「日本統治」否定に見る台湾歴史教育「中国化」の蠢きー国民党の洗脳政策に高校生も反撥!
2015/06/04/Thu
■公正だった台湾でも反日歴史教育の動き
学校の歴史教育で日本の「侵略」「殖民地支配」を受けたとヒステリックに強調する周辺諸国の中で、当時の歴史を公正、客観的に記述するのが、台湾の民進党政権発足以降の高校用歴史教科書だ。要するに台湾人は中国人や韓国人と違い、反日民族主義で国民を束ね、政権の正当性を強調するという政治的発想がないという訳だ。
しかし二〇〇八年に発足した馬英九総統(中国出身)の国民党政権には、それが強烈なまでにある。同党独裁時代と同様、台湾人に中華民族主義(つまり反日民族主義)を扶植する洗脳教育に乗り出しているところだ。
この政権が歴史の門外漢の学者たちを集め、密室作業で学習指導要領を改定させ(「微調整」という名の大幅改定)を行わせ、歴史、公民等の教科書に大中国史観(中華民族主義)を反映させることに着手したのが、二〇一四年一月のことである。
日本でも共同通信(二〇一五年二月十三日)が「『日本統治時代(1895~1945年)を過度に美化しないよう』などとして教育部(教育省)が学習指導要領を昨年改定」「改定要領は『統治』の表記を『植民統治』に変えるほか、慰安婦問題について『(慰安婦になることを)強制された』との言葉を補うなどとし、歴史問題で日本に批判的」と報じている。

歴史教科書の学習指導要領の改定により、左欄から右欄へのように、日本統治時代に関する批判的記述が増加することに
■日本統治時代を「美化」?―台湾人の理性への侮辱
実際に現行の教科書は日本統治時代を「美化」しているかどうかだが、この問題は台湾では議論の大きな的である。そもそも国民党(あるいは中国共産党)の大中国史観にかかれば、日本統治を一〇〇%否定しないことは、すなわち「美化」となる訳で、多くの台湾人は、こうした幼稚な罵倒語にうんざりしている。なぜならそれは、台湾人の理性に対する、言われなき侮辱だからだ。
改定要領はこの他、日本統治下での経済的発展を促した諸施策の説明よりも、日本による経済の壟断、搾取を強調するように指導もしており、でき得る限り当時の時代を否定する構えだ。
さて、「統治」か「植民統治」かの問題である。
現行の教科書は日本統治を「日本統治」「日治」と呼ぶ訳だが、台湾ではこの他、独裁時代の公定用語である「日拠」(日本占拠)との呼称もある。これは「日本占領」という意味で、そこには日本統治は不法な占領であり、台湾の主権は当時を含め、一貫して中国が握っているとの国民党の主張が反映されている。しかし史実に照らせば、日本の台湾統治は下関条約に基づく合法的なもの。したがって「日拠」なる用語は政治プロパガンダに過ぎないのである。
そのため教科書でも史実に符合する「日治」が採用されるに至ったわけだが、中華民族主義者はそれが許せない。
■「日本統治時代」-排斥される歴史用語
だからと言って、「日治」を否定するにも正当な理由も見当たらない。そのため行政院は二〇一三年、公文書では「日拠」で統一する決定はしたものの、教科書については「日治」と「日拠」の両表記を容認するというのが精一杯だった。
そうした中で持ち出されるのが「殖民統治」なのである。これであれば史実に反しないし、「殖民」という二字で日本統治の不法性、不当性を強調するのが狙いだ。
さてその後の今年五月九日、教育部が今年九月の新学期から使用される新たな高校用歴史教科書を公開。九社ある内、「日本殖民統治時期」を採用したのは五社に及んだ。

公開された新しい歴史教科書
一方「日本統治時期」が二社で「日治台湾」は一社。それらの中には「日本人は半世紀もの長きに及ぶ殖民統治(略称・日治時期)」との記述も見られた。

日本統治時代に批判的な呼称改変には、日台分断を画策する中国も関心を示す。写真はCCTVのニュース画面
そして残りの一社だが、こちらは「日拠時期殖民統治」とした。これは、大中国史観を拡散するため、二〇一二年に設立された史記文化という出版社。代表者は両岸統合学界執行長の肩書を持つ中国ベッタリの退役中将。書中で日本殖民統治時期を日拠時期と略称する理由を三百字以上にわたって解説しているあたりは、実に戦闘的だ。
■「日本美化」と「台湾独立」を敵視する国民党
学習指導要領の改定を伝えた前掲の共同の記事だが、そこにはこうも書かれている。
「歴史問題で日本に批判的な一方、中国とのつながりを強調する内容。野党などは『大中国史観に立ち、台湾を矮小化している』などと反発している」
このように台湾人に中国人意識を抱かせようと狙う国民党は、従来の教科書の所謂「日本統治の美化」だけでなく、台湾人意識を高揚させる台湾独自の歴史の記述をも「台湾独立」の動きだとして敵視し、台湾史を中国史の一環として強調したいのである。
そのため改定された学習指導要領は、たとえば十七世紀のオランダ統治を「治台」から「入台」に改めよとし、オランダが「中国の台湾」に侵入したかのような印象を持たせようとするが、それ以前の時代に台湾は中国に支配されたことはなかった。
同じく鄭成功一族による台湾統治時代も「鄭氏統治時期」から「明鄭統治時期」に改め、台湾が明国(中国)の統治下にあったかの如く記述するよう指導するも、あの当時明国はすでに滅亡している。
要するに台湾は古来中国の一部だったと位置付けたい訳だが、実際にはどれも史実より「政治」を優先させた、国民党独裁時代の捏造史観の復活なのである。

