安倍談話が「台湾」支持姿勢―台湾は期待!中国は怒り!
2015/08/17/Mon
■反日・馬英九総統の関心は「慰安婦」
安倍晋三首相が八月十四日に発表した戦後七十年談話に対する台湾の反応はどうか。
先ずは馬英九総統の国民党政権。
NHKは「14日夜、馬英九総統が日本政府に今後も深い反省を求める一方で、日本との良好な関係の維持に期待を示すコメントを発表」したと報じた。
その通りである。たとえば馬総統は「安倍氏は談話で『反省』『お詫び』等の言葉を使った。中華民国も日本が反省を望んでいると信じる」などと、好意的とも傲慢とも受け取れる発言を見せながら、こう付け加えた。「だが今後、更に多くの事をするのも願っている。特に慰安婦に関しては」と。
ではなぜ「特に慰安婦に関して」なのか。実は馬総統は、台湾人慰安婦の「強制連行」は事実だと繰り返し強調する人物。高校の教科書でも、それを記述するよう推奨してきた。
その狙いは、日本統治下での台湾人の虐待を強調し、人々のあの時代に対する懐かしみや再評価を牽制することだ。
■国民党の反日宣伝は国内向けの洗脳が狙い
台湾人に反日意識を抱かせることが中国人意識を扶植する第一歩と考えるのが、馬英九ら国民党の在台中国人勢力なのである。
だから馬英九氏は十五日の演説で、「台湾はかつて日本の殖民地だったが、当時台湾人の抗日の決意は固かった。あれこそが台湾の主体性の具体的表現だ」とも述べている。
つまり「台湾人も中華民族として抗日を行った」と強調し、反日意識を持つことこそ「台湾の主体性」の表れだというわけだ。だが実際には、こうした中華民族主義の押し付けこそが台湾人の主体性の否定になるのだが。
いずれにせよ馬総統が今回、日本に「深い反省」を求めたのは、国内向けの政治宣伝が目的だった。
同総統はその一方で、「日本との良好な関係の維持に期待」を示したというが、それもまた主に国内向けだろう。有権者の親日感情への配慮といったところか。
談話に対しては「日本政府が今後も引き続き歴史を正視し、周辺国と真の意味で和解し、友好協力関係を発展させることに期待する。我が政府も日本との特別パートナー関係を継続し、共同で地域の平和と繁栄を維持して行く」とコメントしていることから、「周辺国」たる中国への配慮も見て取れる。
■民進党は安倍談話を積極的に評価
さて、来年の総統選挙で国民党から政権を奪取する可能性が高い野党民進党は、安倍談話をどう受け取ったのか。同党が十四日に発表したプレスリリースを見てみよう。
まず「安倍首相が第二次大戦中の侵略行為に対し深刻な反省と、台湾を含む複数の国の人々にお詫びを表明し、あわせて民族自決の価値や、平和的な外交方式で国際紛争に対処する決意を強調したことを民進党は肯定する。安倍首相が歴史に真向かおうとする態度は地域の平和と安定の助けになるものと信じる」と述べている。
このように、民進党も国民党と同様、日本の「侵略」を非難する立場だ。そうした認識を前面に打ち出さないと、国民党など政敵からレッテルを貼られ、選挙で不利になりかねないとの事情もありそうだ。
しかし本当の意味で「台湾の主体性」を重んじる同党は、反日宣伝で中華民族主義を煽る国民党とは一線を画し、むしろこのように、談話を積極的に評価している。
そしてとくに注目すべきは、談話が「民族自決の価値」に触れたことに、大きな期待を寄せたことだ。
■台湾を念頭に「民族自決」に触れたか
談話の原文を見よう。
「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」とある。
この「すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」とのくだりは、多くの台湾人の心を打ったはずである。
なぜなら台湾国内では現在、台湾併呑を目指す中国や、それに迎合する国民党政権に対し、「台湾人の将来は台湾人が決める」との反撥の声が広がっているところだからだ。
実際に安倍談話は、特に台湾を念頭に「民族の自決」に言及したのではないだろうか。現在アジアでこの問題に関わるのは主に中国の支配下にあるチベット、東トルキスタン、そしてその支配下に転落しそうな台湾だからだ。
プレスリリースはこうも述べている。
「日本と台湾は平和、民主、自由の価値を共有し、そして日本は台湾のアジア太平洋地域における最重要のパートナーの一つで、同地域の安全問題においては密接不可分の関係を持つ。民進党は台日双方がさらに緊密に協力し、この地域と世界の平和、民主、繁栄のため貢献することを期待する」
民進党の安倍首相に対する「期待」は本物であるように思える。
■中国を激怒させた「台湾」の扱い
それでは安倍首相は、そうした期待に応えることができるのだろうか。
そこで談話の次のくだりを見てみたい。
「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました」
