メディアが隠蔽する台湾総統夫人「訪日ボイコット」事件の真相は (付:「台湾チャンネル」の関連報道動画)
2014/07/11/Fri
■メディアの不祥事が惹起した「故宮展」騒動
台湾の馬英九総統の周美青夫人に来日計画があり、直前にそれが取り消された事件は、台湾では大きな話題だったが、日本ではあまり注目されなかった。
来日は東京国立博物館での台北故宮博物院展の開会式に合わせてのもので、そのことは日本の一部メディアも報じてはいた。NHKも六月十九日、「周氏は23日の開幕式典に出席するほか、翌日には東日本大震災の被災者を特別展に招いて交流する予定だということです」「日本と台湾の間には外交関係がないため、台湾の総統夫人が日本を訪問するのは珍しく、日本と台湾の緊密な関係を示すことになりそうです」と伝えている。

総統府人の来日計画を報じるNHKニュース画面
しかし来日中止については、日本のメディアはほとんど話題にしなかった。NHKも七月二十三日、故宮展の開会式を報道した際、「出席を予定していた台湾の馬英九総統の夫人の周美青氏は、出席しませんでした」と触れるも、なぜ欠席したかは説明しなかった。
欠席の理由は、故宮展の主催者として名を連ねるNHKなどの主要メディア各社が製作した宣伝ポスターにあった。「台北国立故宮博物院」との正式名称から「国立」の二文字を削除していたのだ。もちろん台湾が「国」として扱われるのをかたくなに許さない中国への配慮だ。
総統府はポスターを修正しなければ、周夫人の訪日は取り止めにし、展示会自体も中止にするとの声明を発していた。結局、東博は二十三日未明までに首都圏内の駅などに貼られたポスターの多くに「国立」の文字を貼り付けたため、台湾側はそれをよしとし、開会式は無事行われたのだが、周夫人の来日はなかった。

「国立」の二字を新たに張り付けたポスター。
かくて故宮展は開幕したが…
こうした経緯を、NHKなどメディア各社が報道しないのは当たり前と思える。なにしろ原因は自分たちの不祥事にあったのだから。
ところで台湾では、周夫人の訪日中止の原因は他にあるとの見方もある。
■「国立」事件は馬英九総統の中国迎合の口実か
たとえば台湾紙自由時報が七月九日に掲載した政治評論家、林保華氏(台湾での中共問題の第一人者)の「周美青訪日の秘密」と題する一文はこう書く。

