福田首相が台湾内政干渉発言―温家宝のでっち上げにも反論せず
2007/12/28/Fri
■福田首相訪中―共同会見で格の違いが歴然
中国を訪問している福田首相は本十二月二十八日午前、温家宝首相と二時間半にわたる首脳会談を行ったのち、午後に人民大会堂で共同記者会見を行った。中国首脳が外国首脳と共同会見を行うのは異例で、中国側の歓迎の意の表明だと言うが、テレビ中継の画面に映し出された二人は同列に並んでいるとは言え、両者の「格」の違いは歴然としていた。威厳と自信に満ちた温首相に対し、緊張のためか絶えずそわそわしていた福田首相は宗主国を前にした属国の宰相のようでもあれば、暴力団の親分に媚びる堅気の市民のようでもあった。
会見は、まず二人が首脳会談の意義や内容に関して発言し、つづいて記者からの質問に答えるかたちがとられた。そしてそこでは日本側が懸案とする東支那海のガス田開発問題で「双方が早期解決のため断固たる決意を共有した」ことが明らかになったが、要するに協議を継続することを確認しただけで、案の定、何の進展もなかったわけだ。その他、経済問題、環境問題、拉致問題などについても話し合われた模様で、そうした話をテレビ中継をしていたNHKの解説員も詳しく取り上げていた。だがなぜか解説員は触れなかったが、本日の会談で中国側が非常に重視していたのが台湾問題である。
つまり台湾が来年三月に予定している、台湾名義での国連加盟の賛否を問う国民投票は「台湾独立の動き」だとして、それを何としてでも阻止したい中国は、日本もそれに同調するよう、会談で取り上げたのだ。言わば台湾への内政干渉の誘いである。このような中国の無法な求めに対し、福田首相はどのように応じたのだろうか。
■「国民投票を支持しない」と言わされた福田首相
二人の冒頭発言ではこれについて触れられなかったが、その後温首相は記者の質問に答えた際、最後に「福田首相は会談について紹介してくれたが、補足したい」と切り出し、わざわざ居住まいを正すかのようにゆっくりと、そして重々しく、「歴史問題と台湾問題は日中関係の改善、強化のための政治的基礎」だとして、台湾問題を語り始めた。そして「福田首相が台湾の国連加盟に関する公民投票を支持しない立場を示したことに、我々は賛成を表明する」と述べたのである。
これによって、福田首相が中国の言いなりとなり、台湾の内政に不支持表明を行わされたことが明らかとなった。
この「不支持」とはいかなる意味があるのだろうか。中国はこれまで日本に対し「台湾独立反対」の表明を求めてきたが、これに対して日本側は「台湾独立を支持しない」と表明してきた。なぜなら台湾は中国の領土であるとの中国の主張は虚構であり、虚構であるがゆえに日本はそれを受け入れていない。それにもかかわらず「中国からの台湾独立に反対」などと表明してしまえば、その虚構を事実と認めてしまうことになる。そこで反対表明を求める中国に対し、精一杯応えようとして使われるのが、この「支持しない」である。
「支持しない」は単に「ノータッチ」「関与しない」「積極的に支持、応援するつもりはない」と言った程度のもので、「反対する」を意味しないらしいが、この言葉を聞けば、誰もそうは思わない。だから中国はこれまで、とりあえずは「支持しない」でよしとしてきた。
そして本日、今度は台湾の国民投票を「支持しない」と言ったのだ。ノーコメントの方法もあっただろう、「関与しない」と言ってもよかった。だが福田首相は「反対する」と受け取られかねない「支持しない」との言葉を用いたのだ。
■日本の政府見解を平然と歪曲した温家宝
このとき温首相は許されざる発言を行った。おそらく台湾問題に無頓着な日本のメディアは取り上げないだろうから、ここで詳述するが、彼はこう言った。
「中国側は、日本側が台湾問題で表明するところの『一つの中国を堅持し、台湾独立に反対する』立場を重視する」
「一つの中国」とは何か。それは日本が採用する「一つの中国の政策」(中華人民共和国と中華民国の内、その一つしか政府承認しないと言う政策)のことか。それとも中国が固持する「一つの中国の原則」(大陸も台湾も中華人民共和国の領土だとする主張原則)のことか。もし後者を指すのであれば、日本はそうした「原則」は堅持していないどころか、受け入れてもいないわけだ。もっともそのいずれであるかは、この発言からは知りようもないのだが、ここで問題とするべきは、「日本が台湾独立に反対するとの立場を表明している」と言った事実歪曲発言である。