捏造に満ちた大中国史観に基づく歴史用語改変の数々
■中国人の洗脳歴史教育を拒絶する台湾の青年層
戦後史についても、国民党による一九四五年の台湾の「接収」(連合国の一員としての台湾軍事占領)を「光復」(台湾の中国への復帰)に改めよとするが、史実は「接収」である。
四七年の二・二八事件についても、それが後の白色テレへと続く恐怖政治の一環だったとした従来の記述を止めさせ、事件があたかも突発事件だったかのように描き、かつ白色テロは削除するよう規定した。つまり国民党自らによる台湾人弾圧政策の隠蔽である。
そして「中国」は「中国大陸」に改めろとも指示。台湾は中国の一部であり、「中国」は外国ではないとの位置付けだが、これも事実に反している。
そしてこうした欺瞞に満ちた教科書の中国化は、歴史のみならず公民の領域にも及んでいる。
だから国内で「大中国史観に立ち、台湾を矮小化している」との批判が巻き起こっているのは当然なのだ。民進党の首長や歴史学者の他、全国の教員、そして高校生たちまでもが、「微調整」された指導要領に沿う新教科書のボイコットを訴えている状況だ。
生徒たちまでがネットなどを通じ、反対運動を展開していることは注目に値する。彼らはこれまで客観的、理性的な歴史教育を受けて来た世代であり、国民党の前時代的な洗脳教育など受け入れることができないのである。


「中国化を拒絶し、台湾史を守れ!」 高校生らが洗脳教科書に抗議デモ(5月31日)
しかし国民党はだからこそ、その子供たちの思想を改造しようと躍起になっているのだ。しかも中国共産党による支持と声援を受けながら。
これが、今台湾で進行する悲劇の一つなのである。
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学校の歴史教育で日本の「侵略」「殖民地支配」を受けたとヒステリックに強調する周辺諸国の中で、当時の歴史を公正、客観的に記述するのが、台湾の民進党政権発足以降の高校用歴史教科書だ。要するに台湾人は中国人や韓国人と違い、反日民族主義で国民を束ね、政権の正当性を強調するという政治的発想がないという訳だ。
しかし二〇〇八年に発足した馬英九総統(中国出身)の国民党政権には、それが強烈なまでにある。同党独裁時代と同様、台湾人に中華民族主義(つまり反日民族主義)を扶植する洗脳教育に乗り出しているところだ。
この政権が歴史の門外漢の学者たちを集め、密室作業で学習指導要領を改定させ(「微調整」という名の大幅改定)を行わせ、歴史、公民等の教科書に大中国史観(中華民族主義)を反映させることに着手したのが、二〇一四年一月のことである。
日本でも共同通信(二〇一五年二月十三日)が「『日本統治時代(1895~1945年)を過度に美化しないよう』などとして教育部(教育省)が学習指導要領を昨年改定」「改定要領は『統治』の表記を『植民統治』に変えるほか、慰安婦問題について『(慰安婦になることを)強制された』との言葉を補うなどとし、歴史問題で日本に批判的」と報じている。

