台湾人が抗議!日経の「媚中反台」報道にー台湾は中国の領土ではない!
2015/07/07/Tue
来年一月に行われる台湾の総統選挙の焦点は、「一つの中国」(台湾は中国の一部)を掲げる与党国民党から、「台湾は中国に属さない主権国家」との現状を強調する野党、民進党の候補、蔡英文主席が政権を奪還するか否か。
そうした中、民進党政権の誕生だけは見たくないのが、台湾併呑を狙う中国だ。今後同党を「緊張を高める台湾独立の分裂主義勢力」とするネガティブキャンペーンを強化して行くものと見られるが、その中国に呼応するかのような「誤報」を繰り返すのが、日本経済新聞だ。
そこで抗議に立ち上がったのが、台湾独立派の日本との友好団体「日本研究論壇協会」の陳麒安氏と何朝棟氏だ。二人は七月六日、日経の台北支局を訪れ、抗議文を手交した。


抗議文手交のため日経台北支局を訪れた日本研究論壇協会の陳麒安氏
彼らが問題にするのは、五月末から六月上旬にかけての蔡英文氏の訪米に関する日経の報道。「残念ながら、日経は中国の立場に立ち、(民進党の)陳水扁前総統を『台独を宣伝する』分裂主義者とし、台湾は独立しているとする立場を中華人民共和国からの脱出の企図と批判するが、それは事実と符合せず、台湾人民の怒りを買っている」という。
抗議文にはこうある。
―――日経新聞の五月三十日の「台湾民進党主席、関係修復めざし訪米 安定的な対中政策説明」という記事には、「二〇〇〇年に民進党の陳水扁政権が発足し、大々的に台独を宣伝し、そして二〇〇七年に台湾の国連加盟の是非を問う住民投票政策を推進したことで、台湾と中国との関係が悪化し、米国も台湾を信用しなくなった」(※)と指摘する。
(※)日経記事の原文は「00年に台湾独立を志向する民進党の陳水扁政権が発足。07年に国連加盟の是非を問う住民投票の実施を表明し、中国と対立を深めた。米の反対に応じなかったため、米の民進党への不信感は決定的となった」だが、抗議文で「陳水扁政権が発足し、大々的に台独を宣伝」とあるのは、日経中文網(日経中国語サイト)にある中国語版記事の引用。中国語版は原文より媚中反台的な表現が強烈になっている。
―――これは、ほとんど中国の立場に立って書かれたもので、事実に基づかないばかりか、メディアの倫理にも反している。とても日本のメディアの言論であるとは信じ難い。