総統府人の訪日ボイコットを早くから予測していた政治評論家の林保華氏
―――多くの論説は二つの重要な問題に関心を寄せようとしない。それは第一に、誰が周美青の訪日を決定したかということ、第二に五月一日に周美青の訪日が発表され、六月二十日に馬英九が(ポスター問題で)激怒するまでの間、なぜ北京は一言も声を発さなかったのかということだ。
―――私はこう考える。オバマは四月中旬に訪日した後、台日関係改善の努力を希望した。馬英九と周美青はあえて米国には逆らわなかったのではないかと。
―――李登輝が総統退任後に訪日するたびに、北京は抗議している。しかし現役総統の夫人が訪日しようとし、しかも日中関係の緊張が高まっているなか、北京はそれでも声を発さなかった。私は五月二十八日の段階で、「周美青の訪日は足が痛いとの理由で取りやめになるかも知れない。北京が何も言わないからだ」と書いている。当時、周美青は車椅子に乗っていた。
―――その後、馬英九は「国立」の問題で言い掛かりをつけることに切り替えた。
―――北京が抗議をしなかったのは、馬英九が周美青の訪日を発表する以前に、すでに北京に連絡し、訪日は行わないと保証していたからに違いない。そうすれば周美青が訪日を取り消しても、北京の圧力に屈した結果だと見られずに済む。
―――馬英九と北京は裏で結んでおり、米国、日本を騙し、台湾人をも騙したのだ。
もし事実が林保華氏の分析の通りだとしても、もちろんそれで日本のメディア各社によるポスター改竄と言う中国迎合が許されるわけではない。
馬英九の中国迎合も愚かだが、それにまんまと利用されたメディアの中国迎合は、さらに愚かということになるだろう。
■中国とグルの馬英九は日米同盟に刀を突き刺すか
ところで林保華氏は、さらに馬英九総統を批判している。
―――日米安保条約は台湾をもカバーする。日米はこれまで台湾を併呑するなどとは言っておらず、ただ中国だけが今なお二千基ものミサイルの照準を台湾に合わせているし、「台湾の前途は中国が決める」と公然と言い放つ。そして中国官僚が皇帝の特命大使のように台湾へやって来て、地方の村などにいる手下たちに活動費を配るなど、台湾の国家安全が厳重な危機に直面するなか、日本の集団的自衛権解禁の閣議決定は、台湾の安全感を高めた。
―――しかし馬英九の反応は曖昧だ。七月七日(盧溝橋事件記念日)には、釣魚台が日本に取られたことを忘れず、主権問題では譲歩しないなどと言い放った。
―――釣魚台は主権争議問題だが、「中国大陸」も馬英九にとっては中華民国の領土であるはずだ。釣魚台という無人島は忘れなくても、中共が六十五年間にわたり、九百万平方キロ以上の国土を踏み躙っていることは、完全に忘れてしまっている。
―――馬英九は日本とは「一戦も辞さず」と言うが、中共とはグルになり、台湾を丸ごと手渡しそうだ。これが総統のやることか。
このように、馬英九総統とは、敵を友とするような、実に危うい人物なのだ。
日本の「国立」削除には恫喝で応えたが、中国の国家主権否定の言動には文句一つ言わないのもその証だ。「中華民国の」の国名の代用品として事実上あの国から押し付けられている「チャイニーズタイペイ」の呼称を、「(中国も怒らないので)最も良い」と発言するなど、本当に「台湾を丸ごと手渡す」ような政策を繰り返している。
林保華氏は最後に、日本に対してこうも訴えていた。
―――まさに中国が侵略勢力を拡大しようとしている時に、馬英九は中国と組み、日米の側に立たないでいる。これは明らかに日米に刀を突き刺すに等しい。日米安保条約にはとても不安な穴が開いたわけで、台湾の国家安全にとっても危機だ。だからこそ日本には、次は台湾関係法も制定してほしい。
集団的自衛権行使容認の次は「台湾関係法」の制定を、との日本へのリクエストはすでに多くの台湾の識者たちからも出ている。つまり立法で日台防衛協力関係を規定してほしいというわけだ。
しかし中国迎合の日本メディアは、こうした台湾からの訴えを取り上げようとはしないだろう。そもそも集団的自衛権の行使容認にも反対なのだから。
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「台湾チャンネル」の関連報道動画
【台湾チャンネル】第38回、民衆抗議で中国高官"退散"、「故宮」事件でNHKと朝日が隠蔽報道 [桜H26/7/3]
台湾の馬英九総統の周美青夫人に来日計画があり、直前にそれが取り消された事件は、台湾では大きな話題だったが、日本ではあまり注目されなかった。
来日は東京国立博物館での台北故宮博物院展の開会式に合わせてのもので、そのことは日本の一部メディアも報じてはいた。NHKも六月十九日、「周氏は23日の開幕式典に出席するほか、翌日には東日本大震災の被災者を特別展に招いて交流する予定だということです」「日本と台湾の間には外交関係がないため、台湾の総統夫人が日本を訪問するのは珍しく、日本と台湾の緊密な関係を示すことになりそうです」と伝えている。

総統府人の来日計画を報じるNHKニュース画面
しかし来日中止については、日本のメディアはほとんど話題にしなかった。NHKも七月二十三日、故宮展の開会式を報道した際、「出席を予定していた台湾の馬英九総統の夫人の周美青氏は、出席しませんでした」と触れるも、なぜ欠席したかは説明しなかった。
欠席の理由は、故宮展の主催者として名を連ねるNHKなどの主要メディア各社が製作した宣伝ポスターにあった。「台北国立故宮博物院」との正式名称から「国立」の二文字を削除していたのだ。もちろん台湾が「国」として扱われるのをかたくなに許さない中国への配慮だ。
総統府はポスターを修正しなければ、周夫人の訪日は取り止めにし、展示会自体も中止にするとの声明を発していた。結局、東博は二十三日未明までに首都圏内の駅などに貼られたポスターの多くに「国立」の文字を貼り付けたため、台湾側はそれをよしとし、開会式は無事行われたのだが、周夫人の来日はなかった。

「国立」の二字を新たに張り付けたポスター。
かくて故宮展は開幕したが…
こうした経緯を、NHKなどメディア各社が報道しないのは当たり前と思える。なにしろ原因は自分たちの不祥事にあったのだから。
ところで台湾では、周夫人の訪日中止の原因は他にあるとの見方もある。
■「国立」事件は馬英九総統の中国迎合の口実か
たとえば台湾紙自由時報が七月九日に掲載した政治評論家、林保華氏(台湾での中共問題の第一人者)の「周美青訪日の秘密」と題する一文はこう書く。

