安倍首相と自衛隊を警戒する習近平側近の軍人
2015/10/22/Thu
■尖閣問題に絡む中国で話題の論文
中国の劉亜洲・空軍上将は同じ太子党の仲間として習近平主席の厚い信頼を受ける軍人だが、この人物がこのほど発表した論文が中国で話題だ。

習近平の側近とされる劉亜洲上将(後列中央)
共同通信も十月二十一日、下のようにそれに触れている。
「劉亜州氏は21日までに、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題に関する論文を公表し、日本と中国が軍事衝突すれば『中国は勝つ以外に選択肢はなく、退路はない』と強調した。敗北すれば体制を揺るがす事態に発展しかねないとの危機感を示唆したものとみられ『極力戦争を回避』すべきだと訴えた」と。
「論文は共産党や国防省のウェブサイトにも掲載されており、習近平指導部の意向を反映している可能性が高い」とのこと。実に興味深い。
さてその論文のタイトルは「釣魚島問題から見る中日関係」だ。
最初は中共中央対外連絡部が監修する国際情報誌「当代世界」十月号に掲載され、目下中共御用メディアなどによっても拡散されているところである。
劉亜洲はタカ派で知られるが、今回は日本との一戦に備えよと訴えたのではなく、上記の通り「極力戦争を回避」すべきと解いたわけだ。文中では「釣魚島問題を中日関係の重点とするのは戦略的な誤り」「釣魚島や中日関係悪化などだけを見るのではなく、それらを国際情勢という大きな視野の中に置いて考えるべき」とも強調している。
■日中「覇権争い」の激化を予測

劉亜洲の論文を掲載した「当代世界」。表紙トップにそのタイトルが見える
例えば、こんなことを書いている。
「中日対立は歴史上の怨みだけが原因ではない。現在世界で見られる闘争は国家、民族、政権の生存権を巡るもので、我々と米国、日本との闘争もそれだ。このように見れば、中日間では遅かれ早かれ、対抗、危機が発生するだろう。釣魚島問題があってもなくてもだ」
「二千年來、中日は基本的に強弱型の関係を続け、古代から近代までは中国が強で日本が弱。日本が中国に学んだが、明治維新後は日本が強で中国が弱。日本は一転して中国を侵略した。そして今日、中国の台頭が加速されるのに伴い、中日は初めて強強型の関係になっている。だが両国はまだこの新たな関係に馴染んでいない。日本社会では右翼が中国脅威論を誇張し、波乱を呼んでいる」
「日本の中国への態度、行動は国益に基づくものである同時にイデオロギー上の必然と言える。釣魚島問題での反抗は、東北亜、太平洋での主導権争奪という戦略に基づいている」
まるで日本側が一方的に中国を挑発しているかのような。いかにも中国人的な言い回しだが、要するに中国の膨張を続ける以上、それに対して日本が生存権を放棄するはずもなく、日中の覇権争いは激化へ向かうのは必然だと予測しているのだ。
■安倍首相の覇権主義的「謀略」を疑う
劉亜洲はさらに日本の悪意を疑う。
「中国国内の思潮を改変させようとの狙いもある。東京大学の教授は『中国の台頭は防げないが、暫時抑え込むには中国を分裂させることだ』と指摘していた」
「安倍政権は発足後、釣魚島問題で中国に強硬な対応を余儀なくさせているが、これは安倍の仕掛けた罠に引っ掛かっている」
「戦争は安倍政権の第一目標ではないが、安倍にとって最も好ましいのは、戦雲を垂れこめさせて利益を得ること。少なくとも軍事産業を盛んにして経済を刺激し、ASEANインドと連帯して中国に対抗し、各国の日本の侵略の記憶を薄めることを望んでいる。そして実際に戦争になっても損はしない。平和憲法の失効に直結し、安倍など日本民族主義者の望み通りになる」
このように中国人の性悪説が全開だ。
そして更に次のように。
「もし釣魚島を巡り衝突が起これば、海空軍に頼ることになるが、西側の報道では日本の海軍力は世界第二位。自衛隊と名乗ってはいるが、実際には空母を保有していないだけの標準的な近代海軍。日本海軍は『有事の際は四時間で東海艦隊を全滅させる』と豪語しているが、それを戯言とすることはできない。一九八一年以来、日米は中国海軍に向けた秘密軍事計画を策定し、何度も演習を行っている。日本空軍の戦闘機稼働率は九〇%で米軍の八〇%をも上回る」
この人物は、「日本軍」の実力をここまで高く評価し、警戒しているのである。
■体制崩壊―日本との戦争を恐れる理由