抗議文。日経の台湾報道は「中国の立場」に立っていると
―――さらにひどいのは、「日経中文網」がこの記事を翻訳した際、何と「中国」を全て「大陸」とし、「対中政策」を「大陸政策」、「中台関係」を「両岸関係」としたことだ。
―――これらはみな日経の立場の偏りやメディアの役割の違反を示すものだ。
―――今回の件に関して我々は、日経に正式な謝罪を求めるとともに、社会各界が海外メディアの台湾関連報道の公正、客観性の問題を正視することを希望したい。
抗議文はその上で、次の三つの声明を掲げている。
一、日経は厳粛な態度でこの問題を処理するべきだ。日本メディアは日本の読者に大きな影響力を持っている、そのため偏向し、事実に基づかない報道は日本人の台湾への認識、理解をミスリードすることとなる。これは台日関係に影響を及ぼし、両国人民の感情をも傷つけるものだ。日経には誠意をもって対処してもらいたい
二、日本社会は日本メディアの「中国要因」を重視するべきだ。台湾の所謂「統一派メディア」だけでなく、「中国要素」の全世界のメディアに対する影響力は巨大で、それは日本に対しても例外ではない。日本社会は警戒するべきだ。
三、日本メディアはさらに公平な台湾報道を行わせるため、本会はこうした問題に関心を持ち続けて行く。本会は台日の関係や民間交流に関心を抱く熱意ある人々のグループであり、両国の友好のため尽力したいと願っている。日本のメディアは早くから不公平な台湾報道を行っており、今回はその一例に過ぎない。今後本会は日本メディアを監視し、必要な批判を行って行く。
この声明にもある通り、日本のメディアの多くは長年にわたり、「一つの中国」なる虚構宣伝を受け入れ、それを報道に反映させてきた。
中華民国体制からの台湾人の独立、建国を意味する「台湾独立」という言葉を「中華人民共和国からの独立」との意味合いで多用するばかりでない。台湾に対して中国を「中国大陸」「中国本土」と呼び、あるいは中国地図に台湾を含めるといった誤報も繰り返している。
その理由は何かと言えば、台湾を中国領土ではないと位置付ければ、中国から抗議を受ける可能性があるからだ。
さらには、そうした誤報を行っても、国内ではほとんど問題視されないからだ。たしかに近年、ネット上での批判の声は高まりつつあるが、すでに「一つの中国」という印象がすっかり定着しており、一般の日本人は誤報を誤報と見抜けなくなっているのである。
そしてもう一つは、台湾から抗議がないことなのである。台湾人は日本への信頼感が強く、日本のメディアがこうした誤報が行っているなど、夢にも思っていない。仮にそれを聞き知っても、相手が日本であると、それを批判し、抗議したがらない傾向が目立つ。つまり日本に「優しい」のだ。
このように国内からも台湾からも抗議の声が上がらない以上、メディアは中国だけに配慮し、安心して不実の報道を行うことができるわけだ。
そうした中で今回、台湾で抗議の声が上がったのだ。これに我々日本人は注目すべきだろう。
もっとも抗議といっても、やはり台湾人だ。怒りの籠る文面ではあるが、なおも台湾人の日本への「優しさ」「友情」も感じ取ることができる。
こうした善良な台湾人の思いを、いつまでも日本のメディアに踏みにじらせ続けていいのか。
これは「反日」国家の中国に迎合し、「親日」国家の台湾を侮辱するメディアを放置し、それによる報道で東アジア情勢に関する自らの認識を誤らせ続けていいのかという問題でもある。
なお今回の抗議に対し、日経は後日回答を寄せるという。
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■台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)第170回定例会

講師 黄錦容先生(台湾国立政治大学日本語学部特別招聘教授)
演題 台湾ナショナリズムの現在ー愛国主義と非物語的な虚構性
第170回定例会では、台湾から来日される黄錦容先生を講師にお迎えします。
昨年の太陽花(ひまわり)学生運動以降に見られる様々な現象やナショナリズム的な言説について考察。広がりを見せるナショナリズムのオタク的心情の内面も突きながら、台湾における社会運動や社会の改造の可能性、策略などを解説していただきます。
日時 平成27年7月18日 (土)18:30~20:15
場所 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
(東京都文京区春日1-16-21)
交通:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央線・総武線「水道橋駅」徒歩約10分
会費 会員500円・一般1000円
(会場では入会も受け付けます。年会費2000円)
問合せ twkenkyuforum@yahoo.co.jp
そうした中、民進党政権の誕生だけは見たくないのが、台湾併呑を狙う中国だ。今後同党を「緊張を高める台湾独立の分裂主義勢力」とするネガティブキャンペーンを強化して行くものと見られるが、その中国に呼応するかのような「誤報」を繰り返すのが、日本経済新聞だ。
そこで抗議に立ち上がったのが、台湾独立派の日本との友好団体「日本研究論壇協会」の陳麒安氏と何朝棟氏だ。二人は七月六日、日経の台北支局を訪れ、抗議文を手交した。


抗議文手交のため日経台北支局を訪れた日本研究論壇協会の陳麒安氏
彼らが問題にするのは、五月末から六月上旬にかけての蔡英文氏の訪米に関する日経の報道。「残念ながら、日経は中国の立場に立ち、(民進党の)陳水扁前総統を『台独を宣伝する』分裂主義者とし、台湾は独立しているとする立場を中華人民共和国からの脱出の企図と批判するが、それは事実と符合せず、台湾人民の怒りを買っている」という。
抗議文にはこうある。
―――日経新聞の五月三十日の「台湾民進党主席、関係修復めざし訪米 安定的な対中政策説明」という記事には、「二〇〇〇年に民進党の陳水扁政権が発足し、大々的に台独を宣伝し、そして二〇〇七年に台湾の国連加盟の是非を問う住民投票政策を推進したことで、台湾と中国との関係が悪化し、米国も台湾を信用しなくなった」(※)と指摘する。
(※)日経記事の原文は「00年に台湾独立を志向する民進党の陳水扁政権が発足。07年に国連加盟の是非を問う住民投票の実施を表明し、中国と対立を深めた。米の反対に応じなかったため、米の民進党への不信感は決定的となった」だが、抗議文で「陳水扁政権が発足し、大々的に台独を宣伝」とあるのは、日経中文網(日経中国語サイト)にある中国語版記事の引用。中国語版は原文より媚中反台的な表現が強烈になっている。
―――これは、ほとんど中国の立場に立って書かれたもので、事実に基づかないばかりか、メディアの倫理にも反している。とても日本のメディアの言論であるとは信じ難い。

