台湾「抗日記念館」の設置は馬英九総統の中国迎合
2014/07/09/Wed
■安倍政権と馬英九政権に向けた習近平の盧溝橋演説
中国にとって七月七日は七十七回目の「七七事変」記念日。一九三七年のこの日、盧溝橋付近で日本を戦争に引き込んだ忌まわしい銃弾が中国側から放たれたわけだが、中国人は日本が攻撃を仕掛けたと捏造宣伝を行っており、今年のこの日も現地に建つ人民抗日戦争記念館で「全民族抗戦記念式典」が開催された。
今年の式典には習近平主席が出席した。国家元首の出席は初めてであるため、先ほど集団的自衛権の行使容認を決めた安倍晋三政権への牽制のためという見方がもっぱらだ。
事実、習近平はこの日の演説で、「如何なるものも歴史と事実を改変することはできない。侵略の歴史を否定、歪曲、美化しようとしても、中国人民と各国人民はそれを受け容れない」と述べ、靖国神社の参拝も行った安倍首相を非難した。

盧溝橋事件記念日に反日演説を行った習近平主席の思惑とは
「中華民族の偉大なる復興」なるスローガンを掲げ、中国中心のアジア新秩序の構築を目指す習近平体制にとり、中国に平伏さない強い国を目指す安倍政権の「積極的平和主義」は、何としても打倒するべき対象となっている。
従って今回の歴史問題に絡めた安倍政権への批判は、同政権を包囲し殲滅せよとの日本国内の中国迎合勢力へのアピーだとも言える。
そしてもう一つ、習近平の演説は、台湾の馬英九・国民党政権に対する反日提携の呼び掛けでもあった。
■日台離間を狙う習近平と中共に物言えぬ馬英九
演説は「同胞の皆さん、同志の皆さん。友人の皆さん」と呼びかけるスタイルだったが、「同胞の皆さん」とは特に「台湾同胞」を指している。
「あの民族の危機の時代、中国共産党は民族の大義を掲げ、国共合作を基礎にした抗日民族統一戦線の構築を呼び掛け、日寇を中国から駆逐した。全国各民族、各階級、各党派、香港、マカオ、台湾の同胞らと団結して心を一つにした」などと、脇役ながらも国民党が中共と共に戦ったことも強調している。
そしてその後、同会場で国民党の元兵士とともに、「独立自由勲章」(中共が抗日戦参加者に贈った勲章)の彫刻の序幕も行った。
台湾を反日提携へと持ち込む中国の狙いはもちろん、日台離間(日米同盟と台湾の分断)によって台湾を併呑することだが、もし台湾併呑が達成されたなら、アジアの海域は「中国の海」となり、「中華民族の偉大なる復興」も達成されかねない。
それではこうした中共の呼び掛けに対し、国民党はどうか。
この日、記念館を訪れた国民党の郝柏村元行政院長は、八年間抗日戦争を戦い、戦後の台湾亡命後は参謀総長、国防部長も歴任した人物だが、現地では「中共が抗日戦争を指導した」という中共のプロパガンダを批判。「誰が中華民族の抗戦を指導したかはっきりさせたい。それは蒋(介石)委員長だ」などと主張し、記念館側を沈黙させた。
しかしこの郝柏村は別として、国民党には中共の歴史捏造には明確な批判は避ける傾向にある。
■中国に褒められたい馬英九の反日パフォーマンス
たとえば二〇一〇年、「中国の対日勝利の最も根本的な原因は、中共が全中国人の意志を代表し、抗戦を指導したことにある」との中共機関紙人民日報による報道に対し、馬英九の総統府は「すべての主要な戦役では国軍が前線で奮戦していた」「歴史に忠実であることが、両岸当局間の公約数だ」と述べるにとどめている。
この日、馬英九総統も、台北の中山堂で開かれた「抗戦勝利特別展」の開幕式で演説を行い、「台湾にはこれまで抗日戦争記念館がなく、民間から批判されてきた。抗戦の史実を保存するため、国防部門には台北の国軍英雄館に国軍歴史文物館を作り、慰安婦に関する陳列も行うよう求めた」ことを明らかにした。
これに関して時事通信は「馬総統はこのところ、対日関係で厳しい姿勢を見せている」と伝えた。親日と言われる台湾での「抗日」「慰安婦」展示施設の設立の報は、日本でも驚きを以って受け止められた(高校の台湾への修学旅行の反日化を狙う左翼教員たちは大喜びか)。