「台湾」「中国」が並んで記されているではないか。
国民の多くは気付かないことだが、これは中国をいたく刺激するものである。
実際に中共機関紙人民日報系の環球時報は十五日、これに関して「安倍が中国と台湾を並列にする狡賢い真似を」と題する社説を掲げ、批判を行っている。
―――安倍は談話の中で中国に対し、この上ない恥さらしな行動に出た。
―――外交官でなくても、普通の中国人ならわかるはずだ。安倍は台湾をアジアの国々の国名の中にいれているではないか。何のつもりなのか。
―――東南アジアの国々に言及した後、台湾、韓国、中国を「アジアの隣人」と呼び、直接台湾を「国」とはしていないが、このような並列は中国と国交を結ぶ国々の文書では避けられている。
―――安倍のこうした動作は彼が遵守しなければならない「一つの中国」の原則に厳重に違反するもので、外交ルールの粗暴な破壊である。
社説ではこんな批判が、これでもかこれでもかと書き連ねられている。よほど腹に据えかねたらしい。

環球時報が「安倍が狡賢い真似を」と題する社説を掲載。中国が嫌が
るのは何かがよくわかる
■安倍首相は台湾の期待に応えつつある
そしてこんなことも書いていた。
―――談話は一句一句推敲、修正を重ねたはず。日本外務省も参与、把握していないはずがない。安倍が無意識のうちに台湾と中国を並列させたとは考えられない。我々は安倍は故意に行ったと考える。
この社説の言う通りだ。従来の政府なら「一つの中国」(台湾は中国の一部)の原則に従うことを強要する中国に配慮し、台湾と中国とを対等に扱うことは避けていただろう。
これは明らかに安倍首相による、「台湾は中国の一部」との宣伝への従属拒否の表明だった。
従来中国政府は日本政府に対し、「歴史問題」と「台湾問題」を日中関係の政治的基礎とし、それらにおける日本側の譲歩、従属を要求して来たが、今回の談話は少なくとも、「台湾問題」での譲歩を拒否している。
だから、日本国民から見れば、「台湾」の二字を入れた入れないの問題にすぎなくても、中国側の猛反撥は当然なのだ。
もっとも環球時報が怒りの社説を掲げた以外はあまり騒がないのは、騒げばさらに多くの日本国民が台湾支持に回ってしまうからだろう。
台湾を中国に従属しない主権国家であると主張する民進党、そして台湾国民の期待に、安倍首相は確実に応えつつあるらしい。
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安倍晋三首相が八月十四日に発表した戦後七十年談話に対する台湾の反応はどうか。
先ずは馬英九総統の国民党政権。
NHKは「14日夜、馬英九総統が日本政府に今後も深い反省を求める一方で、日本との良好な関係の維持に期待を示すコメントを発表」したと報じた。
その通りである。たとえば馬総統は「安倍氏は談話で『反省』『お詫び』等の言葉を使った。中華民国も日本が反省を望んでいると信じる」などと、好意的とも傲慢とも受け取れる発言を見せながら、こう付け加えた。「だが今後、更に多くの事をするのも願っている。特に慰安婦に関しては」と。
ではなぜ「特に慰安婦に関して」なのか。実は馬総統は、台湾人慰安婦の「強制連行」は事実だと繰り返し強調する人物。高校の教科書でも、それを記述するよう推奨してきた。
その狙いは、日本統治下での台湾人の虐待を強調し、人々のあの時代に対する懐かしみや再評価を牽制することだ。
■国民党の反日宣伝は国内向けの洗脳が狙い
台湾人に反日意識を抱かせることが中国人意識を扶植する第一歩と考えるのが、馬英九ら国民党の在台中国人勢力なのである。
だから馬英九氏は十五日の演説で、「台湾はかつて日本の殖民地だったが、当時台湾人の抗日の決意は固かった。あれこそが台湾の主体性の具体的表現だ」とも述べている。
つまり「台湾人も中華民族として抗日を行った」と強調し、反日意識を持つことこそ「台湾の主体性」の表れだというわけだ。だが実際には、こうした中華民族主義の押し付けこそが台湾人の主体性の否定になるのだが。
いずれにせよ馬総統が今回、日本に「深い反省」を求めたのは、国内向けの政治宣伝が目的だった。
同総統はその一方で、「日本との良好な関係の維持に期待」を示したというが、それもまた主に国内向けだろう。有権者の親日感情への配慮といったところか。
談話に対しては「日本政府が今後も引き続き歴史を正視し、周辺国と真の意味で和解し、友好協力関係を発展させることに期待する。我が政府も日本との特別パートナー関係を継続し、共同で地域の平和と繁栄を維持して行く」とコメントしていることから、「周辺国」たる中国への配慮も見て取れる。
■民進党は安倍談話を積極的に評価
さて、来年の総統選挙で国民党から政権を奪取する可能性が高い野党民進党は、安倍談話をどう受け取ったのか。同党が十四日に発表したプレスリリースを見てみよう。
