台湾紙「安倍は安全のため戦う道を選んだ」
2015/07/17/Fri
安全保障関連法案が七月十六日、衆院本会議で可決。これを批判的に報じる海外メディアも多いが、それにはもちろん、法案反対を叫ぶ日本メディアの報道の影響が大きい。

安保法案が衆院本会議で可決。日本メディアの影響もあり、海外での報道には批判的なものが目立つが…
台湾で最大の発行部数を誇る自由時報も即日、「反対の声を無視」との見出しで速報を配信。民主党の岡田克也代表の「戦後七十年間、歴代内閣と国会が積み上げてきた憲法解釈を独断で変更した」とのコメントを引用するなどで、安倍政権の暴走を印象付けたが、ソースは朝日新聞だという。
左翼活動家の抗議デモの写真も掲げ、日本国民の多くが「反対の声」を上げているかのような錯覚も抱く。
ただその一方で同紙は翌十七日、そうした日本メディアの“政治宣伝”に惑わされない、事の本質を衝いた論説も掲載している。
一つは「日本は“平和”を理由に安保環境の変化を無視できない」と題する駐日特派員の記事。
次のようにある。
―――安保法案は自衛隊の活動範囲を広げるとともに、周辺有事に限られた自衛隊の出動制限を解除するため、野党は憲法九条の違反と看做し、更に国民も「戦争に巻き込まれる」と誤解している。
―――しかし日本だけでなく、大多数の国は平和を渇望している。戦後米国の保護下で経済大国にまでなった日本も、早い速度で変化する全地球規模の安保環境に無関心でいることはできない。従来の一国平和主義を固守すれば、他国から突き放されることになる。
―――中国の近年における積極的な軍拡と、東支那海と南支那海での牙爪の剥き出しは、安保法案を速やかに可決しなければならないもう一つの理由だ。
もう一つは、「ニュース解説―安倍はなぜ平和を装わないか」という論説だ。
こちらは、中国船のサンゴ密漁に見舞われた小笠原村や、尖閣諸島を抱える石垣市で聞かれる「反戦を叫んで法案に反対する東京の政界は民間の苦しみを知らない」といった不満の声を紹介しながら、こう書いている。
―――中国はまさに野心剥き出しで海洋勢力を伸張している。南海(南支那海)での軍事基地建設はその一例にすぎない。南海は日本から遠く、衝突が発生して日本のシーレーンに及んでも、日本国民はそれをすぐに危機と感じることはできない。自宅の玄関口である小笠原や石垣が中国人に侵入されても、戦後七十年來の平和を貪り、声高に「平和」を叫ぶ人々は動揺していない。
―――安倍晋三は、前政権を担当した民主党や、更に昔の社会党に学び、中国に取り入って平和を装い、軍国主義者、タカ派との誹りを免れ、中南海の貴賓席に座ることもできるのだが、しかし彼が選んだのは祖父、岸信介と同じ道だった。例え民衆に恨まれ、支持率が下がっても、日本の安全のために戦おうとしている。
―――岸信介は一九六〇年、日米安保条約を改正した。岸が望んだのは戦勝国の支配から独立性を確立することだった。これに対して大規模な安保反対闘争も起こったが、皮肉なことに日本は、その条約の保護下で、金を節約しながら平和を享受できた。
―――しかしこの世にタダの飯はない。日本は軍隊を擁する「正常な国」ではないが、地域情勢の変化により、軍事力で周辺国家の脅威を抑止しなくてはならなくなった。沖縄はそのために、本土住民には理解できない基地という重荷を背負っている。
―――今日その脅威は増大中で、米国も自国のことで精一杯。安倍は集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の活動範囲、任務を拡大させ、日本に更に積極的な主導的役割を担わせようとしている。
―――これは安倍が推進する「正常な国」になるための改憲への第一歩に過ぎない。あるいはこのことで日本は危機に巻き込まれるかも知れない。しかし高らかに「平和」を叫んでいれば、危機は到来しないというわけではない。小笠原でのサンゴ密漁は、一つの始まりにすぎないのだ。
台湾が日本以上に中国の直接的な脅威に曝されているためだろうか。「平和を貪る」日本人以上に、日本の危機を理解しているようだ。
法案反対で感情的、煽情的な言論に満ち溢れる日本国内から一歩外に出たつもりで、これら国外からの論説に耳を傾けてはどうだろうか。
日本発の誤った情報に惑わされがちな台湾の人々に、平和安保法制に向けた日本の努力を正しく伝えてくれた自由時報には深く感謝したい。
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■台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)第170回定例会

講師 黄錦容先生(台湾国立政治大学日本語学部特別招聘教授)
演題 台湾ナショナリズムの現在ー愛国主義と非物語的な虚構性
第170回定例会では、台湾から来日される黄錦容先生を講師にお迎えします。
昨年の太陽花(ひまわり)学生運動以降に見られる様々な現象やナショナリズム的な言説について考察。広がりを見せるナショナリズムのオタク的心情の内面も突きながら、台湾における社会運動や社会の改造の可能性、策略などを解説していただきます。
日時 平成27年7月18日 (土)18:30~20:15
場所 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
(東京都文京区春日1-16-21)
交通:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央線・総武線「水道橋駅」徒歩約10分
会費 会員500円・一般1000円
(会場では入会も受け付けます。年会費2000円)
問合せ twkenkyuforum@yahoo.co.jp