温首相は四月に日本を訪問した際、安倍首相に「台湾独立に反対する」と表明するように迫り、失敗に終わっている。そこで中国側は、今回訪中する福田首相にも、同様の要求を突きつけるものと予測されてきた。そして本日、温首相は、要求に応じない日本に業を煮やし、「反対表明」をでっち上げ、その「既成事実」化を図ろうとしたのだろう。
これほど重要な問題だ。決して温首相の言い間違えとは思えない。この発言を翻訳した日本語通訳官は、てっきり「日本の台湾独立を支持しない立場」と言うものと思っていたのだろう、突然「台湾独立に反対する立場」と言われ、うっかり「台湾独立に反対しない立場」と誤訳してしまった。
このように見れば、さきの「日本の一つの中国を堅持する立場」と言う発言も、「日本は一つの中国の原則を堅持している」との事実歪曲発言であった可能性が高い。今後は中国メディアを通じるなどで、日本は「一つの中国の原則を堅持し、台湾独立に反対している」との情報を撒き散らし、国際社会に対する「台湾は中国領土だ」との宣伝に利用するものと思われる。なぜならそのようなやり方が、この国の常套手段だからだ。
それにしても、日本の首相の目の前で、日本の政府見解を平然と歪曲する温首相の大胆さはどこから来るのだろうか。やはり福田首相を属国の宰相くらいにしか見ていないのだろう。
■福田首相発言は完全なる事大主義だ
一方の福田首相も「日中関係発展の方向性について」との記者の質問に答える中、最後に台湾問題に関する「日本の立場」を次のように語った。
「台湾問題は中国の核心的利益に関わるものとする中国側の考えを十分に理解しており、従来から重く受け止めている」「我々の立場は日中共同声明にあるとおり、何ら変更もしていない」
これは日本側のお決まり文句である。つまり、日本は日中共同声明で表明したとおり、「中華人民共和国を唯一の合法政府と認めています。台湾問題で中国の不利になることは致しません」と言う誓約である。
そしてやはりいつものように、こう付け加えた。
「『二つの中国』『一つの中国、一つの台湾』の立場は取っていないし、『台湾独立』は支持しない」
ここには重大な過ちがある。なぜなら日中共同声明で日本側は、台湾を中国領土とは承認しているわけではなく、そのためもちろん「台湾独立を支持しない」などとも表明していない。要するにこれは前述のように、中国の求めに精一杯応えるため、共同声明の内容まで曲解して行うリップサービスなのである。
つづけてこう言った。
「心から(台中問題の)平和的解決を希望する。そのために対話再開を強く希望している。従って一方的な現状変更の試みは支持しない」とし、「その観点から台湾の公民投票を巡って緊張が高まることは望んでいない。またこれが一方的な現状変更に繋がっていくのであれば、支持できない」
台湾と中国との間の「現状」とは何か。それは両国が別々の存在であると言うものだ。ではこの現状を一方的に変更しようとしているのはどちらであるかと言えば、それは「中国統一」(台湾併合)を国家目標として定め、そのために軍備拡張を推し進め、さらにはそれを背景に、台湾を恫喝して降伏を求めている中国である。それに対して台湾は「現状」を死守しようとしている。中国の統一攻勢に抵抗し、国際社会に向かって「台湾は中国の一部ではない」「台湾は主権国家だ」と強調し、その一環として国連加盟、あるいはその希望を表明するための国民投票を行おうとしているのである。
ところが福田首相は、中国の見解に従って、台湾の国民投票を現状変更の動きだと看做し、その「不支持」を表明し、温首相から我々は賛成を表明する」とのお褒めの言葉をいただいたわけである。
なぜ福田首相はそのとき、中国の軍備拡張と言う現状破壊の国家政策を非難しなかったのか。彼が望む「平和的解決」とは、台湾の二千三百万人の国民が中国に降伏し、その支配下に入るということではないのか。
あるいは、なぜ「日本は台湾独立に反対する立場だ」との温首相のでっち上げを目の前で行われながら、それを訂正しなかったのか。
これが中国の「属国宰相」の姿である。事大主義で、大国の言いなりとなって小国の内政に干渉するなど、いかにも属国宰相ならではではないか。
■台湾内政干渉発言を行った福田首相に抗議せよ!