まず「安倍首相が第二次大戦中の侵略行為に対し深刻な反省と、台湾を含む複数の国の人々にお詫びを表明し、あわせて民族自決の価値や、平和的な外交方式で国際紛争に対処する決意を強調したことを民進党は肯定する。安倍首相が歴史に真向かおうとする態度は地域の平和と安定の助けになるものと信じる」と述べている。
このように、民進党も国民党と同様、日本の「侵略」を非難する立場だ。そうした認識を前面に打ち出さないと、国民党など政敵からレッテルを貼られ、選挙で不利になりかねないとの事情もありそうだ。
しかし本当の意味で「台湾の主体性」を重んじる同党は、反日宣伝で中華民族主義を煽る国民党とは一線を画し、むしろこのように、談話を積極的に評価している。
そしてとくに注目すべきは、談話が「民族自決の価値」に触れたことに、大きな期待を寄せたことだ。
■台湾を念頭に「民族自決」に触れたか
談話の原文を見よう。
「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」とある。
この「すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」とのくだりは、多くの台湾人の心を打ったはずである。
なぜなら台湾国内では現在、台湾併呑を目指す中国や、それに迎合する国民党政権に対し、「台湾人の将来は台湾人が決める」との反撥の声が広がっているところだからだ。
実際に安倍談話は、特に台湾を念頭に「民族の自決」に言及したのではないだろうか。現在アジアでこの問題に関わるのは主に中国の支配下にあるチベット、東トルキスタン、そしてその支配下に転落しそうな台湾だからだ。
プレスリリースはこうも述べている。
「日本と台湾は平和、民主、自由の価値を共有し、そして日本は台湾のアジア太平洋地域における最重要のパートナーの一つで、同地域の安全問題においては密接不可分の関係を持つ。民進党は台日双方がさらに緊密に協力し、この地域と世界の平和、民主、繁栄のため貢献することを期待する」
民進党の安倍首相に対する「期待」は本物であるように思える。
■中国を激怒させた「台湾」の扱い
それでは安倍首相は、そうした期待に応えることができるのだろうか。
そこで談話の次のくだりを見てみたい。
「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました」
「台湾」「中国」が並んで記されているではないか。
国民の多くは気付かないことだが、これは中国をいたく刺激するものである。
実際に中共機関紙人民日報系の環球時報は十五日、これに関して「安倍が中国と台湾を並列にする狡賢い真似を」と題する社説を掲げ、批判を行っている。
―――安倍は談話の中で中国に対し、この上ない恥さらしな行動に出た。
―――外交官でなくても、普通の中国人ならわかるはずだ。安倍は台湾をアジアの国々の国名の中にいれているではないか。何のつもりなのか。
―――東南アジアの国々に言及した後、台湾、韓国、中国を「アジアの隣人」と呼び、直接台湾を「国」とはしていないが、このような並列は中国と国交を結ぶ国々の文書では避けられている。
―――安倍のこうした動作は彼が遵守しなければならない「一つの中国」の原則に厳重に違反するもので、外交ルールの粗暴な破壊である。
社説ではこんな批判が、これでもかこれでもかと書き連ねられている。よほど腹に据えかねたらしい。

環球時報が「安倍が狡賢い真似を」と題する社説を掲載。中国が嫌が
るのは何かがよくわかる
■安倍首相は台湾の期待に応えつつある
そしてこんなことも書いていた。
―――談話は一句一句推敲、修正を重ねたはず。日本外務省も参与、把握していないはずがない。安倍が無意識のうちに台湾と中国を並列させたとは考えられない。我々は安倍は故意に行ったと考える。
この社説の言う通りだ。従来の政府なら「一つの中国」(台湾は中国の一部)の原則に従うことを強要する中国に配慮し、台湾と中国とを対等に扱うことは避けていただろう。
これは明らかに安倍首相による、「台湾は中国の一部」との宣伝への従属拒否の表明だった。
従来中国政府は日本政府に対し、「歴史問題」と「台湾問題」を日中関係の政治的基礎とし、それらにおける日本側の譲歩、従属を要求して来たが、今回の談話は少なくとも、「台湾問題」での譲歩を拒否している。
だから、日本国民から見れば、「台湾」の二字を入れた入れないの問題にすぎなくても、中国側の猛反撥は当然なのだ。
もっとも環球時報が怒りの社説を掲げた以外はあまり騒がないのは、騒げばさらに多くの日本国民が台湾支持に回ってしまうからだろう。
台湾を中国に従属しない主権国家であると主張する民進党、そして台湾国民の期待に、安倍首相は確実に応えつつあるらしい。
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