産経(九州版)に中国「尖閣」HPの宣伝を打ち破る記事―日本は「総力戦」で対抗を!
2015/01/29/Thu
日本でもメディア各社が報じているように、中国の国家海洋局の国家海洋信息センターは昨年十二月二十九日、尖閣諸島問題の専門サイト(「釣魚島―中国的固有領土」を開設。
これについて新華社は、「歴史的文献、法律の文書を公表し、釣魚島及ぶその付属島嶼が中国固有の領土であり、中国はそれに争うことのできない主権を擁していることをはっきり証明する」ものであり、「先ず中国語版を開設するが、英、日、仏、独、西、露、アラビア語版なども順次立ち上げる」と伝えている。

情報戦強化で中国が開設した尖閣専門サイト。もちろん内容は捏造だらけだ
他方、中国中央テレビ(CCTV)は「釣魚島の地理、歴史的変遷、日本による侵略・占領の歴史について多くの中国民衆は深く理解しておらず、権威ある情報源を持たず、日本右翼の宣伝に騙される日本の民衆ならなおさらだ」とした上で、「中国が更に必要なのは海上主権を維持するさらなる強大な力だけでなく、広範な対外宣伝力、完全で信用できる公民教育工作なのだ」と強調。このサイトが国際社会をも惑わす宣伝戦、世論戦、法律戦の武器にしようとの中国側の意図を明らかにする。
そうした中、こうした情報戦に大きな打撃を与え得る記事が、一月二十九日の産経新聞・九州版に掲載された。
タイトルは「尖閣は台湾の一部…中国サイトずさんなプロパガンダ」(紙面では「稚拙なプロパガンダ」)。

あのサイトが「取り上げた資料の解釈に多くの誤りがあると、日本の専門家から指摘の声が上がっている」という内容。「領有権の根拠とする文献資料を掲載するが、18~19世紀に発行された欧州の単なる航海情報誌を取り上げるなど、杜撰な点が目立つ」と指摘する。
サイトが取り上げた「文献資料=航海情報誌」とは「19世紀に英国で発刊された『経緯度表』(Jパーディ著)」と「18世紀にポルトガルで発刊された『航海術教本』(Mピメンテル著)」。
ともに「東アジアの航路について説明した書物」と見られるそうだが、先ず前者の『経緯度表』について、記事はこう書く。

中国のサイトが掲載する『経緯度表』の写真。「台湾」の下に尖閣と思われる島の名が見える
と強調するが
―――「経緯度表」には、島名が羅列された一覧表があり、「台湾」の直後に尖閣諸島と思われる島の名前が並ぶ。中国側は、釣魚島は台湾の一部であり台湾とともに中国に属する、と主張する。日清戦争後の下関条約(1895年)で台湾を日本に割譲したが、昭和27年の条約失効により、台湾と、その一部である釣魚島の領有権も中国側に戻ったという理屈だ。
―――だが、尖閣問題に詳しい長崎純心大の石井望准教授(尖閣史)は「『台湾の次に釣魚島に行った』という航海記録を参考に記述したに過ぎない」と分析する。
―――中国側がサイトで提示した『経緯度表』は、世界各地の経度と緯度を記した航海用資料だ。
―――尖閣の前に台湾最北端の経緯度が示されるページがあることから、中国側は「尖閣は台湾に付属する」ことの証拠だと取り上げた。だが、この資料は実のところ、「釣魚島・台湾諸島一体説」を否定している。例えば台湾全島を示す別のページには、尖閣諸島が含まれていない。
―――他のページをみると、台湾全島は「中国海」(南シナ海)に含まれ、中国大陸南部の沿岸各地を詳しく載せていた。一方、尖閣諸島は琉球と同様に「東海」(東シナ海)の中に書かれている。尖閣、宮古八重山諸島、琉球の順となっている。中国側の訴えとはまったく逆に、尖閣は琉球列島に属することを示した資料といえる。
次に後者の『航海術教本』について。

同じく『航海術教本』の写真。ここにある「レスマゴス」が尖閣だと指摘するが、果たして・・・
―――「航海術教本」も精査すると、日本の欄に赤道直下の島が含まれたり、台湾の欄にフィリピン・ルソン島が記載されるなど、島の帰属を表したといえない記述が多い。
―――(中国側は)『航海術教本』では、台湾と同じ欄に掲載された「レスマゴス」という島を、中国側は釣魚島だと主張している。だがレスマゴスは、文献によって尖閣諸島を指す場合もあれば、八重山諸島を指す場合もあり、一様には言えない。
―――航海術教本のレスマゴスは、北緯の記述から見て、台湾北方にある「棉花嶼」だとみるのが妥当といえる。当時の技術でも、緯度は天体に基づき比較的、正確に計測されていた。
中国の宣伝を「杜撰」「稚拙」と呼ぶゆえんだろう。このように中国が自ら「中国の領土ではない」と実証する史料を振りかざすことは少なくない。しかしだからと言って、こうした虚構宣伝は断じて侮れない。記事も以下のような専門家の談話を載せる。