「日本は四時間で東海艦隊を殲滅するというのは戯言ではない」との劉亜洲の言
葉が注目されている
そしてその上で、「中国は勝つ以外に選択肢はなく、退路はない」と言うのである。
その一方で日本については「勝てば利益は極大、負けても損失は大きくない」。
要するに「日本は敗れるのを恐れないが中国は負けることはできない」だと書いている。
そして「我々は戦争を辞さないとの決意を以って、あらゆる手段を尽くして戦争を避けなければならない」と訴える訳だが、こうした主張について共同は上記の通り、「敗北すれば体制を揺るがす事態に発展しかねないとの危機感」を示唆するものだと分析するのである。
劉亜洲が「体制を揺るがす事態」を警戒しているのは本当だ。
例えば彼は九月に出版した著書『精神』の中で、台湾海峡戦争や東支那海での衝突で日中戦争が誘発されること、それから新彊ウイグル自治区で動乱が発生することを、中国を瓦解させかねない三大軍事危機と呼んでいる。
そのうち、特にウイグル民族の「分裂運動」が、戦争を惹起する可能性が高いとか。そして中国がこうした戦争で敗れれば、中共政権が崩壊するだけでなく、新彊、チベット、南モンゴルも中国から分離するだろうと予測する。
■中国人の日本人観はなかなか正しい
劉亜洲はまた、「解放軍報」で五月に発表した一文で、軍内の腐敗状況を次のように批判している。
「甲午戦争(日清戦争)は軍事で敗れただけでない。政事、そしてそれ以上に人事でも敗れている。重要なのは人事なのだ」
「人事の腐敗の禍はすでに国家、人民に及んでいる。軍や政治を破壊する最大の禍根だ」
「官職を売買している者もいる」
この文章の掲載は習近平が推進する反腐敗運動の一環とされるが、官職売買が横行するほど腐敗堕落した軍隊に戦争はできるのかと懸念は、中国国内で広く抱かれている。
ところで『精神』の一書は「中国人の信仰は破壊された。精神の危機は中国も最も根本的な危機だ。今日、中国精神の建設は物質建設の百倍重要」と指摘。
そして「信仰がある者とない者はどう違うか。日本軍の中国侵略の記録映像で、日本人の熱情漲る表情を見てみよう。中国人は映画の中で日本軍人を演じることはできない。なぜならあのような精、気、神を演じ出すことはできないからだ」とも。
劉亜洲が自衛隊を警戒する背景には、こうした日本人観もあるのではないか。また安倍首相を好戦的な野望の塊のように疑うのも。
この人物は、日本人の民族的な底力というものをはっきりと洞察しているようだ。もっともその洞察が正確かどうかは意見が分かれ得ようが、私は劉亜洲が見せたような中国人の日本観、日本人観は、結構信頼する方だ。
争いに満ちた社会に生きる民族の敵に対する観察力はなかなかのものだと思っている。
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■頑張れ日本!全国行動委員会・埼玉県本部 設立4周年記念講演会
鈴木 邦子氏(元日本文化チャンネル桜キャスター)
「最近の国際情勢と日本外交~ポスト新安保体制~」

■日時:平成27年11月1日(日)
■会場:さいたま共済会館5F
さいたま市浦和区岸町7-5-14
JR「浦和」駅西口下車 徒歩10分
TEL 048-822-3330
http://www.saitama-ctv-kyosai.net/kyosai_kaikan/
受付:午後2時00分
開演:午後2時30分
懇親会 午後4時半~
■会費:1,000円
懇親会:2,000円
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☆講師プロフィール
(すずき・くにこ)慶應大学法学部政治学科を首席卒業。在学中は、「東南アジア青年の船」に参加。大学院は、欧州にて、トゥルーズ第一大学政治学前期博士号(DEA)及びヨーロピアン大学経営学修士号(MBA)の二つの学位を修める。後期博士課程は、慶應大学の法学研究科で単位取得退学。外務省や国会議員事務所での職務経験を有す(1989-1997)。その後、岡崎研究所や東京大学先端科学技術研究
センター(RCAST)等で研究員、東京大学特任助教授、㈱日本文化チャンネル桜キャスターなどをつとめる。著書に『歴代首相物語』(共著、御厨貴編、新書館、2003年)、『日本の外交政策決定要因』(共著、橋本光平編、PHP研究所、1999年)などがある。
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お問い合わせ 090-8854-4305(船富)
中国の劉亜洲・空軍上将は同じ太子党の仲間として習近平主席の厚い信頼を受ける軍人だが、この人物がこのほど発表した論文が中国で話題だ。

