快挙!台湾で高校生が親中教育部長(文相)を包囲―歴史教科書「中国化」問題 (付:ニュース映像)
2015/06/10/Wed
■国民党政権を脅かす高校生の抗議の声
日本ではほとんど報道されないが、目下台湾では大きな注目を集めている。あの国でもまた日本と同様、歴史教科書問題が浮上しているのだ。
子供たちから日本人の誇りを奪おうとするのが日本の教科書なら、やはり子供たちから台湾人の誇りを抱かせまいとするのが、今年九月の新学期から使用される台湾の高校用教科書なのである。中国への配慮、迎合で自国史を捏造する点でも、日本のそれと合致する。
台湾人の誇りを奪う目的は、民主化後に高まる一方の台湾人意識を抑圧することにある。かつての独裁政権時代のように、大中国史観を押し付けて洗脳し、再び中国人意識を抱かせ、同党の忠良なる国民に仕立て上げようというのが馬英九・国民党政権の中枢を担う在台中国人勢力ならではの発想であり、願望なのである。
そのため新教科書に対しては、古来今日に至るまで台湾は中国の一部だったというウソを大前提の下、数々の歴史捏造を行い、台湾史を強引に中国史の一部と強調するよう指導した。
馬英九政権の委託を受け、こうした洗脳教育の復活を主導するのは、中共の傀儡の如き学者たち。「中国統一」の大きな障害である台湾人意識を心から憎悪する中華民族主義者らだ。
ただ、状況が日本と異なるのは、野党や知識人たちだけでなく、台湾の将来を憂える全国の高校生もまた、こうした動きに抗議の声を上げていることだろう。
そしてこれが政権を脅かしている。なぜなら、昨年の太陽花(ヒマワリ)学生運動が想起されるからだ。大学生らが立ち上がって巻き起こしたあの運動は、「中国統一」に繋がりかねない中国とのサービス貿易協定(服貿)の発効を阻止するとともに、全国の人々の国民党政権に対する不信感を高め、今日に至っている。
■高校版「ヒマワリ学生運動」を警戒する行政院長
太陽花学生運動は反「黒箱服貿」をスローガンに掲げた。「黒箱」とはブラックボックスのこと。服貿が国民の目の届かない密室作業で締結されたことを指していた。
一方、今日の高校生たちのスローガンは反「黒箱課綱」だ。「課綱」は学習指導要領のことで、国民党政権が密室作業で「微調整」という名の課綱の大幅改定(台湾史は六〇・四%の改定)に批判の矛先を向けている。したがって「黒箱課綱微調」とも叫ばれている。
すでに全国二百を超える高校で反課綱を訴えるグループが発足し、フェイスブック上で連結を果たしている。また多くの学校で集会が持たれ、あるいは街頭デモ行進を実施した地域もある。
だから毛治国行政院長(首相)などは六月三日、「運動が燎原の火となり、高校版の太陽花学生運動に発展するかも知れないとの懸念から、教育部(文科省)に対して直ちに生徒たちと意思の疎通を図れと指示した」(自由時報)という。
■生徒の籠絡に失敗して逃げ出した教育部長
そこで呉思華教育部長(文科相)は九日、反対運動の発火点である中部の台中一中(高校)を訪れ、生徒たちとの座談会に臨んだ。
その時の模様は自由時報が十日、一面トップで伝えている。それによると呉思華氏は、「頭をなでに来たのだが、結局逃げ出した」とか。

発行部数最大の自由時報は、高校生と呉教育部長との対話の模様を一面トップで報じた
報道を要約すると、その日の経緯はおよそ以下である。
「座談会は午後六時からだが、五時半には一部の生徒と応援に来た卒業生、大学生が正門に集まり、『教育の尊厳を守れ、黒箱課綱を撤回せよ』『美しい学校を還せ』などと叫んで呉思華氏を“歓迎”。ところが呉氏は通用門から入ったため、みな呆れかえった。その後、座談会は二時間近く続いたが、呉氏がようやく生徒に回答したのは終わりごろ。しかし課綱撤回の訴えには正面から答えず、『課綱調整上の誤りは前任者の問題』『教科書は新旧版両方の採用を認めている』と従来の主張を繰り返し、『教員、生徒がともに歴史を描き、ともに教科書を執筆することが将来の努力目標』と言って宥めるばかり。そして話を終えると、生徒の質問を受けることなく散会にしたため、会場の六百人以上の生徒たちからブーイングが巻き起こり、数十名の生徒及び来賓が場外で抗議のプラカードを掲げ、回答を要求した。生徒たちは早足で立ち去ろうとする呉氏を追いかけ、その車を取り囲み、『謝れ』『正面から回答を』と声を上げた。『課綱撤回』と書かれたプラカードをフロントガラスに置いた者もいた。車は学校職員に守られながら、再び通用門から脱出した」

