不透明さが敵意だ―なぜ中国は米空母の香港入港を拒否したのか
2007/12/02/Sun
米国水兵の大好きななじみの寄港地香港で感謝祭を過ごそうとした米空母キティホークの戦闘群が中国に寄港を拒否されたことは、「外交慣例から見て、キティホークは中国政府から平手打ちを食らわされたようなもの」(ロサンゼルス・タイムズ)と言うべき深刻な事件だった。だからその後中国から入港許可が下りても、それを拒否し、わざわざ台湾海峡を通過して見せたのは、よほど頭にきていたと言うよりも、米国の名誉を守ろうとしたわけであろう。
それでもブッシュ政権は丸く収めようと、事態の沈静化を試みたものの、政界、軍部、専門家たちの間では中国の措置への怒りが収まらない。そしてそうした中で国防総省や太平洋艦隊が明らかにしたのが、中国側がキティホーク拒否の直後、香港へのフリゲート艦ルーベン・ジェームズの入港とC17輸送機の定期立ち寄りをも拒否していた事実だ。前者は新年の休暇を、後者は補給輸送をそれぞれ目的としていた。これは十一月二十二日のことであり、中国側がキティホークに対し、「人道的措置」を理由に入港拒否を撤回したのと同じ日だから、この国の真意は実に読みにくい。
太平洋艦隊のスポークスマンは「ルーベン・ジェームズの寄港拒否に理由説明はなかった。この決定が中国の外交部のものか解放軍のものかはわからない」と語っているが、このように一番関心を寄せられるが「いったい誰がこのような決定を下したのか」である。
これについて国防総省筋は、内部闘争の影響を指摘する。それによると、中国では軍部と胡錦濤との間で深刻な睨み合いが表面化しているらしい。軍部は胡錦濤とより、十七大で引退に追いやられた曽慶紅との方が関係が密接だったと言う。リッチモンド大学の王維正教授は「軍が十七大で選出された新リーダー層に実力を見せようとした」との見方を示した。そして中国の楊潔篪外交部長がブッシュ大統領との会談で「(寄港拒否には)誤解があった」と釈明した直後、本国ではその部下である劉建超同部スポークスマンが「誤解などではない」と反駁していることに触れ、「国際外交史上、前代未聞だ」と指摘している。
中国外交部は米国のダライ・ラマへのメダル授与や台湾への武器売却の決定などを非難して、それがキティホーク入港拒否の理由だと示唆したが、デレク・ミッチェル元国防総長中国課長は「それだけでは中国の今回の行動のすべては説明できない。これらの事件はワシントンの政策決定者の中国擡頭への見方に影響を与えることとなるだろう」と述べている。
香港誌「亜洲週刊」は、中国当局がキティホークの入港を拒否した後に許可したのは、胡錦濤が軍、外交部とともに決定した硬軟入り交ぜた揺さぶりの新外交戦略だと報じた。
台湾の「中広新聞網」は十一月末からの中国艦隊の日本訪問や、楊潔篪外交部長が十二月一日、高村外相と会見し、東支那海問題の解決の必要性を強調したことに言及し、入港拒否には日本を取り込み、米国を排すると言った外交策略の香りがすると論じているが、こちらは新戦略と言うより、遠交近攻、近交遠攻と言う伝統的な「夷を以って夷を制す」の策略だが、いまだにこんなことを続けるのは、もちろんそれに騙される人間が日米にはいるからだろう。
中国軍事専門家のリチャード・フィッシャー氏は、「米国は中国に感謝するべきだ。今回見られた事件を通じ、米軍への恐怖感と敵意を教えてくれた。解放軍の本当の意図は明らかとなった」と語っている。
日本政府も近年は中国軍の「不透明さ」(わかりにくさ)に懸念を表明するようになったが、その「不透明さ」が日本への「敵意」であると言う認識を持つべきだ。
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それでもブッシュ政権は丸く収めようと、事態の沈静化を試みたものの、政界、軍部、専門家たちの間では中国の措置への怒りが収まらない。そしてそうした中で国防総省や太平洋艦隊が明らかにしたのが、中国側がキティホーク拒否の直後、香港へのフリゲート艦ルーベン・ジェームズの入港とC17輸送機の定期立ち寄りをも拒否していた事実だ。前者は新年の休暇を、後者は補給輸送をそれぞれ目的としていた。これは十一月二十二日のことであり、中国側がキティホークに対し、「人道的措置」を理由に入港拒否を撤回したのと同じ日だから、この国の真意は実に読みにくい。
太平洋艦隊のスポークスマンは「ルーベン・ジェームズの寄港拒否に理由説明はなかった。この決定が中国の外交部のものか解放軍のものかはわからない」と語っているが、このように一番関心を寄せられるが「いったい誰がこのような決定を下したのか」である。
これについて国防総省筋は、内部闘争の影響を指摘する。それによると、中国では軍部と胡錦濤との間で深刻な睨み合いが表面化しているらしい。軍部は胡錦濤とより、十七大で引退に追いやられた曽慶紅との方が関係が密接だったと言う。リッチモンド大学の王維正教授は「軍が十七大で選出された新リーダー層に実力を見せようとした」との見方を示した。そして中国の楊潔篪外交部長がブッシュ大統領との会談で「(寄港拒否には)誤解があった」と釈明した直後、本国ではその部下である劉建超同部スポークスマンが「誤解などではない」と反駁していることに触れ、「国際外交史上、前代未聞だ」と指摘している。
中国外交部は米国のダライ・ラマへのメダル授与や台湾への武器売却の決定などを非難して、それがキティホーク入港拒否の理由だと示唆したが、デレク・ミッチェル元国防総長中国課長は「それだけでは中国の今回の行動のすべては説明できない。これらの事件はワシントンの政策決定者の中国擡頭への見方に影響を与えることとなるだろう」と述べている。
香港誌「亜洲週刊」は、中国当局がキティホークの入港を拒否した後に許可したのは、胡錦濤が軍、外交部とともに決定した硬軟入り交ぜた揺さぶりの新外交戦略だと報じた。
台湾の「中広新聞網」は十一月末からの中国艦隊の日本訪問や、楊潔篪外交部長が十二月一日、高村外相と会見し、東支那海問題の解決の必要性を強調したことに言及し、入港拒否には日本を取り込み、米国を排すると言った外交策略の香りがすると論じているが、こちらは新戦略と言うより、遠交近攻、近交遠攻と言う伝統的な「夷を以って夷を制す」の策略だが、いまだにこんなことを続けるのは、もちろんそれに騙される人間が日米にはいるからだろう。
中国軍事専門家のリチャード・フィッシャー氏は、「米国は中国に感謝するべきだ。今回見られた事件を通じ、米軍への恐怖感と敵意を教えてくれた。解放軍の本当の意図は明らかとなった」と語っている。
日本政府も近年は中国軍の「不透明さ」(わかりにくさ)に懸念を表明するようになったが、その「不透明さ」が日本への「敵意」であると言う認識を持つべきだ。
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