―――筑波大名誉教授、尾崎重義氏(国際法)は「中国側は法律家や歴史家からみると根拠になりえない資料も、精査もせずにアピール材料として出してくる。稚拙な解釈でも資料が増えれば、海外の世論に誤解を招きかねない。日本も政府、学者、マスコミを含め総力戦で反論せねばならない」と懸念を表明した。
中国の宣伝戦には「総力戦」を以って対抗しなければならないということだ。何しろあの国はかの軍事力の増強に匹敵っする執念で宣伝工作に取り組んでいるのだから。
今回の産経の記事が九州版に留まり、全国版に掲載されなかったのはあまりに惜しい。
(追記)
産経記事に「航海術教本のレスマゴスは、北緯の記述から見て、台湾北方にある「棉花嶼」だとみるのが妥当といえる」とあるが、これについて現在石井望氏が八重山日報で連載中の“中国「釣魚島」特設サイトの虚構を暴く”の第二回(一月二十九日)では次のように書かれている。ちなみにここにある「臺灣北方三島の一つ」とは「棉花嶼」を指す。
―――レスマゴスが臺灣及びチャイナ大陸沿岸と同一欄に置かれてゐるので、臺灣附屬島嶼だといふ理屈だ。確かに欄内は全てチャイナが領有を主張してゐる地名ばかりだ。さあ日本、大丈夫か。
―――ご心配には及ばない。このレスマゴスは、記載の北緯25度20分にもとづけば臺灣北方三島の一つである。尖閣ではない。欄分けも、同書の1712年初版、1762年三版、1819年四版では全く異なり、單に行數の都合で位置が上下に移動してゐるだけなのだ。新サイトでは、都合よくレスマゴス迄(まで)で欄線を引く1746年版を載せてゐるに過ぎない。
『経緯度表』『航海術教本』について分析する石井氏の連載の今後に期待したい。
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台湾研究フォーラム第169回定例会

講師:盧韻至さん(台湾独立建国連盟日本本部盟員)
演題:「馬英九の売国行為が生んだ台湾の現状」
318ひまわり学生運動後、台湾の若者はもちろん台湾全体的に台湾アイデンティティや台湾独立への意識が高まったが、去年の11月台湾の地方統一選挙での国民党惨敗により、馬英九の売国行為には更に加速する可能性がある。ここで欠かせないのは日本とアメリカからの協力だ。
日時:2月4日(水) 18時30分~20時30分
場所:文京シビック3階会議室(東京都文京区春日1‐16‐21)
交通:東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
JR総武線「水道橋駅」(東口)徒歩9分
会費:会員500円/一般1000円
問合せ:twkenkyuforum@yahoo.co.jp
070-6484-2624
これについて新華社は、「歴史的文献、法律の文書を公表し、釣魚島及ぶその付属島嶼が中国固有の領土であり、中国はそれに争うことのできない主権を擁していることをはっきり証明する」ものであり、「先ず中国語版を開設するが、英、日、仏、独、西、露、アラビア語版なども順次立ち上げる」と伝えている。

情報戦強化で中国が開設した尖閣専門サイト。もちろん内容は捏造だらけだ
他方、中国中央テレビ(CCTV)は「釣魚島の地理、歴史的変遷、日本による侵略・占領の歴史について多くの中国民衆は深く理解しておらず、権威ある情報源を持たず、日本右翼の宣伝に騙される日本の民衆ならなおさらだ」とした上で、「中国が更に必要なのは海上主権を維持するさらなる強大な力だけでなく、広範な対外宣伝力、完全で信用できる公民教育工作なのだ」と強調。このサイトが国際社会をも惑わす宣伝戦、世論戦、法律戦の武器にしようとの中国側の意図を明らかにする。
そうした中、こうした情報戦に大きな打撃を与え得る記事が、一月二十九日の産経新聞・九州版に掲載された。
タイトルは「尖閣は台湾の一部…中国サイトずさんなプロパガンダ」(紙面では「稚拙なプロパガンダ」)。

あのサイトが「取り上げた資料の解釈に多くの誤りがあると、日本の専門家から指摘の声が上がっている」という内容。「領有権の根拠とする文献資料を掲載するが、18~19世紀に発行された欧州の単なる航海情報誌を取り上げるなど、杜撰な点が目立つ」と指摘する。
サイトが取り上げた「文献資料=航海情報誌」とは「19世紀に英国で発刊された『経緯度表』(Jパーディ著)」と「18世紀にポルトガルで発刊された『航海術教本』(Mピメンテル著)」。
ともに「東アジアの航路について説明した書物」と見られるそうだが、先ず前者の『経緯度表』について、記事はこう書く。

