朝日掲載のアジア地図に見る日本メディアの愚劣―中国に警鐘鳴らしながらも加担
2015/10/21/Wed
■朝日も「中国の脅威」を盛んに取り上げるが
朝日新聞が十月二十日に配信した記事「中国軍、空母2隻を建造中 米に対抗、南シナ海で運用か」によれば、「中国軍が、大連と上海の造船施設で2隻の国産空母の建造を並行して進めていることが軍関係者らの証言で確認された」という。
「研究・訓練用に旧ソ連軍の空母を改造した『遼寧』を導入したが、実戦的な空母を常時運用するため複数の国産空母建造を急ピッチで進めている」のだそうだ。
記事は次のようにも解説している。
―――中国は1980年代、当時海軍司令官だった劉華清・党中央軍事委副主席が内部決定した海軍戦略計画で、2020年までには小笠原諸島からグアム、インドネシアに至る「第2列島線」内の制海権確保と空母建造の方針を打ち出した。
―――軍事研究者によると、習近平指導部でも同計画は踏襲されており、若干の遅れはあるものの計画に沿って空母の建造を目指す方針だ。目標の保有数は明らかになっていないが、昨年1月、遼寧省高官(当時)が「将来的に4隻以上保有」との構想を明かしている。
そしてこの二隻の空母については、「領有権をめぐり対立を深める南シナ海での運用も視野に入れている模様だ」とのことである。「海南島三亜の軍港に配備され、南シナ海での任務にあたる可能性が高い。空母には海軍の主力戦闘機『殲15』が配備される見通しだ」と。
さて、その劉華清が策定した海軍戦略計画だが、日本でこれが広く取り沙汰されるようになったのは、そんなに古い話ではない。
中国の海洋進出の脅威がますます顕在化する中、かつて「中国脅威論」の広がりを嫌うあの国の顔色をうかがってきたマスメディアも取り上げざるを得なくなってきたということだろうか。
■「台湾」を巡る中国の宣伝と日本メディアの加担
第一列島線、第二列島線の概念も一般的に知られるようになり、それが国民の国防意識の向上に繋がれば結構なことではあるが、ただそうした中、気になるのが台湾に対するメディアの扱い方なのだ。
第一列島線上で最も中国に接近するこの島は、中国の海洋進出には大きな障害となっているが、もしこれが中国に併呑されたなら、一転してあの国の不沈空母と化し、「『第2列島線』内の制海権確保」、つまり東支那海、南支那海は素より西太平洋までを中国の内海に変えるという中国の夢(周辺国にとっては悪夢)は現実と化しかねない。
そこで中国は、台湾侵略を正当化し、他国の妨害を排しようと、「台湾は中国領土の不可分の一部」と宣伝しているのである。
つまり台湾をどうしようと中国の内政問題であり、他国がそれに干渉するのは許されないのだと。
そしてその虚構宣伝に、でき得るだけ歩調を合わせようと蠢いて来たのが、例の中国の顔色ばかりをうかがいたがる日本のマスメディアなのだ。
■日本メディアがみな行う地図の上での台湾差別
下は今回の朝日の記事にあるアジア地図だ。第一、第二列島線の位置をわかりやすく示し、中国の戦略はいかなるものかを教えるまではいいのだが、台湾の部分を見てみよう。
国民の多くはすでにメディアを通じた中国の宣伝に洗脳されてしまっているから、気付く人は少数かも知れないが、「日本」「中国」「韓国」などの国名表記と比べ、「台湾」の二字だけ書体が異なっているではないか。他がゴシック体であるのに、これだけ明朝体なのだ。

中国の脅威を伝えようと、朝日が掲載したアジア地図。しかし「台湾」だけ書体が異なるのはなぜか。そこには台湾侵略を目指す中
国への配慮が
こうしたことは他紙もみなやっている。「台湾」だけ書体を変えたり、あるいは文字の太さを細くしたりで、他国と差別するのである。
その理由にについてメディアは、「『台湾』は地域名。国名と区別した」と説明する。
たしかに日本政府は台湾を国と認めず、「地域」(どこにも属さない地域)として扱っている。
しかしもう一つ別のアジア地図を見てみよう。
■中国の戦略とメディアの堕落―先ずは国民が覚醒を
こちらは同じく朝日が九月二十八日に配信した記事の中の地図である。