首相官邸 http://www.kantei.go.jp/jp/forms/dokusha.html
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中国を訪問している福田首相は本十二月二十八日午前、温家宝首相と二時間半にわたる首脳会談を行ったのち、午後に人民大会堂で共同記者会見を行った。中国首脳が外国首脳と共同会見を行うのは異例で、中国側の歓迎の意の表明だと言うが、テレビ中継の画面に映し出された二人は同列に並んでいるとは言え、両者の「格」の違いは歴然としていた。威厳と自信に満ちた温首相に対し、緊張のためか絶えずそわそわしていた福田首相は宗主国を前にした属国の宰相のようでもあれば、暴力団の親分に媚びる堅気の市民のようでもあった。
会見は、まず二人が首脳会談の意義や内容に関して発言し、つづいて記者からの質問に答えるかたちがとられた。そしてそこでは日本側が懸案とする東支那海のガス田開発問題で「双方が早期解決のため断固たる決意を共有した」ことが明らかになったが、要するに協議を継続することを確認しただけで、案の定、何の進展もなかったわけだ。その他、経済問題、環境問題、拉致問題などについても話し合われた模様で、そうした話をテレビ中継をしていたNHKの解説員も詳しく取り上げていた。だがなぜか解説員は触れなかったが、本日の会談で中国側が非常に重視していたのが台湾問題である。
つまり台湾が来年三月に予定している、台湾名義での国連加盟の賛否を問う国民投票は「台湾独立の動き」だとして、それを何としてでも阻止したい中国は、日本もそれに同調するよう、会談で取り上げたのだ。言わば台湾への内政干渉の誘いである。このような中国の無法な求めに対し、福田首相はどのように応じたのだろうか。
■「国民投票を支持しない」と言わされた福田首相
二人の冒頭発言ではこれについて触れられなかったが、その後温首相は記者の質問に答えた際、最後に「福田首相は会談について紹介してくれたが、補足したい」と切り出し、わざわざ居住まいを正すかのようにゆっくりと、そして重々しく、「歴史問題と台湾問題は日中関係の改善、強化のための政治的基礎」だとして、台湾問題を語り始めた。そして「福田首相が台湾の国連加盟に関する公民投票を支持しない立場を示したことに、我々は賛成を表明する」と述べたのである。
これによって、福田首相が中国の言いなりとなり、台湾の内政に不支持表明を行わされたことが明らかとなった。
この「不支持」とはいかなる意味があるのだろうか。中国はこれまで日本に対し「台湾独立反対」の表明を求めてきたが、これに対して日本側は「台湾独立を支持しない」と表明してきた。なぜなら台湾は中国の領土であるとの中国の主張は虚構であり、虚構であるがゆえに日本はそれを受け入れていない。それにもかかわらず「中国からの台湾独立に反対」などと表明してしまえば、その虚構を事実と認めてしまうことになる。そこで反対表明を求める中国に対し、精一杯応えようとして使われるのが、この「支持しない」である。
「支持しない」は単に「ノータッチ」「関与しない」「積極的に支持、応援するつもりはない」と言った程度のもので、「反対する」を意味しないらしいが、この言葉を聞けば、誰もそうは思わない。だから中国はこれまで、とりあえずは「支持しない」でよしとしてきた。
そして本日、今度は台湾の国民投票を「支持しない」と言ったのだ。ノーコメントの方法もあっただろう、「関与しない」と言ってもよかった。だが福田首相は「反対する」と受け取られかねない「支持しない」との言葉を用いたのだ。
■日本の政府見解を平然と歪曲した温家宝
このとき温首相は許されざる発言を行った。おそらく台湾問題に無頓着な日本のメディアは取り上げないだろうから、ここで詳述するが、彼はこう言った。
「中国側は、日本側が台湾問題で表明するところの『一つの中国を堅持し、台湾独立に反対する』立場を重視する」
「一つの中国」とは何か。それは日本が採用する「一つの中国の政策」(中華人民共和国と中華民国の内、その一つしか政府承認しないと言う政策)のことか。それとも中国が固持する「一つの中国の原則」(大陸も台湾も中華人民共和国の領土だとする主張原則)のことか。もし後者を指すのであれば、日本はそうした「原則」は堅持していないどころか、受け入れてもいないわけだ。もっともそのいずれであるかは、この発言からは知りようもないのだが、ここで問題とするべきは、「日本が台湾独立に反対するとの立場を表明している」と言った事実歪曲発言である。