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共同通信も十月二十一日、下のようにそれに触れている。
「劉亜州氏は21日までに、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題に関する論文を公表し、日本と中国が軍事衝突すれば『中国は勝つ以外に選択肢はなく、退路はない』と強調した。敗北すれば体制を揺るがす事態に発展しかねないとの危機感を示唆したものとみられ『極力戦争を回避』すべきだと訴えた」と。
「論文は共産党や国防省のウェブサイトにも掲載されており、習近平指導部の意向を反映している可能性が高い」とのこと。実に興味深い。
さてその論文のタイトルは「釣魚島問題から見る中日関係」だ。
最初は中共中央対外連絡部が監修する国際情報誌「当代世界」十月号に掲載され、目下中共御用メディアなどによっても拡散されているところである。
劉亜洲はタカ派で知られるが、今回は日本との一戦に備えよと訴えたのではなく、上記の通り「極力戦争を回避」すべきと解いたわけだ。文中では「釣魚島問題を中日関係の重点とするのは戦略的な誤り」「釣魚島や中日関係悪化などだけを見るのではなく、それらを国際情勢という大きな視野の中に置いて考えるべき」とも強調している。
■日中「覇権争い」の激化を予測

劉亜洲の論文を掲載した「当代世界」。表紙トップにそのタイトルが見える
例えば、こんなことを書いている。
「中日対立は歴史上の怨みだけが原因ではない。現在世界で見られる闘争は国家、民族、政権の生存権を巡るもので、我々と米国、日本との闘争もそれだ。このように見れば、中日間では遅かれ早かれ、対抗、危機が発生するだろう。釣魚島問題があってもなくてもだ」
「二千年來、中日は基本的に強弱型の関係を続け、古代から近代までは中国が強で日本が弱。日本が中国に学んだが、明治維新後は日本が強で中国が弱。日本は一転して中国を侵略した。そして今日、中国の台頭が加速されるのに伴い、中日は初めて強強型の関係になっている。だが両国はまだこの新たな関係に馴染んでいない。日本社会では右翼が中国脅威論を誇張し、波乱を呼んでいる」
「日本の中国への態度、行動は国益に基づくものである同時にイデオロギー上の必然と言える。釣魚島問題での反抗は、東北亜、太平洋での主導権争奪という戦略に基づいている」
まるで日本側が一方的に中国を挑発しているかのような。いかにも中国人的な言い回しだが、要するに中国の膨張を続ける以上、それに対して日本が生存権を放棄するはずもなく、日中の覇権争いは激化へ向かうのは必然だと予測しているのだ。
■安倍首相の覇権主義的「謀略」を疑う
劉亜洲はさらに日本の悪意を疑う。
「中国国内の思潮を改変させようとの狙いもある。東京大学の教授は『中国の台頭は防げないが、暫時抑え込むには中国を分裂させることだ』と指摘していた」
「安倍政権は発足後、釣魚島問題で中国に強硬な対応を余儀なくさせているが、これは安倍の仕掛けた罠に引っ掛かっている」
「戦争は安倍政権の第一目標ではないが、安倍にとって最も好ましいのは、戦雲を垂れこめさせて利益を得ること。少なくとも軍事産業を盛んにして経済を刺激し、ASEANインドと連帯して中国に対抗し、各国の日本の侵略の記憶を薄めることを望んでいる。そして実際に戦争になっても損はしない。平和憲法の失効に直結し、安倍など日本民族主義者の望み通りになる」
このように中国人の性悪説が全開だ。
そして更に次のように。
「もし釣魚島を巡り衝突が起これば、海空軍に頼ることになるが、西側の報道では日本の海軍力は世界第二位。自衛隊と名乗ってはいるが、実際には空母を保有していないだけの標準的な近代海軍。日本海軍は『有事の際は四時間で東海艦隊を全滅させる』と豪語しているが、それを戯言とすることはできない。一九八一年以来、日米は中国海軍に向けた秘密軍事計画を策定し、何度も演習を行っている。日本空軍の戦闘機稼働率は九〇%で米軍の八〇%をも上回る」
この人物は、「日本軍」の実力をここまで高く評価し、警戒しているのである。
■体制崩壊―日本との戦争を恐れる理由

