中国の主張(政治プロパガンダ)の誤りを指摘しないのであればただそれだけで、日本側の正当な主張の信憑性を損ねることに繋がり、充分な中国のプロパガンダへの加担となってしまうのである。
そのような結果を呼ぶくらいなら、今後日経は尖閣問題には触れない方がいい。
逆に日経が今後、中国の主張は誤りだとはっきり指摘するようになれば、それだけで中国のプロパガンダの影響力を大きく削ぐことになるだろう。
しかし中国はそうした自体を恐れ、メディア各社の報道をつぶさに監視しているところだ。もし日経がそのようなことをすれば、日本駐在の中国大使館は直ちに抗議(恫喝)の圧力を加えるだろう。
実はこれまでも、各紙による中国の主張に関する解説を読んで来たが、あれを「誤りだ」と断言しないのは、何も日経だけではない。
中国側は御用メディアを動員し、「釣魚島及びその付属島嶼は古来中国固有の領土。充分な歴史と法理の根拠あり。日本がいかなる手段で誤った立場を宣伝しても、この基本的事実は変わらない」と繰り返し宣伝してきたが、これと同じようにはっきりと、尖閣問題の真実を強調することをメディア各社ができないのは、やはり抗議を恐れているからに違いない。
そもそも、ただたんに宣伝を行うだけが中国の宣伝工作ではない。「この宣伝を受け入れろ。反論するな」と相手に恫喝するのもまた、その重要な一環なのである。
日本のメディアは尖閣報道の改善を。そしてもしそれができないのであれば沈黙を。国民は中国のプロパガンダに加担するメディアの情報操作に惑わされたくはない。
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