戦う台湾の高校生!歴史教科書問題で国民党政権(中華民族主義)に立ち向かう
2015/06/06/Sat
■従来の公正な歴史教科書を憎悪する国民党政権
歴史を改竄して自国を貶める教科書問題を抱える日本の国民なら理解しやすい話だ。台湾でも現在、同様の問題が発生し、大きな議論を読んでいる。
戦後台湾では、中国から亡命して来た国民党独裁政権の中国人化政策の下、学校教育で教える自国史は大中国史観で描かれた中国史のみで、台湾の独自の歴史はほとんど隠蔽されていた。
台湾史の教科書が使用され始めたのは民主化(台湾化)以降。中学校では李登輝政権下の一九九七年で、高校では民進党政権下の二〇〇六年になってからだ。
それらの教科書の記述は中立性、公正性で定評があった。なぜなら、これら台湾人政権の関心は捏造史観で愛国心を煽ることではなく、史実を取り戻して台湾を見つめ直させることにあったからだ。もちろんそこには従来の洗脳教育への反撥もあった。
しかしこれによる台湾人意識の高まりに反撥したのが、国民党などの在台中国人の政治勢力だ。
そしてお隣の中国共産党。台湾併呑を目指す中共にとっても、台湾人意識の高揚は大きな脅威に映った。
そしてこれら勢力は、新しい台湾史教科書を「台独教科書」と罵った。また「日本殖民地美化」とも痛罵した。なぜならこれら教科書は、日本統治時代も台湾史の一環として客観的に評価したからだ。
■中共から評価される台湾の歴史教科書改竄
そこで二〇〇八年、在台中国人である国民党の馬英九が政権を握ると、「脱中国化」から「脱台湾化」への揺り戻し、つまり再び大中国史観による洗脳教育を復活させようと動き出した。
そして台湾史を中国史の一環と位置付ける牽強付会の捏造歴史を生徒に押し付けるべく、高校社会科の学習要領(課綱)の「微調整」(実際には大幅改定)を、国民の監視が及ばない「黒箱」(密室)作業で行い、二〇一四年二月に改定綱領を公表したのだ。
これにより大中国史観は歴史教科書だけでなく、公民教科書にまで及ぶことになる。
中共はこれに賛意を示したが、国内では民進党などの野党や学者団体、教職員などの猛反対が巻き起こった。
しかし教育部(文部科学省に相当)はそれに耳を傾けず、今年九月の新学期から改定綱領に基づく教科書が使用される予定である。
そうした中、このほど驚くべき事実が判明した。学習指導要領の改定には、中共の影響が及んでいる可能性が出て来たのである。
■主導者たちは偏狭な中華民族主義者たち
李登輝元総統を精神的指導者と仰ぐ政党、台湾団結連盟(台連)が六月三日に明らかにしたところによると、歴史課綱委員会のメンバーの民間学者六人のうち、孫若怡が中国の統一戦線工作(統戦)下にあるとされる偏執的な中華民族主義の政論雑誌「海峡評論」の編集委員で、呉昆財ら二人が同誌の連寄稿者だ。

台連による歴史改竄の元凶の暴露のニュースは現地紙一面トップを飾った
残りの三人も呉昆財が委員会に引き込んだ仲間たちと疑われている。ちなみに呉昆財は、独裁者蒋介石を「ミスターデモクラシー」などと讃える中華民族主義者である。中国メディアの取材に対し、「全世界で政治に奉仕しない教科書はない」とも言い放ったこともある。

教科書の「中国化」を主導したのは「海峡評論」誌や中華両岸和平発展連合会など中国統一派グループのメン
バーたちだった
これまで教育部は、同委員会のメンバーの名簿の公開を頑なに拒否して来たが、台連の頼振昌国会議員は「道理で国民には見せられないわけだ」と話す。
さらに頼振昌は課綱審査グループについても、その十人のメンバー中、四人もが「海峡評論」の関係者だと指摘した。たとえばグループのリーダーである王暁波は同誌の主筆にして編集長。この人物こそ今回の綱領改定の立役者だ。その他の三人も同誌の編集委員である。
また台湾では昨年、中国統一派団体が結集して中華両岸和平発展連合会なる反日反米の民族主義団体が発足しているが、王暁波はその創設者であり、孫若怡らもその一員だ。
■台湾の教育部(文科省)は中国の影響下か
台連からの「教育部は中国の統戦教育部か」との批判に対し、教育部の呉思華部長(文科相に相当)は「課綱グループが中共と関係あるかはよくわからないが、同グループは国家教育研究院に帰属する。教育部は同院の専門性を尊重する」として取り合わない。しかし国家教育研究院は教育部の直属機関ではないのか。
一方、王暁波もこう反論する。
「民進党政権時代、課綱グループは台独学者が中心だったはずだ。なぜ台連はそれに抗議しなかったのか」と。
そして、改定綱領が日本時代の慰安婦に関する記述で「強制連行」に触れるよう指導する問題で、頼振昌が昨年、「教育部は、慰安婦が一〇〇パーセント強制連行されたとする証拠でもあるのか」と批判したのを意識してだろう。次のような挑発も行った。
「もし台連が、『志願』から『強制』に改めたことに反対なら、私は全責任を負い、命を掛けて公開討論を行おう。台連も武士道精神に基づき切腹覚悟で応じよ。それができるか」
いかにも中華民族主義者ならではの好戦性だ。こうした勢力に学校教育は牛耳られて行くのだろうか。
■政府が恐れる高校版「ヒマワリ学生運動」
こうした捏造史観による史実の隠蔽、否定は日本の歴史教科書問題と同様だが、しかし日本と異なるのは、全国の高校生がそれに抗議の声を挙げていることだ。
全国の各校の生徒たちがフェイスブック上で「黒箱課綱に反対、拒絶、撤回要求」を唱えるグループを結成し、その数は六月五日の段階ですでに四百二校を数えている。
校内で討論会を行い、あるいは街頭でデモ行進を行うなど、抗議活動は拡大する一方だ。
今日の高校生は昨年の太陽花(ヒマワリ)学生運動の大学生たちと同様、民主化時代に生まれ育った世代であり、しかも確固とした台湾人意識を持っており、前時代的な中国人化のための洗脳教育などとても受け入れられないのである。