校門で呉教育部長を待ちうける生徒達
生徒たちとの対話に臨んだ呉教育部長。抗議運動の火消しを狙ったが…

抗議の意志を示す生徒たち

逃げる呉教育部長の車を包囲。真面目に対話しない不誠実さに怒りを爆発させた
台湾を守るという強固な意志を、見事政権に見せつけた一大快挙と言えるだろう。
■高校生は危機にある台湾の「希望」
一方、蘋果日報も九日、こう報じている。
―――呉氏は簡単なスピーチの後、質問を受け付けることになったが、教員や生徒は稲妻のように激しく怒りの声を上げた。ある教師は「(公民の)教科書は二二八事件に触れず、無味乾燥の史実しか載っておらず、台湾の主体性を奪っているとしか思えない。中華民国の最高峰は玉山ではなく(中国の)ヒマラヤだと?笑わせるな」と憤った。
―――ある学生は呉氏を指差し、「微調整は何に依拠したものか。教育部は中国寄りの王暁波を課綱審査チームの責任者に任命した。課綱内容も多くの議論を呼んでいる。作業も密室作業で行われ、この件で教育部は行政訴訟で違法と判断された。もしあなたに教育者の自覚があるなら、法律を守ることを知るべきだ」と訴えた。
―――教育部が課綱を通じ、日治(日本統治)を日拠に書き換えさせようとしていることに関し、ある学生は「馬関(下関)条約調印後、台湾は明らかに日本に割譲され、国際的な承認も得ているのだから不法占領ではなかった。もし教育部は国際法すら尊重できないのなら、どうして国内法を守ることができるのか」と質問した。
―――会場は満席で、両側通路も人でいっぱい。一番後ろには学生らが「私の台湾の歴史を還せ」「違法課綱は撤去」「教育は政治の道具ではない」等と書かれたプラカードを掲げ、抗議した。
こうした不正を許さない高校生の闘争について、来年の総統選挙に出馬する野党民進党の蔡英文主席は六日、「台湾の新世代の覚醒。現実を離れ、過去に逆戻りしようとする歴史課綱に反対する彼らは、自分たちで歴史を描こうとし、そして実際に歴史を作っている。これほど民主、公民意識が高いのだから、台湾も将来に希望を持てる」と讃えている。
国民党の教科書の中国化の動きは、服貿の調印と同様、中国の台湾併呑戦略に呼応した台湾自体の中国化の動きとも受け取られている。少なくとも中国は、同党にそうした期待を寄せているわけだが、それに必死に抵抗する高校生たちは、実際に「台湾の将来の希望」なのだ。
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日本ではほとんど報道されないが、目下台湾では大きな注目を集めている。あの国でもまた日本と同様、歴史教科書問題が浮上しているのだ。
子供たちから日本人の誇りを奪おうとするのが日本の教科書なら、やはり子供たちから台湾人の誇りを抱かせまいとするのが、今年九月の新学期から使用される台湾の高校用教科書なのである。中国への配慮、迎合で自国史を捏造する点でも、日本のそれと合致する。
台湾人の誇りを奪う目的は、民主化後に高まる一方の台湾人意識を抑圧することにある。かつての独裁政権時代のように、大中国史観を押し付けて洗脳し、再び中国人意識を抱かせ、同党の忠良なる国民に仕立て上げようというのが馬英九・国民党政権の中枢を担う在台中国人勢力ならではの発想であり、願望なのである。
そのため新教科書に対しては、古来今日に至るまで台湾は中国の一部だったというウソを大前提の下、数々の歴史捏造を行い、台湾史を強引に中国史の一部と強調するよう指導した。
馬英九政権の委託を受け、こうした洗脳教育の復活を主導するのは、中共の傀儡の如き学者たち。「中国統一」の大きな障害である台湾人意識を心から憎悪する中華民族主義者らだ。
ただ、状況が日本と異なるのは、野党や知識人たちだけでなく、台湾の将来を憂える全国の高校生もまた、こうした動きに抗議の声を上げていることだろう。
そしてこれが政権を脅かしている。なぜなら、昨年の太陽花(ヒマワリ)学生運動が想起されるからだ。大学生らが立ち上がって巻き起こしたあの運動は、「中国統一」に繋がりかねない中国とのサービス貿易協定(服貿)の発効を阻止するとともに、全国の人々の国民党政権に対する不信感を高め、今日に至っている。
■高校版「ヒマワリ学生運動」を警戒する行政院長
太陽花学生運動は反「黒箱服貿」をスローガンに掲げた。「黒箱」とはブラックボックスのこと。服貿が国民の目の届かない密室作業で締結されたことを指していた。
一方、今日の高校生たちのスローガンは反「黒箱課綱」だ。「課綱」は学習指導要領のことで、国民党政権が密室作業で「微調整」という名の課綱の大幅改定(台湾史は六〇・四%の改定)に批判の矛先を向けている。したがって「黒箱課綱微調」とも叫ばれている。
すでに全国二百を超える高校で反課綱を訴えるグループが発足し、フェイスブック上で連結を果たしている。また多くの学校で集会が持たれ、あるいは街頭デモ行進を実施した地域もある。
だから毛治国行政院長(首相)などは六月三日、「運動が燎原の火となり、高校版の太陽花学生運動に発展するかも知れないとの懸念から、教育部(文科省)に対して直ちに生徒たちと意思の疎通を図れと指示した」(自由時報)という。
■生徒の籠絡に失敗して逃げ出した教育部長
そこで呉思華教育部長(文科相)は九日、反対運動の発火点である中部の台中一中(高校)を訪れ、生徒たちとの座談会に臨んだ。
その時の模様は自由時報が十日、一面トップで伝えている。それによると呉思華氏は、「頭をなでに来たのだが、結局逃げ出した」とか。