温首相は四月に日本を訪問した際、安倍首相に「台湾独立に反対する」と表明するように迫り、失敗に終わっている。そこで中国側は、今回訪中する福田首相にも、同様の要求を突きつけるものと予測されてきた。そして本日、温首相は、要求に応じない日本に業を煮やし、「反対表明」をでっち上げ、その「既成事実」化を図ろうとしたのだろう。
これほど重要な問題だ。決して温首相の言い間違えとは思えない。この発言を翻訳した日本語通訳官は、てっきり「日本の台湾独立を支持しない立場」と言うものと思っていたのだろう、突然「台湾独立に反対する立場」と言われ、うっかり「台湾独立に反対しない立場」と誤訳してしまった。
このように見れば、さきの「日本の一つの中国を堅持する立場」と言う発言も、「日本は一つの中国の原則を堅持している」との事実歪曲発言であった可能性が高い。今後は中国メディアを通じるなどで、日本は「一つの中国の原則を堅持し、台湾独立に反対している」との情報を撒き散らし、国際社会に対する「台湾は中国領土だ」との宣伝に利用するものと思われる。なぜならそのようなやり方が、この国の常套手段だからだ。
それにしても、日本の首相の目の前で、日本の政府見解を平然と歪曲する温首相の大胆さはどこから来るのだろうか。やはり福田首相を属国の宰相くらいにしか見ていないのだろう。
■福田首相発言は完全なる事大主義だ
一方の福田首相も「日中関係発展の方向性について」との記者の質問に答える中、最後に台湾問題に関する「日本の立場」を次のように語った。
「台湾問題は中国の核心的利益に関わるものとする中国側の考えを十分に理解しており、従来から重く受け止めている」「我々の立場は日中共同声明にあるとおり、何ら変更もしていない」
これは日本側のお決まり文句である。つまり、日本は日中共同声明で表明したとおり、「中華人民共和国を唯一の合法政府と認めています。台湾問題で中国の不利になることは致しません」と言う誓約である。
そしてやはりいつものように、こう付け加えた。
「『二つの中国』『一つの中国、一つの台湾』の立場は取っていないし、『台湾独立』は支持しない」
ここには重大な過ちがある。なぜなら日中共同声明で日本側は、台湾を中国領土とは承認しているわけではなく、そのためもちろん「台湾独立を支持しない」などとも表明していない。要するにこれは前述のように、中国の求めに精一杯応えるため、共同声明の内容まで曲解して行うリップサービスなのである。
つづけてこう言った。
「心から(台中問題の)平和的解決を希望する。そのために対話再開を強く希望している。従って一方的な現状変更の試みは支持しない」とし、「その観点から台湾の公民投票を巡って緊張が高まることは望んでいない。またこれが一方的な現状変更に繋がっていくのであれば、支持できない」
台湾と中国との間の「現状」とは何か。それは両国が別々の存在であると言うものだ。ではこの現状を一方的に変更しようとしているのはどちらであるかと言えば、それは「中国統一」(台湾併合)を国家目標として定め、そのために軍備拡張を推し進め、さらにはそれを背景に、台湾を恫喝して降伏を求めている中国である。それに対して台湾は「現状」を死守しようとしている。中国の統一攻勢に抵抗し、国際社会に向かって「台湾は中国の一部ではない」「台湾は主権国家だ」と強調し、その一環として国連加盟、あるいはその希望を表明するための国民投票を行おうとしているのである。
ところが福田首相は、中国の見解に従って、台湾の国民投票を現状変更の動きだと看做し、その「不支持」を表明し、温首相から我々は賛成を表明する」とのお褒めの言葉をいただいたわけである。
なぜ福田首相はそのとき、中国の軍備拡張と言う現状破壊の国家政策を非難しなかったのか。彼が望む「平和的解決」とは、台湾の二千三百万人の国民が中国に降伏し、その支配下に入るということではないのか。
あるいは、なぜ「日本は台湾独立に反対する立場だ」との温首相のでっち上げを目の前で行われながら、それを訂正しなかったのか。
これが中国の「属国宰相」の姿である。事大主義で、大国の言いなりとなって小国の内政に干渉するなど、いかにも属国宰相ならではではないか。
■台湾内政干渉発言を行った福田首相に抗議せよ!
首相官邸 http://www.kantei.go.jp/jp/forms/dokusha.html
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