これも朝日掲載の地図。「台湾」と同じ地域名である「北朝
鮮」だが、こちらは国名と同じ扱い。なぜなら中国が「北朝
鮮は中国の一部」と主張していないからだ
台湾と同様、政府に国と認められていない北朝鮮には「北朝鮮」との地域名が付されているが、こちらは文字の書体も太さも、「日本」「中国」「韓国」といった国名とまったく同じではないか。
これを見ても明らかなようにメディアは、台湾を政府の言うところの「地域」ではなく、「中国の地域」と看做し、北朝鮮とも区別しているのである。
つまり日本政府の見解ではなく中国政府宣伝に従っているのだ。そしてその結果、「台湾は中国の領土の一部」との印象、認識がますます国民に刷り込まれて行くのである。
そしていざ中国が台湾を侵攻するとき、米軍は台湾救援のために出動し、自衛隊は米軍の後方地域支援に当たるが、それに対して「台湾は中国の一部。内政干渉をしてはならない」との認識に基づく反対運動が全国的に巻き起こることになりはしないか。
少なくとも建国以来、中国はそれを期待し、「台湾は中国の一部」とする宣伝戦に余念がないのである。
中国の脅威に警鐘を鳴らしながらも、あの国の覇権戦略に有利な嘘の宣伝に手を染め続ける日本のメディア。拡張、侵略の動きに反対しているのか、加担しているのか。こうした愚かさが滲み出たものとして、今回の地図を取り上げる次第だ。
洗脳から目を覚まし、こうした問題があるということに一刻も早く気付き、中国の影響下に陥ったメディアを糾す声を上げようと、広く国民に伝えたく。
【過去の関連記事】
不可解なマスコミの中国地図―中国「検閲」の疑惑 08/07/20
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-444.html
読売新聞は中国を怖がらない―台湾報道で見る画期的姿勢 09/03/15
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-692.html
日本メディアの台湾差別の実態―自己規制で中国に迎合 15/10/03
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2662.html
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■頑張れ日本!全国行動委員会・埼玉県本部 設立4周年記念講演会
鈴木 邦子氏(元日本文化チャンネル桜キャスター)
「最近の国際情勢と日本外交~ポスト新安保体制~」

■日時:平成27年11月1日(日)
■会場:さいたま共済会館5F
さいたま市浦和区岸町7-5-14
JR「浦和」駅西口下車 徒歩10分
TEL 048-822-3330
http://www.saitama-ctv-kyosai.net/kyosai_kaikan/
受付:午後2時00分
開演:午後2時30分
懇親会 午後4時半~
■会費:1,000円
懇親会:2,000円
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☆講師プロフィール
(すずき・くにこ)慶應大学法学部政治学科を首席卒業。在学中は、「東南アジア青年の船」に参加。大学院は、欧州にて、トゥルーズ第一大学政治学前期博士号(DEA)及びヨーロピアン大学経営学修士号(MBA)の二つの学位を修める。後期博士課程は、慶應大学の法学研究科で単位取得退学。外務省や国会議員事務所での職務経験を有す(1989-1997)。その後、岡崎研究所や東京大学先端科学技術研究
センター(RCAST)等で研究員、東京大学特任助教授、㈱日本文化チャンネル桜キャスターなどをつとめる。著書に『歴代首相物語』(共著、御厨貴編、新書館、2003年)、『日本の外交政策決定要因』(共著、橋本光平編、PHP研究所、1999年)などがある。
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朝日新聞が十月二十日に配信した記事「中国軍、空母2隻を建造中 米に対抗、南シナ海で運用か」によれば、「中国軍が、大連と上海の造船施設で2隻の国産空母の建造を並行して進めていることが軍関係者らの証言で確認された」という。
「研究・訓練用に旧ソ連軍の空母を改造した『遼寧』を導入したが、実戦的な空母を常時運用するため複数の国産空母建造を急ピッチで進めている」のだそうだ。
記事は次のようにも解説している。
―――中国は1980年代、当時海軍司令官だった劉華清・党中央軍事委副主席が内部決定した海軍戦略計画で、2020年までには小笠原諸島からグアム、インドネシアに至る「第2列島線」内の制海権確保と空母建造の方針を打ち出した。
―――軍事研究者によると、習近平指導部でも同計画は踏襲されており、若干の遅れはあるものの計画に沿って空母の建造を目指す方針だ。目標の保有数は明らかになっていないが、昨年1月、遼寧省高官(当時)が「将来的に4隻以上保有」との構想を明かしている。
そしてこの二隻の空母については、「領有権をめぐり対立を深める南シナ海での運用も視野に入れている模様だ」とのことである。「海南島三亜の軍港に配備され、南シナ海での任務にあたる可能性が高い。空母には海軍の主力戦闘機『殲15』が配備される見通しだ」と。
さて、その劉華清が策定した海軍戦略計画だが、日本でこれが広く取り沙汰されるようになったのは、そんなに古い話ではない。
中国の海洋進出の脅威がますます顕在化する中、かつて「中国脅威論」の広がりを嫌うあの国の顔色をうかがってきたマスメディアも取り上げざるを得なくなってきたということだろうか。
■「台湾」を巡る中国の宣伝と日本メディアの加担
第一列島線、第二列島線の概念も一般的に知られるようになり、それが国民の国防意識の向上に繋がれば結構なことではあるが、ただそうした中、気になるのが台湾に対するメディアの扱い方なのだ。
第一列島線上で最も中国に接近するこの島は、中国の海洋進出には大きな障害となっているが、もしこれが中国に併呑されたなら、一転してあの国の不沈空母と化し、「『第2列島線』内の制海権確保」、つまり東支那海、南支那海は素より西太平洋までを中国の内海に変えるという中国の夢(周辺国にとっては悪夢)は現実と化しかねない。
そこで中国は、台湾侵略を正当化し、他国の妨害を排しようと、「台湾は中国領土の不可分の一部」と宣伝しているのである。
つまり台湾をどうしようと中国の内政問題であり、他国がそれに干渉するのは許されないのだと。
そしてその虚構宣伝に、でき得るだけ歩調を合わせようと蠢いて来たのが、例の中国の顔色ばかりをうかがいたがる日本のマスメディアなのだ。
■日本メディアがみな行う地図の上での台湾差別
下は今回の朝日の記事にあるアジア地図だ。第一、第二列島線の位置をわかりやすく示し、中国の戦略はいかなるものかを教えるまではいいのだが、台湾の部分を見てみよう。
国民の多くはすでにメディアを通じた中国の宣伝に洗脳されてしまっているから、気付く人は少数かも知れないが、「日本」「中国」「韓国」などの国名表記と比べ、「台湾」の二字だけ書体が異なっているではないか。他がゴシック体であるのに、これだけ明朝体なのだ。

