陳水扁総統「中国は台湾攻略の準備を完了した」
2008/01/04/Fri
中国軍が台湾の対岸である東南沿岸で増強を進めるミサイルは、ついに一千基を超えたようだ。台湾の陳水扁総統が一月一日に発表した談話によると、「対岸の戦術ミサイルは、最新数値で千三百二十八基。この七年あまりで五倍に増加した」そうだ。昨年三月の段階で台湾政府は「二〇〇〇年に二百余基だったミサイルは二〇〇六年末には九百八十八基(戦術ミサイルが八百基で巡航ミサイル『東海』一〇号が百八基)であり、今では一千基を超えている可能性がある」「年間百基から百二十基の速度で増加されており、台湾全島を射程に収め、台湾人民の生命財産に重大な脅威を及ぼしている」との見方を示していたが、その予測どおりとなったわけだ。
中国軍は台湾有事の際、台湾への上陸作戦に先立って、このようなものを政治、軍の中枢や空軍基地に打ち込もうと言うわけだが、これを完全に防ぐ力など台湾側にはない。また有事にならなくても、このような恐るべき兵器が台湾側を威圧し、その士気を大いに奪いつつあることも言うまでもない。
沖縄のすぐ隣の島でのこのような危険な状況に、日本人が無関心でいられるのは実に不思議である。約八百基ほどの段階だった二〇〇五年九月、呂秀蓮副総統は台湾の内部情報として、「そのうち百三十基以上は日本に照準を合わせている」ことを明らかにしたが、そのときも日本人はほとんど反応を示さなかった。
陳総統はさらに、中国軍が「対台湾作戦三段階任務の準備」をすでに完成させていることも明らかにした。それは「二〇〇七年以前に応急作戦能力を形成し、二〇一〇年以前に大規模な作戦能力を備え、二〇一五年以前に決戦必勝能力を備える」と言うものである。
そしてその上で指摘したのが、中国軍が最近、「台湾海峡での防空識別圏の設定」「台湾海峡中間線西側での航空路線の新設」を検討し、台湾海峡の現状を一方的に変更しようと企図していると言うことである。もしそうなれば台湾軍機は開戦を避けるために台湾海峡上空を飛べなくなるし、民間機も中国の航空管制を受けることになってしまう。
これは同総統が昨年十二月から強調していることである。だがこのように言われては、「台湾は一方的に台湾海峡の現状破壊を狙うトラブルメーカー」との宣伝に余念がない中国としては黙っていられない。そのため中国メディアは「大陸を妖魔化する新たな宣伝」などと、陳発言の打消しに躍起だ。
そのひとつ「人民日報」系の「環球時報」なども、陳総統は中国脅威論を煽って米中、日中関係の楔を打ち込もうとしていると非難している。
それによると、中国側は台湾海峡の中間線と言うものを認めていないと言う。そもそもそのようなものは台湾と中国の衝突を避けたい米国の考慮で、一九五四年の米華相互防衛条約において、台湾の軍機、軍艦は中間線の東側を通行しなければならないと取り決められて以来のものであって、台湾側は勝手にそれを遵守し、その東側を防衛識別圏としているだけだとした上で、「中国政府は台湾海峡を中国の内海と繰り返し表明している。そこに国際法で言うところの境界問題は存在しない」と強調している。そして「大陸が台湾海峡で国防識別区を設定するなら、海峡中間線の西側に限定はしない。もしそうすれば台湾独立を承認したと見られてしまう」との台湾国防大学教官の見方まで紹介している。
「中間線を認めていない」などと書かれると、脅威論の打ち消しどころか、逆に自ら脅威を強調しているようなものだ。
もっとも実際には中国側も、米国、台湾との衝突を回避するため、中間線には暗黙の了解をしてきているのである。「環球時報」自身、「二〇〇五年には台湾軍のミラージュが中間線付近で挑戦的な飛行を行った。もし戦時中ならとっくに解放軍の獲物になっていたろう」と言っているが、実際にそうならなかったのは、中国軍が中間線を尊重している証だ。
ところがその中国が「対台湾作戦三段階任務の準備」を完了したのだと言う。つまり米軍の救援が行われる以前に中国軍は、ミサイル攻撃で台湾軍の指揮系統を麻痺させ、空軍力に大打撃を与えて制空権を握り、潜水艦で台湾を海上封鎖し、台湾島に上陸して、そこを占領するに足る実力をほぼ備えつつあると言うわけで、こうなれば中間線など必ずしも守り必要もなく、やがては「それを超えるぞ。それが嫌なら台湾当局は統一交渉のテーブルに着け」と「現状変更」の強要を行うのではないだろうか。