抗議文。日経の台湾報道は「中国の立場」に立っていると
―――さらにひどいのは、「日経中文網」がこの記事を翻訳した際、何と「中国」を全て「大陸」とし、「対中政策」を「大陸政策」、「中台関係」を「両岸関係」としたことだ。
―――これらはみな日経の立場の偏りやメディアの役割の違反を示すものだ。
―――今回の件に関して我々は、日経に正式な謝罪を求めるとともに、社会各界が海外メディアの台湾関連報道の公正、客観性の問題を正視することを希望したい。
抗議文はその上で、次の三つの声明を掲げている。
一、日経は厳粛な態度でこの問題を処理するべきだ。日本メディアは日本の読者に大きな影響力を持っている、そのため偏向し、事実に基づかない報道は日本人の台湾への認識、理解をミスリードすることとなる。これは台日関係に影響を及ぼし、両国人民の感情をも傷つけるものだ。日経には誠意をもって対処してもらいたい
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三、日本メディアはさらに公平な台湾報道を行わせるため、本会はこうした問題に関心を持ち続けて行く。本会は台日の関係や民間交流に関心を抱く熱意ある人々のグループであり、両国の友好のため尽力したいと願っている。日本のメディアは早くから不公平な台湾報道を行っており、今回はその一例に過ぎない。今後本会は日本メディアを監視し、必要な批判を行って行く。
この声明にもある通り、日本のメディアの多くは長年にわたり、「一つの中国」なる虚構宣伝を受け入れ、それを報道に反映させてきた。
中華民国体制からの台湾人の独立、建国を意味する「台湾独立」という言葉を「中華人民共和国からの独立」との意味合いで多用するばかりでない。台湾に対して中国を「中国大陸」「中国本土」と呼び、あるいは中国地図に台湾を含めるといった誤報も繰り返している。
その理由は何かと言えば、台湾を中国領土ではないと位置付ければ、中国から抗議を受ける可能性があるからだ。
さらには、そうした誤報を行っても、国内ではほとんど問題視されないからだ。たしかに近年、ネット上での批判の声は高まりつつあるが、すでに「一つの中国」という印象がすっかり定着しており、一般の日本人は誤報を誤報と見抜けなくなっているのである。
そしてもう一つは、台湾から抗議がないことなのである。台湾人は日本への信頼感が強く、日本のメディアがこうした誤報が行っているなど、夢にも思っていない。仮にそれを聞き知っても、相手が日本であると、それを批判し、抗議したがらない傾向が目立つ。つまり日本に「優しい」のだ。
このように国内からも台湾からも抗議の声が上がらない以上、メディアは中国だけに配慮し、安心して不実の報道を行うことができるわけだ。
そうした中で今回、台湾で抗議の声が上がったのだ。これに我々日本人は注目すべきだろう。
もっとも抗議といっても、やはり台湾人だ。怒りの籠る文面ではあるが、なおも台湾人の日本への「優しさ」「友情」も感じ取ることができる。
こうした善良な台湾人の思いを、いつまでも日本のメディアに踏みにじらせ続けていいのか。
これは「反日」国家の中国に迎合し、「親日」国家の台湾を侮辱するメディアを放置し、それによる報道で東アジア情勢に関する自らの認識を誤らせ続けていいのかという問題でもある。
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日時 平成27年7月18日 (土)18:30~20:15
場所 アカデミー文京 学習室(文京シビックセンター地下1階)
(東京都文京区春日1-16-21)
交通:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央線・総武線「水道橋駅」徒歩約10分
会費 会員500円・一般1000円
(会場では入会も受け付けます。年会費2000円)
問合せ twkenkyuforum@yahoo.co.jp
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