グーグルマップが「中沙群島」を削除―フィリピン国民の抗議が奏功
2015/07/16/Thu
中国が領有権を主張する南支那海の「群島」には「南沙群島」(英語名・スプラトリー諸島)、「西沙群島」(同・パラセル諸島)、「東沙群島」(同・プラタス諸島)の他、「中沙群島」がある。これは英語名でマックルズフィールド堆と称するように「群島」ではない。複数の岩礁があるが、満潮時に水没しないのはフィリピンのEEZ内(ルソン島西方約二百二十キロ)にあるスカボロー礁なる環礁だけだ。
中華民国時代の一九三五年にこれの領土編入を決め、後に「民主礁」と命名した。次いで中華人民共和国は一九八三年になり、「黄岩島」と改名した。しかしいかに領有権を宣伝しても、それを確立するのに不可欠な実効支配はできずにいた。
これに対してフィリピンも八〇、九〇年代から領有を主張し、中国船に対する警戒監視を行ってきている。

1997年、フィリピンの国会議員らが上陸
しかし二〇一二年以降、環礁は中国海軍に制せられ、コンクリートブロックなどによる埋め立てで、軍事拠点化が進んでいる(ちなみに六月の日比合同訓練は現地から約三百キロの地点で行われた)。

中国が占領

埋め立てによる人工島化が進んでいるとされる
強大な中国の軍事的な動きの前に為す術もないかに見えるフィリピン。しかし同国の官民は沈黙しない。
すでにフィリピン政府は国連の常設仲裁裁判所に提訴を行い、七月七日には、その口頭弁論が始まった(中国は欠席)。
そして国民による抗議の動きも活発化しているのだが、そこにフィリピンに対して朗報が舞い込んだ。
国民抗議の声が米グーグルを動かしたのだ。
同社提供のグーグルマップの英語版は従来、「Scarborough Shoal」(スカボロー礁)に「Zhongsha Islands」(中沙群島)との表記を付していた。これは事実上、中国の領有(侵略)を正当化するに等しかったが、フィリピン国民による米オンライン署名「Change.org」を通じた改正要求が奏功し、十四日までにそれが削除されたのだ。

「Zhongsha Islands」(中沙群島)と記していた従来のスカボロ諸島の地図。これが比国民の抗議
を呼んだ

抗議を受けて「中沙群島」は削除された
グーグルは今回の措置について、フィリピン国民の感情を尊重したことを明らかにしている。
もっとも領有権に関する判断を示したものではないと強調はしているが、しかしグーグルマップの国際社会に対する影響は決して小さくない。
二〇一〇年には、それが示した国境線を根拠に、ニカラグア軍がコスタリカに侵入するという事態も発生している。
それを思えば今回、フィリピンはささやかながらも、一つの勝利を治めたと言えるかもしれない。中国のネットユーザーの間からは、グーグル罵倒の言論が逆巻いた。
なお、グーグルマップ中国語版でも修正が見られた。
まず「中沙群島」の文字が消えた模様だ(「南沙群島」「西沙群島」はあり)。
そして香港紙文匯報によれば、元来の「黄岩島(民主礁)」とあった表記も、「民主礁」に切り替えられたという(台湾の中華民国政府は今も「民主礁」と呼称する)。

中国語版でも「中沙群島」は削除された模様

「黄岩島(民主礁)」は「民主礁」に改められたが・・・
しかし私が十六日に確認したところ、「黄岩島」に変わっていた。こちらは中国側の感情に配慮してのものか。

再び「黄岩島」の表記が復活。中国へも配慮したのか
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■台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)第170回定例会

講師 黄錦容先生(台湾国立政治大学日本語学部特別招聘教授)
演題 台湾ナショナリズムの現在ー愛国主義と非物語的な虚構性
第170回定例会では、台湾から来日される黄錦容先生を講師にお迎えします。
昨年の太陽花(ひまわり)学生運動以降に見られる様々な現象やナショナリズム的な言説について考察。広がりを見せるナショナリズムのオタク的心情の内面も突きながら、台湾における社会運動や社会の改造の可能性、策略などを解説していただきます。
日時 平成27年7月18日 (土)18:30~20:15
場所 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
(東京都文京区春日1-16-21)
交通:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央線・総武線「水道橋駅」徒歩約10分
会費 会員500円・一般1000円
(会場では入会も受け付けます。年会費2000円)
問合せ twkenkyuforum@yahoo.co.jp
中華民国時代の一九三五年にこれの領土編入を決め、後に「民主礁」と命名した。次いで中華人民共和国は一九八三年になり、「黄岩島」と改名した。しかしいかに領有権を宣伝しても、それを確立するのに不可欠な実効支配はできずにいた。
これに対してフィリピンも八〇、九〇年代から領有を主張し、中国船に対する警戒監視を行ってきている。

1997年、フィリピンの国会議員らが上陸
しかし二〇一二年以降、環礁は中国海軍に制せられ、コンクリートブロックなどによる埋め立てで、軍事拠点化が進んでいる(ちなみに六月の日比合同訓練は現地から約三百キロの地点で行われた)。

中国が占領

埋め立てによる人工島化が進んでいるとされる
強大な中国の軍事的な動きの前に為す術もないかに見えるフィリピン。しかし同国の官民は沈黙しない。
すでにフィリピン政府は国連の常設仲裁裁判所に提訴を行い、七月七日には、その口頭弁論が始まった(中国は欠席)。
そして国民による抗議の動きも活発化しているのだが、そこにフィリピンに対して朗報が舞い込んだ。
国民抗議の声が米グーグルを動かしたのだ。
同社提供のグーグルマップの英語版は従来、「Scarborough Shoal」(スカボロー礁)に「Zhongsha Islands」(中沙群島)との表記を付していた。これは事実上、中国の領有(侵略)を正当化するに等しかったが、フィリピン国民による米オンライン署名「Change.org」を通じた改正要求が奏功し、十四日までにそれが削除されたのだ。

「Zhongsha Islands」(中沙群島)と記していた従来のスカボロ諸島の地図。これが比国民の抗議
を呼んだ

抗議を受けて「中沙群島」は削除された
グーグルは今回の措置について、フィリピン国民の感情を尊重したことを明らかにしている。
もっとも領有権に関する判断を示したものではないと強調はしているが、しかしグーグルマップの国際社会に対する影響は決して小さくない。
二〇一〇年には、それが示した国境線を根拠に、ニカラグア軍がコスタリカに侵入するという事態も発生している。
それを思えば今回、フィリピンはささやかながらも、一つの勝利を治めたと言えるかもしれない。中国のネットユーザーの間からは、グーグル罵倒の言論が逆巻いた。
なお、グーグルマップ中国語版でも修正が見られた。
まず「中沙群島」の文字が消えた模様だ(「南沙群島」「西沙群島」はあり)。
そして香港紙文匯報によれば、元来の「黄岩島(民主礁)」とあった表記も、「民主礁」に切り替えられたという(台湾の中華民国政府は今も「民主礁」と呼称する)。

中国語版でも「中沙群島」は削除された模様

「黄岩島(民主礁)」は「民主礁」に改められたが・・・
しかし私が十六日に確認したところ、「黄岩島」に変わっていた。こちらは中国側の感情に配慮してのものか。

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昨年の太陽花(ひまわり)学生運動以降に見られる様々な現象やナショナリズム的な言説について考察。広がりを見せるナショナリズムのオタク的心情の内面も突きながら、台湾における社会運動や社会の改造の可能性、策略などを解説していただきます。
日時 平成27年7月18日 (土)18:30~20:15
場所 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
(東京都文京区春日1-16-21)
交通:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
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