抗日記念館設置の意向を示した馬英九総統
もっとも馬英九政権による反日宣伝政策は、もともとは日本向けというより国内向けという側面が強い。反日姿勢の強化を求めるごく一部の有権者(在台中国人の政治勢力)への配慮や、反日教育による台湾国民の中国人化という目論みがあるのだ。
しかし今回の場合は特に、反日提携を求める中国への迎合という目もがあるようだ。
台湾紙自由時報は次のような論評を掲載した。
―――台湾の統一派分子は抗日戦争がどういうものかも知らずに叫んでいる。どうも中国への真心表明といった側面が大きいようだ。最も良い例が馬英九だ。習近平に追従して中華民族の大義などを叫んでいる。
―――彼は極力中国人的色彩を隠そうとするが、中華民族の話となれば、たちまち日本を不倶戴天の敵として扱う。
―――彼の努力と赤誠はいつの日か習近平に認められるだろう。かくして彼は北京に召され、思い焦がれる習近平との会見が実現するというわけだ。
―――反日は彼らの祖国に対する重要な実績作りなのだ。
このように日本を含め、全アジアを脅かす「中華民族の偉大なる復興」に加担しつつある馬英九。そうした意味でこの人物は、たしかに「対日関係で厳しい姿勢を見せている」。
「抗日記念館」を作ったとこころで、台湾の一般国民はそっぽを向くだろう。しかし日本の台湾への不信感を煽り、日台離間に貢献すると中共は期待しているかも知れない。
■台湾の「親日反中」勢力を日本のパートナーとせよ
ちなみにこの七月七日、同じく台北において新台湾国策シンクタンクが「日本が集団的自衛権を解禁―東北亜の合従連衡で台湾はどこへ行く」と題する座談会を開催。
席上、同シンクタンクの劉世忠執行長は、「昨年十二月、日本で集団的自衛権行使容認に向けた作業で主要な役割を果たす外交官と意見交換した際、今夏に閣議決定を行うと聞かされた」と明かしたうえで、「今回は突然の決定ではなく、日米が緊密に計画した上でのもの。日米安保の終極的目標に符合している」とし、「台湾人の声に基づき、日本の閣議決定を支持する」と表明した。

台湾人の声を代表するとして、日本の集団的自衛権行使容認に支持表明した
新台湾シンクタンク
そして日本にこの地域における「責任を負う指導者」「平和擁護」「民主主主義の強化」の役割を担うとともに、台湾と民主と平和という価値に基づくパートナー関係を結び、日米防衛協力の指針の改訂の際には明確に台湾海峡情勢への関心を明記してほしいと語った。
これは実際に親日反中である多くの台湾国民の「声」を代表した期待表明と言えるだろう。
日米同盟の強化は台湾の国防強化に直結するにもかかわらず、日本の集団的自衛権行使容認にも反対表明した馬英九だが、親中反日の彼の政権と、親日反中の反馬英九勢力とのどちらを日本の友とし、アジアの平和と安定を求めて行くべきかは最早言うまでもない。
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中国にとって七月七日は七十七回目の「七七事変」記念日。一九三七年のこの日、盧溝橋付近で日本を戦争に引き込んだ忌まわしい銃弾が中国側から放たれたわけだが、中国人は日本が攻撃を仕掛けたと捏造宣伝を行っており、今年のこの日も現地に建つ人民抗日戦争記念館で「全民族抗戦記念式典」が開催された。
今年の式典には習近平主席が出席した。国家元首の出席は初めてであるため、先ほど集団的自衛権の行使容認を決めた安倍晋三政権への牽制のためという見方がもっぱらだ。
事実、習近平はこの日の演説で、「如何なるものも歴史と事実を改変することはできない。侵略の歴史を否定、歪曲、美化しようとしても、中国人民と各国人民はそれを受け容れない」と述べ、靖国神社の参拝も行った安倍首相を非難した。