中国側がどんなに中国脅威論を否定しようとしても、脅威は厳然とそこにある。それはもちろん台湾の問題ではなく、中国側だけの問題である。中国は「武力行使を辞さず」と繰り返して表明している以上、本気だと見るべきだ。日米は、それに厳然と対処しなければならない。
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中国軍は台湾有事の際、台湾への上陸作戦に先立って、このようなものを政治、軍の中枢や空軍基地に打ち込もうと言うわけだが、これを完全に防ぐ力など台湾側にはない。また有事にならなくても、このような恐るべき兵器が台湾側を威圧し、その士気を大いに奪いつつあることも言うまでもない。
沖縄のすぐ隣の島でのこのような危険な状況に、日本人が無関心でいられるのは実に不思議である。約八百基ほどの段階だった二〇〇五年九月、呂秀蓮副総統は台湾の内部情報として、「そのうち百三十基以上は日本に照準を合わせている」ことを明らかにしたが、そのときも日本人はほとんど反応を示さなかった。
陳総統はさらに、中国軍が「対台湾作戦三段階任務の準備」をすでに完成させていることも明らかにした。それは「二〇〇七年以前に応急作戦能力を形成し、二〇一〇年以前に大規模な作戦能力を備え、二〇一五年以前に決戦必勝能力を備える」と言うものである。
そしてその上で指摘したのが、中国軍が最近、「台湾海峡での防空識別圏の設定」「台湾海峡中間線西側での航空路線の新設」を検討し、台湾海峡の現状を一方的に変更しようと企図していると言うことである。もしそうなれば台湾軍機は開戦を避けるために台湾海峡上空を飛べなくなるし、民間機も中国の航空管制を受けることになってしまう。
これは同総統が昨年十二月から強調していることである。だがこのように言われては、「台湾は一方的に台湾海峡の現状破壊を狙うトラブルメーカー」との宣伝に余念がない中国としては黙っていられない。そのため中国メディアは「大陸を妖魔化する新たな宣伝」などと、陳発言の打消しに躍起だ。
そのひとつ「人民日報」系の「環球時報」なども、陳総統は中国脅威論を煽って米中、日中関係の楔を打ち込もうとしていると非難している。
それによると、中国側は台湾海峡の中間線と言うものを認めていないと言う。そもそもそのようなものは台湾と中国の衝突を避けたい米国の考慮で、一九五四年の米華相互防衛条約において、台湾の軍機、軍艦は中間線の東側を通行しなければならないと取り決められて以来のものであって、台湾側は勝手にそれを遵守し、その東側を防衛識別圏としているだけだとした上で、「中国政府は台湾海峡を中国の内海と繰り返し表明している。そこに国際法で言うところの境界問題は存在しない」と強調している。そして「大陸が台湾海峡で国防識別区を設定するなら、海峡中間線の西側に限定はしない。もしそうすれば台湾独立を承認したと見られてしまう」との台湾国防大学教官の見方まで紹介している。
「中間線を認めていない」などと書かれると、脅威論の打ち消しどころか、逆に自ら脅威を強調しているようなものだ。
もっとも実際には中国側も、米国、台湾との衝突を回避するため、中間線には暗黙の了解をしてきているのである。「環球時報」自身、「二〇〇五年には台湾軍のミラージュが中間線付近で挑戦的な飛行を行った。もし戦時中ならとっくに解放軍の獲物になっていたろう」と言っているが、実際にそうならなかったのは、中国軍が中間線を尊重している証だ。
ところがその中国が「対台湾作戦三段階任務の準備」を完了したのだと言う。つまり米軍の救援が行われる以前に中国軍は、ミサイル攻撃で台湾軍の指揮系統を麻痺させ、空軍力に大打撃を与えて制空権を握り、潜水艦で台湾を海上封鎖し、台湾島に上陸して、そこを占領するに足る実力をほぼ備えつつあると言うわけで、こうなれば中間線など必ずしも守り必要もなく、やがては「それを超えるぞ。それが嫌なら台湾当局は統一交渉のテーブルに着け」と「現状変更」の強要を行うのではないだろうか。
中国側がどんなに中国脅威論を否定しようとしても、脅威は厳然とそこにある。それはもちろん台湾の問題ではなく、中国側だけの問題である。中国は「武力行使を辞さず」と繰り返して表明している以上、本気だと見るべきだ。日米は、それに厳然と対処しなければならない。
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