中国の脅威を伝えようと、朝日が掲載したアジア地図。しかし「台湾」だけ書体が異なるのはなぜか。そこには台湾侵略を目指す中
国への配慮が
こうしたことは他紙もみなやっている。「台湾」だけ書体を変えたり、あるいは文字の太さを細くしたりで、他国と差別するのである。
その理由にについてメディアは、「『台湾』は地域名。国名と区別した」と説明する。
たしかに日本政府は台湾を国と認めず、「地域」(どこにも属さない地域)として扱っている。
しかしもう一つ別のアジア地図を見てみよう。
■中国の戦略とメディアの堕落―先ずは国民が覚醒を
こちらは同じく朝日が九月二十八日に配信した記事の中の地図である。

これも朝日掲載の地図。「台湾」と同じ地域名である「北朝
鮮」だが、こちらは国名と同じ扱い。なぜなら中国が「北朝
鮮は中国の一部」と主張していないからだ
台湾と同様、政府に国と認められていない北朝鮮には「北朝鮮」との地域名が付されているが、こちらは文字の書体も太さも、「日本」「中国」「韓国」といった国名とまったく同じではないか。
これを見ても明らかなようにメディアは、台湾を政府の言うところの「地域」ではなく、「中国の地域」と看做し、北朝鮮とも区別しているのである。
つまり日本政府の見解ではなく中国政府宣伝に従っているのだ。そしてその結果、「台湾は中国の領土の一部」との印象、認識がますます国民に刷り込まれて行くのである。
そしていざ中国が台湾を侵攻するとき、米軍は台湾救援のために出動し、自衛隊は米軍の後方地域支援に当たるが、それに対して「台湾は中国の一部。内政干渉をしてはならない」との認識に基づく反対運動が全国的に巻き起こることになりはしないか。
少なくとも建国以来、中国はそれを期待し、「台湾は中国の一部」とする宣伝戦に余念がないのである。
中国の脅威に警鐘を鳴らしながらも、あの国の覇権戦略に有利な嘘の宣伝に手を染め続ける日本のメディア。拡張、侵略の動きに反対しているのか、加担しているのか。こうした愚かさが滲み出たものとして、今回の地図を取り上げる次第だ。
洗脳から目を覚まし、こうした問題があるということに一刻も早く気付き、中国の影響下に陥ったメディアを糾す声を上げようと、広く国民に伝えたく。
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不可解なマスコミの中国地図―中国「検閲」の疑惑 08/07/20
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読売新聞は中国を怖がらない―台湾報道で見る画期的姿勢 09/03/15
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鈴木 邦子氏(元日本文化チャンネル桜キャスター)
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■日時:平成27年11月1日(日)
■会場:さいたま共済会館5F
さいたま市浦和区岸町7-5-14
JR「浦和」駅西口下車 徒歩10分
TEL 048-822-3330
http://www.saitama-ctv-kyosai.net/kyosai_kaikan/
受付:午後2時00分
開演:午後2時30分
懇親会 午後4時半~
■会費:1,000円
懇親会:2,000円
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☆講師プロフィール
(すずき・くにこ)慶應大学法学部政治学科を首席卒業。在学中は、「東南アジア青年の船」に参加。大学院は、欧州にて、トゥルーズ第一大学政治学前期博士号(DEA)及びヨーロピアン大学経営学修士号(MBA)の二つの学位を修める。後期博士課程は、慶應大学の法学研究科で単位取得退学。外務省や国会議員事務所での職務経験を有す(1989-1997)。その後、岡崎研究所や東京大学先端科学技術研究
センター(RCAST)等で研究員、東京大学特任助教授、㈱日本文化チャンネル桜キャスターなどをつとめる。著書に『歴代首相物語』(共著、御厨貴編、新書館、2003年)、『日本の外交政策決定要因』(共著、橋本光平編、PHP研究所、1999年)などがある。
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協賛:頑張れ日本!全国行動委員会
頑張れ日本!全国行動委員会・東京荒川支部
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