総統府人の訪日ボイコットを早くから予測していた政治評論家の林保華氏
―――多くの論説は二つの重要な問題に関心を寄せようとしない。それは第一に、誰が周美青の訪日を決定したかということ、第二に五月一日に周美青の訪日が発表され、六月二十日に馬英九が(ポスター問題で)激怒するまでの間、なぜ北京は一言も声を発さなかったのかということだ。
―――私はこう考える。オバマは四月中旬に訪日した後、台日関係改善の努力を希望した。馬英九と周美青はあえて米国には逆らわなかったのではないかと。
―――李登輝が総統退任後に訪日するたびに、北京は抗議している。しかし現役総統の夫人が訪日しようとし、しかも日中関係の緊張が高まっているなか、北京はそれでも声を発さなかった。私は五月二十八日の段階で、「周美青の訪日は足が痛いとの理由で取りやめになるかも知れない。北京が何も言わないからだ」と書いている。当時、周美青は車椅子に乗っていた。
―――その後、馬英九は「国立」の問題で言い掛かりをつけることに切り替えた。
―――北京が抗議をしなかったのは、馬英九が周美青の訪日を発表する以前に、すでに北京に連絡し、訪日は行わないと保証していたからに違いない。そうすれば周美青が訪日を取り消しても、北京の圧力に屈した結果だと見られずに済む。
―――馬英九と北京は裏で結んでおり、米国、日本を騙し、台湾人をも騙したのだ。
もし事実が林保華氏の分析の通りだとしても、もちろんそれで日本のメディア各社によるポスター改竄と言う中国迎合が許されるわけではない。
馬英九の中国迎合も愚かだが、それにまんまと利用されたメディアの中国迎合は、さらに愚かということになるだろう。
■中国とグルの馬英九は日米同盟に刀を突き刺すか
ところで林保華氏は、さらに馬英九総統を批判している。
―――日米安保条約は台湾をもカバーする。日米はこれまで台湾を併呑するなどとは言っておらず、ただ中国だけが今なお二千基ものミサイルの照準を台湾に合わせているし、「台湾の前途は中国が決める」と公然と言い放つ。そして中国官僚が皇帝の特命大使のように台湾へやって来て、地方の村などにいる手下たちに活動費を配るなど、台湾の国家安全が厳重な危機に直面するなか、日本の集団的自衛権解禁の閣議決定は、台湾の安全感を高めた。
―――しかし馬英九の反応は曖昧だ。七月七日(盧溝橋事件記念日)には、釣魚台が日本に取られたことを忘れず、主権問題では譲歩しないなどと言い放った。
―――釣魚台は主権争議問題だが、「中国大陸」も馬英九にとっては中華民国の領土であるはずだ。釣魚台という無人島は忘れなくても、中共が六十五年間にわたり、九百万平方キロ以上の国土を踏み躙っていることは、完全に忘れてしまっている。
―――馬英九は日本とは「一戦も辞さず」と言うが、中共とはグルになり、台湾を丸ごと手渡しそうだ。これが総統のやることか。
このように、馬英九総統とは、敵を友とするような、実に危うい人物なのだ。
日本の「国立」削除には恫喝で応えたが、中国の国家主権否定の言動には文句一つ言わないのもその証だ。「中華民国の」の国名の代用品として事実上あの国から押し付けられている「チャイニーズタイペイ」の呼称を、「(中国も怒らないので)最も良い」と発言するなど、本当に「台湾を丸ごと手渡す」ような政策を繰り返している。
林保華氏は最後に、日本に対してこうも訴えていた。
―――まさに中国が侵略勢力を拡大しようとしている時に、馬英九は中国と組み、日米の側に立たないでいる。これは明らかに日米に刀を突き刺すに等しい。日米安保条約にはとても不安な穴が開いたわけで、台湾の国家安全にとっても危機だ。だからこそ日本には、次は台湾関係法も制定してほしい。
集団的自衛権行使容認の次は「台湾関係法」の制定を、との日本へのリクエストはすでに多くの台湾の識者たちからも出ている。つまり立法で日台防衛協力関係を規定してほしいというわけだ。
しかし中国迎合の日本メディアは、こうした台湾からの訴えを取り上げようとはしないだろう。そもそも集団的自衛権の行使容認にも反対なのだから。
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「台湾チャンネル」の関連報道動画
【台湾チャンネル】第38回、民衆抗議で中国高官"退散"、「故宮」事件でNHKと朝日が隠蔽報道 [桜H26/7/3]
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