発行部数最大の自由時報は、高校生と呉教育部長との対話の模様を一面トップで報じた
報道を要約すると、その日の経緯はおよそ以下である。
「座談会は午後六時からだが、五時半には一部の生徒と応援に来た卒業生、大学生が正門に集まり、『教育の尊厳を守れ、黒箱課綱を撤回せよ』『美しい学校を還せ』などと叫んで呉思華氏を“歓迎”。ところが呉氏は通用門から入ったため、みな呆れかえった。その後、座談会は二時間近く続いたが、呉氏がようやく生徒に回答したのは終わりごろ。しかし課綱撤回の訴えには正面から答えず、『課綱調整上の誤りは前任者の問題』『教科書は新旧版両方の採用を認めている』と従来の主張を繰り返し、『教員、生徒がともに歴史を描き、ともに教科書を執筆することが将来の努力目標』と言って宥めるばかり。そして話を終えると、生徒の質問を受けることなく散会にしたため、会場の六百人以上の生徒たちからブーイングが巻き起こり、数十名の生徒及び来賓が場外で抗議のプラカードを掲げ、回答を要求した。生徒たちは早足で立ち去ろうとする呉氏を追いかけ、その車を取り囲み、『謝れ』『正面から回答を』と声を上げた。『課綱撤回』と書かれたプラカードをフロントガラスに置いた者もいた。車は学校職員に守られながら、再び通用門から脱出した」

校門で呉教育部長を待ちうける生徒達

生徒たちとの対話に臨んだ呉教育部長。抗議運動の火消しを狙ったが…

抗議の意志を示す生徒たち

逃げる呉教育部長の車を包囲。真面目に対話しない不誠実さに怒りを爆発させた
台湾を守るという強固な意志を、見事政権に見せつけた一大快挙と言えるだろう。
■高校生は危機にある台湾の「希望」
一方、蘋果日報も九日、こう報じている。
―――呉氏は簡単なスピーチの後、質問を受け付けることになったが、教員や生徒は稲妻のように激しく怒りの声を上げた。ある教師は「(公民の)教科書は二二八事件に触れず、無味乾燥の史実しか載っておらず、台湾の主体性を奪っているとしか思えない。中華民国の最高峰は玉山ではなく(中国の)ヒマラヤだと?笑わせるな」と憤った。
―――ある学生は呉氏を指差し、「微調整は何に依拠したものか。教育部は中国寄りの王暁波を課綱審査チームの責任者に任命した。課綱内容も多くの議論を呼んでいる。作業も密室作業で行われ、この件で教育部は行政訴訟で違法と判断された。もしあなたに教育者の自覚があるなら、法律を守ることを知るべきだ」と訴えた。
―――教育部が課綱を通じ、日治(日本統治)を日拠に書き換えさせようとしていることに関し、ある学生は「馬関(下関)条約調印後、台湾は明らかに日本に割譲され、国際的な承認も得ているのだから不法占領ではなかった。もし教育部は国際法すら尊重できないのなら、どうして国内法を守ることができるのか」と質問した。
―――会場は満席で、両側通路も人でいっぱい。一番後ろには学生らが「私の台湾の歴史を還せ」「違法課綱は撤去」「教育は政治の道具ではない」等と書かれたプラカードを掲げ、抗議した。
こうした不正を許さない高校生の闘争について、来年の総統選挙に出馬する野党民進党の蔡英文主席は六日、「台湾の新世代の覚醒。現実を離れ、過去に逆戻りしようとする歴史課綱に反対する彼らは、自分たちで歴史を描こうとし、そして実際に歴史を作っている。これほど民主、公民意識が高いのだから、台湾も将来に希望を持てる」と讃えている。
国民党の教科書の中国化の動きは、服貿の調印と同様、中国の台湾併呑戦略に呼応した台湾自体の中国化の動きとも受け取られている。少なくとも中国は、同党にそうした期待を寄せているわけだが、それに必死に抵抗する高校生たちは、実際に「台湾の将来の希望」なのだ。
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