中国のサイトが掲載する『経緯度表』の写真。「台湾」の下に尖閣と思われる島の名が見える
と強調するが
―――「経緯度表」には、島名が羅列された一覧表があり、「台湾」の直後に尖閣諸島と思われる島の名前が並ぶ。中国側は、釣魚島は台湾の一部であり台湾とともに中国に属する、と主張する。日清戦争後の下関条約(1895年)で台湾を日本に割譲したが、昭和27年の条約失効により、台湾と、その一部である釣魚島の領有権も中国側に戻ったという理屈だ。
―――だが、尖閣問題に詳しい長崎純心大の石井望准教授(尖閣史)は「『台湾の次に釣魚島に行った』という航海記録を参考に記述したに過ぎない」と分析する。
―――中国側がサイトで提示した『経緯度表』は、世界各地の経度と緯度を記した航海用資料だ。
―――尖閣の前に台湾最北端の経緯度が示されるページがあることから、中国側は「尖閣は台湾に付属する」ことの証拠だと取り上げた。だが、この資料は実のところ、「釣魚島・台湾諸島一体説」を否定している。例えば台湾全島を示す別のページには、尖閣諸島が含まれていない。
―――他のページをみると、台湾全島は「中国海」(南シナ海)に含まれ、中国大陸南部の沿岸各地を詳しく載せていた。一方、尖閣諸島は琉球と同様に「東海」(東シナ海)の中に書かれている。尖閣、宮古八重山諸島、琉球の順となっている。中国側の訴えとはまったく逆に、尖閣は琉球列島に属することを示した資料といえる。
次に後者の『航海術教本』について。

同じく『航海術教本』の写真。ここにある「レスマゴス」が尖閣だと指摘するが、果たして・・・
―――「航海術教本」も精査すると、日本の欄に赤道直下の島が含まれたり、台湾の欄にフィリピン・ルソン島が記載されるなど、島の帰属を表したといえない記述が多い。
―――(中国側は)『航海術教本』では、台湾と同じ欄に掲載された「レスマゴス」という島を、中国側は釣魚島だと主張している。だがレスマゴスは、文献によって尖閣諸島を指す場合もあれば、八重山諸島を指す場合もあり、一様には言えない。
―――航海術教本のレスマゴスは、北緯の記述から見て、台湾北方にある「棉花嶼」だとみるのが妥当といえる。当時の技術でも、緯度は天体に基づき比較的、正確に計測されていた。
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―――筑波大名誉教授、尾崎重義氏(国際法)は「中国側は法律家や歴史家からみると根拠になりえない資料も、精査もせずにアピール材料として出してくる。稚拙な解釈でも資料が増えれば、海外の世論に誤解を招きかねない。日本も政府、学者、マスコミを含め総力戦で反論せねばならない」と懸念を表明した。
中国の宣伝戦には「総力戦」を以って対抗しなければならないということだ。何しろあの国はかの軍事力の増強に匹敵っする執念で宣伝工作に取り組んでいるのだから。
今回の産経の記事が九州版に留まり、全国版に掲載されなかったのはあまりに惜しい。
(追記)
産経記事に「航海術教本のレスマゴスは、北緯の記述から見て、台湾北方にある「棉花嶼」だとみるのが妥当といえる」とあるが、これについて現在石井望氏が八重山日報で連載中の“中国「釣魚島」特設サイトの虚構を暴く”の第二回(一月二十九日)では次のように書かれている。ちなみにここにある「臺灣北方三島の一つ」とは「棉花嶼」を指す。
―――レスマゴスが臺灣及びチャイナ大陸沿岸と同一欄に置かれてゐるので、臺灣附屬島嶼だといふ理屈だ。確かに欄内は全てチャイナが領有を主張してゐる地名ばかりだ。さあ日本、大丈夫か。
―――ご心配には及ばない。このレスマゴスは、記載の北緯25度20分にもとづけば臺灣北方三島の一つである。尖閣ではない。欄分けも、同書の1712年初版、1762年三版、1819年四版では全く異なり、單に行數の都合で位置が上下に移動してゐるだけなのだ。新サイトでは、都合よくレスマゴス迄(まで)で欄線を引く1746年版を載せてゐるに過ぎない。
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台湾研究フォーラム第169回定例会

講師:盧韻至さん(台湾独立建国連盟日本本部盟員)
演題:「馬英九の売国行為が生んだ台湾の現状」
318ひまわり学生運動後、台湾の若者はもちろん台湾全体的に台湾アイデンティティや台湾独立への意識が高まったが、去年の11月台湾の地方統一選挙での国民党惨敗により、馬英九の売国行為には更に加速する可能性がある。ここで欠かせないのは日本とアメリカからの協力だ。
日時:2月4日(水) 18時30分~20時30分
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