「日本は四時間で東海艦隊を殲滅するというのは戯言ではない」との劉亜洲の言
葉が注目されている
そしてその上で、「中国は勝つ以外に選択肢はなく、退路はない」と言うのである。
その一方で日本については「勝てば利益は極大、負けても損失は大きくない」。
要するに「日本は敗れるのを恐れないが中国は負けることはできない」だと書いている。
そして「我々は戦争を辞さないとの決意を以って、あらゆる手段を尽くして戦争を避けなければならない」と訴える訳だが、こうした主張について共同は上記の通り、「敗北すれば体制を揺るがす事態に発展しかねないとの危機感」を示唆するものだと分析するのである。
劉亜洲が「体制を揺るがす事態」を警戒しているのは本当だ。
例えば彼は九月に出版した著書『精神』の中で、台湾海峡戦争や東支那海での衝突で日中戦争が誘発されること、それから新彊ウイグル自治区で動乱が発生することを、中国を瓦解させかねない三大軍事危機と呼んでいる。
そのうち、特にウイグル民族の「分裂運動」が、戦争を惹起する可能性が高いとか。そして中国がこうした戦争で敗れれば、中共政権が崩壊するだけでなく、新彊、チベット、南モンゴルも中国から分離するだろうと予測する。
■中国人の日本人観はなかなか正しい
劉亜洲はまた、「解放軍報」で五月に発表した一文で、軍内の腐敗状況を次のように批判している。
「甲午戦争(日清戦争)は軍事で敗れただけでない。政事、そしてそれ以上に人事でも敗れている。重要なのは人事なのだ」
「人事の腐敗の禍はすでに国家、人民に及んでいる。軍や政治を破壊する最大の禍根だ」
「官職を売買している者もいる」
この文章の掲載は習近平が推進する反腐敗運動の一環とされるが、官職売買が横行するほど腐敗堕落した軍隊に戦争はできるのかと懸念は、中国国内で広く抱かれている。
ところで『精神』の一書は「中国人の信仰は破壊された。精神の危機は中国も最も根本的な危機だ。今日、中国精神の建設は物質建設の百倍重要」と指摘。
そして「信仰がある者とない者はどう違うか。日本軍の中国侵略の記録映像で、日本人の熱情漲る表情を見てみよう。中国人は映画の中で日本軍人を演じることはできない。なぜならあのような精、気、神を演じ出すことはできないからだ」とも。
劉亜洲が自衛隊を警戒する背景には、こうした日本人観もあるのではないか。また安倍首相を好戦的な野望の塊のように疑うのも。
この人物は、日本人の民族的な底力というものをはっきりと洞察しているようだ。もっともその洞察が正確かどうかは意見が分かれ得ようが、私は劉亜洲が見せたような中国人の日本観、日本人観は、結構信頼する方だ。
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■会場:さいたま共済会館5F
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JR「浦和」駅西口下車 徒歩10分
TEL 048-822-3330
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受付:午後2時00分
開演:午後2時30分
懇親会 午後4時半~
■会費:1,000円
懇親会:2,000円
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☆講師プロフィール
(すずき・くにこ)慶應大学法学部政治学科を首席卒業。在学中は、「東南アジア青年の船」に参加。大学院は、欧州にて、トゥルーズ第一大学政治学前期博士号(DEA)及びヨーロピアン大学経営学修士号(MBA)の二つの学位を修める。後期博士課程は、慶應大学の法学研究科で単位取得退学。外務省や国会議員事務所での職務経験を有す(1989-1997)。その後、岡崎研究所や東京大学先端科学技術研究
センター(RCAST)等で研究員、東京大学特任助教授、㈱日本文化チャンネル桜キャスターなどをつとめる。著書に『歴代首相物語』(共著、御厨貴編、新書館、2003年)、『日本の外交政策決定要因』(共著、橋本光平編、PHP研究所、1999年)などがある。
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