盧溝橋事件記念日に反日演説を行った習近平主席の思惑とは
「中華民族の偉大なる復興」なるスローガンを掲げ、中国中心のアジア新秩序の構築を目指す習近平体制にとり、中国に平伏さない強い国を目指す安倍政権の「積極的平和主義」は、何としても打倒するべき対象となっている。
従って今回の歴史問題に絡めた安倍政権への批判は、同政権を包囲し殲滅せよとの日本国内の中国迎合勢力へのアピーだとも言える。
そしてもう一つ、習近平の演説は、台湾の馬英九・国民党政権に対する反日提携の呼び掛けでもあった。
■日台離間を狙う習近平と中共に物言えぬ馬英九
演説は「同胞の皆さん、同志の皆さん。友人の皆さん」と呼びかけるスタイルだったが、「同胞の皆さん」とは特に「台湾同胞」を指している。
「あの民族の危機の時代、中国共産党は民族の大義を掲げ、国共合作を基礎にした抗日民族統一戦線の構築を呼び掛け、日寇を中国から駆逐した。全国各民族、各階級、各党派、香港、マカオ、台湾の同胞らと団結して心を一つにした」などと、脇役ながらも国民党が中共と共に戦ったことも強調している。
そしてその後、同会場で国民党の元兵士とともに、「独立自由勲章」(中共が抗日戦参加者に贈った勲章)の彫刻の序幕も行った。
台湾を反日提携へと持ち込む中国の狙いはもちろん、日台離間(日米同盟と台湾の分断)によって台湾を併呑することだが、もし台湾併呑が達成されたなら、アジアの海域は「中国の海」となり、「中華民族の偉大なる復興」も達成されかねない。
それではこうした中共の呼び掛けに対し、国民党はどうか。
この日、記念館を訪れた国民党の郝柏村元行政院長は、八年間抗日戦争を戦い、戦後の台湾亡命後は参謀総長、国防部長も歴任した人物だが、現地では「中共が抗日戦争を指導した」という中共のプロパガンダを批判。「誰が中華民族の抗戦を指導したかはっきりさせたい。それは蒋(介石)委員長だ」などと主張し、記念館側を沈黙させた。
しかしこの郝柏村は別として、国民党には中共の歴史捏造には明確な批判は避ける傾向にある。
■中国に褒められたい馬英九の反日パフォーマンス
たとえば二〇一〇年、「中国の対日勝利の最も根本的な原因は、中共が全中国人の意志を代表し、抗戦を指導したことにある」との中共機関紙人民日報による報道に対し、馬英九の総統府は「すべての主要な戦役では国軍が前線で奮戦していた」「歴史に忠実であることが、両岸当局間の公約数だ」と述べるにとどめている。
この日、馬英九総統も、台北の中山堂で開かれた「抗戦勝利特別展」の開幕式で演説を行い、「台湾にはこれまで抗日戦争記念館がなく、民間から批判されてきた。抗戦の史実を保存するため、国防部門には台北の国軍英雄館に国軍歴史文物館を作り、慰安婦に関する陳列も行うよう求めた」ことを明らかにした。
これに関して時事通信は「馬総統はこのところ、対日関係で厳しい姿勢を見せている」と伝えた。親日と言われる台湾での「抗日」「慰安婦」展示施設の設立の報は、日本でも驚きを以って受け止められた(高校の台湾への修学旅行の反日化を狙う左翼教員たちは大喜びか)。

抗日記念館設置の意向を示した馬英九総統
もっとも馬英九政権による反日宣伝政策は、もともとは日本向けというより国内向けという側面が強い。反日姿勢の強化を求めるごく一部の有権者(在台中国人の政治勢力)への配慮や、反日教育による台湾国民の中国人化という目論みがあるのだ。
しかし今回の場合は特に、反日提携を求める中国への迎合という目もがあるようだ。
台湾紙自由時報は次のような論評を掲載した。
―――台湾の統一派分子は抗日戦争がどういうものかも知らずに叫んでいる。どうも中国への真心表明といった側面が大きいようだ。最も良い例が馬英九だ。習近平に追従して中華民族の大義などを叫んでいる。
―――彼は極力中国人的色彩を隠そうとするが、中華民族の話となれば、たちまち日本を不倶戴天の敵として扱う。
―――彼の努力と赤誠はいつの日か習近平に認められるだろう。かくして彼は北京に召され、思い焦がれる習近平との会見が実現するというわけだ。
―――反日は彼らの祖国に対する重要な実績作りなのだ。
このように日本を含め、全アジアを脅かす「中華民族の偉大なる復興」に加担しつつある馬英九。そうした意味でこの人物は、たしかに「対日関係で厳しい姿勢を見せている」。
「抗日記念館」を作ったとこころで、台湾の一般国民はそっぽを向くだろう。しかし日本の台湾への不信感を煽り、日台離間に貢献すると中共は期待しているかも知れない。
■台湾の「親日反中」勢力を日本のパートナーとせよ
ちなみにこの七月七日、同じく台北において新台湾国策シンクタンクが「日本が集団的自衛権を解禁―東北亜の合従連衡で台湾はどこへ行く」と題する座談会を開催。
席上、同シンクタンクの劉世忠執行長は、「昨年十二月、日本で集団的自衛権行使容認に向けた作業で主要な役割を果たす外交官と意見交換した際、今夏に閣議決定を行うと聞かされた」と明かしたうえで、「今回は突然の決定ではなく、日米が緊密に計画した上でのもの。日米安保の終極的目標に符合している」とし、「台湾人の声に基づき、日本の閣議決定を支持する」と表明した。

台湾人の声を代表するとして、日本の集団的自衛権行使容認に支持表明した
新台湾シンクタンク
そして日本にこの地域における「責任を負う指導者」「平和擁護」「民主主主義の強化」の役割を担うとともに、台湾と民主と平和という価値に基づくパートナー関係を結び、日米防衛協力の指針の改訂の際には明確に台湾海峡情勢への関心を明記してほしいと語った。
これは実際に親日反中である多くの台湾国民の「声」を代表した期待表明と言えるだろう。
日米同盟の強化は台湾の国防強化に直結するにもかかわらず、日本の集団的自衛権行使容認にも反対表明した馬英九だが、親中反日の彼の政権と、親日反中の反馬英九勢力とのどちらを日本の友とし、アジアの平和と安定を求めて行くべきかは最早言うまでもない。
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