安保法案が衆院本会議で可決。日本メディアの影響もあり、海外での報道には批判的なものが目立つが…
台湾で最大の発行部数を誇る自由時報も即日、「反対の声を無視」との見出しで速報を配信。民主党の岡田克也代表の「戦後七十年間、歴代内閣と国会が積み上げてきた憲法解釈を独断で変更した」とのコメントを引用するなどで、安倍政権の暴走を印象付けたが、ソースは朝日新聞だという。
左翼活動家の抗議デモの写真も掲げ、日本国民の多くが「反対の声」を上げているかのような錯覚も抱く。
ただその一方で同紙は翌十七日、そうした日本メディアの“政治宣伝”に惑わされない、事の本質を衝いた論説も掲載している。
一つは「日本は“平和”を理由に安保環境の変化を無視できない」と題する駐日特派員の記事。
次のようにある。
―――安保法案は自衛隊の活動範囲を広げるとともに、周辺有事に限られた自衛隊の出動制限を解除するため、野党は憲法九条の違反と看做し、更に国民も「戦争に巻き込まれる」と誤解している。
―――しかし日本だけでなく、大多数の国は平和を渇望している。戦後米国の保護下で経済大国にまでなった日本も、早い速度で変化する全地球規模の安保環境に無関心でいることはできない。従来の一国平和主義を固守すれば、他国から突き放されることになる。
―――中国の近年における積極的な軍拡と、東支那海と南支那海での牙爪の剥き出しは、安保法案を速やかに可決しなければならないもう一つの理由だ。
もう一つは、「ニュース解説―安倍はなぜ平和を装わないか」という論説だ。
こちらは、中国船のサンゴ密漁に見舞われた小笠原村や、尖閣諸島を抱える石垣市で聞かれる「反戦を叫んで法案に反対する東京の政界は民間の苦しみを知らない」といった不満の声を紹介しながら、こう書いている。
―――中国はまさに野心剥き出しで海洋勢力を伸張している。南海(南支那海)での軍事基地建設はその一例にすぎない。南海は日本から遠く、衝突が発生して日本のシーレーンに及んでも、日本国民はそれをすぐに危機と感じることはできない。自宅の玄関口である小笠原や石垣が中国人に侵入されても、戦後七十年來の平和を貪り、声高に「平和」を叫ぶ人々は動揺していない。
―――安倍晋三は、前政権を担当した民主党や、更に昔の社会党に学び、中国に取り入って平和を装い、軍国主義者、タカ派との誹りを免れ、中南海の貴賓席に座ることもできるのだが、しかし彼が選んだのは祖父、岸信介と同じ道だった。例え民衆に恨まれ、支持率が下がっても、日本の安全のために戦おうとしている。
―――岸信介は一九六〇年、日米安保条約を改正した。岸が望んだのは戦勝国の支配から独立性を確立することだった。これに対して大規模な安保反対闘争も起こったが、皮肉なことに日本は、その条約の保護下で、金を節約しながら平和を享受できた。
―――しかしこの世にタダの飯はない。日本は軍隊を擁する「正常な国」ではないが、地域情勢の変化により、軍事力で周辺国家の脅威を抑止しなくてはならなくなった。沖縄はそのために、本土住民には理解できない基地という重荷を背負っている。
―――今日その脅威は増大中で、米国も自国のことで精一杯。安倍は集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の活動範囲、任務を拡大させ、日本に更に積極的な主導的役割を担わせようとしている。
―――これは安倍が推進する「正常な国」になるための改憲への第一歩に過ぎない。あるいはこのことで日本は危機に巻き込まれるかも知れない。しかし高らかに「平和」を叫んでいれば、危機は到来しないというわけではない。小笠原でのサンゴ密漁は、一つの始まりにすぎないのだ。
台湾が日本以上に中国の直接的な脅威に曝されているためだろうか。「平和を貪る」日本人以上に、日本の危機を理解しているようだ。
法案反対で感情的、煽情的な言論に満ち溢れる日本国内から一歩外に出たつもりで、これら国外からの論説に耳を傾けてはどうだろうか。
日本発の誤った情報に惑わされがちな台湾の人々に、平和安保法制に向けた日本の努力を正しく伝えてくれた自由時報には深く感謝したい。
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演題 台湾ナショナリズムの現在ー愛国主義と非物語的な虚構性
第170回定例会では、台湾から来日される黄錦容先生を講師にお迎えします。
昨年の太陽花(ひまわり)学生運動以降に見られる様々な現象やナショナリズム的な言説について考察。広がりを見せるナショナリズムのオタク的心情の内面も突きながら、台湾における社会運動や社会の改造の可能性、策略などを解説していただきます。
日時 平成27年7月18日 (土)18:30~20:15
場所 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
(東京都文京区春日1-16-21)
交通:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央線・総武線「水道橋駅」徒歩約10分
会費 会員500円・一般1000円
(会場では入会も受け付けます。年会費2000円)
問合せ twkenkyuforum@yahoo.co.jp
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