教科書問題で討議を行う高校生たち。台湾の将来を思い真剣な面持ちである

高校生の抗議デモ。このうねりは高校版「ヒマワリ学生運動」に発展するのか
こうした状況を受け、六月三日には毛治国行政院長(首相に相当)が、高校版の太陽花学生運動に発展するのを懸念し、教育部に対し「生徒たちと意思疎通を図れ」と支持した。与党国民党議員からも「まずは生徒と話し合いを。改定綱領の実施は延期すべきだ」との声が上がった。
一方、呉思華教育部長は同日、「すでに新旧版の教科書のいずれも使用できることに決めている。改定綱領に反対する教員、生徒に報復しないことを保証する」というのが精一杯。馬英九政権自体は、生徒の思想改造の目論みを放棄する気などさらさらないのである。
七月には台北で生徒らによる大規模デモが行われる見込み。
懸念されるのは政府によるその後の「報復」だ。なぜならそれが、中華民族主義者のやり方だからである。
【過去の関連記事】
「反日」捏造が再び―台湾の歴史教科書が危機!(上) 14/01/30
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2294.html
日本統治の不法化は中国人化教育―台湾の歴史教科書が危機!(中)14/02/02
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洗脳教育は台湾抹殺の前奏曲―台湾の歴史教科書が危機!(下)/附・「台湾チャンネル」関連解説動画
14/02/04
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「日本統治」否定に見る台湾歴史教育「中国化」の蠢きー国民党の洗脳政策に高校生も反撥!15/06/04
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2573.html
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歴史を改竄して自国を貶める教科書問題を抱える日本の国民なら理解しやすい話だ。台湾でも現在、同様の問題が発生し、大きな議論を読んでいる。
戦後台湾では、中国から亡命して来た国民党独裁政権の中国人化政策の下、学校教育で教える自国史は大中国史観で描かれた中国史のみで、台湾の独自の歴史はほとんど隠蔽されていた。
台湾史の教科書が使用され始めたのは民主化(台湾化)以降。中学校では李登輝政権下の一九九七年で、高校では民進党政権下の二〇〇六年になってからだ。
それらの教科書の記述は中立性、公正性で定評があった。なぜなら、これら台湾人政権の関心は捏造史観で愛国心を煽ることではなく、史実を取り戻して台湾を見つめ直させることにあったからだ。もちろんそこには従来の洗脳教育への反撥もあった。
しかしこれによる台湾人意識の高まりに反撥したのが、国民党などの在台中国人の政治勢力だ。
そしてお隣の中国共産党。台湾併呑を目指す中共にとっても、台湾人意識の高揚は大きな脅威に映った。
そしてこれら勢力は、新しい台湾史教科書を「台独教科書」と罵った。また「日本殖民地美化」とも痛罵した。なぜならこれら教科書は、日本統治時代も台湾史の一環として客観的に評価したからだ。
■中共から評価される台湾の歴史教科書改竄
そこで二〇〇八年、在台中国人である国民党の馬英九が政権を握ると、「脱中国化」から「脱台湾化」への揺り戻し、つまり再び大中国史観による洗脳教育を復活させようと動き出した。
そして台湾史を中国史の一環と位置付ける牽強付会の捏造歴史を生徒に押し付けるべく、高校社会科の学習要領(課綱)の「微調整」(実際には大幅改定)を、国民の監視が及ばない「黒箱」(密室)作業で行い、二〇一四年二月に改定綱領を公表したのだ。
これにより大中国史観は歴史教科書だけでなく、公民教科書にまで及ぶことになる。
中共はこれに賛意を示したが、国内では民進党などの野党や学者団体、教職員などの猛反対が巻き起こった。
しかし教育部(文部科学省に相当)はそれに耳を傾けず、今年九月の新学期から改定綱領に基づく教科書が使用される予定である。
そうした中、このほど驚くべき事実が判明した。学習指導要領の改定には、中共の影響が及んでいる可能性が出て来たのである。
■主導者たちは偏狭な中華民族主義者たち
李登輝元総統を精神的指導者と仰ぐ政党、台湾団結連盟(台連)が六月三日に明らかにしたところによると、歴史課綱委員会のメンバーの民間学者六人のうち、孫若怡が中国の統一戦線工作(統戦)下にあるとされる偏執的な中華民族主義の政論雑誌「海峡評論」の編集委員で、呉昆財ら二人が同誌の連寄稿者だ。