歴史教科書の学習指導要領の改定により、左欄から右欄へのように、日本統治時代に関する批判的記述が増加することに
■日本統治時代を「美化」?―台湾人の理性への侮辱
実際に現行の教科書は日本統治時代を「美化」しているかどうかだが、この問題は台湾では議論の大きな的である。そもそも国民党(あるいは中国共産党)の大中国史観にかかれば、日本統治を一〇〇%否定しないことは、すなわち「美化」となる訳で、多くの台湾人は、こうした幼稚な罵倒語にうんざりしている。なぜならそれは、台湾人の理性に対する、言われなき侮辱だからだ。
改定要領はこの他、日本統治下での経済的発展を促した諸施策の説明よりも、日本による経済の壟断、搾取を強調するように指導もしており、でき得る限り当時の時代を否定する構えだ。
さて、「統治」か「植民統治」かの問題である。
現行の教科書は日本統治を「日本統治」「日治」と呼ぶ訳だが、台湾ではこの他、独裁時代の公定用語である「日拠」(日本占拠)との呼称もある。これは「日本占領」という意味で、そこには日本統治は不法な占領であり、台湾の主権は当時を含め、一貫して中国が握っているとの国民党の主張が反映されている。しかし史実に照らせば、日本の台湾統治は下関条約に基づく合法的なもの。したがって「日拠」なる用語は政治プロパガンダに過ぎないのである。
そのため教科書でも史実に符合する「日治」が採用されるに至ったわけだが、中華民族主義者はそれが許せない。
■「日本統治時代」-排斥される歴史用語
だからと言って、「日治」を否定するにも正当な理由も見当たらない。そのため行政院は二〇一三年、公文書では「日拠」で統一する決定はしたものの、教科書については「日治」と「日拠」の両表記を容認するというのが精一杯だった。
そうした中で持ち出されるのが「殖民統治」なのである。これであれば史実に反しないし、「殖民」という二字で日本統治の不法性、不当性を強調するのが狙いだ。
さてその後の今年五月九日、教育部が今年九月の新学期から使用される新たな高校用歴史教科書を公開。九社ある内、「日本殖民統治時期」を採用したのは五社に及んだ。

公開された新しい歴史教科書
一方「日本統治時期」が二社で「日治台湾」は一社。それらの中には「日本人は半世紀もの長きに及ぶ殖民統治(略称・日治時期)」との記述も見られた。

日本統治時代に批判的な呼称改変には、日台分断を画策する中国も関心を示す。写真はCCTVのニュース画面
そして残りの一社だが、こちらは「日拠時期殖民統治」とした。これは、大中国史観を拡散するため、二〇一二年に設立された史記文化という出版社。代表者は両岸統合学界執行長の肩書を持つ中国ベッタリの退役中将。書中で日本殖民統治時期を日拠時期と略称する理由を三百字以上にわたって解説しているあたりは、実に戦闘的だ。
■「日本美化」と「台湾独立」を敵視する国民党
学習指導要領の改定を伝えた前掲の共同の記事だが、そこにはこうも書かれている。
「歴史問題で日本に批判的な一方、中国とのつながりを強調する内容。野党などは『大中国史観に立ち、台湾を矮小化している』などと反発している」
このように台湾人に中国人意識を抱かせようと狙う国民党は、従来の教科書の所謂「日本統治の美化」だけでなく、台湾人意識を高揚させる台湾独自の歴史の記述をも「台湾独立」の動きだとして敵視し、台湾史を中国史の一環として強調したいのである。
そのため改定された学習指導要領は、たとえば十七世紀のオランダ統治を「治台」から「入台」に改めよとし、オランダが「中国の台湾」に侵入したかのような印象を持たせようとするが、それ以前の時代に台湾は中国に支配されたことはなかった。
同じく鄭成功一族による台湾統治時代も「鄭氏統治時期」から「明鄭統治時期」に改め、台湾が明国(中国)の統治下にあったかの如く記述するよう指導するも、あの当時明国はすでに滅亡している。
要するに台湾は古来中国の一部だったと位置付けたい訳だが、実際にはどれも史実より「政治」を優先させた、国民党独裁時代の捏造史観の復活なのである。

捏造に満ちた大中国史観に基づく歴史用語改変の数々
■中国人の洗脳歴史教育を拒絶する台湾の青年層
戦後史についても、国民党による一九四五年の台湾の「接収」(連合国の一員としての台湾軍事占領)を「光復」(台湾の中国への復帰)に改めよとするが、史実は「接収」である。
四七年の二・二八事件についても、それが後の白色テレへと続く恐怖政治の一環だったとした従来の記述を止めさせ、事件があたかも突発事件だったかのように描き、かつ白色テロは削除するよう規定した。つまり国民党自らによる台湾人弾圧政策の隠蔽である。
そして「中国」は「中国大陸」に改めろとも指示。台湾は中国の一部であり、「中国」は外国ではないとの位置付けだが、これも事実に反している。
そしてこうした欺瞞に満ちた教科書の中国化は、歴史のみならず公民の領域にも及んでいる。
だから国内で「大中国史観に立ち、台湾を矮小化している」との批判が巻き起こっているのは当然なのだ。民進党の首長や歴史学者の他、全国の教員、そして高校生たちまでもが、「微調整」された指導要領に沿う新教科書のボイコットを訴えている状況だ。
生徒たちまでがネットなどを通じ、反対運動を展開していることは注目に値する。彼らはこれまで客観的、理性的な歴史教育を受けて来た世代であり、国民党の前時代的な洗脳教育など受け入れることができないのである。




「中国化を拒絶し、台湾史を守れ!」 高校生らが洗脳教科書に抗議デモ(5月31日)
しかし国民党はだからこそ、その子供たちの思想を改造しようと躍起になっているのだ。しかも中国共産党による支持と声援を受けながら。
これが、今台湾で進行する悲劇の一つなのである。
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