台連による歴史改竄の元凶の暴露のニュースは現地紙一面トップを飾った
残りの三人も呉昆財が委員会に引き込んだ仲間たちと疑われている。ちなみに呉昆財は、独裁者蒋介石を「ミスターデモクラシー」などと讃える中華民族主義者である。中国メディアの取材に対し、「全世界で政治に奉仕しない教科書はない」とも言い放ったこともある。

教科書の「中国化」を主導したのは「海峡評論」誌や中華両岸和平発展連合会など中国統一派グループのメン
バーたちだった
これまで教育部は、同委員会のメンバーの名簿の公開を頑なに拒否して来たが、台連の頼振昌国会議員は「道理で国民には見せられないわけだ」と話す。
さらに頼振昌は課綱審査グループについても、その十人のメンバー中、四人もが「海峡評論」の関係者だと指摘した。たとえばグループのリーダーである王暁波は同誌の主筆にして編集長。この人物こそ今回の綱領改定の立役者だ。その他の三人も同誌の編集委員である。
また台湾では昨年、中国統一派団体が結集して中華両岸和平発展連合会なる反日反米の民族主義団体が発足しているが、王暁波はその創設者であり、孫若怡らもその一員だ。
■台湾の教育部(文科省)は中国の影響下か
台連からの「教育部は中国の統戦教育部か」との批判に対し、教育部の呉思華部長(文科相に相当)は「課綱グループが中共と関係あるかはよくわからないが、同グループは国家教育研究院に帰属する。教育部は同院の専門性を尊重する」として取り合わない。しかし国家教育研究院は教育部の直属機関ではないのか。
一方、王暁波もこう反論する。
「民進党政権時代、課綱グループは台独学者が中心だったはずだ。なぜ台連はそれに抗議しなかったのか」と。
そして、改定綱領が日本時代の慰安婦に関する記述で「強制連行」に触れるよう指導する問題で、頼振昌が昨年、「教育部は、慰安婦が一〇〇パーセント強制連行されたとする証拠でもあるのか」と批判したのを意識してだろう。次のような挑発も行った。
「もし台連が、『志願』から『強制』に改めたことに反対なら、私は全責任を負い、命を掛けて公開討論を行おう。台連も武士道精神に基づき切腹覚悟で応じよ。それができるか」
いかにも中華民族主義者ならではの好戦性だ。こうした勢力に学校教育は牛耳られて行くのだろうか。
■政府が恐れる高校版「ヒマワリ学生運動」
こうした捏造史観による史実の隠蔽、否定は日本の歴史教科書問題と同様だが、しかし日本と異なるのは、全国の高校生がそれに抗議の声を挙げていることだ。
全国の各校の生徒たちがフェイスブック上で「黒箱課綱に反対、拒絶、撤回要求」を唱えるグループを結成し、その数は六月五日の段階ですでに四百二校を数えている。
校内で討論会を行い、あるいは街頭でデモ行進を行うなど、抗議活動は拡大する一方だ。
今日の高校生は昨年の太陽花(ヒマワリ)学生運動の大学生たちと同様、民主化時代に生まれ育った世代であり、しかも確固とした台湾人意識を持っており、前時代的な中国人化のための洗脳教育などとても受け入れられないのである。

教科書問題で討議を行う高校生たち。台湾の将来を思い真剣な面持ちである

高校生の抗議デモ。このうねりは高校版「ヒマワリ学生運動」に発展するのか
こうした状況を受け、六月三日には毛治国行政院長(首相に相当)が、高校版の太陽花学生運動に発展するのを懸念し、教育部に対し「生徒たちと意思疎通を図れ」と支持した。与党国民党議員からも「まずは生徒と話し合いを。改定綱領の実施は延期すべきだ」との声が上がった。
一方、呉思華教育部長は同日、「すでに新旧版の教科書のいずれも使用できることに決めている。改定綱領に反対する教員、生徒に報復しないことを保証する」というのが精一杯。馬英九政権自体は、生徒の思想改造の目論みを放棄する気などさらさらないのである。
七月には台北で生徒らによる大規模デモが行われる見込み。
懸念されるのは政府によるその後の「報復」だ。なぜならそれが、中華民族主義者のやり方だからである。
【過去の関連記事】
「反日」捏造が再び―台湾の歴史教科書が危機!(上) 14/01/30
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日本統治の不法化は中国人化教育―台湾の歴史教科書が危機!(中)14/02/02
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洗脳教育は台湾抹殺の前奏曲―台湾の歴史教科書が危機!(下)/附・「台湾チャンネル」関連解説動画
14/02/04
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「日本統治」否定に見る台湾歴史教育「中国化」の蠢きー国民党の洗脳政策に高校生も反撥!15/06/04
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2573.html
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